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2023年震災復興支援大会レポート

(文:波奈美里)

※東日本大地震についての記述があります。ストレスを感じる方はご注意ください。

2011年3月11日、あの日私は仙台駅東口にある居酒屋でランチ営業のアルバイト中だった。
お昼時を過ぎて、一斉に下がってきた食器をせっせと洗っていた。
(あれ、地震。)
そう感じた時にはもう既に、立ってはいられない程の揺れが店を襲っていたと思う。
こういう場合、揺れがおさまるまで上から物が落ちてこないような場所で、安全を確保するのが正解だと思うのだが、いかんせん建物が古かった。揺れはおさまるどころか段々と激しくなり、そしてこれまで体験したことが無いほど長かった。
(これはマジでやばいやつ!)
調理場なんて上から落ちてくるものしかない、外に出よう。建物も崩れるかもしれない。
めちゃくちゃになっていく調理場で、自分の持ち場のガスの元栓を閉めてから外に出た。冷静なようにみえて、たぶんパニックだったと思う。
外に出てからも激しい揺れが続く。
東口に建ち並ぶビルが振り子のように大きく揺れて、隣のビルとぶつかるんじゃないかとヒヤヒヤするほどに。
恐怖でうずくまり泣く同僚の横で、(店が崩れたら荷物取りに戻れないな)なんて考えたりしていた。
どのくらいの時間揺れただろうか…。
少し落ち着いた頃に、誰かが携帯電話のワンセグ放送でニュースをひらく。津波情報がひっきりなしに伝えられている。10m、そんなの聞いた事がない。
そのニュースを観ていた志津川に実家がある同僚の「おわった…」、この一言は今でも忘れることができない。
これが私の経験した、東日本大震災だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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【震災復興支援大会】

 

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2023年7月23日。
この大会は宮城県登米市にあるエンジェルコートさんが震災以降毎年行っている。被災地である南三陸町に寄付を目的とする、チャリティー麻雀大会である。なんと総額100万円にもなったそうだ。
コロナ禍で一時開催できない年もあったが、今年で10回目の開催となった。
我々日本プロ麻雀連盟東北本部も毎年お手伝いをさせていただいてる。

 

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節目となる今回、東京本部より森山茂和会長を始め、宮城出身の佐々木寿人プロ、高宮まりプロ、井上絵美子プロが参加してくださった。

 

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東北本部からは武藤武本部長、東幸一郎副本部長、石井良樹王位、皆川直毅、津藤孝幸、そして私波奈美里がゲストとして参加。

 

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今大会はゲストプロを含めて40名での開催。
毎年参加してくださる方もいれば、今年初めましての方もいる。今年は誰に会えるかな、毎年恒例のこの大会をみんなが楽しみにしてくれていたら嬉しい。
わたし自身も連盟に入った年から何度かお邪魔していて、1年ぶりに会えた人達に「久しぶり!お元気でしたか?」なんてまるで同窓会の気分なのだ。
そしていたる所でゲストプロと参加者の方々が笑顔で会話する様子がこの大会のいいところである。東北の人は人見知りが多いぶんなかなかゲストプロに声をかけづらかったりするのだが、毎年会っているからこそ、そういった雰囲気ができている。

 

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決勝に残ったのは野家龍治さん、武藤武本部長、皆川直毅プロ、高宮まりプロの4名。
決勝卓の周りには観戦を楽しむ人達。
別卓では森山会長や寿人プロ、絵美子プロと模擬戦が行われていて、最後まで各々楽しんでいる様子だった。

今年の優勝は武藤本部長。節目の年に優勝するなんて、おいしいとこどりである。

麻雀プロの私には何ができるだろう。
東日本大震災以降も日本のいたる所で災害が起きる。コロナ禍においては人との接触が制限され、私が勤める麻雀店も一時休業となった。
そんな時にふと、自分の無力さを感じることがある。
麻雀で人は救えないなぁ、とか。
なんの助けにもならないなぁ、とか。
あの震災を経験したからこそこんな言い方をしてしまうのだが、本当にピンチの時は娯楽である麻雀は、やくに立てない。

でもどうだろう。
震災から12年が経った今、こうして麻雀を通じて集まった人達はみんな笑顔だ。
普段は画面の向こう側にいるトッププレイヤーと実際に卓を囲んでみんな楽しそうじゃないか。
みんなの楽しいに携われることはたぶん、やくにたってる。うん。
私もみんなの楽しい事の一部になれてるかな、そうだといいな。
そんなふうに思わせてくれるこの大会にわたし自身、感謝している。

そして麻雀大会を通じて毎年寄付を継続してきた参加者の皆様、エンジェルコートさん、吉田勝弥プロには尊敬の念を覚える。

今後もこの大会が続く限り、ぜひお手伝いさせてほしい。