北陸プロリーグ レポート

第20期北陸プロアマリーグ 第1節レポート

鉛空が続くここ北陸の地にも、やっと春を感じされられる3月、第20期北陸プロアマリーグ第1節が開催されました
プロアマリーグは北陸支部創設以来、前後期の年2回開催しており、今年で十周年。その節目の今期より大幅にリニューアルする運びとなりました。
一番魅力的になった点は『小島武夫杯「帝王戦」』への選手権も兼ねるようになった事。
この小島武夫杯「帝王戦」は今年新設されました日本プロ麻雀連盟が主催する全国的なタイトル戦で、王位戦・マスターズに次ぐ一般参加が出来る大きな大会となります。
その代表枠をかけた選考会を兼ねるという事もあり、前期よりも参加人数が増えております。
今期もいつにもまして、熱い闘いが繰り広げられることは間違いありません。

誰もが飛び出したい開幕戦、その初戦でロケットスタートを決めたのは山元さん。
山元さんは前期第19期決勝戦で、最終戦オーラス時点でトータルトップであったが、最後逆転負けを喫し悔しい準優勝。
なので今期にかける意気込みは凄まじいものがあり、それが牌に乗り移ったかのように開始直後からアガリ続け、怒涛の3連続トップ。

2回戦 東4局 南家

二万二万五万六万一索二索三索五索六索七索五筒六筒七筒  ドラ中

これをリーチ一発で高目の七万をツモリ、跳満のアガリ。

本人の中では
「この日で一番手応えのあるアガリと感じました。」
と言うとおりで、そしてこの後何度もメンゼン三色を決めていく。
結果+105.3Pで、ダントツの首位となり、前期のリベンジに向けて好発進となった。
同卓プロの私と本田はただただアガリを見つめるだけの状況で、この借りは次節以降に返さなければならない。

トータル2位につけたのは藤田さん。
藤田さんは前期初出場で、実力が発揮出来ずに下位で終わった。
前回同卓した対局後に、
「いっぱい振り込んですみません。」
とわざわざ私に言ってこられ、その麻雀に対する真摯な気持ちを感じずにはいられませんでした。
しかしながら今期はしっかりとポイントを重ねて、藤田さんもリベンジに燃えている様子が伺えた。

今期からのリニューアル点の1つがルールの変更。
これまでの公式ルールから新しくWRCルールを採用致しました。
このWRCルールの研究・対応に余念がないのが、決勝進出常連の小泉さん。
①①②①と連対率10割で、トータル3位となる。

4回戦のオーラス、持ち点が
東家 南34,900
南家 京田さん26,700
西家 安城26,300
北家 小泉さ 32,100

大接戦の展開であるが、ここで現状2着目の小泉さんの6巡目

一万二万三万二索二索七索八索九索三筒四筒六筒七筒 北  ツモ五筒  ドラ七筒

巡目、待ちの広さ、何よりも絶好の入り目、これらの理由から手拍子でリーチに行く人が多いのではないだろうか?
しかし小泉さんはヤミテンに構え、結果、次巡すぐに五筒をツモり、逆転トップで終了。
このヤミテンの理由を小泉さんから聞かせてもらった。

「公式ルール(30,000点が重要)からWRCルール(着順が重要)に変更になったので。
6巡目に南家打二筒西家打八筒が打たれた局面でツモ五筒でテンパイ。通常時ならトップと2,800点差なのでリーチ一択ですが、リーチ棒出すと南家と西家は1,300・2,600ツモでトップになれる。
そもそも南家、西家は2着目のリーチに対してオリより押し返した方がリターンの期待値が大きい。
親も南家西家からリーチが来たら押し返しにくい。(ほぼ3着以下になるから)。

自分のリーチはリーチして3,200点以上5,200点以下と読まれやすい。
(ヤミ3,200以上はリーチしないから)。
リーチドラ3両面待ちは例外。
以上の理由からヤミテンにしました。公式ルールならヤミテン一択なんですが、自分自身でもまだ消化しきれてませんが、ルールが変わった事を意識する局面だと思ったので。」

一つ一つの局面をしっかりと考えているのだなぁ、と感じました。
ルールに適応する考え方、自分だけの点差ではなく、リーチ棒を出す事による他家とトップ目との点差までの把握、自分のリーチに対する他家のリアクションの洞察力など、4回戦オーラスまで得点を伸ばしている事に慢心することもなく、冷静に読みを入れて対応しており、+76.6Pはその深い思考の蓄積から織り成すものと思わされました。

3位までが一般の方が続く中、プロで4位につけたのは藤本。

3回戦 南2局 南家

二万二万五索五索六筒六筒八筒八筒東東南南西  リーチ  ツモ西  ドラ五索  裏南

倍満のアガリ。

「打点的にも高く嬉しかったが、ここまでのアガリでリーチがいくつかあったが裏ドラが乗らず、上記手牌で初めて裏がのってWRCルールの嬉しさ怖さを実感した。」
とのコメント。
百戦錬磨の藤本は、今期も決勝進出候補の一番手である事は間違いない。

その藤本と同卓し、トータル5位となったのは瀧根さん。
瀧根さんも前々回初出場の時は下位の順位で終わり、今回はリベンジに燃えている。
以前対戦した時はかなりの攻撃型の印象であったが、本人の今回の意気込みをお聞きすると、
「守備を意識したい。」
との事。
私としては意外な答えだったが、果たして1回戦オーラス、親の瀧根さんは2着目の下家・南家藤本プロと8,700点差のトップ目にたっていた。
そこに早々と藤本プロが白西をポン。
その後志多木プロからリーチが入る。
その志多木プロからでた南を藤本プロがポン。
プロ2人に挟まれた瀧根さんだが、ここは当初目標の守備が光る。
藤本の河は一見ソウズのホンイツにみえるも、ドラの四万が1枚あれば満貫なので、ソウズは下ろさず、またドラそばのマンズも打ち出さない。
なおかつ裏ありのルールなので万が一のことも考え、志多木プロのリーチもしっかりと警戒し、目論見通り流局まで持ち込む事に成功。初戦を有言実行の守備力でトップを果たす。

「まだまだ守備面で未熟な所はあるのでこれからも守備の意識を高く持っていきたいです!」

持ち前の攻撃力に加え、守備力も兼ね備えれば、今期は更なる上位進出が狙えるものと思われます。

今期プロデビュー戦を果たした新人は2名。
梅本は1回戦、東2局・南家

一万二万三万三万四万東東東西西  ポン中中中  ロン二万  ドラ一万

プロになって記念すべき公式戦初アガリを満貫で決めて落ち着いたか、トータルもプラスを重ねた。

もう1人のルーキー阿戸も

1回戦、東3局・南家

三万四万八万八万八万四索五索六索一筒一筒  ポン東東東  ツモ二万  ドラ六索

こちらも点数は小さいながらもプロ初アガリをしっかりと決めて、トータルポイントもプラスで終了。

2人の新人にとっては忘れられない1日になったのではないだろうか?
次節からも大いに期待したい。

今回は上位3人が一般の方で、ベスト10も7人の方が一般の方と、プロに比べて活躍されている第1節となりました。
やはり小島武夫杯「帝王戦」の影響なのかもしれませんが、私を含めて下位のプロは今一度そのプライドを賭けて、上位を目指して頂きたいと思います。

次回第2節は4月14日(日)開催です。
見学大歓迎です。