プロ雀士インタビュー

第216回:第8期JPML WRCリーグ優勝特別インタビュー 伊賀則夫  インタビュアー:西島一彦

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生きる極意は「三感四恩」

第8期JPMLWRCリーグで優勝された、伊賀則夫プロのインタビューを西島一彦が務めさせて頂きます。
闘牌につきましては、浜野太陽プロの的を得た「決勝戦レポート」をご参照ください。

伊賀プロと私は、30年前に商社に勤務していた時に、銀座の伊賀さんが経営するクラブで取引先を接待した際に知り合い、それ以来お付き合いをさせていただいています。
西島「先ずは、75歳にしての戴冠の快挙おめでとうございます。今の率直な感想をお聞かせください。」

伊賀「ありがとうございます。私は、チャンピオンズリーグと呼ばれていた時代から一度も欠席することなく参戦して来たので、この努力を麻雀の神様が微笑んでくれたのでなないかと思っているのです。」

西島「ベスト8までは常に好成績で勝ち進んで来られましたが、決勝戦の1回戦で4位のスタートでしたね。この時の心境はどうだったのですか?」

伊賀「このシリーズ、初めて苦境に陥ったのですが、2回戦が私の大好きな親番スタートとなったので、チャンスありと気を取り直して卓に向かいました。」

西島「勝ちを意識した局面、一打は?」

伊賀「3回戦までずっと競い合ってきましたが、4回戦東3局で三筒とドラの六索のシャンポンをリーチ一発でつもったときです。」

 

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西島「あの時解説の瀬戸熊プロと山田プロが絶句して、その後笑っていましたよ。20代の若者相手に最年長?の伊賀さんの打ち方が一番若いと解説陣が感心していましたが、今までの人生と関係があるのでは・・・?」

伊賀「では、チョット自己紹介をさせていただきます。」

私は1945年11月生まれの75歳で昭和43年に大学を卒業してから30歳まで新聞記者をしていました。ある日、実の妹(メチャンコ美人です)が、「お兄ちゃん、銀座でクラブを経営しようと思うんだけど、しっかりした男性が必要なので一緒にやろうよ」と誘われ、悩んだ末、思い切ってクラブ経営の世界に飛び込みました。1976年(45年前)銀座並木通りに14坪の小さな、でも、とってもお洒落なクラブを開店し、翌年には2店舗目を、更に、アレヨ・アレヨと次々に店舗を増やし、一時は従業員数が500名を超えるそこそこの企業になったのですが、バブルが弾けて持っている物の殆どを失うことになりました。「地獄を見た」とはこういう事なのだと悟ったのですが、時すでに遅しでしたね。
クラブ1店舗を残し、持っている(店舗15店・土地・マンション数棟・株券・ゴルフ会員権20箇所くらい)すべてを売りまくり、結果20億円の債務が残りました。

「この後、相当長くなるので中略します(笑)」

その後新たに立ち上げた、サウナ&カプセルホテル事業が功を奏し、今では借金ゼロ、自社ビルを銀座に持つに至っています。この「諦めない粘り」と、体力が若さの秘訣ですね。体力づくりは、西島さんと参加した青梅マラソン・千葉マラソン芦ノ湖一周(22キロ)競歩、別府の100キロウォーク等々です。特に思いで深いのは芦ノ湖一周(箱根町主催)で、ゴールをした人にスピード三角くじを引くチャンスがあるのですが、1位でゴールした私が数千枚の中の1枚しかない1等賞を最初に引き当てたとことです。 僕はついているんだな~とつくづく思いましたね。

西島「はい。悪運とも言います。では、運を呼び込む生き方を連盟の若手の皆様に紹介して下さい。」

伊賀「季節柄もあるのですが、私が大事にしている言葉が「三感四恩」。本来は、ご存知三寒四温ですが、この四字熟語をもじって、感謝・感動・感激の「三感」と、親の恩・人の恩・物の恩・地の恩・の「四恩」です。三感は、本来の三寒が意味するように厳しくなければいけません。四恩は、逆に暖かく見つめ直す必要があるのではないかと思っています。なぜ、感謝・感動・感激を厳しく捉えなければならないのか?それはこの三感が心の躍動だからです。心が開かれて素直な状態でなければ絶対にこの「三感」を味わうことが出来ないと思うのです。人は多くの人間に支えられて生きています。人間ばかりでなく、自然や様々な物質が私たちの「生」を支えています。だからこそ人を大事にし、物を大切にしなければならないのです。環境破壊が叫ばれて久しくなりましたが、「ゴミ・水・大気汚染・地球温暖化現象」等々です。私たち、人間のおごりが自然の恵みに対する恩を忘れている結果なのではないでしょうか。今回の優勝は、今までお世話になったすべての方々に対し、感謝・感激・感動です。」

西島「とても理に適った素晴らし感性ですね。最後になりましたが、来期以降の目標をどうぞ!」

伊賀「生きているうちに一度でいいから、Aリーガーと呼ばれたいです。西川淳プロ主催の千葉ESリーグで3連覇したい。第一回世界選手権パリ大会ではベスト8でしたが、いつか優勝して世界チャンピオンになりたい。」

西島「長時間有難うございました。これからも益々の活躍をお祈りします。」

いくつになっても、若さと希望を失わない伊賀則夫プロでした。

 

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