プロ雀士インタビュー

第148回:第30期チャンピオンズリーグ優勝特別インタビュー 庄田 祐生  インタビュアー:松岡 千晶

庄田祐生 プロフィール
1995年2月28日生まれの32期生
石川県輪島市出身
身長 163cm
体重  78キロ
血液型 A型
好きな食べ物 肉全般、ポテトフライ
嫌いな食べ物 きのこ類、刺身、オクラ

ちなみに彼女募集中だそう。
簡単に庄田という人物を説明させていただくと、
よく食べよく笑い、人の愛情をいっぱいに受けすくすく育った素敵なぽっちゃり・・・・それが庄田である。

松岡「庄田優勝おめでとう!」

庄田「ありがとー!!まだ実感ないけど本当にうれしいよ!」

松岡「インタビュアーに選んでくれてありがとう!文章書くのは上手じゃないけど庄田のことみんなに伝えられるよう頑張るね。」

庄田「俺が選んだんじゃなくて、「今回のインタビュアーは松岡千晶さんに依頼しようと思っています。」って運営の方から連絡きたよ。えっ、いやどっちにしてもちーぼーに頼むつもりだったしさ(慌て気味)」

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そんな話をしていると、お店のスタッフさんがたくさん集まってきた。庄田も私自身もびっくり。
そうだ、サプライズを準備していたのだ。
インタビューしようと約束をしていた日、こっそりお店を予約してお花とケーキを出してもらうよう頼んでいたのであった。
スタッフの方に「そうだボーイ優勝おめでとうございます!」(電話予約でうまく通じていなかったのか、「しょうだ」が「そうだ」で伝わっていた。)
といわれると、庄田は嬉しかったのかびっくりしたのか泣きはじめてしまった。
それをみて私までもらい泣きをしてしまい最初から泣きはじめてしまった私たち。

あれ・・・このまま今日インタビューできるのかな・・・と少し不安な気持ちになったのは私だけではなかったであろう。(笑)

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チャンピオンズリーグ準決勝が終わったとき、電話がかかってきた。

庄田「ちーぼー勝ったよ!明日とうとう夢だったテレビ対局にでられる!!」

予選をトップ通過した庄田は見事、ベスト8も突破し決勝進出を決めたのだ。

松岡「わーーーおめでとう!すげーーー。あ、でもおめでとうはまだ早いね。明日頑張ってね。」

私は、庄田を弟のように思っていた。
庄田との出会いは、庄田がまだ高校2年生のころであった。

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写真は初めて出会ったときに記念に撮った写真。

庄田と私は、私のブログを通じて仲良くなったのだ。
そのころの庄田はまだ石川県に住んでいる普通の高校生だった。

「高校卒業したらちーぼーの働いている麻雀店に遊びに行くね!」

そう言うと、高校を卒業すると石川から本当に会いに来てくれのだ。
麻雀店で麻雀をするのが初めてだった庄田は、ずっと手が震えていた。すごい緊張していたようだった。

麻雀が終わってから話しもいっぱいした。
庄田は言った。

「俺、麻雀プロになりたいんだ。だから東京で就職して麻雀プロを目指すね。」と。

そしてその2年後本当に私たちと同じ日本プロ麻雀連盟の麻雀プロになったのだ。

1半荘目

東1局 北家

八万六索七索七索二筒三筒五筒六筒七筒九筒東東西  ドラ六万

この牌姿から2枚目の東もスルー。
庄田と打つ機会の多かった私は、普段であれば鳴いているイメージがあった。
この庄田の選択は緊張して、まだ麻雀に入れていない気がした。

しかし、南2局庄田は大きく捌きに行った。

南2局 西家

二万三万三万七万七万九万九索九索一筒六筒東西西  ドラ六索

この配牌から親番柴田プロの第一打の西を勢いよくポンした。

松岡「一打目から元気にポンっていったね!柴田プロの親番だから意識してたの?さっきまでとは別人みたい。」

庄田「このままだと半荘なんにもしないで終わってしまう感じがしたんだよね。だから声を出したかったし、声がだせてよかったかな。」

この局は庄田が

二万三万四万七万七万九索九索二筒二筒二筒  ポン西西西

九索で柴田プロから1,300点をアガる形となった。
解説の紺野真太郎プロも「人が変わったように打ち方が強気になってきたね。麻雀に入り込めている」と解説していた。

そのあとも庄田の強気な攻めが続いた。積極的に仕掛け、リーチをしていったのだ。

紺野真太郎プロは「今のは気持ちが打たせたリーチだね。強い気持ちが伝わってくる。勝ち切ってやるっていうね 。」と解説をしている。

松岡「優勝を意識した瞬間ってあった?」

庄田「うーん、4半荘目の親番でドラ東東バックがうまくいった局かな。」

4半荘目 東4局 1本場

五万六万七万七万八万六索九索九索一筒一筒二筒東東  ドラ東

という手から九万をチー。チンイツをテンパった柴田プロから東がこぼれる。
その東をポンして11,600点をアガリきった。

全5回戦、56局中18局アガリを魅せた庄田は見ている人たちに大きな印象を与えただろう。
確率でいうとおおよそ3局に1局は庄田がアガッているということになる。驚きの数字である。
それと同時に局を重ねていく中で成長をしていく庄田を感じさせたことと思う。

庄田がまだプロになる前のことだ。
私が最強戦ガールを務めていたとき、最強戦の決勝を観戦しに会場に来ている庄田の姿があった。

「森山会長に質問しよう!」というミニコーナーになり、庄田が小さく手を挙げていた。

私はすかさず庄田のところにマイクを持っていった。

庄田「僕はプロ連盟に入りたいです。今麻雀界にとって必要な人材はどんな人ですか?」

森山会長「地元、仲間内で麻雀が強いとかでなく、本当に納得する麻雀を打ち、能力の高い人。プロの世界は簡単じゃない。麻雀以外のすべても頑張れるような人材かな。」

生放送がCMに入った時、森山会長は舞台を降り庄田のところに会いに来てくれ、握手をし「頑張ってね。」と声をかけてくれた。
庄田はこの出来事がとても印象に残り「プロ連盟の試験を受ける。」と決意したのである。
この時の様子は、日本プロ麻雀連盟の第三次テストの時に流された。

庄田が嬉しそうに「ねーねーこないだの最強戦の質問コーナーがね、三次テストで流れたんだよ!ねーすごくない?!♪」と言っていたのはついこないだのことだ。

松岡「今後の目標は?」

庄田「ずっと石川県から連盟チャンネルを見ていて出るのが憧れだった。テレビ対局に出て、僕の麻雀をもっと見てもらいたい。先輩たちにも恩返ししたい」

優勝した時、実況を務めていた山口大和プロに「優勝した感想をどうぞ。」と言われたとき庄田は「今回優勝できたのは先輩たちが支えてくれたおかげです。」と言っていた。
庄田の声は途中から涙声になり、何と言っていたのかよく聞き取れなかった・・・(笑)

庄田は高校卒業し東京で就職して2年間はプロになることを怖がっていた。

庄田「仕事との両立ができるか不安だし、せっかくプロになるのであればタイトル戦も全部でたい、リーグ戦だけでるなんて嫌だ。それに受けるのであれば一発で絶対合格したい!って思っていたんだよね。そんなことを考えていたらもう2年もたってしまっていて・・・。

先輩の大和田篤史プロに相談したんだ。そしたら、

(やってみなきゃわからないよ。せっかく麻雀プロになりたくて東京に就職しに来たんでしょ?もし何かあったら助けてあげるからさ。)と、背中を押してもらえて。それがあったから、今の僕があるんだ。」

庄田「悩んだ時、苦しい時、辛い時、いつも先輩たちが話を聞いてくれて助けてくれた。実は僕リーグ戦せっかくD3スタートだったのに降級しちゃったんだ。それが悔しくて悔しくて、泣きそうで・・・最終節、心配して観戦しにきてくれていて大和田先輩の顔を見たとき、もう涙止まらなくて泣いちゃった・・・。」

「だれか知らないけどこないだ会場で泣いている人がいたよ。相当悔しかったんだろうね」

と観戦をしにいった人からたまたま話を聞いていたが、これは庄田のことだったんだ。

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写真はインタビューにも同行してもらった大和田篤史プロ。

リーグ戦が終わると、仲よくしてくれている先輩たちと飲みに行くのが普段の流れになっていた庄田は、この日も居酒屋に向かった。

しかし「お前は今日帰りな」と先輩に告げられた。

庄田はそのまま漫画喫茶にいき、ロン2をひたすら泣きそうになりながら打ち続けていた。
そしていろいろ1人になって冷静に考えた。
いつも助けてもらっているばかりじゃ駄目だ。いつかは先輩たちに恩返しをしなきゃ。

決勝の日、私はツイッターとニコ生を駆使し時間の許す限り庄田の戦いを見守り続けた。
庄田は蝶ネクタイをつけていた。
私が庄田のプロ合格記念に、お祝いとしてあげたものだ。

ネクタイをあんまり持っていないっていっていたし、ぽっちゃりには蝶ネクタイが似合うかなと思ってあげたのだ。

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とっても似合っていたね。

庄田は、最初の半荘からポイントを伸ばし続け圧倒的ポイントを叩き出し優勝したのである。
プロになってからまだ半年しか経たない庄田が気負わず立派に戦い、優勝という最高の結果を残して、最後のチャンピオンズリーグは幕を閉じたのであった。

庄田はとても明るい性格で、人懐っこく、よくいじられるキャラだ。
たくさんの先輩たちに愛情をもらい、きっとここまで大きくなったんだと、私は庄田をみていてそう思っていた。
でもそれは、庄田が魅力的で人を引き付ける力のある人間だから、周りの人がこうやって集まってきて庄田に優しく接してくれるのだと思う。

体も気づけば二回りか三回りくらい大きくなっている。
ここ2年近く、庄田はダイエットするダイエットするといいつつ、ご飯をおかわりまでしているので、ここの忍耐力ももう少しは鍛えていただきたいところでもあるが・・・。(笑)

庄田祐生
今回プロになって半年でタイトルホルダーになり、これはプロ連盟の中での最短記録。
そして現最年少タイトルホルダー。
これからも注目していきたい人物であり、今日本プロ麻雀連盟で一番みんなに愛されているプロなのかもしれない。

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