九州プロリーグ レポート

第14期九州プロリーグ A・B・Cリーグ 第5節レポート

Aリーグレポート:福田正道

A卓(藤原×浜上×大和田×小川×青木)
B卓(小車×塚本×西原×柴田)
C卓(福田×新谷×安東×中尾)

映画『はやぶさ/HAYABUSA』の作中より。

高島政宏さんが演じる坂上健一という小惑星探査機「はやぶさ」に搭載するカメラ部分の製作を担当するカメラチームのリーダーが、映画のワンシーンで、『私、なんの為にやってんだか・・・・・』とつぶやく科学者の卵の主人公に、こう言っている。

『終わりが見えない過程で苦しむのが嫌なら、科学者なんて辞めたほうがいい。』

私にとって科学者とは、確かな結果が約束された中で必ず結果がそのようになるアプローチ方法をとっているのだろうという認識でいたからとんだ見当違いだった。あの緻密に計算されているであるだろうイメージの科学者の言葉とはとても思えなかったのと同時に、運を含めた不確定要素のある麻雀にも同じ苦しみがあると強く共感したからだ。

さて、今日は九州プロリーグ第5節。
会場に向かうまでの道のりで、外を歩いているとその暑さに追い討ちをかけるように蝉が鳴いている。
「おい、蝉っ。チー、チー、チーって鳴いてみやがれ。」
「お前が麻雀したらきっと常に裸単騎だろうなぁー。」
と、どうでもいいことを考えていた。

Aリーグは今日が終われば丁度折り返し、リーグ戦を戦う上で非常に大切なことは『決勝に残る可能性がある』ポジションについていることだ。その為にAリーガー各自は自分のポイントにより置かれた位置をきちんと把握し、後半戦に向けてやるべきことを頭に叩き込む。

読んでくださっている皆さんには今節を含めた結果を御覧頂きたい。
100Pを超えて折り返したものが3名。
その後ろの小さなマイナスポイントの小川までで中団に位置した者が7名。
私を含める大きくマイナスしているものが4名となった。

私が九州に在籍してからのAリーグで、現在の決勝ボーダー4位以内に九州三羽烏(浜上・安東・真鍋)の名前がない。真鍋は今期から東京に拠点を移し、中央の鳳凰位リーグに参戦しているので、実際は浜上と安東の2名だが、九州Aリーグの上位陣と言えば、三羽烏は超がつく決勝常連だった。その名前がないのを見て、Aリーグも少しずつではあるが全体のレベルが上がってきているのを実感する。

その三羽烏がいない上位は、首位が大和田。
今期からAに上がった ばかりでAリーガールーキーではあるものの、期は私より1つ上の25期で競技歴ももう九州の中では中堅。
2位の新谷は更に上の24期。去年、あれだけ下位で苦しんでいたのに今期は余裕綽々と上位にいる。

今期のこの2人に共通することは、フーロ率が非常に高いところ。決して手牌の高望みはしない。アガリ率が極端に下がる無理な手組みをするぐらいなら、相手の手を成就させない2,000点でしっかりさばく。
2,000点ぐらいすぐ交わせると思う方もいらっしゃるだろうが、Aルールで幾度となくそれをされたら苦しい。打ち込めば4,000点の開きであり、イニシアチブを取られるとこちらの得点期待値はグッと下がり、逆に失点確率が増す。
そのくせ、これは例えではあるが、役なしリャンメンをツモリ三暗刻に受けてAルールならではの打ちまわしもしてくるので、その仕掛けと門前のバランスが非常にいい。
フーロ率を上げてイニシアチブを取る戦い方に必須なのは、アガリまでいけず門前者に追いつかれてリーチと来られたときの押し引きの判断だが、ここを間違うと両者2名は今後苦しくなってくるだろう。

もう他の人間も2人がどういう戦い方でポイントを積み重ねてきたか、把握しているだろうからどこかでカウンターパンチを狙ってくるはずである。

反対に今年も下位に低迷する私はというと、折り返し地点を向かえ、「もう折り返しかよ。」といった心境。ここまでの闘いを振り返ってみて、大きくマイナスしている原因が私の中にあるとするならば、今の私は【無駄な 放銃】が多い気がする。
この【無駄な放銃】を私がなぜ繰り返してしまうのか?を私なりにもう少し掘り下げて考えてみた。

東場の何も無い無風状態の時の打点は、そこそこの好形先制リーチに対し追いかけられての放銃。これは全く当てはまらない。
問題は、先制リーチ者や色仕掛け者に対して、後手を踏まされた時の押し引きにある。

ここで一つ頭に入れておきたいのは、連盟Aルールには一発や裏ドラ、赤ドラなどが排除されている為、平均打点は一般のフリー麻雀と比べると低くなるということ。
更には、順位点が設けられていて、30,000点を基準としプラス者にはプラスのポイントが、マイナス者にはマイナスポイントが科せられる。

上記2点からわかることは、一度放銃をしてしまうと持ち点30,000点を目指すあまり、それぞれの局面において選択肢が狭くなるということ。
また反対に一度抜け出すと、色んな局面においての選択肢は幅広く、開けられる引き出しもフラットな時より増える。

このことを考えて、先に述べた『後手を踏まされた時の押し引き』をもう一度考えてみる。
例えば、東1局親番の6巡目に先制リーチを受けたとしよう。
コチラはドラもないがピンフの2シャンテン。そんな時、今の私は「東1局の親番からオリてられるか!」と考えることが多かった。
確かにこういう攻める気持ちは麻雀において大切だと思うが、もし仮にリーチ者に7,700を放銃したときには何が待っているだろうか?
それは東場の親も落とされ、残りの親権 は1回しか残ってないこと。その後の戦い方が難しくなること。配給原点を目指すあまり、無理して役牌の一枚目をスルーして、門前リーチ5,200点を目指したり、打点を上げる為にハン数の高い役を狙い自分自身でアガリ率を下げたりするし、反対に失点するリスクは高まる。
勿論、これらはバランスさえあれば、何も問題はないが、安易な放銃1回で極端に偏ったバランスの下、自分自身で選択肢を狭めるのはやはりとても不利なことだと思う。
だが、現実にはそんな闘いを強いられる。いかんせん一度ポイントを持たれた相手には軽くさばかれていくから。

つまり先制リーチや色仕掛け者に対して後手を踏まされたとき、自身が押すのか?引くのか?の選択は、
①局面
②手牌(形はいいのか?ドラを含めた打点はあるのか?)
③点数状況
これら3つを合わせた『場況』だけで決めるのではなく、これに競り勝った場合、反対に競り負けた場合の今後どういう展開が待っているか?というところまで思考を巡らす必要があるのではないか?

私はそれが【大局観】だと思う。

その大局観をもう一度見つめなおし、少しでも無駄な放銃が減ればまた結果も変わってくるのではないか。闘いの局面において考えうるいくつもの思考からひとつの選択をする。それを導き出す為の材料として、【場況の判断】や【大局観】があるならば、その考え方を変えればきっと選択も変わる。選択が変われば結果が変わるだろう。
そうして出てきた結果が正しいかどうかはわからないが、私自身は進化の確認は出来なくとも変化はする必要があると思っている。

次戦うときは折り返し後の第6節。
私は絶対降級しないという気概を持って戦う。

麻雀に終わりはないだろうけど、
『終わりの見えない過程で苦しむのが嫌か?』と聞かれれば、私の答えも
『ノー。』である。

第6節組み合わせ予定
A卓(塚本×福田×小川×西原×大和田)
B卓(藤原×新谷×中尾×柴田)
C卓(安東×小車×浜上×青木)
(組み合わせは都合により変更になることもあります)

Aリーグ

順位 名前

1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 大和田 篤史 40.3 27.3 ▲ 14.1 37.6 58.4 149.5 1
2 新谷 翔平 ▲ 30.9 62.8 62.0 59.6 ▲ 27.8 125.7 2
3 西原 亨 1.8 39.7 71.4 61.2 ▲ 52.9 121.2 3
4 中尾 多門 16.7 81.1 ▲ 51.8 ▲ 7.0 41.0 80.0 4
5 藤原 英司 ▲ 2.7 13.6 19.2 ▲ 13.6 50.1 66.6 5
6 柴田 祐一朗 ▲ 18.0 ▲ 36.3 61.5 ▲ 14.3 46.5 39.4 6
7 小車 祥 ▲ 2.5 18.1 2.2 ▲ 46.7 56.6 27.7 7
8 青木 胤道 35.8 4.6 21.9 ▲ 5.3 ▲ 35.8 21.2 8
9 浜上 文吾 31.6 ▲ 8.8 3.3 ▲ 26.5 ▲ 13.4 ▲ 13.8 9
10 小川 善章 ▲ 6.7 ▲ 33.3 ▲ 5.3 26.0 ▲ 59.3 ▲ 78.6 10
11 福田 正道 ▲ 38.1 ▲ 66.9 ▲ 37.5 13.8 10.3 ▲ 118.4 11
12 安東 裕允 ▲ 63.9 ▲ 21.9 ▲ 85.3 ▲ 2.2 ▲ 23.5 ▲ 196.8 12
13 塚本 将之 15.6 ▲ 81.0 ▲ 67.5 ▲ 83.6 ▲ 50.2 ▲ 266.7 13

決勝進出者 4名   降級者 2名
決勝進出&降級ライン:順位枠内に表示

Bリーグレポート:藤原琢

A卓(名倉×藤井×佐藤×石原×伊東)
B卓(安永×福田×古本×菊池×中島)
C卓(宮崎×服部×榎田×川崎×氷室)
D卓(藤原×藤岡×鶴×矢野)

今回Bリーグのレポートを担当させていただきます藤原です、よろしくお願いします。

連日の猛暑日の中むかえたBリーグ前期最終節。
私の卓はトータルポイント上位4名。
自身、今期1位でAリーグ昇級することを目標とし対局に臨む。

1回戦、それまでトップだった私は南3局、名倉プロに7,700を放銃し3着に終わる。
2回戦、3回戦と終了し、むかえた4回戦。
東1局1本場。私が、

四万五万六万四索五索六索五筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒

これでリーチし、高目の四筒をツモリ2,000・4,000は2,100・4,100のアガリとし、今期Bリーグ優勝の手応えを感じた。
オーラス、南家の名倉プロが軽くアガリ4回戦終了。前期九州リーグ全ての対局を終え、自身の一番の目標であるAリーグ昇級を果たす事ができた。

「麻雀はメンタルなゲーム」と聞く事がある。たしかに精神的な強さは大切で、緊張や動揺は冷静な判断、分析、行動を鈍らせることがある。
1回戦にトップから3着に落ちたとき、すくなくとも冷静でない自分を感じた。自分のメンタルの弱さをあらためて感じ今後の課題にしたいと思う。

Bリーグ

順位 名前 プロ/アマ

1節

2節 3節 4節 5節 合計
1 藤原 琢 プロ 4.0 105.2 64.2 67.7 18.7 259.8
2 名倉 徹 プロ 0.7 73.7 69.9 46.8 ▲ 13.2 177.9
3 古本 和宏 プロ 2.1 32.5 43.5 ▲ 6.8 4.6 75.9
4 宮崎 皓之介 プロ 18.9 ▲ 13.6 16.9 15.9 32.0 70.1
5 菊池 豪 プロ 116.4 ▲ 27.8 33.5 ▲ 43.6 ▲ 10.1 68.4
6 服部 学 プロ 33.3 ▲ 29.3 15.1 13.2 26.5 58.8
7 藤井 崇勝 アマ 59.8 ▲ 20.6 16.1 ▲ 17.9 3.5 40.9
8 氷室 哀華 プロ ▲ 2.0 50.5 ▲ 36.1 ▲ 34.6 44.6 22.4
9 鶴 浩昭 プロ 22.4 ▲ 22.1 17.3 ▲ 4.8 7.9 20.7
10 安永 敏郎 アマ ▲ 55.0 2.8 4.6 22.0 42.1 16.5
11 川崎 行広 プロ ▲ 18.2 41.7 4.1 37.3 ▲ 62.0 2.9
12 石原 忠道 アマ ▲ 3.0 ▲ 11.3 37.4 ▲ 20.7 ▲ 56.4 ▲ 54.0
13 矢野 拓郎 プロ ▲ 63.0 42.2 8.8 ▲ 26.9 ▲ 38.2 ▲ 77.1
14 藤岡 治之 プロ 5.2 ▲ 58.7 ▲ 100.0 ▲ 38.0 112.0 ▲ 79.5
15 伊東 宏倫 プロ ▲ 39.4 22.1 ▲ 27.9 ▲ 45.2 ▲ 1.7 ▲ 92.1
16 福田 譲二 プロ 31.9 ▲ 15.5 ▲ 74.2 ▲ 74.0 21.0 ▲ 110.8
17 佐藤 健治 プロ ▲ 1.2 2.2 ▲ 86.9 17.0 ▲ 67.7 ▲ 136.6
18 中島 行泰 アマ ▲ 40.9 ▲ 70.9 ▲ 81.6 102.4 ▲ 63.6 ▲ 154.6
19 榎田 賢二郎 プロ ▲ 92.3 ▲ 36.5 ▲ 44.7 ▲ 31.8 ▲ 100.0 ▲ 305.3

昇級者 2名   降級者 3名
昇級&降級ライン:順位枠内に表示

Cリーグレポート:下山哲也

A卓(相本×濱田×樋口×流水)
B卓(河野×友保×西川×山本江利香)
C卓(松尾×吉田×山本光男×水町)
D卓(下山×山本秋桜里×藤瀬×公文)
E卓(陣野×原×高野×高末)
F卓(松本×弘中×北島×進)

全5節に渡る戦いもいよいよ最終節を迎え、第4節終了時点で上位が混戦状態であったCリーグ。
上位の順位と成績は

1位:相本+173.0P
2位:下山+157.7P
3位:原+140.4P
4位:山本(江)+116.7P
5位:弘中+110.3P
6位:陣野+70.9P
(第4節終了時)

A卓
暫定1位、2位、3位、4位の上位対決。
優勝、昇級争いの卓。この卓を制したのは原。
4、2、1、1の+31.8P。
安定した対局で1位昇級を決めました。

B卓
暫定5位、6位、7位、8位、の激しい昇級争いとなったこの卓でしたが、
陣野が+47.3P弘中が+30.2Pとポイントを伸ばし昇級を決めた。

C卓
暫定11位でスタートした樋口が+37.1Pの卓内トップで7位フィニッシュ。
最後まで諦めないベストを尽くす姿勢は、来期も昇級争いに絡んでくるであろうと予想させるものでした。

最後になりましたが、Cリーグ優勝を決めた一般参加の原さん、おめでとうございます。
Bリーグでの活躍を期待しております。
拙いレポートになりましたがご清読ありがとうございました。

Cリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 原 宙史 アマ 115.2 49.1 ▲ 22.8 ▲ 1.1 31.8 172.2
2 相本 長武 アマ 54.0 99.5 39.3 ▲ 19.8 ▲ 26.1 146.9
3 弘中 栄司 アマ 122.3 ▲ 10.1 ▲ 6.5 4.6 30.2 140.5
4 下山 哲也 プロ 73.3 ▲ 22.7 36.6 70.5 ▲ 32.9 124.8
5 山本 江利香 プロ 30.1 22.2 21.0 43.4 7.2 123.9
6 陣野 良貴 プロ 5.3 21.5 8.8 35.3 47.3 118.2
7 樋口 徹 プロ 65.8 29.6 ▲ 43.4 ▲ 47.5 37.1 41.6
8 松尾 樹宏 プロ 7.8 ▲ 9.9 2.9 28.2 6.2 35.2
9 西川 舞 プロ 15.4 ▲ 22.4 ▲ 3.2 7.6 10.9 8.3
10 水町 慎一 プロ ▲ 17.4 42.4 49.0 ▲ 69.4 ▲ 1.7 2.9
11 吉田 彩乃 アマ ▲ 27.5 ▲ 16.2 ▲ 26.4 74.3 ▲ 16.7 ▲ 12.5
12 北島 勇輝 プロ 9.6 24.6 ▲ 9.7 ▲ 5.2 ▲ 41.7 ▲ 22.4
13 公文 寛明 アマ ▲ 31.5 9.2 28.1 ▲ 91.5 61.3 ▲ 24.4
14 濱田 貴幸 アマ ▲ 50.0 10.0 28.9 77.8 ▲ 103.7 ▲ 37.0
15 高末 丈永  アマ ▲ 65.3 ▲ 20.7 0.9 ▲ 4.8 31.1 ▲ 58.8
16 高野 翔太 アマ 10.8 ▲ 4.9 ▲ 32.3 ▲ 31.4 ▲ 13.4 ▲ 71.2
17 松本 路也 アマ ▲ 121.2 ▲ 32.0 33.9 21.9 13.9 ▲ 83.5
18 進 栄二 プロ ▲ 4.9 27.3 ▲ 69.0 ▲ 21.3 ▲ 18.4 ▲ 86.3
19 河野 みのり プロ 9.0 ▲ 51.3 ▲ 35.4 30.1 ▲ 42.4 ▲ 90.0
20 山本 秋桜里 プロ ▲ 58.7 ▲ 29.2 ▲ 33.7 19.4 ▲ 12.0 ▲ 114.2
21 藤瀬 恒介 アマ 7.6 0.6 ▲ 67.1 1.6 ▲ 100.0 ▲ 157.3
22 流水 聖人 プロ 3.7 11.9 ▲ 100.0 ▲ 10.5 ▲ 100.0 ▲ 194.9
23 哀河 斗南 プロ ▲ 54.8 ▲ 78.1 19.1 ▲ 100.0 ▲ 34.0 ▲ 247.8
24 友保 美香里 プロ ▲ 93.7 ▲ 73.4 ▲ 100.0 ▲ 81.1 ▲ 19.0 ▲ 367.2

昇級者 2名   降級者 3名
昇級&降級ライン:順位枠内に表示