麻雀マスターズ レポート

第27期マスターズ トーナメントレポート 西岡 慎泰

2018年4月29日(日)、第27期麻雀マスターズトーナメント2回戦・3回戦が行われた。

本戦レポートでも説明したが、同一メンバーで半荘3回を戦い、各卓内での合計ポイント上位2名が勝ち上がり、下位2名が敗退というシステムだ。

■トーナメント2回戦(ベスト28)

 

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1卓
森山(連盟)vs伊藤優孝(連盟)vs武藤(連盟)vs石森(連盟)

序盤から連盟会長・森山と連盟副会長・伊藤の激しい攻防が繰り広げられ、この2名が勝ち上がりとなりそうな勢いだった。
しかしながら最終戦オーラス、半荘トップ目の石森と森山との差はわずか0.2ポイントとなる。
この大接戦は石森が何と3巡でアガリ、勝ち上がりを決めた。

 

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勝ち上がり:伊藤,石森

 

 

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2卓
福山(連盟)vs山中(連盟)vs園田プロ(最高位戦)vs伊藤啓満さん(一般)

2回戦が終わり全員に勝ち上がりのチャンスがあった。
最終戦も東4局までは混戦で進んでいたが、園田プロは早い仕掛けを試みるとすぐに親リーチが入る苦しい展開もあり、急に持ち点を減らしてしまう。
一方、福山と山中はアガリを重ね50,000点を超える大波乱な展開で、終わってみれば大差となった。

 

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勝ち上がり:福山,山中

 

 

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3卓
松崎(連盟)vs安田(連盟)vs菊田(連盟)vs嶋田(連盟)

開局3,000・6,000をアガった松崎が常にリードを守っていたが、最終戦の東3局で状況が一変する。
親の安田がリーチ

七万八万三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒西西  リーチ  ドラ四筒

南家の菊田もリーチ

二万三万四万五万六万六万六万七万八万九万三索四索五索  リーチ

枚数的に菊田が有利に見えたこの局面、松崎の打牌は自分の手を真っすぐ進める九万だった。
これが安田に12,000の放銃となり、この時点でトータルポイントが4名ほぼ並びとなる大混戦だ。
安田はさらに南場の親で嶋田から18,000をアガって抜け出すと、何とか最終戦4着を逃れた松崎と共に勝ち上がりとなった。

 

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勝ち上がり:安田,松崎

 

 

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4卓
沢崎(連盟)vs武田(連盟)vs刀川(連盟)vs松ヶ瀬プロ(RMU)

1回戦目から沢崎が大爆発!!
東場で70,000点を超える。
東4局の親番ではリーチ後、国士無双をテンパイしている武田の真っ向勝負にヒヤッとした表情を見せるも、更なる加点で2連勝したかのようなポイントを叩き出した。
最終戦は残された3名で着順争いとなるポイント差で迎えた。
オーラスは2者に10,000点以上差をつけた刀川が勝ち上がりと思われたが、親の武田がわずか数巡で手を開く。

一索二索三索三索四索四索五索五索六索七索八索九索東  ツモ東  ドラ一索

「ここまで思い通りだったのに」と誰でも言いたくなるような出来事に、予想の範疇と言わんばかりに頷き点棒を受け渡していた刀川が印象的だった。

 

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勝ち上がり:沢崎,武田

 

 

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5卓
山田(連盟)vs山本(連盟)vs中津(連盟)vs井上プロ(最高位戦)

山田が常に半荘トップ争いの位置にいる。
さすが連盟Aリーガー、若手プロ3名が相手ではバランスを崩す要素なしか。
最終戦は、これまで1回ずつトップを取っている山本と井上プロとの2位通過勝負かと思われた。
しかしながら、中津が南1局で6,000・12,000の大物手をアガリ井上プロとの一騎打ちに持ち込むと、更には2,000・4,000で追い越し2位通過を手中に収めた。

 

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勝ち上がり:山田,中津

 

 

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6卓
ともたけ(連盟)vsダンプ大橋(連盟)vs浜崎さん(一般)vs磯山さん(一般)

ともたけ・ダンプが常にペースを握り、2着以上を一般選手に譲らないかに見えた。
しかしながら2回戦オーラス、浜崎さんが3着→1着となる会心の1,300・2,600を決める。
最終戦、ダンプは大きく点数を減らし浜崎さんに追い越されてしまい、オーラスでダンプの条件が下図のようになる。

 

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リーチ棒を出さなければテンパイ料でも勝ち上がりのケースがあるため、ヤミテンで3,900の手組みができればベストだ。
ところがここで決定打となったのは親であるともたけのアガリ。
ともたけが9,600を浜崎さんからアガると、次局はトータル2位に上がったダンプが1,000点で逃げ切った。

 

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勝ち上がり:ともたけ,ダンプ大橋

 

 

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7卓
前田(連盟)vs阿部プロ(RMU)vs崎見プロ(協会)vs海谷さん(一般)

阿部プロはいつ見ても30,000点台で安定している。
冒険もしない打ち筋に見えるのは、それだけ追い詰められていないという事だろうか。
逆に前田は絶不調、1回戦で不運な12,000を放銃してからは無理をしてまた失点の悪循環だ。
最終戦は阿部プロが一歩抜け出し、崎見プロと海谷さんが接戦となる。
オーラス、北家である崎見プロの条件・手牌は以下。

 

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※流局して海谷さんがノーテンなら崎見プロはテンパイで勝ち上がりのケースあり

七索七索七索五筒五筒六筒七筒八筒発発  ポン北北北  ドラ中

条件付きで待ち変えも悩ましい手格好だ。
そんな中、海谷さんからリーチが入り条件がかなり緩和(前田からの出アガリ以外は全てOK)、関連牌以外全てツモ切りかと思い見ていたところ、崎見プロはツモった三索で長考し再度自分のメモに目を遣る。
数十秒後、意を決しツモ切った牌に海谷さんからロンの声が掛かった。

 

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勝ち上がり:阿部プロ,海谷さん

 

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■トーナメント3回戦(ベスト16)

1卓
ともたけ(連盟)vs石森(連盟)vs阿部プロ(RMU)vs佐月プロ(協会,現マスターズチャンピオン)

序盤から阿部プロ・佐月プロが先行し主導権を握る。
しかしながら、追いかける石森は最終戦で阿部プロを沈めることに成功する。
南1局、半荘トップ目の石森は4着目の阿部プロよりトータル2.6ポイント上、単純に考えればここからアガって不利になる事はなさそうに見える。
これがトーナメント戦の難しいところ。
5,200は5,500をともたけからアガった石森だが、ともたけと阿部プロの持ち点が下記となってしまう。
●ともたけ:24,100点(役満1回でもトータル4位,親番なし)  ●阿部プロ:22,300点
阿部プロは、以降ほぼ加点が見込めないともたけより持ち点が上になれば石森を再逆転だ。
これは難しい条件ではなく次局すぐにクリア、オーラス石森の親を躱し終局となった。

 

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勝ち上がり:佐月プロ,阿部プロ

2卓
山田(連盟)vs山中(連盟)vs小林(連盟)vs海谷さん(一般)

一般選手で唯一ここまで勝ち上がった海谷さんだったが、ここに来て放銃が重なり3者に大きく離されてしまう。
山田・山中・小林は僅差で最終戦を迎えるが、東1局で山田が12,000、東3局で小林が6,000オールと抜け出す。
追いかける山中、最後のチャンスはオーラス西家で条件・手牌は以下。

 

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二万三万四万七万七万三索四索五索三筒三筒四筒五筒五筒  ツモ七筒  ドラ二万

状況を踏まえると、狙うは2,000・4,000ツモの一択だ。
山中の選択は三筒切りリーチ。
親の山田は最終的にオリを選択、山中がツモるか否かに運命を託した。
結果は四筒六筒どちらも山中のツモ山におらず流局、山田を逆転するにはあと一歩届かなかった。

 

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勝ち上がり:小林,山田

3卓
伊藤(連盟)vs沢崎(連盟)vs松崎(連盟)vsダンプ大橋(連盟)

開局から親番で松崎が50,000点を超え、その勢いのまま2連勝と絶好調。
最終戦、伊藤・沢崎がアガリを連発し2位通過はどちらかと思っていたが、南3局で伊藤が会心の6,000オールをアガった時点で、伊藤・沢崎・松崎3者の差は何と上下4.7ポイント間となる。
沢崎がなりふり構わずの3フーロでアガリ一歩抜け出すと、オーラスは下記手牌。

西家の松崎
二万二万五万六万六万七万七万八万三索四索五索六筒七筒

北家の伊藤
二万二万二索三索四索六索七索二筒三筒四筒  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き

もちろんどこからでもアガった方が2位通過だが結果は・・・
伊藤が八筒を掴み松崎の勝ち上がり。
「こんな状況でなければ絶対鳴く手じゃないんだよ」と、伊藤だけの4回戦が始まった。(笑

 

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勝ち上がり:沢崎,松崎

4卓
福山(連盟)vs武田(連盟)vs安田(連盟)vs中津(連盟)

開局は福山が8,000、東4局では武田がヤミテンで6,000オール、この2名が先行する。
2回戦目も2人共に40,000点を超える1・2着で、安田・中津を大きく引き離す。
しかしながら、中津はトーナメント1回戦で倍満、トーナメント2回戦では3倍満を最終戦でアガリ大逆転劇を起こしてきた。
この最終戦でも55,000点を超え、何か起こるのではないかという期待はあったが、今まで以上に開始前の差が大きく一度も追い着く事はなかった。

 

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勝ち上がり:武田,福山

いよいよ準決勝のメンバーが決まった。
レジェンド、中堅、若手とさまざまな年代のプロが駒を進めているが、個人的には私に近い中堅どころ(松崎・武田)の活躍に期待したい。
これから麻雀界を盛り上げていくのは私たちだ。