北海道プロリーグ レポート

第5期雪華王決定戦レポート

【第5期雪華王決定戦、西野拓也が連覇】
勝負所の3回戦オーラス、『西野スペシャル』が炸裂した。
細かい説明は端折るが、ここで三盃志をまくってトップを取ると大きい。
ドラの中がトイツで打点は十分、一直線でアガリにいきたいところだ。

 

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滝沢(解説)「二万一万(落とし)ですね。(打牌を見て)違う!凄くない?」
喜多(解説・北海道本部長)「ナニコレ。独創的すぎるでしょ。どうして?」
古橋(実況)「五筒八筒(待ちの)ターツは、一番いいリャンメンターツにも見えますけどね。」
喜多「トップ目と2,300点差の男が。」
滝沢「ドラドラで。」

 

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古橋「リャンソーだー!西野―!これは優勝だ。」
喜多「2022年度、一番驚いたアガリです、これ。」
古橋「五筒八筒はアガってないんですよ。」

解説席の驚き、興奮がこの日一番だったので、そのままお届けしたい。
まだ最終戦が残っているにも関わらず、古橋が優勝だと言ってしまうほど(笑)。
もちろん、僕も画面の前で「うっそー」と声が出てしまった。

 

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西野は、この打牌について、戦後のインタビューでこう語った。
「2回戦はトップだったものの、自分としては(今日は)苦しいかなぁと思いながらやっていたので、鳴きは常に意識していたところはあります。一筒は食い替えする予定でした。」
「(鳴きながら)整えたというと聞こえが良いですが、今日は無理矢理、形テンも含めて、ねじ込んでいった感じです。」

僕は、西野の優勝の要因は、この2回戦だったと思う。
以下の3つのキャプチャは、2回戦の仕掛けの一例だが、安い、遠い、愚形残りと、褒められた仕掛けではない。

 

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西野は1回戦のラスで、今日の牌勢が良くないと判断し、仕掛けを多用した。
言うまでもないが、安くて愚形が残る仕掛けは、リスクが高いし、その分押し引きも難しい。
しかし今日は4回戦、手が入るまで我慢するという悠長なことは言っていられず、本人の言う通り「ねじ込んだ」という表現がピッタリだった。

2回戦の詳細も掲載しよう。
いかに細かく加点したかが、おわかりいただけるだろう。

 

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※ 供託や本場も含んだ得失点

敗れた三者について、触れてみたい。
最終戦、三盃志は、一時は西野を逆転する。

 

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白、チャンタ、ホンイツの12,000。(三盃貴之から)

 

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リーチ、ピンフ、ドラの5,800。(西野から)

この後、西野に再逆転されてしまい、優勝には届かなかったが、
8階の対局会場まで階段で来る75歳は、年齢を感じさせないアグレッシブな仕掛けと、
役なしを悠々とヤミテンする熟練さの両方を見せてくれた。
会心の1局を取り上げたい。

 

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3巡目に七筒切り。
そして、次巡に八筒が重なると、打六索
八索三索と鳴いて、三盃貴之からタンヤオ、トイトイの5,800のアガリ。
このタンヤオ、トイトイは、なかなか真似できない素晴らしいアガリだった。

 

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父を超えることは叶わなかったが、三盃貴之も魅せてくれた。

 

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親も落ちてしまった3回戦の南場、チートイツのテンパイ取らずから、チンイツへの渡り。
道中、仕掛けてテンパイを取れる牌もあったのだが、グッとこらえてメンゼンで仕上げる。
(須賀から12,000)
今日はあまりチャンスがなかった中、三盃貴之らしさと意地と見せた1局だった。

須賀は、三盃貴之に放銃したこのチンイツが痛すぎた。

 

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「西野に意識が向きすぎていて、(放銃になった)八万が手残りしちゃったね。」
と喜多に指摘されこの苦笑い。

 

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1回戦は、このカン四万待ちを、決めていたとばかりにノータイムでリーチ。

 

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役あり、かつ、リーチをすると一旦は沈んでしまうので、リーチ判断が難しいところではあるが、おそらく決勝戦ならではのリーチだったのだろう。
その勇気に牌も応え、ツモって逆転のトップ。
ここまでは須賀の日だったのだが、2回戦に西野にうまく立ち回られて伸ばしきれなかった点もあると思う。

 

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最後に、北海道本部長の喜多の言葉で締めたい。
喜多「内容もさることながら、今年度の西野はよく頑張ったという(公式ルール打ち込み会の立ち上げなど)、僕は麻雀の神様はいると思っているので、その(神様の)評価がこの結果だったんじゃないかなと思ってもいいかもしれないです。」

西野さん、優勝おめでとうございます。

(文:福光聖雄)