静岡プロリーグ 決勝観戦記

第10期静岡プロリーグ決勝戦レポート

第10期静岡プロリーグ決勝戦が2015年1月4日と1月25日の2日に分けて行われた。

今回から静岡プロリーグに決勝戦が導入され、初日7半荘と2日目3半荘の合計10半荘の総合得点によって優勝者が決まる。
一般参加混合の静岡リーグでは予選突破順位ごとのアドバンテージが発生するがプロリーグではフラットな状態からのスタートとなり、さらには10半荘と今までにない長期戦となった。

当日、決勝戦出場選手は会場設営する支部員よりも遅い集合時間となるが「寒いなぁ」と言いながら早めに会場入りして来たのは、総合3位での決勝進出を果たした鷲見隼人プロ。

100

他のプロと談笑している姿はいつも通りで気負いはまったく感じられない。
静岡プロリーグでは第8期、第9期共に総合2位と戦績を残した鷲見プロが今期も決勝戦へと勝ち残って来た。連続2位というだけでも十分すごいのだが、優勝できなかったという悔しさがあるのは間違いない。
今回の決勝戦は長期戦だけにその安定した強さで優勝を勝ち取ることができるのかが注目だ。

 

そして会場入り2番手は越川清一プロ。

100

時折飲み物を口に含んでいるところを見ると、少し緊張しているのかもしれない。
静岡リーグでも決勝進出へ向けて好成績を残しており、さらには今回の決勝進出も最終節での逆転と勢いもある。
長期戦も楽しみだと話していたので今回の決勝戦をどのように戦うのかに注目したい。

 

その後に入場は岡本和也プロ。

100

入ってきて早々、中華まんを口にしている姿に緊張は微塵も感じられなかった。
新人王を奪取し、今期プロリーグ総合ダントツ1位の戦績を残して決勝進出など、静岡を代表する麻雀プロとなった岡本プロ。
そろそろ静岡支部でも輝かしい成績が欲しいに違いない。

 

そして最後は長内真美プロ。

100

「今日の私の採譜者誰ですか?」と長内プロ。
「私です」と鈴木郁プロが手を上げる。
「ふえー!!本当ですか!すみませんよろしくお願いします」といつもと変わらない元気な姿を見るとこちらも気負いはまったく見られない。
鳳凰位戦リーグのD1リーグではぶっちぎりの1位を独走中など爆発的な力を見せて静岡プロリーグも決勝戦へ進出。
決勝戦でもその力強さが見られるかに注目したい。

そして牌確認が終了後、静岡プロリーグ決勝戦の初日がスタートした。
(以下敬称略)

 

1回戦(起家から越川、長内、鷲見、岡本)

開始早々親の越川が11巡目に岡本のツモ切りを捕らえ1,500のアガリ。
1本場はすぐに岡本プロが安めながらツモり返して1,000・2,000は1,100・2,100と開始早々からアガリが続く。

東2局では親の長内が2,000オール、1,000は1,100オールと連荘に成功。

そして東3局では親の鷲見が岡本から2,900をアガるという、東3局にして対局者4人全員にアガリが出るという波乱の展開。
点数が低いながらもアガっているのが親の時というのもこの決勝戦に登ってきた彼らの強さを物語っているように感じる。

越川、長内、鷲見が親でアガって岡本もアガることができるのかと注目していると、

五万六万七万九万九万六索七索八索五筒七筒南南南  ツモ六筒  ドラ五索

岡本もこれに続く。
本当に今、力と勢いがある者が集まったと言える。
この局の岡本の親も700オールと点数は低いながらも場が動き始めたと感じられる中、南場で点数が大きく動くこととなる。

「ロン。12,000」

アガったのは越川。そしてそのリーチに振り込んだのは鷲見だ。

一万二万三万四万五万六万七万八万四索五索六索六筒六筒  ロン九万  ドラ六万

南1局、鷲見も手牌にドラが2枚あり勝負するが軍配は親の越川。
そしてこの後の親で同じように他3人がアガれるかに注目が集まるが越川が長内の親を潰しさらに加点、鷲見と岡本の親は長内が2局ともアガりきって終了。

1回戦成績
越川+24.4P 長内+18.5P 岡本▲10.0P 鷲見▲32.9P

 

2回戦(起家から長内、鷲見、岡本、越川)

2回戦は鷲見と越川の一騎打ちとなった。
開局アガリは1回戦で沈んだ鷲見。越川から2,600。
そして鷲見は親を迎えてなんとか加点したいところで越川からリーチが入る。

七万九万三索三索三索四索四索六索七索八索五筒六筒七筒  ドラ七索

1回戦ドラ2枚持ちで勝負して負け、さらにその後の配牌ドラ3も活かせずに大きく沈んだ鷲見にとって嫌な展開だが、果敢にリーチ。

四万四万二索四索五索六索七索三筒三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ

鷲見のアガリ牌の三索は越川に暗槓されてしまうが結果は流局。
次局の1本場で鷲見は選択ミスで親を落としてしまうなど噛み合わない状態が続く。

そして直後の東3局2本場で越川が魅せる。

東3局2本場南家の越川、

一万二万三万三万一索三索南南南北北白白  ドラ発

7巡目でここから二索が2枚場に切られたのを見て即座に二万をチー。
迷いのないチーから最後は高めの一万をしっかりと確かめてツモを宣言。

二万三万南南南白白  ポン北北北  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ツモ一万  ドラ発

この2,000・4,000は自身の好調を確信したアガリだったのではないだろうか。そして次局の親でも2,600オールを決める。

このアガリに少し苦い顔をしたのは鷲見。
越川が勝負してきた東をポンしてホンイツの跳満テンパイを潰されてのアガリだった。
好調の越川に不調の鷲見という構図。

その越川の親を流したのは長内。
さらに長内は次局南1局の親で岡本へのアタリ牌をしっかり止めるなど、きっちり打っているのが分かる長内は、この半荘は捌き役に回る。

南2局1本場、鷲見と越川がまたも衝突する。
先にテンパイはまたしても西家の越川。

一筒一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒南南  ポン西西西  ドラ七万

そして親の鷲見も1シャンテンから危険牌の七筒一筒を通してリーチを決断。

三万四万五万六万六万二索三索三索四索四索四索五索六索  ドラ七万

鷲見の意地を見せた勝負の行方は、

「ロン。11,600は11,900」

勝ったのは鷲見。二索を掴んだ越川から直取りに成功。
これで流れが変わるかと思われたが鷲見の追撃弾は炸裂しないまま岡本が満貫のツモアガリで親落ち。

そしてオーラス。
長内が1人大きく沈み、越川も原点近くの30,100なのでプラスの鷲見と岡本は2人を沈めての終局が理想。
鷲見は悩みつつも役なしのカン八索のヤミでテンパイ、岡本もホンイツへ南ポン、西ポンとテンパイを急ぐ。

しかし静かに手を倒したのは越川だった。
「ロン。11,600」
綺麗なタンピン三色で高めを振り込むことになったのは意外にも鷲見。

このアガリをモノにした越川は総合で1人浮きとなる。

2回戦成績
越川+22.0P 岡本+6.1P 鷲見▲7.7P 長内▲20.4P

2回戦終了時
越川+46.4P 長内▲1.9P 岡本▲3.9P 鷲見▲40.6P

 

3回戦(起家から長内、鷲見、越川、岡本)

これでマークするのは1人浮きの越川となる。
しかしまだ3回戦。10回戦勝負なのでまずは自身の加点が大事。

序盤アガリを見せたのは鷲見。
親の長内から5,200を打ち取り、東2局の親で2,600オールをツモアガリとスタートダッシュに成功。

しかし東2局1本場で鷲見は越川のリーチに対してドラを切って放銃してしまう。

二万三万四万三索四索七索七索八索二筒四筒六筒中中中  ドラ八索  打八索

前巡にドラの八索をツモってトイツの二筒を崩し、六筒を引いて頭固定の八索切りで放銃。
様々な選択と可能性と読みがあった手牌だが結果は最悪の越川へ3,900の振り込みとなった。
鷲見が今日一番苦しそうな顔をした瞬間だった。
この半荘、この後鷲見がアガることはなく43,000もあった点数も13,000まで減らすこととなった。

東4局、長内が一気通貫の高めをツモって原点復帰。
しかしやはりこの半荘は如何に親でアガるかが重要なようで、長内と鷲見の親が流されると越川が連荘で加点、岡本も連荘に成功し越川と岡本の2人浮きで終局することとなった。

3回戦成績
越川+19.9 岡本+10.7 長内▲5.6P 鷲見▲25.0P

3回戦終了時
越川+66.3P 岡本+6.8P 長内▲7.5P 鷲見▲65.6P

 

4回戦(起家から越川、岡本、鷲見、長内)

気付けば越川が3連勝と波に乗る。
こうなるとさすがに他3人は意識せざるを得ないだろう。

東1局の越川の親は岡本がヤミテンで早々に流す。

しかし越川は伸び伸びと打っているように見える。
親の鷲見からリーチが入るも、七対子ドラドラで1巡前に切られた五万で待つか通っていない三万で待つかの選択で迷わず通っていない三万を切った。
そしてすぐに自分で切った五万を掴んでくる鷲見。
越川が6,400のアガリと勢いはまだ続くのかと思われた。

が今回奮起したのは長内と岡本。
長内が東4局の親でアガリには結び付かないものの連荘を続け少しずつ加点。
岡本も越川の親を東場南場ともヤミテンで流し、無理をせずに落ち着いて手を進めていく。

そして南3局に長内のホンイツが越川を捉え、越川をラスにして終局することに成功。

二万三万三万四万四万五万七万七万東東東白白  ドラ六筒  ロン白

4回戦成績
岡本+15.8P 長内+8.1P 鷲見▲7.9P 越川▲16.0P

4回戦終了時
越川+50.3P 岡本+22.6P 長内+0.6P 鷲見▲73.5P

 

5回戦(起家から鷲見、岡本、越川、長内)

総合で鷲見が1人大きく沈んでしまう結果となり、この5回戦で折り返しとなるためなんとかプラスで終わりたい鷲見だが、調子が上がらず逆に振り込みに回る。

東1局、南家の岡本が高めをツモ倍満のリーチを打つ。

一万二万三万八万九万九万九万七索八索九索七筒八筒九筒  ドラ九筒

そして親の鷲見の手牌

六万七万八万八万三索三索四索四索五索四筒四筒七筒九筒  ツモ五万  打四筒

テンパイすれば八万でアタリになってしまうところ、ツモ五万で頭を振り替えて打四筒とするがこれを捉えたのは長内。

四万四万五万五万七万七万四筒五筒五筒七筒七筒九筒九筒  ロン四筒  ドラ九筒

八万でも四筒でもどちらを切っても振り込みに回る中、2,600で済む振り込みを6,400になってしまうのは不運としか言いようがない。
しかしその鷲見は次局で6,400をツモアガりで挽回、岡本も7,700をアガるなどして序盤で長内と岡本の優位を築き、今回は相手の連荘を防ぐ形となり越川の最後の親も鷲見がツモアガって最終的には越川に1人沈みのラスを押し付けることに成功。

この時点で越川を抜き岡本が総合トップに立つ。

5回戦成績
岡本+11.1P 鷲見+5.0P 長内+1.8P 越川▲17.9P 

5回戦終了時
岡本+33.7P 越川+30.4P 長内+2.4P 鷲見▲68.5P

 

6回戦(起家から長内、越川、岡本、鷲見)

ようやく折り返しとなる6回戦。
初日は7回戦なのであと2回戦で終了。2日目へ勢いを繋ぐためにもここで少しでもポイントを稼いでおきたいところ。

ここで鬱憤の溜まった越川と、後がなくなってきた鷲見がここで叩き合いを見せる。

越川が東1局で軽く鳴いてドラドラをツモアガると次局の親で4.000オールを決める。

二万三万東東東南南  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン西西西  ツモ一万  ドラ六索

5回戦、岡本と長内2人で作った優位とは打って変わって、越川は1人の自力で優位に立つ。

それを追うのは鷲見だった。越川と岡本が初牌の白を切れずに困っているのを尻目に岡本から5,200をアガリ、さらにもう一度岡本から7,700をアガる。
岡本も前に出るがそれが裏目に出る形で放銃してしまい、ここで大きく失速することになってしまう。

オーラス鷲見の親。
越川がこの時点で5万点オーバーのトップという状態。
長内と岡本が無理に前に出てこない状況で終わらせに来るのは越川だけなので、ここはポイントを稼ぐチャンスとなる。

親で高め三色をツモアガって3,900オール。

六万七万三索四索五索六索七索八索六筒七筒八筒発発  ツモ八万  ドラ四万

あまり調子が良い状態ではなかった鷲見だが、この日一番の気持ち良いアガリだったのではないだろうか。

続く1本場で鷲見が10巡目にリーチ。

五万六万七万四索五索六索九索九索四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ五索

やはり潰しに来たのは越川。
通っていない牌を切りつつも12巡目に高め3色で追っかけリーチ。

七万八万九万七索八索九索二筒三筒四筒八筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ五索

何度見てきたかこの勝負。
越川も好調を感じていただろうが今回は鷲見に軍配が上がる。
力強く六筒をツモアガる2,600は2,700オール。

そして2本場でも鷲見がリーチを打つが、仕掛けた越川がお返しとばかりに同巡でツモアガリし終局。
長内と岡本はそれぞれ相手の親を落とすのが精一杯となり、2人がツモアガった分だけマイナスが膨らんでしまう結果となった。

6回戦成績
鷲見+33.8P 越川+20.1P 長内▲19.6P 岡本▲34.3P

6回戦終了時
越川+52.5P 岡本▲0.6P 長内▲17.2P 鷲見▲34.7P

 

7回戦(起家から岡本、長内、鷲見、越川)

越川の1人浮きで迎えた初日の最終戦。
ここで少しでも稼いで2日目を気分良く迎えたいところ。

ここまで大きな手が入らず苦しい展開が続いてきた長内。
東1局も役なしながらも先制リーチを敢行するなど、まだまだやる気を失ってはいない。
親の岡本も親の連荘が欲しいため追いかける。
長内は一万四万五万待ちで、岡本は一万四万待ちの勝負で軍配は長内。

一万二万三万四万六万六万六万一筒一筒一筒五筒六筒七筒  ツモ四万  ドラ西

岡本は4回戦からずっと連荘させてもらえない状況が続く。
長内も次局連荘したいが1シャンテンから動かず、その間に越川が捌いて親落ち。
越川はこの半荘大きく稼がれなければ満足だろう。すべて躱しに来てもおかしくない。

岡本もなんとか連荘するも次局は長内に大きくツモアガられて加点できず。
そして是が非でも親で大きなアガリが欲しい長内についにアガリが出る。

一万六万七万八万九万五索三筒四筒九筒九筒発発中中  ドラ二筒

南場2局の親でこの配牌から一気にマンズに寄せることを決断し、ツモもそれに応えてテンパイしアガリに結びつけたのは見事の一言。

一万一万六万六万七万七万八万九万九万発発中中  ロン八万  ドラ二筒

そしてここに飛び込んだのはなんと越川。
こちらも七対子の待ちに手頃の八筒と振り替える際に放銃。
まだテンパイしていないだろうという読みだろうが長内の強い思いが実った局だった。

この後、長内はオーラスで親の越川と岡本にそれぞれ振り込んで点数を減らすが後悔はしていないだろう。
傍から見ていて強気で気持ちの良い攻めだった。

7回戦成績
長内+22.2P 鷲見▲14.4P 岡本▲2.2P 越川▲2.6P
7回戦終了時
越川+49.9P 長内+5.0P 岡本▲5.8P 鷲見▲49.1P

初日の7回戦が終わり、残すは2日目の3回戦のみ。
ポイント的には越川が一人抜け出しているが3回戦あれば100ポイント差などあっという間にひっくり返る。
スタートの8回戦を選手たちがどのように戦うかに注目が集まった。

 

8回戦(起家から鷲見、長内、岡本、越川)

東1局は長内、東2局は鷲見がアガリ、迎えた親を連荘した岡本に東3局1本場、配牌でチャンス手が入る。

四万一索三索四索五索五索六索七索八索九索四筒九筒東白  ドラ七万

この手をソウズに寄せると東を2枚連続で引きなんと4巡目でテンパイ。

一索三索四索四索五索五索六索七索八索九索東東東

一索待ちで早くもテンパイし、その後六索を引いて待ち変えし高めの出アガリ跳満にまで育つが、六索を引く前に越川に三索を切られ、切った一索を長内が合わせるなどなかなかアガれないままツモ切りが続く。
さらに点数的に攻めるしかない鷲見が4巡目からドラドラをアガろうと鳴いてテンパイを急ぐ。

長内が対局後に、
八索をツモ切ったときに岡本プロが反応したように思ったので、もうソウズは危ないのかもと思った。」
と話しており岡本がアガリたいという思いが仕草に出ていたのかもしれない。

その岡本の三索六索九索待ちは山に何枚も残っていたが引けず、この局は長内が鷲見に振り込んで終局となってしまう。

私は岡本の後ろでそれを見ていた。
岡本は後ろに仰け反るようにゆっくり体を少しだけ倒した。
表情を見なくても背中が語っているようだった。

もしこの手をツモアガリ、または越川からアガっていたとしたら全く違う展開になったに違いない。
この決勝戦の中で、本当に数少ない千載一遇のチャンスを逃した悔しさは計り知れないものだったと思う。

その後鷲見も長内も果敢に攻め、岡本も切り換えてアガリに結び付けるなど、親での連荘には繋がらずともそれぞれ腹を括ったように攻める中、越川は少し引き気味に打っているように見えた。

結果は鷲見と岡本の2人浮きで終局。

8回戦成績
鷲見+19.9P 岡本+7.5P 越川▲10.8P 長内▲16.6P
8回戦終了時
越川+39.1P 岡本+1.7P 長内▲11.6P 鷲見▲29.2P

 

9回戦(起家から鷲見、長内、岡本、越川)

残り2回戦となり、まだ終われないと岡本が東1局にドラを力強くツモって2,000・3,900のアガリを見せる。

三万四万五万七万八万八万九万九万二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ七万

東3局1本場には11巡目に西家の鷲見がリーチ。

三万四万五万六万六万四索四索五索五索六索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ二筒

ここに同巡に北家の長内が追っかけリーチ。

五万五万七万八万九万二索三索四索二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

最終戦を前に少しでも加点しようと迷いのない攻めが8回戦から続く。
鷲見が一筒を掴んで振り込み、3,900のアガリ。
越川もここに参戦し虎視眈々と親で加点を狙うがアガリは付かず。

南1局1本場。
連荘した鷲見はここでさらに加点が欲しいと前に出るが岡本がホンイツで打ち取って7,700のアガリ。
鷲見はこの振り込みが大きく響き、最終戦に少しでも望みを繋ぎたかったがこの半荘大きく沈んでしまう。

ここまでアガリのない越川だったが、南2局南3局と加点に成功。
長内の親と岡本の親でツモアガって一気にトップに立つ。

トップの越川がオーラスの親を迎える。
止められる者がいるのかと心配したが、長内が出アガリは期待できない中で、力強くドラをツモって越川に跳満の親被りをさせてトップを奪取して見せた。

三筒四筒五筒白白発発  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン西西西  ドラ白  ツモ白

そして静岡プロリーグ決勝戦は最終戦を迎える。

9回戦成績
長内+20.5P 越川+12.6P 岡本+1.4P 鷲見▲34.5P

9回戦終了時
越川+51.7P 長内+8.9P 岡本+3.1P 鷲見▲63.7P

 

最終戦(起家から長内、岡本、鷲見、越川)

越川プロが大きくリードしたまま、いよいよ最終戦。
まだまだ諦めない鷲見が、東2局満貫などをアガって場が進み、東3局1本場。

南家の越川が早々に八索をポン、さらに東をポンしてテンパイ。

一索二索二索三索三索四索南  ポン東東東  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ一索

ドラドラの長内が東を仕掛ける前に南を勝負しており、その後東を鳴いた後に岡本が南を掴みツモ切って放銃となってしまう。
逆転優勝を目指すには、越川を大きく沈ませなければいけない条件でこのアガリは大きく、その後形勢が変わることはなく終局した。

10回戦成績
鷲見+13.4P 越川+6.2P 長内▲4.2P 岡本▲15.4P

最終成績
≪優勝≫越川+57.9P ≪準優勝≫長内+4.7P 岡本▲12.3P 鷲見▲50.3P

 

栄えある第10期静岡プロリーグを制したのは越川清一プロだ。
「初日はいい麻雀ができたが今日は全然違った。ひどいというか感触がなかった。勝っても納得できないほどにグダグダで、自分がここまでメンタルが弱いとは思わなかった。」
と対局後に越川プロは話しており、それほど長期戦での戦いはプレッシャーがすごかったということなのだろう。

今回非常に好戦的な4人が決勝へ進出し、誰が勝つかという前にどんな展開になるのかということすら予想できない見所の多い組み合わせとなった。

この4人は本当にメンタルが強いと私は思った。
その強さが麻雀への勢いとなり、思いを乗せて力へと変えているのを体現している。
対局を見ていてまた一つ勉強になった。

越川清一プロ優勝おめでとうございます。
そして対局者のみなさんお疲れ様でした。