中部プロリーグ レポート

第32期中部プロリーグ 第5節レポート

Aリーグ:斎藤寛生

私が以前レポートを担当したのは、第16期中部プロリーグのCリーグの観戦レポートで、今から8年前のことである。当時の中部プロリーグは今と異なり、A・B・Cの3つにリーグが分かれていて、私はCリーグに所属していた。振り返ってみると、当時のCリーグに所属していたメンバーの約半数は既に所属していない。これは、麻雀プロを続けることが簡単ではないことを物語っているように思う。
結果がすべての世界であり、その結果を出せない時期が長く続くと、プロの道を諦めるという選択肢がどんどん大きくなっていくのだろうか。
中部プロリーグの開始前に事務局より第36期プロテストの案内があった。今年もまた新しいメンバーを迎え入れる時期が近づいてきた。前述のとおり仲間が去っていくのは辛く悲しいことではあるが、プロテストを経て新人が入ることにより血がどんどん入れ替わり、新陳代謝が繰り返されることで、成長し活性化され組織力が高まっていく。

現在、中部プロリーグは4つのリーグに分かれるほど多くのプロが在籍する大所帯であり、且つ近年はタイトル戦で目立った活躍するプロも少なくない。
前年に引き続き、32期生の岡田智和が制作した見応えのあるポスター・動画が公開されているので、ご興味のある方は是非ともご覧になっていただきたい。その上で、我こそはと思う方がいれば、プロテストにご応募いただき、合格した暁には、新しい風を吹き込んでいただきたい。

※日本プロ麻雀連盟 中部本部Twitterアカウント(@chuuBu2)

第5節の組み合わせと各卓の結果は、以下のとおり。
1卓 伊藤・掛水・小野・土岐
前期決勝メンバーが集った見応えのあるこの卓では、2回戦で大勝した小野が卓内トップを取った。結果は+19.5P、暫定2位で折り返し地点に着いた。掛水は、1、2回戦は非常に苦しみ、その後も苦しい展開になるかと思われたが、後半に巻き返し+8.5Pとプラスでまとめた。前期優勝者である伊藤は、最終的には▲9.2Pとマイナスではあったものの、25,000点以下で終えた半荘は一度もなく、その安定ぶりが光った。

2卓 都築・森下・三戸・加藤
爆発力のある都築が4回戦で68,000点超えのトップをとり、降級圏から脱した。一方、その都築の爆発の煽りを一番に受けてしまったのは、第39期王位の森下である。▲51.5Pで暫定15位まで下げてしまったが、タイトルホルダーの意地を示せるか、後半戦の盛り返しに期待したい。

3卓 寺戸・朝岡・清水・林
今節は歯車が合わなかったのか、寺戸が4位・3位・4位・4位と今期初の黒星で▲77.8P。暫定5位まで順位を下げた。暫定首位の清水は、+31.8Pで、今節もプラスポイントを積み重ねる。+39.7Pで卓内トップを取ったのは林。トータルポイントをプラスに戻して、気持ちよく後半戦を迎えられるだろう。

4卓 長谷川・村瀬・堤・斎藤
Bリーグからの昇級メンバーが揃ったこの卓で卓内トップを取ったのは、終始安定した打ち回しであった村瀬。まだ順位は降級圏内ではあるものの、下位組の直接対決で+33.5Pと負債を減らすことができたのは非常に大きい。2、3回戦に4着を重ねた私が▲36.0Pで更に負債を増やす結果となってしまった。後半戦は負債をこれ以上増やさないようにしていきたい。

半年間という短い期間ではございましたが、拙い文章にお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。また何かのご縁がございましたら、その時はどうぞよろしくお願いいたします。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 清水 哲也 28.2 61.8 65.0 12.8 31.8 199.6
2 小野 雅峻 74.8 ▲ 4.8 39.5 0.7 19.5 129.7
3 三戸 亮祐 25.7 34.1 21.4 ▲ 18.6 12.6 75.2
4 伊藤 鉄也 64.4 35.6 ▲ 40.4 12.6 ▲ 9.2 63.0
5 寺戸 孝志 0.8 29.6 40.4 57.4 ▲ 77.8 50.4
6 掛水 洋徳 ▲ 28.9 34.0 1.1 31.9 8.5 46.6
7 土岐 雄太 30.0 52.8 ▲ 29.8 6.9 ▲ 18.8 41.1
8 朝岡 祐 ▲ 26.6 22.9 ▲ 4.2 29.2 6.3 27.6
9 林 俊宏 40.8 ▲ 4.3 ▲ 82.8 30.2 39.7 23.6
10 長谷川 弘 1.7 ▲ 47.3 12.6 0.4 ▲ 2.0 ▲ 34.6
11 加藤 泰史 ▲ 66.9 18.3 ▲ 27.5 27.8 ▲ 10.6 ▲ 58.9
12 都築 友和 ▲ 37.2 23.9 ▲ 35.4 ▲ 62.5 48.5 ▲ 62.7
13 村瀬 寛光 ▲ 25.0 ▲ 106.3 68.8 ▲ 45.1 33.5 ▲ 74.1
14 堤 文吾 ▲ 16.3 ▲ 75.2 10.8 ▲ 39.5 4.5 ▲ 115.7
15 森下 剛任 ▲ 54.5 ▲ 9.7 ▲ 33.8 3.3 ▲ 51.5 ▲ 146.2
16 斎藤 寛生 ▲ 11.0 ▲ 65.4 ▲ 7.7 ▲ 47.5 ▲ 36.0 ▲ 167.6

 

 

 

Bリーグ:大橋幸正

第32期中部プロリーグBリーグ以下は、いよいよ最終節を迎えた。第4節が終わった時点で、1位は大橋+126.4P、2位は太田(充)+114.9P、3位は越川+97.6Pと上位3名が抜け出したポイントとなっている。昇級者は2名。3者とも別卓であるため、現状1位である私もプラスマイナスゼロでまとめれば安泰というわけではない。ましてや、最終節、対戦相手の4位の金平、5位の杉村は大逆転を狙ってくる。13位の古川も残留するためにポイントを落とせない為、しっかりと戦ってくるであろう。

第4節から最終節まで、1ヵ月半以上も空いた。その期間、最終節に向けてどう戦うか、模索し続けた。4月に行われた麻雀マスターズベスト16で、私にとっては非常に不甲斐ない敗戦の仕方をしてしまい、それ以来、麻雀の調子が崩れてしまっている。長く空いた期間、マイナス思考になってしまう時も多く、どう戦うのが最善なのか考え続けた。正直、終わった今でも最善が何かははっきりとは解らない。さんざん模索して自分が選んだ答えは「普通に戦う。」ということ。ポイントを失うことを恐れて、腰が引けてしまい、それで昇級を逃した時は悔やんでも悔やみきれないであろう。そうならないよう、気持ちよく自分らしく戦おう。そう決意して、対局に臨んだ。

1回戦目、2回戦目と思うような展開にならず、2回戦目では手痛い大きなラスとなってしまう。2回戦目が終わった時点で、この日のトータルポイントは▲45.0P。別卓の太田(充)と越川は順調にプラスを伸ばしており、この時点で形勢はあっという間に逆転され、30ポイント以上は差を広げられてしまった。

崖っぷちに立たされたが、2回戦目まで決して悪い戦い方をしていなかったので、心にゆとりはあった。3回戦目は大きなトップを取ることだけを考え、決して良い牌勢では無かったが、自分の持てる力を発揮し、53,100点の大きなトップを取ることができた。

3回戦目が終了した時点で、1位は越川+121.1P、2位は太田(充)+120.9P、3位は大橋+112.5Pと上2人と約8.5P差で最終4回戦目を迎える。
オーラス北家の私は32,100点持ちの2着目、トップと6,900点差。ポイント差を考えると、できることならトップを取っておきたい所。フリテンターツを残すなど、7,700以上の打点を見込める手作りをしていったが、終盤に安目のフリテンの400・700をツモ。アガらないという選択もあったが、原点割れをしてしまっては元も子もない。このツモアガリで4回戦目は順位点込みで+7.6Pの加点となり、あとは別卓に委ねることとなった。

結果、2位で昇級となった。太田(充)が最終戦で浮きをキープできていれば、昇級できなったので確かに運が良かったとは思うが、第1節からの細かな積み重ねが生んだ価値のある昇級だったと思う。1位で昇級を決めた越川も最終戦オーラス、放銃したら残留となる場面で、見事に自力でアガり、昇級を決めた。対局終了後、少し話をさせていただいたが、非常に充実感が伝わってきて、来期のAリーグでどう戦うのか、非常に楽しみな存在である。

約半年間、拙い文章ではありましたが、お付き合い頂きありがとうございました。8月よりBリーグ以下は後期が開幕、またAリーグは第6節が行われますが、引き続き、私がレポートを担当させていただきます。読み応えのあるレポートを書きたいと思っていますので、お付き合い頂ければ幸いです。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 越川 清一 21.5 7.2 26.5 42.4 31.1 128.7
2 大橋 幸正 52.9 7.3 50.4 15.8 ▲ 6.3 120.1
3 太田 充 58.8 ▲ 41.8 43.8 54.1 0.6 115.5
4 富村 つぐみ ▲ 41.1 40.0 23.8 ▲ 12.6 28.6 38.7
5 金平 裕樹 40.0 31.0 5.1 ▲ 37.2 ▲ 1.1 37.8
6 木村 東平 34.6 ▲ 2.0 ▲ 40.9 9.8 24.5 26.0
7 杉浦 勘介 ▲ 0.1 ▲ 22.8 10.1 28.5 8.3 24.0
8 高橋 侑希 ▲ 20.4 27.3 ▲ 3.1 21.7 ▲ 4.1 21.4
9 杉村 泰治 11.0 ▲ 6.4 ▲ 4.9 37.4 ▲ 43.9 ▲ 6.8
10 佐藤 あいり 4.7 29.9 ▲ 54.9 ▲ 3.7 13.5 ▲ 10.5
11 古川 孝次 ▲ 102.1 ▲ 16.1 44.0 6.8 51.3 ▲ 16.1
12 大高坂 松城 60.5 13.3 ▲ 15.8 ▲ 24.0 ▲ 59.6 ▲ 25.6
13 山本 拓哉 ▲ 17.2 ▲ 3.8 45.4 ▲ 21.1 ▲ 35.8 ▲ 32.5
14 日下 健司 ▲ 37.2 0.9 ▲ 46.5 ▲ 0.3 23.9 ▲ 59.2
15 青山 大 ▲ 9.0 ▲ 30.6 ▲ 3.4 ▲ 24.8 4.0 ▲ 63.8
16 大町 篤志 ▲ 2.8 ▲ 74.2 15.7 ▲ 101.3 7.7 ▲ 154.9
17 安藤 大貴 ▲ 54.1 40.8 ▲ 96.3 8.5 ▲ 62.7 ▲ 163.8

 

 

 

Cリーグ:岡田智和


ついに迎えた前期第5節。泣いても笑っても昇級・残留・降級が決まる。
昇級は4名、降級は3名。4節目終了時点での上位4名と下位3名は以下の通り。

1位…鈴木(涼)+184.2P /2位…河合+109.3P /3位…太田(峻)+94.6P /4位…田村+78.7P
14位…家田▲116.1P /15位…山田▲122.7P /16位…日髙▲130.2P

鈴木涼がこのまま独走するのか、大番狂わせは起こるのか。新人王の日髙は意地を見せることができるか。結果から見ていこう。

1位…河合+150.3P /2位…岡本+116.6P /3位…鈴木(涼)+116.2P /4位…太田(峻)+109.9P
14位…鈴木(淳)▲110.6P /15位…山本(美)▲125.8P /16位…日髙▲146.4P

ここからは各自のコメントや感情を伝えていきたいと思う。

・河合
「当然のことをしたまでです。1、2回戦の調子が良かったので、優勝を意識しました。」
・鈴木(涼)
「自分の心の弱さを痛感しました。相手をなめていた部分もあり、打牌も雑になっていました。これからは先輩方を見本にして連続昇級を目指します。」
・太田(峻)
「同卓の河合を意識して打ちました。過去2回は1年以内に降級してしまったので、今度こそは連続昇級を目指して頑張ります。」

河合と太田(峻)には柔らかな笑顔が見られた。対照的だったのは鈴木(涼)。話を聴こうとした矢先、大粒の涙を流し始めた。よほど悔しかったのだろう。プロの世界は甘くないという事を痛感したのだろう。ハグしてヨシヨシして話せる状態になるのを待った。私自身も悔しさを押し殺し、観戦記者としての責務を全うしようとしているのだが(汗)。2年目にしてBリーグへの昇級を果たしたのだ。立派なものである。尊敬するとともに、「私も負けてはいられない!」そう思った。

・鈴木(淳)
「来期出直します。」
・山本(美)
「不甲斐ない結果でしたが、これで終わるつもりはありません。前だけを向いて頑張ります!」
・日髙
「…」
コメントはきちんともらったのだが、私が感情移入してしまい、コメントをメモし忘れてしまった。最後の最後で痛恨のミス、本当に、本当に申し訳ない…。

最後は私自身の言葉をもって観戦記の締めくくりとしたい。

「観戦記者としてもプレイヤーとしても、自分の未熟さを痛感した前期Cリーグであった。強い追い風と確かな手ごたえを感じつつも、それを結果で示すことができなかった。自分を見つめ直し、力いっぱい闘い抜けるだけの体力と精神力、雀力を身に付けたいと思う。」

5ヶ月にわたりお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 河合 慎悟 61.2 11.7 ▲ 13.4 49.8 41.0 150.3
2 岡本 丈司 ▲ 50.9 47.4 7.0 25.9 87.2 116.6
3 鈴木 涼太 73.8 1.2 90.4 18.8 ▲ 68.0 116.2
4 太田 峻也 38.4 2.6 1.5 52.1 15.3 109.9
5 田村 良介 ▲ 6.0 49.8 57.4 ▲ 22.5 ▲ 3.2 75.5
6 大滝 聡 ▲ 30.5 57.6 16.7 3.5 26.0 73.3
7 池沢 麻奈美 ▲ 28.7 14.2 24.8 17.5 45.2 73.0
8 岡田 智和 22.8 11.2 ▲ 3.8 17.7 ▲ 37.1 10.8
9 菅野 直 16.1 ▲ 11.8 ▲ 18.3 4.2 ▲ 40.4 ▲ 50.2
10 若松 正和 ▲ 10.3 3.0 0.8 ▲ 29.9 ▲ 21.8 ▲ 58.2
11 中谷 彰吾 14.1 ▲ 43.3 11.7 ▲ 24.4 ▲ 29.3 ▲ 71.2
12 家田 みゆき ▲ 24.2 9.8 ▲ 22.5 ▲ 79.2 28.3 ▲ 87.8
13 山田 まさとし 16.5 ▲ 50.8 ▲ 88.7 0.3 22.3 ▲ 100.4
14 鈴木 淳 ▲ 28.8 ▲ 14.0 ▲ 16.0 ▲ 34.9 ▲ 16.9 ▲ 110.6
15 山本 美文 ▲ 61.3 ▲ 72.7 0.8 41.8 ▲ 34.4 ▲ 125.8
16 日髙 志穂 ▲ 23.2 ▲ 17.9 ▲ 48.4 ▲ 40.7 ▲ 16.2 ▲ 146.4

 

 

 

Dリーグ:近藤美香
梅雨空が続く6月の最終日、中部プロリーグ戦第5節が行われました。
B、C、Dリーグは今節が最終節です。Dリーグは降級が無いため全力を昇級に向けることが出来ます。第1節から上位を明け渡すことなくきている杉浦(貴)・平野・浅野がそのままの勢いで逃げ切るか下位陣からの大逆転があるのか!

13卓 4回戦 南3局1本 57,700点持ちダントツトップの杉浦(貴)は大西のリーチに対して七対子でドラ単騎の追い掛けリーチ。結果は大西に放銃となりましたが、昇級は確実な中、最後まで攻めの姿勢でポイントをとりにいきました。卓内トップで終了し、全体の2位で昇級を決めました。

14卓 平野が細かいアガリでポイントを重ね、全体の1位になり、初出場にしてDリーグ優勝を決めました。対局後、平野は条件戦は初めてだったが今日は考えずに打てるほど運に恵まれたと話してくれました。
Dリーグの昇級はこれまで上位を守ってきた平野・杉浦(貴)・浅野が確実に決め、大きくポイントを伸ばした後藤が最後の1枠を手にしました。4人は来期、上のリーグでも良い戦いを見せてくれると思います。

半年間お付き合い頂きありがとうございました。

Dリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 平野 祥太 40.8 3.2 24.4 40.1 70.4 178.9
2 杉浦 貴紀 45.1 25.2 47.2 1.4 38.7 157.6
3 後藤 咲 2.4 ▲ 18.3 27.9 9.7 56.1 77.8
4 浅野 文雅 90.2 ▲ 90.4 40.8 5.4 13.7 59.7
5 原田 知彦 ▲ 1.8 3.9 ▲ 0.2 88.4 ▲ 42.2 48.1
6 田中 寛治 ▲ 10.6 1.7 9.1 ▲ 2.8 30.0 27.4
7 鈴木 雄介 ▲ 24.6 36.9 15.7 7.1 ▲ 32.1 3.0
8 羽川 えりか 25.2 ▲ 34.0 41.3 ▲ 12.3 ▲ 22.0 ▲ 1.8
9 中垣 元 ▲ 48.9 13.9 ▲ 11.1 23.3 ▲ 51.6 ▲ 74.4
10 大西 義則 ▲ 81.6 37.5 ▲ 66.1 7.6 ▲ 20.3 ▲ 122.9
11 近藤 美香 6.0 30.1 ▲ 64.0 ▲ 123.1 3.2 ▲ 147.8
12 加来 千香子 15.6 21.4 ▲ 66.0 ▲ 64.8 ▲ 64.9 ▲ 158.7