プロ雀士インタビュー

プロ雀士インタビュー/第110回:第3回インターネット麻雀日本選手権優勝特別インタビュー 瀬戸熊直樹 インタビュアー:東城りお

第3回インターネット麻雀日本選手権
優勝特別インタビュー:瀬戸熊直樹 インタビュアー:東城りお
私が麻雀プロになって初めてインタビューさせていただく方は、
瀬戸熊直樹プロ
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1970年8月27日生まれ О型
愛称「卓上の暴君」
・攻めを重視した重厚な雀風
・猛連荘をかけることが多く
 連荘のかかっている間は『クマクマタイム(KKТ)』と呼ばれている
・鳳凰位 第26.27.29期
・十段位 第28.29.30期
・發王戦 第14期
・無双位 第6.9期
・チャンピオンズリーグ 第13期
・チャンピオンカーニバル 第6回
………こんなすごい方相手に、こんなド新人の私がインタビューするなんて、本当に大丈夫だろうか…
失礼が無いようにしなければ
わー緊張する
そしてインタビュー当日
東城 「瀬戸熊さんおはようございます!今日はよろしくお願いします!」
瀬戸熊「おはよう。こちらこそよろしく^^」
瀬戸熊「今日はどの局面を聞きたいか考えてきた?」
東城 「えーと、あの東一局から11,600を2連荘した4回戦目を聞こうかと思っています。」
東城 「で、でわ・・・瀬戸熊プロインターネット麻雀日本選手権2014優勝おめでとうございます(超棒読み)!!4回戦目の東風から11,600を2連チャン、まさしくクマクマタイムといったところでしょうか(超棒読み)!!」
瀬戸熊「いやいや(笑)東城の目線で書いた方がみていて読み手の人にも伝わりやすいし、そんな無理して格好つけて書く必要ないよ。純粋にこの局面でどうしてこうしたのとか、なぜこの牌を切ったのとか、東城の目線で質問してくれていいから」
東城 「なるほど、そうですね(優しいなあ)そうした方が読み手には伝わる気がします。でわ、改めて、この4回戦目なのですが、やはりこの東一局がクマクマタイムですか!!」
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瀬戸熊「…東城の考えているクマクマタイムってなに?」
東城 「うーん………すごいいっぱいアガる…?」
瀬戸熊・東城「(笑)」

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瀬戸熊「Aリーグの対局って見たことある?」
東城 「あります!」
瀬戸熊「他のプロも、自分の時間に入った時にはすごい連チャンを始めるでしょ?トップレベルの選手になると、それぞれパターンを持ってると思うんだけど、たまたま僕の場合は名前がついたんだよね。僕はその時間に入ると自然に打つようにしていて、いつも戦える状態にしたいから、例えば相手からリーチが入った時に、自分が2シャンテンだとしても、がんばってテンパイまで持っていく。テンパイまでいかなかったら1シャンテンまで持っていく。常に一歩進むということを心がけているんだよね。」
東城 「おぉーすぐにはオリないんですね!」
瀬戸熊「うーん。すぐにオリないというか、面子を中抜きしてベタオリとかしてしまうと、配牌が入らなくなると思っているからね。」
東城 「なるぼど。それに気持ち的にも守りに入ってしまうというか・・・」
瀬戸熊「いかないなりにも工夫する。オリている時に工夫する。それが大事だと思う。これは、僕の自論なんだけど、手とか配牌は自分で入れるものだと思っているんだよね。いかに手を入れられるように打つかを考えながらやっている。少しオカルトな考えかもしれないけど、僕はそう考えながら打っていますね。」
{すごすぎて言葉が出ず・・}
東城 「すごすぎます!自分で手を入れるってめちゃめちゃカッコいいです!」
瀬戸熊「1局1局を全部つなげようとしてるし、1局1局が単独にはなっていないと僕は思ってる。」
東城 「今回インターネットでの麻雀大会でしたが、そういった点でなにか違いってありましたか?」
瀬戸熊「僕は無いと思いましたね。」
東城 「おぉー!言い切りましたね!」
瀬戸熊「森山会長も最後の表彰式の時に無いって言ってたね。僕も実際打って、帰ってタイムシフト観てみて、あそこで言い切った会長はすごいと思ったよ。僕はこの試合で勝って一緒だなって思えたけど、それまでは一緒のようで、なにか違うんじゃないかと思っていたよ。少し疑心暗鬼に入ってたね。それが少し出た局があったかな。」
東城 「もしかして南1局の3本場ですか?」
瀬戸熊「そうだね。」
東城 「あの徳川さんからリーチが入った後、ドラが出た時ですね。実際牌譜解説の時も質問されていましたもんね。」
瀬戸熊「そうそう。もしリアルだったら声が勝手に出てたと思うんだよね。僕の中でこの時間を終わらせたくないと思って、なるべく自然に鳴くべき牌は鳴いて、チーテン、ポンテンはとろうと思いながら打っていたんだけど、あのドラが出た時に少し迷いが出てしまったんだよね。あの時2シャンテンではあったけど、あのドラ三万をポンすることが一番自然だったかなって。」
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東城 「なるほど」
瀬戸熊「実際あの三万でアガリを逃す結果も見えてしまったしね。良くも悪くも無意識に鳴くっていうのがない。これが、リアルとネット麻雀の違いかなって思いますね。」
東城 「あーありますよね!気づいたら鳴いてた!なんてこと。」
瀬戸熊「まあ、その鳴きが悪い時の方が多いけどね(笑)。ただ、この局で時間は終わったかなって感じましたね。」
東城 「?」
瀬戸熊「僕はいつも“2600オールがきっかけ” って言っているんだけど、ツモアガるのが1番大事で、誰の手も借りず自己完結する、いわゆる“一人麻雀の状態”俗に言うクマクマタイムがあるとしたら、僕はこの南1局が始まりかなって思うな。」
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東城 「あの東パツは違ったんですか?」
瀬戸熊「あの東パツをきっかけに、東場をしっかり戦って南場の親番に繋いだこの局が始まりだと思いますね。」
東城 「クマクマタイムって名前はすごい可愛いけど、奥が深いし実際同卓したらかなり怖そうですね(汗)瀬戸熊プロは戦う相手を常に研究していると聞いたことがあります。」
瀬戸熊「そうだね。特に研究する時はロンロンの牌譜を見たりするね。前原プロだったり、荒プロだったり相手の打ち筋をすごく研究したよ。研究することによって、安心感が生まれるんだよね。後ろから見ていると当たり前の作業をやられているんだけど、いざ対峙してみるとすごい威圧感があったりして、ポンの鳴きが入るだけですごく高い手に見えたり、リーチが入っただけで焦ってしまったり」
東城 「ありますよね!強い相手だと特に」
瀬戸熊「だから研究して、恐怖心を減らしていったんだよね。相手も人間だから、きっかけ作りっていうのが絶対あって、そのきっかけの場面には攻め込まなければいけないということは覚えましたね。例えばリーチが入ってホップ・ステップ・ジャンプで表すと、ここはホップの場面だから攻め込まなきゃいけないとか、ここはジャンプの場面はいってはいけないとか、もし、いくのであれば相当な覚悟を持っていかないといけないとか」

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東城 「その見極めも牌譜で研究したのですか?」
瀬戸熊「そうだね。牌譜で結構わかるようになりましたね。今は、映像対局もあるからさらにお互いに研究が進んで、もっとハイレベルになっていくんで、本当にすごい時代が来たなと思うよ。だから若い人たちはロンロンとかいっぱいやって、牌譜もいっぱい見て、頭が麻雀一色になるくらい活用した方がいいと思う、年を取るとどうしても記憶力とか判断力が落ちてしまうから、若いうちに鍛えておかないとね。」
東城 「がんばります・・」
瀬戸熊「今、うちの50代、60代の人達強いじゃないですか、なんで強いかっていうと、20代の時にいかにやりこんでいたか、その貯金があるんだよね」
東城 「なるほど、貯金とあとは経験則ですか」
瀬戸熊「そう。それはなかなか崩れないから、やっぱり若いうちにやってないと後々大変になると思うよ。これは若い人たちへのメッセージと言う事で。」
東城「おぉー……(またうまく言葉が出ず)。なんか10を想像していたんですが、100くらいすごい解答が返ってきて、今日はインタビューというより、かなり勉強をさせていただいた気がします(汗)。」
瀬戸熊プロのインタビューをさせてもらえるなんて、滅多にない貴重な経験なので、任された時はすごく嬉しかったです。
人生初のインタビュー。
瀬戸熊プロのお話を聞いて私の中の麻雀観が圧倒的に変わった気がします。
もはやインタビューと言うより勉強会みたいな感じでしたが(笑汗)
帰り際に隣のスタジオに寄ると、某世界チャンピオンや仁王立ちの人や新婚の人たちに混ざって、瀬戸熊プロが朝練をしていました。
仕事前にみんなで朝練。

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みんな本当に麻雀が好きで、本当に麻雀が強くなるためにがんばっているんだなって思いました。
私も麻雀が好き。強くなりたい。そう思いました。