特別昇級リーグ 決勝観戦記

第34期特別昇級リーグ最終節レポート

【第34期特別昇級リーグ、優勝は藤永流馬。B2への昇級権利を持ってリーグ戦に臨む】

自分が参加していた頃(7、8年前)は、20人も満たない期もあったように思う。
連盟員の増加、リーグの増加に合わせて、参加権利も拡張され、今期の参加は43名。
こう参加人数が多いと、上位に勝ち残るだけでも、険しい道程となっている。

中村毅(C1)や花岡章生(現太閤位、関西プロリーグのトップ)のベテラン勢や、白銀紗希(現女流桜花)、山脇千文美の女流桜花Aリーグの常連であっても、苦戦を強いられていた。

最終節にコマを進めることができたのは、この5人。
ポイントは持ち越しのため、現在のポイントと、プロリーグの所属リーグを下に掲載する。

 

100

 

(優勝:B2リーグ、準優勝:C1リーグ、第3位:C2リーグ
ただし、プロリーグの5節終了時にトータルスコアが0以上)

澤田は現在C2リーグに所属する。
そのため2位以上が目標になり、最終戦が抜け番であることを考えると、50ポイント以上のプラスが欲しいだろう。
他の4選手は3位以上が目標とはいえ、ここまできたら優勝も狙いたいところ。
藤永が抜け番で、1回戦が開始された。(※ 抜け番はトータル成績の上位順)

 

100

 

(写真左から、辻本一樹、山川高志郎、藤永流馬、澤田唯、真鍋明広)

◇ 1回戦(抜け番:藤永)
トータル2位スタートの辻本が、南2局の親番で連荘を重ねる。
11,600 (←山川)
4,800 (←山川)
3,900 (←澤田)
700オール
とアガリ、大きなトップ。トータル首位に踊り出た。

逆に山川は、南1局、親で先制リーチを打つも、真鍋に追いかけられ跳満の親被り。
南2局は、辻本のピンフ、ドラ3に捕まってしまった。

1回戦終了時
辻本+189.1、藤永+186.5、 真鍋+150.2、澤田+95.5、山川+86.3

◇ 2回戦(抜け番:辻本)
1回戦で、上位は3人に絞られた。
と思った人は一緒に謝ろう。(笑)
山川が一回戦のうっぷんを晴らすように加点を重ねる。
東場の親では細かく連荘し、南場の親では、11,600(リーチ、ピンフ、三色同順)、12,000(南、ドラ3)と高打点を2発。
8万点の大トップで戦線に復帰した。

2回戦終了時
辻本+189.1、藤永+180.0、山川+148.2、真鍋+135.5、澤田+54.8

◇ 3回戦(抜け番:真鍋)
優勝争いをしている藤永と辻本がぶつかった南1局、
北家、藤永の先制リーチ

一万二万三万五万五万一筒一筒一筒一筒三筒七筒八筒九筒 リーチ ドラ五万
親の辻本が仕掛け返して応戦

二万二万南南南西西 チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き ドラ五万
どちらも打点があり、ここを制した方が大きなアドバンテージを得るだろう。
放送の対局ではないので、筆者は藤永と辻本の間で観戦していたのだが、辻本がツモ切った(藤永の)現物の六万に、なんと山川の手が開かれて驚いた。
山川

四万四万五万七万五索五索五索六索六索六索 ロン六万 暗カン牌の背八索八索牌の背 ドラ五万
タンヤオ、三暗刻、ドラの8,000。
筆者からは見えていないが、二人に対して受けながらの手牌進行だったように思う。
会心のアガリだった。

3回戦も山川の1人浮きのトップ。
100ポイントあった差を2半荘で逆転し、トータルトップに躍り出る。

3回戦終了時
山川+189.4、藤永+178.5、辻本+160.4、真鍋+135.5、澤田+43.8

◇ 4回戦(抜け番:山川)
藤永がトップ。辻本も浮きをキープして、食らいつく。

4回戦終了時
藤永+206.6、山川+189.4、辻本+167.7、真鍋+111.7、澤田+32.2

◇ 最終戦(抜け番:澤田)
さすがに藤永、山川、辻本の3人に絞られた。

東1局、親は山川
辻本がこのアガリ。

二万二万二筒二筒二索二索五索五索六索六索西白白 リーチ ツモ西 ドラ五索
一撃で山川を逆転。
首位藤永まで10ポイント差に迫る。

このあと、藤永が差を広げて、
(※ 詳細は省くが、東3局の真鍋のリーチを受けながらの2,000点のアガリと、東4局の1,300オールが良かった。)
この南2局の辻本の親さえ終わらせれば優勝が現実味を帯びるという状況だったが、辻本の4,000オール。

五筒五筒六筒六筒七筒二索二索六索七索八索九索九索九索 リーチ ツモ四筒 ドラ九索
巡目が深くなり流局を願っていたところに、このアガリを見せられるとグラっとくるものがある。

それでも、やはりリードしている方が有利。
辻本はアガって逆転しても、逃げ切るためのアガリが再度必要になるが、藤永はアガってしまえば決定打になる。
南2局2本場、藤永が2,000・3,900をツモアガって勝負を決めた。

二万二万二万五万六万七万三筒四筒五筒五索六索北北 リーチ ツモ七索 ドラ北

 

100

 

100

 

100

 

まだ若い3人ゆえに、イマイチな打牌もあったが、昇級したリーグで全く通用しないことはないだろう。
あえてこういう表現なのは、筆者が12年もかかってたどりついたBリーグで簡単に通用しないで欲しいという個人的な思いが、多分に含まれているのだが・・・。
僕の同時期より、3人ともだいぶ実力があるように思う。
前期(33期)優勝の中津真吾、32期優勝の曽篠春成ともに、リーグ戦最終節で勝ちきれず、権利の消失が続いている。
特に藤永は、リーグ戦の最終節は痺れる戦いになるだろうが、今日のような攻める姿勢で勝ち取ってほしい。

 

100

 

100

 

(文:福光聖雄)