東北プロリーグ レポート

第29期東北天翔位決定戦観戦記 岡崎 圭吾

1/27(水)、最近の中では暖かいこの日、仙台にて第29期天翔位決定戦が行われた。
この日の出場メンバーは以下の通り。
向かって左から安ヶ平浩希、櫻井勇馬、菊田政俊、菅原直哉。

 

100

 

菊田以外は初出場と、フレッシュな顔ぶれでの決定戦になる。
日本プロ麻雀連盟東北Twitterで選手紹介も是非見て欲しい。

今期の決定戦は、新型コロナウイルスの影響も鑑みて仙台市内で行われる事となった。
この観戦記を通して、少しでも激闘の様子を伝えることが出来れば幸いです。
今回記事を担当させて頂く、36期生岡崎圭吾です、宜しくお願い致します。

ー開局ー

1回戦は起親から櫻井、菅原、安ヶ平、菊田の並びで始まる。
東1局5巡目、菊田のリーチ。

五索六索七索一筒一筒三筒四筒五筒七筒七筒八筒九筒九筒  ドラ四筒

唯一の決定戦経験者菊田が、立ち上がりから主導権を掴みに行く。
終盤にツモり、2,000・3,900
続く東2局も菊田が2,000をアガリ。
菊田リードで迎えた東3局。
親の安ヶ平が、縦横どっちつかずの手牌を巧く七対子にまとめる。

四索単騎仮テンからの、次巡ドラ八索を引き入れリーチに踏み切る。
この八索を最終盤にツモアガリ、6,000オールと今度は安ヶ平が大きなリードを築いて行く。

四万四万五索五索八索二筒二筒五筒五筒七筒七筒東東  ツモ八索

南入して暫くは小場の展開が続くが、オーラスこれまで手が入らず我慢の展開だった菅原にドラドラの手が入る。
他家にも仕掛けが入り焦りたくなるところだが、しっかりとメンゼンで仕上げツモアガリ。

二万三万三万四万四万五万八万九万八筒八筒西西西  ツモ七万  ドラ八筒

苦しい中でもワンチャンスを物にし、巧く浮きにまわった。菊田はこのオーラスの親被りで悔しい沈みに。
安ヶ平はリードを守り切り、1回戦は

安ヶ平 +19.8P
菅原  + 4.2P
菊田  ▲ 5.7P
櫻井  ▲18.3P

―2回戦―
並びは起親から櫻井、菅原、安ヶ平、菊田と1回戦と全く同じ並びとなる。
東1局2,600をアガった菊田が、東2局も6巡目にリーチし2,000・4,000。
またも序盤は菊田がリードしていく展開に。
親を迎えた東4局も中盤にリーチと出る。

三万四万五万三索四索五索八索八索二筒四筒  暗カン牌の背七万 上向き七万 上向き牌の背  ドラ六万

これにリーチをぶつけて来たのがここまでおとなしかった櫻井。

四万四万四万六万六万六万一索二索三索六索六索一筒二筒

このカンチャン対ペンチャンの同テン三筒をドラ暗刻の櫻井がツモアガリ2,000・4,000。菊田を追いかけて行く。
オーラス南4局。
櫻井が2着目の菊田からアガリ、2回戦目は櫻井が1人浮きのトップを獲得した。
菊田はまたもオーラスでの沈みとなってしまった。
2回戦スコア
櫻井  +22.9P
菊田  ▲ 3.6P
安ヶ平 ▲ 6.7P
菅原  ▲12.6P

2回戦終了時トータル
安ヶ平 +13.1P
櫻井  + 4.6P
菅原  ▲ 8.4P
菊田  ▲ 9.3P

―3回戦―
起親から菊田、菅原、安ヶ平、櫻井の並びでスタート。
東1局1本場、親の菊田がリーチをかけるも、櫻井がピンフドラをツモアガリし、まだまだ道中とはいえ、ここにきて微差のトータルトップ目に躍り出る。
櫻井はこの後も細かい加点を重ねた。
東4局1本場は、菊田が役牌1,300は1,600で櫻井の親を流す。
南1局、今度は安ヶ平が、既にテンパイを入れていた櫻井から3,900を打ち取る。
南3局、菊田が1巡目に九索ポン、間髪入れず中ポン、南ポン。北家の櫻井が1枚目をツモる前に電光石火の3フーロ。
菊田は手牌4枚となったが何度か手出しがあり、いつテンパイしていてもおかしくない状況。
そこへ5巡目、安ヶ平からの親リーチが入る。
だが、これが痛恨のノーテンリーチ。
後に『手が震えた』とも語っていたが、初めての決勝のプレッシャーとはこうも思考を歪めてしまうものなのか。
決勝経験のない私には想像もつかない。
しかし他家は安ヶ平に何が起きたのか知る由はない。
後がない菅原、手牌4枚の菊田も、『勝負の局』と腹を括り、全面対決。
中盤、菅原も7,700のテンパイを入れ、リーチと勝負に出る。が、リーチ後に菅原が場に放た牌が菊田に捕まり、これが2,600にリーチ棒2本付きのアガリとなる。
紆余曲折あったこの局を制した菊田が、櫻井を捲りこの半荘のトップ目に立つ。
そしてオーラス南4局、1人苦しい菅原だがチャンス手が入る。

四万五万六万六万七万五索五索六索七索八索発発発  ドラ六万

現在18,500持ち。アガると3着にはなれる5,200のテンパイ。だが五万八万は既に場に3枚切られていて、山に薄い。浮きには跳満が必要。跳満を作るにはドラを3枚使える形にするか、何か手役がいる。中盤四索ツモで、逡巡したものの、残り巡目を考慮して四索ツモ切りリーチを選択した。

だがこれをアガることが出来ず。
オーラス南4局は、菅原の1人テンパイで3回戦は終局する事となった。着順は菊田、櫻井、安ケ平、菅原の並び。

3回戦スコア
菊田  +16.3P
櫻井  +10.0P
安ヶ平 ▲10.8P
菅原  ▲16.5P

3回戦終了時トータル
櫻井  +14.6P
菊田  + 7.0P
安ケ平 + 2.3P
菅原  ▲24.9P

―4回戦―
起親から菊田、安ヶ平、菅原、櫻井の並びでスタート。

東1局、序盤から五万八筒のシャンポンでテンパイしていた親の菊田が、七筒ツモで3メンチャンに手変わったところでリーチ。

二万三万四万五万五万五索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ六万

これを安めながら九筒をツモアガって1,300オール。
トータルトップの櫻井に追いすがる。
1本場は菅原がリーチツモで600・1,100。
続く東2局。親の安ヶ平にチャンスが訪れる。
7巡目
四万四万五万六万一索二索三索四索四索五索六索七索八索  ドラ六索

ここに六万を引いてきたがテンパイは取らずのツモ切りとし、その後9巡目、狙い通りド高めの九索を山から引き寄せる。
当然の打四索、安ヶ平はここでさらにリーチを選択。
ツモれば2度目の6,000オール。大きく狙う勝負に出たが、これをアガることが出来ず。東2局は安ヶ平の1人テンパイで流局となった。
東2局1本場は櫻井が1,300をアガる。
東3局は櫻井が先制リーチをかけるも親の菅原もテンパイ。

四万四万三索四索四筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ドラ四筒

菅原もリーチと勝負にいくも、マンズのチンイツ1シャンテンとなっていた安ヶ平から櫻井への横移動で決着。
3者手がぶつかる展開だったが、菅原に取って激痛の横移動になった。
東4局も櫻井が2,900をアガリ。これで櫻井は3局連続のアガリとなり、トータルトップ目を奪い返す。

東4局2本場、好配牌を貰った安ヶ平。4巡目にリーチといく。

二万三万三万四万四万五万七万七万三索四索二筒三筒四筒  ドラ四索

高めならまたしてもツモって跳満の手。今度こそ決める事が出来るか。
だが、同じく手が良かった菊田が次巡、リーチを受けながらもオタ風の北をポン。

一索二索二索四索五索六索七索八索九索東東  ポン北北北

一索とし、安ケ平への放銃を回避してテンパイ。
さらに菊田は次々巡高めの東をツモアガリ、2,200・4,200。今度は菊田が櫻井のトータルトップを捲り返す。
続く南1局、5,800、2,900は3,200と菊田が連続で櫻井からアガリを決め、菊田が頭1つ抜けていく。南1局2本場は櫻井が役牌1,300は1,900を菊田からアガリ返し、菊田の親を落とすも、南2局と南3局は菊田が1,600、1,000と軽いアガリを決め局を消化すると共に櫻井を追い詰めて行く。
迎えたオーラス南4局。

櫻井配牌
三万三万五万五万七万九万九万一索三索二筒六筒八筒白発  ドラ白

マンズがやや多めの面子がない配牌。逡巡の後、櫻井はここから七対子に決め打ち、一撃を狙う勝負に出る。道中菊田もアガれば優勝のテンパイを入れるも、場にアガリ牌が切られることはなく巡目はどんどん進んでいく。
最終盤、時間はかかったが櫻井が狙い通り手牌をまとめ上げる。

三万三万五万五万七万七万九万九万東東南白白

テンパイのタイミングで暗刻落としをしていた安ヶ平の2枚目の南を見事櫻井が捕らえ、親の跳満、18,000のアガリとなった。
このアガリで櫻井はあと0.3ポイントというところまで優勝に迫った。
続く南4局1本場、菊田が中盤にテンパイを入れるも、アガリでの決着は着かず。櫻井は終盤1シャンテンからテンパイまでが遠く、終局までにテンパイをする事は叶わなかった。流局での決着。

4回戦スコア
菊田  +27.3P
櫻井  +16.5P
菅原  ▲ 6.7P
安ヶ平 ▲37.1P

4回戦終了時トータル
菊田  +34.3P
櫻井  +31.1P
菅原  ▲31.6P
安ヶ平 ▲34.8P

何度もトップが入れ替わるシーソーゲームを制し、第29期天翔位戴冠となったのは1年ぶり3回目、菊田政俊となった。
やはり菊田は強かった。終盤の勝負所をことごとく制していった。
存在感では櫻井も負けてはいなかった。
プロ2年目にしてAリーグ優勝を果たした若獅子はこの悔しさをバネにきっと来年も菊田に挑んでいくことだろう。そして初の決定戦の経験を経た菅原・安ケ平も強くなって帰ってくること間違いない。また、今年はフレッシュな顔ぶれでの決定戦であったが、今期鳳凰戦リーグで昇級を決めた皆川をはじめ、前天翔位である石井などベテラン勢もやはり決定戦争いに絡んでくるだろう。今期Aリーグへ昇級を決めた大沼も、来期この舞台に挑んでいく。
来期の東北本部の闘いにも、乞うご期待である。

いつかこの舞台に立ちたい筆者も、来期また頑張ります。