プロクイーン決定戦 レポート

プロクイーン決定戦 レポート/第13期プロクイーンベスト8B卓レポート 編集部

A卓から2日後。ベスト8B卓が行われた。
宮内こずえがまさかの敗退。
B卓の選手はA卓の試合をどのような気持ちで観戦したのか。
この日試合開始約2時間前に姿を現したのは優木。
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優木美智
初代女流桜花。昨年のファイナリスト。
女流桜花では降級を経験したが、今期はAリーグに復帰可能な位置につけている。
(掲載時点でAリーグ復帰を決めた)
女流桜花Bリーグ
 
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1回戦 起家から(鳥越・優木・茅森・瑠美)
厳しいとされるこのB卓の初アガリは優木。
気迫と、覚悟のようなものが表情から見て取れる。
東2局 鳥越に手役。
五万五万五索五索五索五索六索七索四筒四筒五筒五筒五筒  ロン五万  ドラ八索
ヤミテンに構え茅森から5,200。茅森にとってはボーンヘッド。
しかし、次局の親番でチャンス手。
6巡目にテンパイ。
四万五万六万六万七万七万八万七索八索九索南南南  ドラ六万
ここはヤミテンと構えたが8巡目のツモ西でほんの逡巡の間。
3者が真っ直ぐ手を組んでいるのを見て、タイミングを計ったか。
瑠美も8巡目にテンパイはずし。茅森のリーチは瑠美の先制リーチによるものだった。
ツモ切りリーチをするも
一万二万三万五万六万七万六索六索五筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  一発ツモ九筒  ドラ六万  裏五索
瑠美の2,000・4,000。
次局も茅森はリーチを打つが、優木がサバく。感触が悪い。
南1局 親番の鳥越がリーチ。
優木
一万二万三万九索九索七筒七筒八筒八筒九筒発発発  ドラ西
親の現物には六筒。ここはヤミテンを選択する。
そしてツモ四万。ヤミテンにした以上ということか、打一万とする。
結果は九筒ツモの1,000・2,000。
この始終に優木のプロクイーンへの気持ちが伝わる。
絶対にもう一度あの舞台に立ちたいのだ。
南2局 茅森についにアガリが生まれる。
一万二万三万六万六万六万一索一索一索七筒七筒七筒南  リーチ  ロン南  ドラ四筒  裏一筒
1シャンテンで白南を手中に残す七万切りが秀逸。
安全牌に屈し、一枚切れの南をトイツ落としとした鳥越の放銃。
これで鳥越は4着に落ちる。
南4局は親番瑠美からリーチが入るも流局。
続く1本場は優木がアガリきりトップで1回戦を終えた。
ベスト8の卓割が発表されて以降、「厳しい卓に入ったね」周囲の会う人全員にそう言われたそうだ。
対戦相手のほうが上だ。そう聞こえてしまった。悔しかった。
1回戦成績
優木+30.8P 瑠美+11.8P 茅森▲14.2P 鳥越▲28.4P
 
2回戦 起家から(優木・瑠美・茅森・鳥越)
この2回戦は接戦となった。
東1局、鳥越はこのリーチをかけ見事1人テンパイ。
一万二万三万五万六万七万五索五索八索八索八筒八筒八筒  ドラ九万
東2局
優木
二万三万四万四万五万五万七万八万九万四筒五筒中中中  打四万 左向き  ドラ北  裏七索
ここに鳥越もぶつける
鳥越
一万一万一万六万六万四索五索六索四筒五筒六筒南南  リーチ
勝負手の茅森も応戦するが、優木のツモアガリ。1,000・2,000。
2局連続で鳥越の戦う姿勢が見受けられる。
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鳥越智恵子
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。池袋の雀荘のママ。
実力は織り込み済み。決定戦に進んでも何ら不思議ではない。
東3局2本場
鳥越にとっては自然な手順でようやく大物手が成就。
一万一万七万八万九万三索四索五索七索七索八索八索九索  リーチ  ツモ九索  ドラ八万  裏西
2,000・4,000。
1回戦4着の鳥越がトップ目に立った。
そして親番を迎えたが、ここは瑠美が400・700。
南場に入り点数状況は以下。
鳥越36,700
優木31,600
茅森29,400
瑠美22,800
南1局 鳥越リーチ。
優木南ホンイツの7,700テンパイ。しかし一度もツモらせることなく茅森が400・700。
鳥越、優木ともに引き離せない。
南2局 テンパイ一番乗りは鳥越
七万八万九万一索三索三索四索五索六索三筒四筒五筒東東  ドラ東
チャンス手なのだがドラの東は2枚切れ。二索が2枚きれ三索が1枚きれ。ここは打一索のヤミテンを選択。
次巡、親の瑠美がリーチ。
四万五万六万七万八万二索三索四索二筒二筒七筒七筒七筒  リーチ
茅森も追いかけリーチ
五万五万五万五索六索七索三筒三筒五筒六筒七筒発発  リーチ
そして鳥越のツモは生牌の発。これは茅森のアガリ牌。
ここで鳥越はオリを選択。冷静の一言。打てば8,000の放銃。
そして瑠美の2,000オール。
南4局
鳥越31,900
優木30,500
瑠美29,300
茅森28,300
1着から4着までの差がわずか3,600点。
順位点が15,000点5,000点▲5,000点▲15,000点。
1着順10,000点の差がつく。
全員がトップを取りたいが、鳥越は連続4着は取りたくないところ。
1回戦トップの優木はドラが2枚あることよりもスピード優先で、白を1枚目から仕掛ける。
そして現在4着目の茅森からリーチ。テンパイの優木、余ったドラを勝負し放銃。
緊迫した2回戦は茅森に勝ち星が付いた。
2回戦成績
茅森+19.5P 鳥越+6.9P 瑠美▲6.7P 優木▲19.7P
2回戦終了時
優木+11.1P 茅森+5.3P 瑠美+5.1P 鳥越▲21.5P
 
3回戦 起家から(鳥越・瑠美・優木・茅森)
1人沈みの鳥越であるが、半荘1回で取り返せる差ではある。
ただし4着を引いてしまうと4回戦以降の戦い方に制限がついてしまう。
東1局 鳥越1人テンパイ
東1局1本場 鳥越タンヤオドラ2のテンパイも優木に2,000の放銃。
東2局 親の瑠美のリーチで1人テンパイ。
その1本場。
東家、瑠美の積極的なドラポン
三万四万五万七万八万三索三索  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ二万
そしてヤミテンの入っている南家、優木。
八万九万二索三索四索七索八索九索七筒八筒九筒南南
ドラを切った西家、茅森も勝負。
四万五万六万七万八万九万五筒五筒六筒六筒七筒東東  リーチ
最後にテンパイは北家・鳥越。
二万四万六万七万八万一索一索一索二索三索四筒六筒七筒  ツモ五筒
この四筒は親の瑠美に抑えていた牌。切り遅れていることと、待ちの悪さから、冷静であれば止まったか。
5,200は5,500を七筒で茅森に放銃。ここで4着を押し付けられるわけにはいかない鳥越。
親の優木に大チャンス。
二万四万二索三索四索二筒三筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ四索
北家・瑠美の切り出しを見てヤミテンに構えると、鳥越に以下のリーチが入る。
二万四万五万五万五万六万八万八万三索四索五索四筒五筒六筒  打六万 左向き
全くの同じ待ち取り。ここは鳥越が引き勝つ2,000・4,000。
この時、優木の顔はワイプが捉えていたが全くの無表情。
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そして次局、この手を決めてくる。
八万九万七索八索九索九筒九筒九筒南南南中中  リーチ  ロン七万  ドラ九万  裏七索
やはり優木の出来がいい。精神的にも充実している。
この半荘の決まり手はこちら。
一索一索五索五索五索一筒二筒三筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  一発ツモ四筒  ドラ二筒  裏東
鳥越の4,000オール。
このあと失点もなく見事トップを取り天地逆転の図を作った。
3回戦成績
鳥越+28.0P 瑠美+4.3P 優木▲10.0P 茅森▲22.3P 
3回戦終了時
瑠美+9.4P  鳥越+6.5P 優木+1.1P 茅森▲17.0P 
各半荘ごとに通過者が入れ替わる。
 
4回戦 起家から(瑠美・鳥越・優木・茅森)
現在総合1位は瑠美。なんとトップを一度も取らずに総合1位である。
この2名勝ち上がりのトーナメントの戦い方においての瑠美は恐ろしい。
主役にならずともしっかり勝ち上がる方法を知っているのだ。
実はこの4回戦も2着でまとめている。(ここまで2・3・2着)
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二階堂瑠美
第11期プロクイーン。昨年は無念の途中敗退となってしまったものの、麻雀の安定感は格別。
天衣無縫でありながら、したたかさも手に入れた。
東1局 瑠美がリーチするも鳥越が500・1,000。
東2局 瑠美のリーチを受け、
一万一万四万五万六万四索五索六索一筒一筒二筒三筒四筒  リーチ  ドラ一筒
南家・優木は以下のテンパイ。
一万二万三万八万八万八万三索三索二筒三筒四筒五筒五筒
このままだとハイテイは優木。ハイテイ前に打たれた五筒をポンをして、共通安全牌の三万を打つかと思われたが、スルー。
するとなんとハイテイにはラス牌の三索が眠っていた。
絶好調の優木の決め手のアガリ。
南2局
二万二万四万五万五万六万七万七索七索七索三筒四筒五筒  リーチ  ツモ三万  ドラ三筒  裏六索
この2,000・4,000。優木はこのアガリでトップをもぎ取り決定戦進出をほぼ手中に収めたか。
1人沈みで始まった茅森、この4回戦、連帯を外してしまう。
最終戦を前に綺麗に並んでいた隊列が少し間隔が空いてしまった。
4回戦成績
優木+24.7P  瑠美+5.7P  茅森▲7.1P 鳥越▲23.3P 
4回戦終了時
優木+25.8P 瑠美+15.1P 鳥越▲16.8P 茅森▲24.1P 
2着瑠美と3着鳥越の差が31.9ポイント
2着瑠美と4着茅森の差が39.2ポイント
1着順の差が10ポイントの為、簡単に逆転できる数字ではなくなってしまった。
 
最終5回戦 起家から(茅森・瑠美・優木・鳥越)
東1局 トータルトップ優木が400・700で流す。
東2局 北家・茅森に、このベスト8の苦戦を象徴する出来事。
五万六万七万二索四索五筒五筒西西西  ポン北北北
1巡目に早くもテンパイ。ドラはなんと西
そして5巡目に五筒が暗刻になり単騎選択。二索単騎にすると、次巡のツモはなんと四索
捨牌は以下。
七筒 上向き四筒 上向き七索 上向き九筒 上向き四索 上向き四索 上向き
それ以降、場況と照らし合わせながら待ち取りを選択していくものの、ことごとく裏目を引いてしまう。
そして優木に1,300の放銃。
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茅森早香
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。天才と称される。
昨年の決定戦では優勝目前で和久津にクイーンの冠を奪われた。
今年こそリベンジを果たしたいところだが、、、、、。
南3局2本場供託1,000
現在の持ち点と総合成績
瑠美35,000(+35.1)
優木31,600(+32.4)
鳥越30,300(▲21.5)
茅森22,100(▲47.0)
残る親は優木と鳥越のみ。
南4局の鳥越がどれだけ粘れるか。視聴者はそう思っていたに違いない。
しかし、、、、
瑠美の初手の白を茅森がポン。。。
場が一気に凍る。優木の心境はいかに。
もしここで跳満などをツモアガリされれば、1着、4着の並びが出来てしまう。
すると瑠美+21.9P 優木+6.2P 鳥越▲24.7P 茅森▲3.4P
南4局に、茅森は満貫ツモ。
鳥越はトップになればいいので2,000オール。などで逆転。一気に僅差。
瑠美、優木からすれば直撃はさらに条件を軽くしてしまう。
両者はここから字牌を切ることはなかった。
が、信じられないことが起きる。
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これは神様のいたずらか。大きすぎる字一色。
ここまで完璧な戦いぶりをしたかに見えた優木が、天才茅森に捕らえられた瞬間だった。
南4局 逆転手が入った優木。しかし勝利の女神は微笑んでくれなかった。
最終戦成績
茅森+42.2P  瑠美+1.4P  鳥越▲13.6P 優木▲30.0P 
最終戦終了時
茅森+18.1P 瑠美+16.5P 優木▲4.2P  鳥越▲30.4P
決定戦進出 茅森早香(2年連続2回目)  二階堂瑠美(3年連続3回目)