桜蕾戦 レポート

第5期桜蕾戦決勝レポート

【入会1年目での偉業!御子柴佑梨がスタイルを貫き通して逆転優勝】

毎回様々なドラマを生む桜蕾戦。第5期の決勝は藤根梨沙・後藤咲・御子柴佑梨・川上玲による対戦。

 

 

桜蕾戦でも入会期は34~38期と幅広く、実力者から新人までが覇を競うことになった。

勝負は1戦目から大きく動いた。
東4局。8種9牌の配牌だった藤根が国士無双に向かうと、1シャンテンの段階でリーチをかけた御子柴に対して無筋の五筒をプッシュ。その後テンパイすると、川上から4枚目の北でロン。

 

 

初戦から国士無双が飛び出した。

このアガリで1回戦大トップとなった藤根。2回戦は御子柴・後藤との三つ巴のトップ争いを制して連勝すると、
3回戦の東1局には後藤のリーチにひるまずタンヤオ・ピンフ・ツモ・三色・イーペーコー・ドラ2の4,000・8,000(+1,000)。

 

 

一時は2位に100ポイント以上の差をつけて、ワンサイドゲームに持ち込んだかに思われた。
ところがこの差は、この3回戦中のわずか8局で吹き飛んでしまう。

その始まりは東3局2本場。御子柴の先制リーチに対し、親番の藤根がテンパイ。
手を緩めずにリーチをかけるが、宣言牌の六万が捕まり5,200(+1,600)の失点。

 

 

そして、このアガリをきっかけに御子柴の猛ラッシュが始まった。
南1局に川上から8,000を加点すると、親番の南2局1本場には後藤から12,000(リーチ・一発・ピンフ・裏2)。

 

 

3本場には七対子で粘るトップの藤根から7,700直撃(リーチ・ドラ2)。

 

 

さらに4本場にはリーチ・ピンフ・ツモ・ドラの2,600オール(+1,200)。

 

 

この中~高打点連発で、御子柴は藤根と最終戦順位勝負に持ち込む。

その最終4回戦。東1局親番の藤根は川上から12,000をアガリ先手を取る。

 

 

しかし2本場に御子柴は藤根とのリーチ勝負に競り勝って2,000・4,000(+2,600)で追いつく。

 

 

すると続く東2局には御子柴がリーチ・ツモ・ハイテイ・裏の2,000・4,000。

 

 

ここで得たリードが効き、その後の藤根の反撃を振り切った御子柴佑梨が第5代桜蕾の座に就いた。

前半に大量リードを持ちながら逆転負けとなった藤根。

「3回戦を終わって御子柴さんより上にいれば楽になるかなと思った。ポイントには自信がなかった」と涙ながらに話した。

 

 

麻雀に限らず、競技は追われるもののプレッシャーから逃げ切って勝つことの方が難しいと言われる。だからこそ、将来藤根がタイトルを掴んだ時に、今回の経験が大きく生きることになることを期待してやまない。

一方、御子柴は藤根が大逃げする展開を受け、「自分に今できる麻雀を打って、悔いが残らないようにしよう」と話した。3回戦に藤根に追いついても舞い上がることなく、自分の今の実力と常に向き合い掴んだ、無欲の勝利になった。

 

 

38期後期入会でプロ入りしてまだ半年ほど。優勝したことだけでなく、今回決勝まで戦い抜いたことが、飛躍への大きなきっかけになるはずだ。

「これから先、自分の実力でタイトルを獲れたと思えるように一生懸命麻雀を頑張って勉強していくので、応援して頂けたらと思います。」

この日最後に見せた涙とともに出た御子柴の言葉からは、大きな可能性と決意が感じられた。

 

 

 

(文:梅中悠介)