中部プロリーグ レポート

第29期中部プロリーグ 第1節レポート

Aリーグ:土岐雄太

立春を迎えるも、まだまだ寒い日が続く中、中部プロリーグ第1節が開催された。
私自身、プロ10年目となりようやく二段位を授かることが出来たが、まだプロとして大きな結果を残せていない。そんな中、若手の山本拓哉が静岡プロリーグと静岡リーグのダブルクラウンを達成したと中部プロリーグに歓喜の声が上がった。
嬉しい気持ちと負けられない気持ちがより一層高まり、焦燥感が出始めた。麻雀は感情が表れるものだと聞いたことがある。まさにその通りで、焦りや悔しさはそのまま対局者に伝わり、結果にも見ている人にも悪影響が出てしまう。精神状態を自己管理することも
プロとして必要なことと自覚し、今期も対局に臨んだ。

Aリーグの組み合わせは以下の通りである
1卓 寺戸・林・佐藤・朝岡
2卓 伊藤・土岐・大滝・三戸
3卓 古川・小野・安藤・清水
4卓 日下・森下・杉村・青山

1卓 1回戦、前期優勝者である寺戸と林が大きく得点を稼ぐと、2回戦、負けずと佐藤がトップを取り返す。最終戦には寺戸が怒涛の連荘を見せる。親で6本場まで積みあげ、7万越えで終局。総合でも52.2Pの卓内トップとなった。攻撃型である打ち手が多く、ぶつかり合う場面が多かった為、朝岡は放銃しないよう我慢したと語る。最終戦、親の寺戸とぶつかり合った林が沈む形となったが、どこからでも追い上げてくる爆発力がある林が、このまま終わることはないだろう。

2卓 1回戦、伊藤・三戸が抜け出し、2万点を下回るラス目だった私に起死回生の手が入った。

配牌
二万二索七索九索七筒東東南南西西西中  第一ツモ中

2巡目、4巡目に南中を鳴き、

七索九索東東西西西  ポン南南南  ポン中中中

その後、北東とツモリ結果は64,000点の出アガリとなった。
2回戦以降も展開と配牌に恵まれ、優位に局を運ぶことが出来たが、3回戦、伊藤に甘い打牌をしっかり捉えられ、トップを取られる。伊藤は全体的に失点も少なく安定的に+32.7Pとスコアを伸ばしたあたりは流石である。

3卓 Bリーグから昇級した清水が1回戦トップを取ると、2回戦待ったをかけるように小野が親番で4,000オールを連続で引きアガリ、総合トップに立つ。
終始苦しかった安藤も最終戦、3,000・6,000のチャンス手を引きアガリ、マイナスを大きく減らした。
結果は1回戦、3回戦トップを取った清水が卓内トップの+36.1Pとなった。

4卓 1回戦接戦の小場を日下が見事制し、トップを取る。
2回戦森下に大三元テンパイが入ったが、青山が2,000オールをアガリこれを阻止。
それ以外にも青山は6,000オールをアガリ、トップを取る。
3回戦杉村が6,400点、3,000・6,000をアガリ、その後も点棒を守り切り、トップを取る。
日下もダブルリーチ、ハイテイ、ツモ、七対子の3,000・6,000点をアガリ、追い上げを図る。
4回戦も杉村がドラ3のチャンスを2回アガリ切り、卓内トップとなった。
杉村は終始放銃が少なく、対局者日下は「杉村さんらしい1日だった」とコメントを残した。どっしりと構えたスタンスの為、堅実で崩しにくい印象の杉村。打ち崩すのは容易ではないだろう。

まだ1節が終わったばかり。いかに少ないチャンスをものにし、苦しい場面を耐えしのぐかの戦いはまだまだ目が離せない。2節以降も激しい戦いになることは間違いないだろう。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 土岐 雄太 94.4 94.4
2 寺戸 孝志 52.2 52.2
3 杉村 泰治 40.0 40.0
4 清水 哲也 36.1 36.1
5 伊藤 鉄也 32.7 32.7
6 朝岡 祐 14.3 14.3
7 日下 健司 11.9 11.9
8 小野 雅峻 9.2 9.2
9 三戸 亮祐 ▲ 1.9 ▲ 1.9
10 佐藤 あいり ▲ 9.5 ▲ 9.5
11 青山 大 ▲ 12.2 ▲ 12.2
12 安藤 大貴 ▲ 15.4 ▲ 15.4
13 古川 孝次 ▲ 29.9 ▲ 29.9
14 森下 剛任 ▲ 39.7 ▲ 39.7
15 林 俊宏 ▲ 57.0 ▲ 57.0
16 大滝 聡 ▲ 155.2 ▲ 155.2

 

Bリーグ:加藤泰史

今期Bリーグのレポートを担当します27期生の加藤です。
これから半年間のお付き合い頂くようよろしくお願いします。

第1節、対戦相手は村瀬・掛水・池沢。
村瀬・掛水は長期に渡ってAリーグに在籍していた実力者。
村瀬は初対戦ということもあり、非常に楽しみである。
池沢は前期Cリーグを2位で昇級しており、勢いに注意したいところ。

1回戦
東3局、村瀬が親番で積極的に仕掛けてチンイツの4,000オールをツモり1人浮きとなり、3人が追いかける展開となった。
南2局2本場、なんとか連荘したい南場の親番で以下のような勝負手となった。

一万一万二万三万四万四索五索六索八索九索中中中  ドラ一万

場にはソーズの三索七索までが1枚も切られておらず、リーチとは行きづらい。
この後、ドラの一万をポンして九索切り。7,700テンパイから八索単騎の12,000への変化。

二万三万四万四索五索六索八索中中中  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ドラ一万

3巡目までの他家の河に九索が3枚あることから、ソーズの中では八索単騎は優秀であると思い、その後のツモ六索はツモ切りとした。
この八索単騎をツモアガリしトップ目に立つことができた。

こうなれば後はどれだけ加点できるかの勝負となる。
この後も8本場まで連荘することができ、この半荘60,000点オーバーの大トップを取ることができた。

2回戦
速い展開であまり参加することができずにオーラスを迎えた。トップ目は40,000点オーバーの村瀬。
親番の私はわずかにプラスの+2.6P。このままプラスを維持したいところ。
そこに西家の池沢からリーチ。
1,300・2,600ツモられまでなら沈まずに済むが、5,200以上の放銃なら沈みの3着となってしまう局面。
さらにダントツのトップ目である北家の村瀬がリーチ。跳満放銃でもトップは揺るぎ無いが、リーチとくる以上はマンガンクラスと見て間違いないだろう。
捨牌が極端であることから見ても七対子のドラ単騎が本線か。

結果は私がチーしてテンパイ直後、場に1枚切れの東で村瀬に放銃となった。八万東のシャンポン待ちのツモり四暗刻。
8,000点の放銃となり、私は沈みの3着へ転落。村瀬は1人浮きのトップとなった。
これがAリーグ経験者の貫禄か。
この局面、安全性を重視してチーしないという選択もあるだろう。
また、チーしてテンパイは取るものの、東を打たないという選択もある。
どういう選択が正解かは解らないが、少なくとも四暗刻の親カブリという最悪の結果を避けることができたのは前向きな材料である。
村瀬はこのまま3回戦、4回戦とプラスを伸ばしトータル+46.8Pの暫定1位。
一方私は1回戦の大トップのおかげでなんとかプラスの+24.6P。
まだ1節が終わったばかり。2節以降も昇級争いを見据えてプラスを重ねていきたいと思う。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 村瀬 寛光 46.8 46.8
2 堤 文吾 41.1 41.1
3 金平 裕樹 37.8 37.8
4 長谷川 弘 27.5 27.5
5 大西 義則 27.3 27.3
6 加藤 泰史 24.6 24.6
7 山本 拓哉 13.0 13.0
8 越川 清一 10.2 10.2
9 掛水 洋徳 ▲ 0.1 ▲ 0.1
10 木村 東平 ▲ 11.1 ▲ 11.1
11 富村 つぐみ ▲ 15.3 ▲ 15.3
12 中谷 彰吾 ▲ 25.2 ▲ 25.2
13 牛尾 信之 ▲ 27.3 ▲ 27.3
14 杉浦 貴紀 ▲ 40.2 ▲ 40.2
15 河合 慎悟 ▲ 57.8 ▲ 57.8
16 池沢 麻奈美 ▲ 71.3 ▲ 71.3

 

Cリーグ:若松正和

Cリーグのレポートを担当する24期生の若松正和です。
半年間お付き合いよろしくお願いします。
今季から新たに参戦する3名の新人の大橋幸正、蓮池浩太、田村良介に復帰の鈴木雄介、山神達也を加えた23名で行われた。
昇級枠は3つ。第1節ということもあり皆昇級を目指して内なる闘志を燃やしていることであろう。
私自身はというとここ最近麻雀が不調ということもあり、守備に重きをおいて対局に入ることにした。不調を感じている時こそ守備が大事だと思っている。
その姿勢が功を奏したのかはわからないが+70.2Pと好スタートを切ることができた。
しかし反省すべき局もあった。
持ち点35000程の浮きの状態で迎えた4回戦南2局2本場、同卓の親の太田俊也からリーチが入り、下家の山神達也がチーをしてテンパイ気配。捨て牌状況から山神の手はほぼ1,000点だと思っていたが、親の太田の現物であり、山神にアタリだと思った牌を止めてしまう。結果は太田がツモアガリでその後も連荘を許し、さらに点棒を削られてしまった。
「麻雀において守備とはなにか?」昔ある方にこんな質問をされたことがある。私は深く考えずに「放銃しない事」と答えたが、その方は「点棒を減らさない事」と言った。点棒を減らさない方法は色々あり、その時に自分の安易な答えを反省した記憶がある。
好調な親を流すために他家に多少甘く打つ。これも守備の1つであると思う。

その牌が山神にアタリであったかは分からないが、私自身の手牌は親のリーチに向かえる手牌ではなく、40,000点以上あった点棒をジリジリ削られた焦りからか放銃することを躊躇してしまい親の連荘を許してしまった。
Cリーグは上位リーグに比べてポイント的に縦長になることが多いが、こういったところにも要因があるように思う。

ほかの卓の結果を見てみると、新人の蓮池浩太が+82.6Pと首位発進。普段と違う一発裏ドラなしのルールに対応するために事前にしっかりと準備してきたと語ってくれた。初めてのリーグ戦ということで不安もあったようだが、この結果は見事である。今後も注目していきたい選手だ。

リーグ戦はまだ始まったばかり。プラスで終えた者も大きくマイナスになってしまった者にも誰にでも昇級のチャンスはある。私自身は良いスタートを切る事ができたが、より一層気を引き締めて次節以降の対局にのぞみたい。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 蓮池 浩太 82.6 82.6
2 若松 正和 70.2 70.2
3 永井 ゆうま 59.4 59.4
4 都築 友和 55.7 55.7
5 高橋 侑希 47.5 47.5
6 鈴木 雄介 37.3 37.3
7 太田 峻也 32.6 32.6
8 花井 香央理 22.7 22.7
9 岡田 智和 21.8 21.8
10 大町 篤志 15.6 15.6
11 大橋 幸正 2.2 2.2
12 家田 みゆき ▲ 0.3 ▲ 0.3
13 山神 達也 ▲ 12.7 ▲ 12.7
14 大高坂 松城 ▲ 13.6 ▲ 13.6
15 鈴木 淳 ▲ 16.0 ▲ 16.0
16 斎藤 寛生 ▲ 17.8 ▲ 17.8
17 山本 美文 ▲ 19.8 ▲ 19.8
18 岡本 丈司 ▲ 20.7 ▲ 20.7
19 鈴木 基芳 ▲ 22.3 ▲ 22.3
20 原田 知彦 ▲ 44.0 ▲ 44.0
21 太田 充 ▲ 89.6 ▲ 89.6
22 浅野 文雅 ▲ 90.1 ▲ 90.1
23 田村 良介 ▲ 100.7 ▲ 100.7