北陸プロリーグ レポート

第5期北陸プロリーグ 第2節レポート

勝負師に、「戦いの後」は無い。あるのは「次の戦いの前」だけだ。
私の座右の銘の1つである。1つの戦いが終わり、喜びを、或いは悔しさを噛みしめる時間は短い。その勝利を、その敗北を如何に糧にして次に臨むか、であると思う。

令和4年6月12日、北陸プロリーグ第2節。
今期は第2節ながら戦いは縦長の様相を呈してきている。

19名から最初に3桁に乗せてきたのは志多木。
今節81.0のポイントを叩き堂々の首位浮上。
「恥ずかしながら、まだ北陸プロリーグの決勝の舞台に立ててはいないので、今年こそはと思っています。」
振り返った会心の1局が下記。

2回戦東2局 南家 ドラ北

六万八万四筒四筒一索一索一索六索六索七索七索八索八索

6巡目にてのテンパイ。
次巡に持ってきた七索でテンパイを壊して打六万
すぐに四筒を引き、四暗刻へと手牌を伸ばし、10巡目に荒谷よりアガリ。

四筒四筒四筒一索一索一索六索六索七索七索七索八索八索 ロン六索

このアガリで半荘を制し、2、3、4回戦を3連勝で飾る事となる。
圧巻は4回戦。「プロになって初めてでした。」と語るオーラスの親番。
時間にして1時間。実に9本場まで攻勢を続け、大トップでこの日を締めくくる。

「今期は開幕から、夏目坂スタジオで優勝して大先輩の本田ロードを再現することしか考えていません。残り6節、手を緩めることなく全力で戦い抜きます。」

豪快さと緻密さを備えた志多木の麻雀が、今期の北陸プロリーグを牽引していくこととなるのだろうか。

里木、堂垂、安城といった面々が安定してスコアを伸ばしてきた中で、前節の負債を完済して、上位に食い込んできたのが女流の文月。
前期も中盤から後半にかけて決勝争いを演じた才媛。着実に実力をつけてきているのだろう。

控えめな彼女が分岐点に挙げた1局。

3回戦東3局 ドラ発

四万五万一筒二筒三筒五筒七筒八筒九筒二索三索四索東

好配牌の勝負手。縦横を受け間違えることなく、最高打点をツモアガる。

一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒二索三索四索発 リーチ ツモ発

このアガリのおかげでその後余裕のある打ち方が出来ました。と文月は嬉しそうに語った。
線の細さというか、ともすれば崩れやすさを内包していた文月の雀風に変化が生じている感がある。

「まだ6節あります。ミスを少なく抑えられるよう挑みたいと思います。」

安城、文月。或いは別の誰かが、北陸プロリーグを女性で初制覇する日も近いのかもしれない。

もう1人今節特筆すべきプロを上げるならば、2年目の岡田だろう。
前期ルーキーにてリーグ4位につけた実績がフロックなのかそうではないのか。
彼にとっては実力を証明したい気合のこもった1年ではないだろうか。

「中途半端な手で放銃しないよう押し引きを間違えず。かつ自身のことのみではなく全体を見ての局進行を心掛けていきたいです。また、所作やマナーもより気を付けて対局に臨んでいきたいと考えています。」

岡田は、今リーグとは別に北陸で開催されている「新人研修リーグ」でも首位を快走している。その場所にて、支部長の浦田や木戸や私に指導を受けながらも日々奮戦している。

「次節もこれまで通りの心構えで臨んでいけたらと思います。」

若手らしからぬ落ち着きは、前年結果を出している自信の表れか。はたまた己の麻雀に対する取り組みへの確かな手ごたえか。
岡田の2年目の挑戦はまだ始まったばかりである。

下位勢は、プロの洗礼を浴びた新人達。そして実績のあるベテラン達。
各々には各々の、負けたくない、負けられない理由がある。
私を含めて、絶対にこのままで終わらないと捲土重来を期す面々。
まだ戦いは4分の1。誰にも当確ランプも、赤信号も灯ってはいない。

2節を終えた後、ではなく3節の始まる前、である。
次の勝負にあたって、如何に己を高めて悔いの残さない戦いをするか。
今一度、私自身も気合を入れなおして、次の戦いに備えたいと思う。
次回第3節は7月24日より。どうか応援の程、宜しくお願い致します。

順位 名前 合計 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節
1 志多木 健 116.0 35.0 81.0            
2 里木 祐介 97.8 70.5 27.3            
3 堂垂 正裕 63.9 43.8 20.1            
4 獅坂 祐一 52.0 58.8 ▲ 6.8            
5 安城 るい 50.5 37.4 13.1            
6 文月 愛美 26.9 ▲ 40.6 67.5            
7 成田 理良 24.4 22.7 1.7            
8 小林 和樹 18.5 4.4 14.1            
9 岡田 拓也 16.9 ▲ 25.6 42.5            
10 南 和之 10.8 54.5 ▲ 43.7            
11 浦田 豊人 1.3 ▲ 10.8 12.1            
12 梅本 翔 ▲ 12.4 ▲ 0.6 ▲ 11.8            
13 如月 靖之 ▲ 38.0 ▲ 38.2 0.2            
14 後藤 正博 ▲ 43.2 ▲ 36.0 ▲ 7.2            
15 木戸 僚之 ▲ 67.6 ▲ 38.0 ▲ 29.6            
16 荒谷 誠 ▲ 74.3 ▲ 18.3 ▲ 56.0            
17 藤本 鉄也 ▲ 82.1 ▲ 30.6 ▲ 51.5            
18 宮成 さく ▲ 83.2 ▲ 55.0 ▲ 28.2            
19 松井 直大 ▲ 84.2 ▲ 34.4 ▲ 49.8