桜蕾戦 レポート

第4期桜蕾戦ベスト16A卓レポート

【桜人の応援を胸に蕾を手繰り寄せたのは宮成さく・上田まみ!】

4期目を迎えた桜蕾戦、秋開催である今期は一発裏ドラのない日本プロ麻雀連盟公式ルールで行われる。厳しい茨の予選を通り抜けた若芽もいよいよ16名となった。本レポートはベスト16の初陣であるA卓の模様をお届けします。

■宮成さく(みやなり さく/38期前期・1年目)

 

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『地方のプロでも上に行けるんだぞという事を証明したいと思います。頑張ります。』

■上田まみ(うえだ まみ/38期後期・1年目)

 

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『たくさん練習してきたルールなので勝ちたいと思います。宜しくお願いします。』

■御子柴佑梨(みこしば ゆり/38期後期・1年目)

 

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『(プロになったキッカケは麻雀に恋をしちゃったからなので)今日もいっぱい麻雀でドキドキしたいと思います。宜しくお願いします。』

■藤居冴加(ふじい さえか/37期前期・2年目)

 

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『スタイルが変わっていつもと違う麻雀かもしれませんが、気持ちはいつも通り頑張って勝つだけなので。応援宜しくお願いします。』

 

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解説:宮内こずえ
実況:大和

全員の打牌がスピーディーでリズムの良い入りとなった1回戦。冒頭のインタビューでは意図的に引き出しを増やしてきたと語った藤居、早速その片鱗が垣間見えた。

 

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まだ序盤ではあるが場に2枚目の七万に声をかける。現状は役が確定しない純チャンの1シャンテンであり、ドラが六筒である事も踏まえると打点上昇も限られている。つまり、この局は相手のチャンスの芽を摘みながらアガリきれると判断したのだろう。そのピントは合っており実際に親の宮成と南家の御子柴の手牌は以下のような勝負形となっていた。

 

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その後、直ぐに一筒も鳴けてテンパイ。

 

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結局アガリには至らなかったが、思惑通り 一万は山に3枚眠っており、その最速ルートを辿る姿や淀みない摸打は彼女も憧れている魚谷侑未と重なる。

 

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2年目ながら前回の桜蕾戦第3位などで評価を大きく上げ、今回も優勝候補の一人である藤居。そのまま突き抜けるかと思われたが、そこに待ったをかけたのが富山からやって来たという宮成であった。

 

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1回戦南場の親番でペン三万待ちテンパイが入る。ドラ表示牌という待ちの弱さや雀頭の発を活かす為にダマテンに構えて、シャンポン変化などをみる人も多いのではないだろうか。しかし宮成は積極的にリーチに踏み切ると、それを可憐にツモりあげる。

 

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普段は会社員勤めという彼女は目標のプロに佐々木寿人を挙げたが、その言葉通り攻めの姿勢が見事なアガリへと繋がった。

 

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一方ここまで受ける局が続いていた上田ではあったが、らしさ溢れる局があったので紹介したいと思う。

 

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この手格好から悠々と自風の西を2枚とも見送ると、ドラの三索を引き込み以下のテンパイまで育てる。

 

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西は残ってはいないが八索をツモれば三暗刻もついて倍満である。一旦は五索を切ってリャンメンになったら…と考えるのが普通だろう。
しかし、上田の選択は西切りのテンパイ取らずであった。

 

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彼女とは一度だけ麻雀について語らう機会があったのだが、その時はまだプロテストを受ける前だったと記憶している。

『実は来月プロテストの受験を控えているんです。不安もありますが絶対合格して最初で最後の桜蕾戦へ。そして、いつか憧れの黒沢咲さんのようなプロになりたいです。』

それから半年後、まさか観戦記者という立場で目を向けるとは思いもよらなかったが、その上田が思い描くスケールの大きい、あたかも黒沢咲がそこに座っているかのような麻雀に魅入られたのは私自身だけではないだろう。

 

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また上田と同じく、なかなかアガリ番のない御子柴だったが徐々に持ち味を出していく。
過去には高校生クイズで優秀な成績を収めた経緯があり、医学系の大学に通う正に才色兼備という言葉がぴったりな彼女は宮成と同じく佐々木寿人が憧れだという。

 

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藤居から先制リーチを受ける場面であったが中盤にメンホンのテンパイ。それもアガリ牌である四万は今まさに切られた所。ダマテンの選択もあったが御子柴は迷わずリーチとし牌を横に曲げる。アガリには結び付かなかったが解説席からは佐々木寿人が降臨したかのようだと本人にとっても嬉しいコメントが飛び交った。

その後もホンイツとリーチを軸に攻め立てる御子柴。

 

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例え残りツモ1回でも満貫を跳満に、跳満を倍満にする強気の姿勢は今後も彼女の武器となるだろう。

 

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それぞれの良さが際立った桜蕾戦ベスト16A卓も少しずつ展開が動く。まずはメンゼン高打点の手組みをベースとした上田によってその均衡は破られた。

 

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1回戦目に3着を受け入れた上田、その我慢がここに来て桜花爛漫となる。2回戦目の東場で3,000・6.000、3,200オールと2局連続のツモアガリで一気に50,000点オーバーと開花。しかし、満開となったのは何も持ち点だけではなかった。

 

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■上田宗太朗(うえだ そうたろう/38期前期・1年目)
同じ日本プロ麻雀連盟に所属する上田まみの旦那であり、その愛情は世界へと舞い上がる。

 

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上田夫妻は二人三脚でお互いをサポートし合い、千葉にある尊敬するA1リーガー西川淳のお店で主に研鑽している。今回も千葉からの沢山の応援がSNS上のタイムラインを埋め尽くした。

 

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そして上田が一歩前に出た後、次に抜け出したのは宮成であった。

 

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キレイな三色を華麗に成就させリードを築いていく。

 

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そして、北陸支部所属の彼女も地元からたくさんの応援が届いていた。

 

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最終戦は上田・宮成が、それまでの打点ベースの戦い方からトーナメントらしく局を回す事をテーマにシフトチェンジして見事にベスト8へ。
藤居・御子柴もそれぞれ自身の良さが出た対局ではあったがアガリが遠い一日であった。また来期の活躍を期待したい。

 

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■勝ち上がり
・宮成さく
・上田まみ

 

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次回は第4期桜蕾戦ベスト16B卓

内田みこvs頼さくらvs廣岡璃奈vs渡部美樹

解説:和久津晶
実況:大和

現桜蕾位、廣岡璃奈が満を持して登場。
是非こちらの模様もお楽しみ下さい。

(文:小林正和)