桜蕾戦 レポート

第4期桜蕾戦ベスト8A卓レポート

【桜蕾戦ベスト8A卓、2期連続決勝が懸かる廣岡、桜木のデッドヒート】

夢の舞台まであと1つ。
10月28日、モチベーションもコンディションも万全にしてきた4選手でのベスト8A卓が行われた。

 

 

宮成さくvs桜木里咲vs廣岡璃奈vs岡田紗佳

1回戦は宮成が6万点超えのトップ、桜木も大きめの2着を取り、以下のスコアとなる。

宮成+41.0P、桜木+19.2P、岡田▲19.3P、廣岡▲40.9P

 

2回戦、トータル2番手の桜木が親で満貫級を連発。

東4局
リーチ、ツモ、発、ドラの4,000オール。

 

 

東4局1本場
リーチ、ツモ、ドラ2の3,900(+100)オール。

 

 

このアガリで上位の宮成・桜木と下位の岡田・廣岡との差は90~100ポイント。
残り2半荘と半分があるとはいえ、逆転はかなり厳しい差になってしまった。
この日、Twitter の速報を担当していたが、『この後、盛り上がるところがあるかな・・・』が正直な気持ちである。
そう思ったことを今となっては恥じて仕方がない。

前回の桜蕾戦決勝を思い出してほしい。(レポートはこちら
追う側と追われる側は違うが(前回はルールもWRCだが)、最終戦開始時には140ポイントあった差をあとひとアガリまで桜木は廣岡を追い詰めた。
何があるかわからないことを、当人同士が一番知っている。

南1局3本場、廣岡の反撃の狼煙。

二万 上向き三万 上向き五万 上向き六万 上向き六万 上向き七万 上向き七万 上向き八万 上向き六筒 上向き七筒 上向き八筒 上向き二索 上向き二索 上向き リーチ ロン一万 上向き ドラ六万 上向き
岡田から7,700(+900)をアガると、
迎えた親番では、リーチ、ツモ、七対子、ドラ2の6,000オール。

 

 

4本場には、ツモ、南、三暗刻、ドラ3と再度の6,000オール。

 

 

なんと1回の親番で追いついてしまった。
廣岡は静岡支部所属。
静岡の前支部長は、跳満ベースで一世を風靡した望月雅継だ。(現支部長は中寿文)
その静岡の系譜が脈々と受け継がれているのだろう。

この連荘だが、2本場と3本場のヤミテンに構えてアガリを拾った2局が秀逸だった。
詳細は割愛するが、ぜひタイムシフトにてご覧いただきたい。

2回戦終了時
宮成+46.0P、桜木+14.3P、廣岡+11.9P、岡田▲72.2P

 

3回戦、ここまで1人取り残されていた岡田が意地を見せる。

 

 

この半荘のトップ目から更に6,000オールの上乗せ。

トーナメントの4番手は、だいたい更にマイナスを重ね、勝負にならないことが多いが、少ないチャンスをものにした岡田は、やはり力がある。
最終戦、2番手の桜木とは32.2ポイント差と、割と現実的な差まで追い上げた。

3回戦終了時
宮成+55.0P、桜木▲3.8P、廣岡▲15.2P、岡田▲36.0P

しかし、岡田の追い上げもここまで。
最終戦東1局、誰が掴んでも激痛な、この宮成のヤミテンに飛び込んだのは岡田だった。
岡田自身もドラが暗刻の手牌、仕方がない放銃だがこれで終戦となってしまった。
(タンヤオ、三色同順、ドラの12,000)

 

 

岡田が悔やんでいるとしたら、1回戦のこのリーチ判断かもしれない。
親の宮成は九索から仕掛けていてソーズのホンイツが濃厚、自身で七索をブロックしていて勝算が高かったが、四索を掴んで11,600の放銃になった。

 

 

 

点数以上に、このアガリで宮成に『ゆとり』を与えてしまったのが、この日1日を大きく左右したように感じる。
接戦であれば難しい押し引きの判断をすることになり、表現は悪いが、ミスも増えただろう。
宮成は、スコアの余裕から、手にならなければ中盤から丁寧にベタオリし、打点・待ちが優秀であればしっかりリーチをして加点する、とまさにトーナメントの教科書通りの進行だった。

しかし、裏を返せば、まだ1年目の宮成がトーナメントの戦い方だったことを褒めたい。

宮成「北陸支部の皆さんの指導のおかげで勝てました。」

どのくらい、この日や前回のベスト16に向けて練習したのだろうか。
もちろん、宮成の頑張りでの決勝進出ではあるが、北陸支部が一丸となって掴んだ勝利とも言える。
関わった人は自分のことのように嬉しかったに違いない。

 

 

話を最終戦に戻そう。
桜木、廣岡の2番手争いは、どちらにも決定打が出ず、オーラスまで縺れる。

 

 

廣岡の条件は、
・ツモは400・700
・出アガリは、桜木から1,000点、宮成と岡田からは8,000点
とツモか直撃ならほぼOKだ。
桜木は、この半荘の浮きをキープできれば勝ちで、親番だがひとアガリすれば廣岡に厳しい条件を突きつけられる。
要は、アガった方が勝ちの1局だ。
そして、両者同時にテンパイが入る。

 

 

 

待ちの四筒がかぶっているところは、麻雀の神様の悪戯か。
今日のこの熱戦を見ると、桜木の決勝戦も見たいし、廣岡の決勝戦も見たくなってしまう。
しかし、選ばれるのは無情にも1人だけ。
多くの視聴者が固唾を飲んで見守る中、決着のときは訪れた。

 

 

終戦後のインタビュー、こんな悔しい負け方をして、呆然としてしまってもおかしくない。
桜木「すごく悔しいですけど、すごくいっぱい戦ったので清々しい気持ちがあります。廣岡さんやっぱり強かったです。」
と相手を称えた姿はとてもカッコよかった。
来期の桜蕾戦はラストチャンスとのこと、またこの場で観られることを期待している。

 

 

廣岡には、連覇の期待がかかる。
ディフェンディングやベスト16シードではなく、予選からの連覇となれば、何十年も破られない記録になるかもしれない。
決勝戦を経験している点も大きなアドバンテージだ。

さて、宮成、廣岡と決勝戦を争う2名は誰になるのだろうか。
ベスト8B卓は、11/18(金)16時から。
こちらもぜひご視聴いただきたい。

[ベスト8B卓] 11/18(金)16時~
上田まみvs渡部美樹vs松田彩花vs加護優愛
解説:仲田加南
実況:大和

[決勝戦] 11/25(金)14時~
宮成さくvs廣岡璃奈vs????vs????
解説:二階堂亜樹・和久津晶
実況:大和

 

 

(文:福光聖雄)