プロ雀士インタビュー

第262回:プロ雀士インタビュー 魚谷 侑未  インタビュアー:川上 レイ

[ Prologue ]

ある日、ゲスト先の雀荘へ向かう為に身支度をしていたところに1通のメッセージが届いた。
「女流モンド杯で魚谷さんが優勝されました。優勝を記念してインタビューを行いたいのですが、インタビュアーをお願いできないかと思いご連絡いたしました。映像を確認し気になるところを直接取材してみてください。」

突然の連絡にとても驚いた。
連盟のHPの記事はよく読んでいて、優勝インタビューは友人やゆかりのある人物が担当するものだと思っていた。(私はもちろん一方的に彼女を知っているし、アマチュアの頃に大会やイベントで会いに行ったこともあるが…)私のような新人プロが魚谷さんのようなトッププロに直接お話を伺える機会は中々ない。思いもよらぬチャンスが到来し、素直に嬉しく思った。

…が、しばらくして冷静になり、不安が襲ってきた。
私自身、麻雀の記事を書くのもインタビューも初めての経験だ。しかもその相手がMリーガーになるとは!理系出身で人見知りの自分に務まるのだろうか…と。
しかし怯んでいる場合では無い。冷静になる前の私が既に「喜んでお受けいたします」と返信していたのだ。

「せっかく頂けた機会だ、必ず良いものにしよう!」

 

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そう思った私はその日から彼女について調べまくり、著書を全て読み、映像を繰り返し見ているうちにどんどん好きになって…

“ファン”から、すっかり”大ファン”になってしまった。

そして迎えたインタビュー当日、私は極度の緊張で声を震わせながら言った。

川上「はじめまして。連盟37期の川上レイです。

本日はよろしくお願いいたします。」

魚谷「よろしくお願いします!」

笑顔が眩しい…目の前に憧れの存在が居る。

魚谷「インタビューは初めてですか?」

川上「はい…ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。」

魚谷「全然大丈夫です!リラックスしていきましょう」

優しい言葉に救われながら、ファンの、ファンによる、ファンのためのインタビューが始まった。

 

[ 第20回女流モンド杯 ]

今回インタビューをするにあたって編集前の映像を見せてもらっていたのだが、対局の前後まで長めに映っていて気になった点があった。

川上「放映されない部分の様子を見たのは初めてだったのですが、対局開始直前まで和やかに談笑されていたのが印象的でした。」

魚谷「女流モンド杯は出演者のほとんどが知り合い同士だから、直前までみんなと仲良く喋っていることが多くて。そんなに張りつめた空気では無いね(笑)」

もちろん対局開始の合図とともに全員の表情は引き締まる。

 

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第20回の決勝カードはこちら。
(勝ちすぎてかなり窮屈になっている魚谷の戦歴欄にも注目だ。)

川上「今回は決勝を戦うメンバー全員が『女流モンド杯』の優勝経験者となりましたが、どのような印象でしたか?」

魚谷「全員との付き合いが長くて、どういう麻雀を打ってくるかも知っている相手なので、やりやすいなという印象でした。」

決勝戦のシステムは、予選からの得点持ち越しは無しで半荘2回を打ち、その2戦の合計で優勝者を決めるというものである。

川上「”決勝戦”はリーグ戦とはもちろん、トーナメントとも違う打ち方になると思いますが、女流モンド杯は特に2半荘のみということで、意識していることはありますか?」

魚谷「実は私、2戦で行われる決勝が1番得意というか…勝ってる回数が多くて。すぐ条件戦になるからやることがわかりやすいんだよね。このシステムの決勝戦で必ず意識していることがあって、まず絶対にやっちゃいけないのが1戦目でラスを引くこと。もちろん狙える時はトップを取りにいくけど、厳しそうな時はラスだけは引かないということを強く意識してます。」

女流モンド杯のルールは25,000点持ち30,000点返しで、終了時の順位点はウマ・オカ含めて 1着+40P、2着+10P、3着▲10P、4着▲20Pとなる。

川上「トップが大きいルールですが、絶対にトップを取ろう、ではなくラス回避重視だったんですね。」

魚谷「私は結構後方一気型なので…(笑)」

この記事の読者の中にも、魚谷に対して”逆転優勝”のイメージを持っている人は少なくないだろう。

魚谷「3着までは許容範囲なんだけど…ラスから入ってしまうと、2戦目でどうしても着順の並びを作らないといけなくなって、優勝は相当難しくなったなって思っちゃうな。2戦目は”ただトップを取れば優勝”っていうシンプルな条件で迎えたい。」

そんな”ラス回避重視”作戦の1戦目

 

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魚谷は東場の親番を三色のみのアガリで繋ぎ、次局

 

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ピンフイーペーコードラドラの手を即リーチ。一発ツモで6,200オールを決め、逃げ切りトップとなった。

川上「鳴きの捌き手からメンゼン高打点も決めた素晴らしいトップでした。」

魚谷「いつも2戦目で追い抜いて勝つことが多かったから、トップから入るのは珍しいパターンです(笑)」

1回戦終了時の成績
魚谷 +51.5P
池沢 +2.1P
宮内 ▲21.1P
二階堂 ▲32.5P

 

〜2回戦東1局〜

魚谷は東をポンしてあっという間に2,000点の六索九索テンパイ。
しかしすぐに宮内からリーチがかかる。

 

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川上「このリーチに対してノータイムで押し切っていて…全部押す勢いに見えたのですが。」

魚谷「完全に全部では無いけど、ここはかなり押していくつもりでした。六索九索ならリーチに対して勝負ができる待ちだなと思って。」

川上「1回戦のリードがありますし2回戦は無理せず打っていくのかなと思っていたので、ここでの強気な押しが凄くカッコよかったです。」

魚谷「決勝戦いっぱい戦ってきて思うんだけど、リードを守ってるだけで優勝する人ってほとんど居ないんだよね。余程ポイント差があればいいけど、2半荘勝負だと守りきって優勝できることはほぼないと思ってる。オリてるだけで簡単に優勝させてくれるようなメンツではないし、1回戦ラスだった亜樹さん以外はトップを取れば優勝を争える状態になってしまうから、2連勝狙うぐらいのつもりで打とうと思っていて。」

“リードを守るだけでは優勝できない”
今まで数々の決勝の舞台で魚谷自身が逆転優勝を成し遂げてきたからこそ、より一層感じているのかもしれない。

魚谷「もちろん戦わないで勝てるならそれが1番いいんだけど…決勝戦は勝負どころが大事になってくるから、自分で決められる局に関してはある程度押さなきゃいけないと思ってる。」

四筒切りリーチに対し、三筒五筒四万、と押していき、ソーズの両面対決は終盤近くまでもつれた。
そして12巡目に親の池沢が白ドラドラのテンパイ打牌で二索をプッシュ。

 

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魚谷「待ちのソーズがすごく高いし通ったスジが増えすぎちゃって、親も押してきてたから、次の無スジでさすがに終わりかなーと思ってた。」

 

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そんな矢先、魚谷が九索をツモアガり。

川上「もうやめようかなと思っていたところだったんですね。」

魚谷「本当にギリギリのアガりだったね。」

宮内の満貫以上確定リーチを跳ねのけ、現状2着目のライバルである池沢の親を落とす、大きな500・1,000となった。

 

〜Lunch Time〜

牌譜を見ながら話していたところ、注文した食事が運ばれてきたので一旦休憩することに。

「「いただきます!」」

美味しそうなオムライスだ。しかしまだ、あまりその味がわからない程には緊張していた(ので、写真はもちろん撮り忘れた)。どうしよう、何話そう…聞きたいことはいっぱいメモしてきたんだけど…

魚谷「川上さん今いくつ?」

川上「あ、えっと………23です!」

話しかけてもらえた嬉しさのあまり一瞬自分の年齢を忘れかけたが、何とか思い出し答えることができた。

魚谷「若っ、プロ何年目?」

川上「ちょうど丸2年経って3年目になります!

Mリーグが始まった年に覚えたので、麻雀歴は5年くらいです…」

魚谷「プロになるなら早くなった方がいいから、凄く良かったと思うよ!」

川上「はい!プロ活動はとても楽しくて充実しています。大好きなことを仕事にできて、応援していただけるなんて夢みたいです。でも正直プロになってから、私なんかがプロじゃダメだって思いながらずっとやってて…応援していただいている分期待には応えたいし、早く強くならなきゃっていう焦りの気持ちと、まだまだ未熟なまま戦う周りへの申し訳なさとで…」

魚谷「私もそうだったなあ…麻雀歴半年とかで連盟に入ったから、初めはずっとやっぱり周りすごいなあ、でも自分ダメだなあって思いながらやってたし」

川上「実は『泣き虫マーメイド』を読んでいて、共感する部分が多くて、性格とかすごく似てるかもなって…全然レベルが違いすぎておこがましいんですが」

魚谷「いやいや、話しててそうだなって思うよ(笑)」

川上「私もリーグ戦後の飲み会とかあまり行けないタイプで…(笑)元々すごい負けず嫌いなんですけど、終わったら反省したいし、帰ってからもすぐネット麻雀打ちたくなるし、負けたら1人で泣きたいんですよね(笑)周りに比べて自分はまだまだで…」

魚谷「大丈夫、一生懸命やってれば周りはすぐに追い越せるよ。麻雀で大事なのは歴じゃなくて、勉強の仕方とか、何をとり入れるかだから。たくさん打ってて年数重ねてても強くない人もいっぱいいるわけじゃん。麻雀を教わる人とか、麻雀を学ぶ方法っていうのは基礎として大事にした方がいいと思うな。」

川上「はい!ありがとうございます。頑張ります!」

魚谷「今って女流勉強会とかってやってる?」

川上「最近やっと再開したんですよね!プロになった目的のひとつが”勉強会への参加”だったので、楽しみに待ちわびていて…この間初めて参加できました!」

 

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講師は山田浩之プロ&滝沢和典プロと超贅沢な勉強会である。

魚谷「いいね!私も上京してきた時は女流勉強会にずっと行ってて、そこでタメになったことがいっぱいあったなあ。」

川上「そうだったんですね!トッププロにアドバイスを頂けたり、質問ができるという環境がすごく幸せです。」

魚谷「私で良かったら、なにか困ったこととかあったらなんでも聞いてください!麻雀のこととか」

川上「え!いいんですか!?」

魚谷「はい!なかなか質問とかされないけど、聞かれるの全然嫌いじゃないんで(笑)」

川上「ありがとうございます…!!!」

魚谷「麻雀以外の趣味とかある?」

川上「麻雀以外は…歌とダンスが好きです!」

魚谷「あ!Twitterで見たことあるかも!」

川上「なんと…嬉しいです…!ウマ娘も好きで、YouTubeで魚谷さんのナイスネイチャ、よく見てました」

魚谷「恥ずかしいよ〜!笑」

 

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↑先輩方がとにかく可愛い1分半。まだ見たことのない人はぜひチェックしてみてほしい。チャンネル登録・高評価・コメントもお忘れなく(これ言ってみたかった)!

その後も仕事や恋愛の話で盛り上がった。おそらくガチガチになっている私を見て、緊張をほぐそうと話しかけてくださったのだと思う。途中、『凡人からでもMリーガーになりたい!川上レイのお悩み相談のコーナー!』になっていたが…初対面にも関わらず親身に聞いてくださって、アドバイスもたくさん頂けた。優しすぎる。心が海のように広い。さすがマーメイド…

そして、食べ終わる頃にやっと気づけたことがある。
あれ、このオムライス美味しい。めっちゃ美味しい!

 

〜2回戦 東3局1本場〜

 

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4巡目にここから五筒切り。かなりホンイツを見た一打に思えたが

 

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二万ポン→打東とした。

川上「五筒は切ったけれど四索は残す…巡目や状況が大きく変わったようには見えなかったので、ここでの思考が気になりました」

魚谷「形的にはホンイツになりそうだし、ここで打点稼げばかなり他の3人に条件を突きつけられるなあと思ってたんだけど…ホンイツの場合は東北のくっつきになるから、速度的に厳しいなと思って。だったら四索にくっつけて1,000点のルートも残したい。もちろん一万北から引ければOKだし。

前順の五筒も残すのもアリだけど、中張牌を2枚も持つのはちょっと不安で、字牌が重なったときのホンイツルートも追いたいから、1,000点の為に残すとしても四索1枚でいいかなと。打点と速度とのバランスをとった選択かな。
1回戦の東一局なら間違いなく四索を打つんだけど…これはすごく難しくて、局を回したいっていうこの状況に限り東を打つ選択があるかな。」

 

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またもや”ギリギリ”のバランスで残した四索三索がくっつき、1,000点のアガリで局消化に成功した。

しかし、この局で素晴らしかったのは四索残しの選択だけではない。驚いたのは決断の速さだ。
この局について質問している時に「難しかった」と何度か言っていたが、映像を見た時には悩んでるようには思えないテンポで打牌していたのを覚えていた。

 

〜打牌選択の速さ〜

魚谷「私的には、”間”で何かを察されるのが嫌で。個人的には寿人さんみたいにずっと”間”が無く打ち続けられるのが1番いいと思ってる。全部の選択にあえて一定の”間”を作って察されないようにするっていう人もいるけど…それって、即決ができなくて”間”ができてしまった時に変に思わせないためだから、それはその人の修練不足かなあと思っちゃうんだよね。よく『プロ連盟の人はみんな打牌選択が速い』って言われたり、テンポがいい人が多いのは、やっぱり”速く選択できるのも技術だ”って思ってる人が多いからかなあと思う。」

打牌選択にかかる時間の短さを点数にした時、ノータイムでの選択が100点だ。
常に”間”を作るというのは、たまの50点を目立たせないために、100点を狙える時もあえて60点を取り続けるようなもの。
それではいつまでも半荘平均での100点満点を取ることはできない。

魚谷「ただ、麻雀はたった1巡で想定していないことが起きたり、状況が大きく変わったりするから実際には常にノータイムでできているわけではなくて…本当はもうちょっと”間”があった方がいいのかなってたまに思うけど(笑)」

もちろん、魚谷にだってたまの50点を取ることはある。その時は普段の100点のスピードとの差が目立ってしまうかもしれない。

魚谷「それでも『選択は常にノータイムでできるようになりたい!』という気持ちも込めて、あえて”間”を作ったりはせずに、自分が判断できた時は100点満点を目指して早く切るようにしてます。」

頷きが止まらない。首がもげそうだった。

魚谷「逆にノータイムでやろうとしすぎて、もっと考えたら正解出せたかもしれないのに…っていう後悔はしないようにすごく気をつけてる。100点を目指しすぎて焦って、本来の選択ができないのは本末転倒だから、ちゃんと考えるべき局面では焦らずに考えるようにしてます。」

首がもげた。

川上「切った後すぐに、(あー、こっちの方が良かったわ)って思うことがよくあります…」

修練不足の私が焦ると更にミスだらけだ。

川上「せっかちなのもあるのですが、元々他人を待たせるのが苦手で焦っちゃうタイプで…特に仕事で麻雀を打っている時は、悩ましい場面でもあまり考えきれずにパッと切っちゃうことが多くて。」

魚谷「うんうん。麻雀には制限時間がないからバランスが難しいよね。むしろ初心者のうちはそれをできるように早く切ることを練習した方がいいと思っていて。どうせ間違えるんだし。時間は卓にいる全員で共有しているものだからね。」

囲碁や将棋のように麻雀にも”持ち時間”があれば平等になるのに…と何度も考えたことがある。いつか導入される未来はくるのだろうか。

 

〜2回戦南場〜
魚谷はその後、トップ目の親番で七対子ドラドラの9,600をアガリ更に加点。

そして圧倒的なポイント差で迎えたオーラス、他家の条件がこちら。
魚谷 +111.1P
宮内 ▲14.3P ラス親のため連荘可能
池沢 ▲24.0P 三倍満以上直撃 (役満ツモでは届かない)
二階堂 ▲72.8P ダブル役満直撃
実質、親の大連荘以外は有って無いような条件を突きつけた。

 

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魚谷はタンヤオで仕掛けて自力決着に向かうが、形が不安定なこともあり途中で安全牌を抱えて進行した。

魚谷「宮内さんがもしテンパイしてたら、私を捲るためには点数が必要だしリーチしてくるはずなんだよね。リーチが来ないってことは、ノーテンかもなと。」

魚谷は方針を変え、万が一の放銃に備えつつ、親にテンパイを入れさせないよう慎重に打ち切った。

 

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親の宮内は1シャンテンまでは早かったのだが、惜しくもテンパイをいれることができず、オーラスは1局で終了。

2連勝で魚谷の優勝が決まった。
まさに完勝、パーフェクトゲームだった。

川上「改めまして、優勝おめでとうございます!!」

 

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魚谷「ありがとうございます!すごい、優勝カップだ!麻雀牌も(笑)」

川上「1回戦の6,000オールの七索と、2回戦の4,000オールの七筒でオーダーしました(笑)」

魚谷「ありがとう!十段戦で優勝した時も七筒でアガったんだよね。アヤ牌かも。」

 

[ プロとしての魅せ方 ]

川上「映像を見ていて、ずっと姿勢が良くて所作もきれいで、素敵だなと思いました。」

魚谷「私はすごく手先が器用なわけじゃないから、カッコイイ牌捌きとかはできなくて…シンプルにやってます。基本的に選択も所作も速めだから、見えやすいほうがいいかなと。」

川上「本当に無駄がなくてシンプルで、ずっと一定ですよね。」

魚谷「さっきの”間”の話と似てるんだけど、私はあんまり差をつけたりせずに打ってるかな。気持ちが入ってくると多少はね、所作に現れてもいい…というか、その方が見てる人に気持ちが伝わりやすいだろうなとは思うけど。」

川上「エンタメ的にも魅せる、という目的はあると思うのですが、競技性を崩すほど所作に現れるのはまずいかな、と思っちゃいます…」

魚谷「”魅せる”って言うのはエンタメ的にっていうのもあるけど、プロとして”お手本を見せる”っていう意味もあるからね。皆のお手本になれないことはあんまりやらない方がいいんじゃないかなと思ってる。プロでもこれはやりすぎだなっていう時もあるから、そこはバランスだね。」

この人の麻雀をもっとみたい!と思わせる魚谷の魅力はファンを楽しませるだけでなく、私たち麻雀プロのあるべき姿をも示してくれているのだ。

 

[ 今後の目標 ]

女流モンド杯は今回で4度目の優勝。この仕事の依頼が来た時の感想として冒頭に書き忘れたが、「魚谷さん、またですか!?」と思った。凄すぎる。もはや逆に驚かないまである。

川上「十分すぎるほど数々のタイトルを手にしてきた魚谷プロですが、今後の目標をお聞かせいただけますか。」

魚谷「その年その年で目標はいっぱいあるんだけど、今は鳳凰戦のリーグが結構落ちちゃったので…」

魚谷はA2リーグに4年間在籍していたが、そこから厳しい2連続降級。今はB2リーグで戦っている。

魚谷「自分のダメなところは良く理解していて、1番は日によって体調だったり集中力に差があること。自分の中で(今日すっごい麻雀見えてるな、無敵だな)っていう日と、(今日全然情報入ってこないな、集中できてないな)って日と、二分化しちゃってて。リーグ戦とかの長期戦だと、その悪い日が顕著に出ちゃうんだよね。体調のことだから無理に改善しようとするのもきっと良くないし…もっとお坊さんみたいな、すごい健康的な生活をすれば治るかもしれないけど(笑)それはなかなか難しいから、ダメな日もダメなりにきちんとまとめられるように、今やれることでちょっとずつ改善できたらいいなと思ってます。」

 

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魚谷「あと、どうしても、Mリーグですごい負けちゃったんで…」

誰もが認める実力者であることは間違いないが、22-23レギュラーシーズンでの魚谷の個人成績は最下位となってしまった。

魚谷「もちろん運もちょっとはなかったと思うけど、さすがにこれだけいっぱい負けるってことは、それ以外の部分で出来たことがもっとあるはずだと思っていて。元々麻雀は器用なタイプで、ルールに応じて最適だと思う打ち方をしてきたつもりなんだけど…自分の中では特に連盟公式ルールとモンドルール(一発ウラオカアリの赤ナシ)が得意で、Mリーグルールが1番しっくり来てないんだよね。戦う相手が強いっていうのもあるから、その中でも自分の着地点を見つけられるように頑張りたい。家に麻雀卓をプレゼントしていただいたので、このオフシーズンでたくさん稽古して来期は結果を出したいな。」

 

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チームメイトの東城プロから「ゆーみんのタイトル20個以上獲得(ざっくり)記念と引っ越し祝いに」と、新居に最新の全自動麻雀卓のプレゼント。素敵な関係すぎて眩しい。

魚谷「あと、『年にひとつはタイトルを獲る』を目標にしてるので…」

川上「年にひとつ…!大分余ってますけれども!」

魚谷「確かに(笑)今年は良いシードがたくさん貰えるので、最低ひとつ…できればいっぱい獲りたいです!1番欲しいのは十段位!連覇したいな。」

川上「麻雀以外でやってみたいことなどは何かありますか?」

魚谷「今お家に猫が2匹いるんですけど、どこかのタイミングで3匹目をお迎えできたらと思ってます!」

川上「猫好きのイメージ強いです!」

過去にMリーガーへの密着企画で、魚谷が休日に猫カフェに訪れている様子が放送されていた。

魚谷「猫が本当に大好きで…今は忙しくて無理だけど、いつか保護活動の協力とかもしたいなあって思ってるから、保護猫ちゃんで出会いがあればお迎えしたいです。」

 

[ Epilogue ]

川上「今日はお忙しい中本当にありがとうございました。」

魚谷「こちらこそありがとうございました!記事作成も大変だと思うから、何かあったらいつでも連絡ください」

川上「ありがとうございます!」
こうして、夢のような2時間はあっという間に終わってしまった。

実はインタビューの途中にこんな会話があった。

川上「ファンの皆様に伝えたいことがあればなんでも書きますので、ぜひ教えてください!」

魚谷「ありがとう!でもせっかくだから川上さんのことも書いてほしいけどね。私のことを知っててこの記事を見てくれた人にも、川上さんってこんな子なんだ、って知ってもらえたら良いと思うからさ。逆もそうだし。お互いにね!」

インタビューが終わったあとの帰路でも、「ぜひ記事には川上さんの話も混ぜてくれたら嬉しいんで!」と言ってくださっていた。自分の優勝インタビューなのに…なんて後輩思いなんだ。正直その優しさに少し泣きそうだった。お言葉に甘えて自分の話も入れさせてもらったので、(何だこの新人、隙自語がすぎるぞ!)と不快に思われた方、大変申し訳ございません。”川上レイ”っていう図々しい新人いたなあ。とだけでも覚えていただければ幸いです(笑)

クセや無駄のない摸打。心地よい打牌選択のテンポ。麻雀の内容はもちろん、所作、心構え、人柄。魚谷は全てがお手本になるプロの中のプロだ。
“いつかこんなプロになりたい。そしてタイトルを獲って…”
私の目標がより明確になった2時間でもあった。

鳳凰戦やMリーグなどの長期戦でもっと良い結果を残したい、タイトルもまだまだ欲しい。そう語っていた魚谷はこれからも、どこまでも貪欲に勝ち続けていくだろう。

 

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最後に…
魚谷プロ、貴重なお話を聞かせて頂き本当にありがとうございました。
また、このような機会を下さったことに心より感謝申し上げます。

私もいつか、必ず。