プロ雀士インタビュー

第217回:プロ雀士インタビュー 佐々木寿人  インタビュアー:岡田茂

過去最高の激闘であった今年の鳳凰位決定戦。
その戦いを勝ち抜き、第37期鳳凰位を戴冠した佐々木寿人。
今回はその佐々木寿人プロの同期であり、プロになる前からの知人でもある私岡田茂がインタビュアーを務めさせていただきます。

ヒサト氏の地元で待ち合わせて昼ご飯を食べながらのインタビューとなりました。

 

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【まずは決定戦での話。優勝が目前の南2局。親番1回で約90ポイントを逆転され、オーラスに再逆転したときの胸中を聞いてみました】

岡田 「鳳凰位おめでと!今日はよろしくね。お祝いの連絡とか沢山来たんじゃない?」

ヒサト「うむ。LINEが46件くらいきた(嬉しそうに話すヒサト氏)」

岡田 「さすが人気者だよね(笑)決定戦最終日の日、(自分が)珍しく麻雀の仕事だったんだけど、店内でみんなスマホ片手に応援しながら麻雀してたよ」

ヒサト「ありがたい」

岡田 「では早速、決定戦の話を。壮絶な試合だったけど道中はかなり手応えがあったんじゃない?」

ヒサト「そうね。14回戦の南3局の12,000(メンホン、イーペーコー、ドラ2 勝又から)と

 

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オーラスの8,000(ダブ南ドラ2 沢崎から)のアガリでラスからトップになった半荘は大きかったね。」

 

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岡田 「最終戦の東場の進み方も良かったし、全体的な流れも手応えはあったね。けど、南2局で捌きに失敗した。九筒ポンの後、五万をチーしたんだよね。普段は鳴かないと思うんだけど、どっかで気持ちの焦りがあった?」

 

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岡田 「で、そこから沢崎さんの大連荘かー。親の四暗刻ツモられた時は?」

ヒサト「すげー感情だったよ。今までなったことないような感情だった。けどメンタルは保ててた。直近の日本シリーズで、良い位置から国士を放銃しても優勝出来た経験とか、あとは今まで散々負けて負け慣れてたのが良かったよ(笑)簡単にはへこたれないからね。だから沢崎さんとの点差は冷静に把握出来てたよ」

 

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岡田 「すごいなあ。俺ならグラグラになりそうだけど。そしてオーラスの4,000は4,900オール。めちゃめちゃ嬉しいアガリだよね」

 

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ヒサト「まあ、まだ勝ちが決まった訳ではないから安心は出来なかったよね。次局、5.6ポイント差で、ノーテン宣言出来る条件になった。アガリに向かってはいたんだけど、13巡目にオリの選択をした。無事流局したものの、あれはなかなかしびれる1局だったよ」

岡田 「たしかに対局終わった後、見たことない顔してたもんね。げっそり(笑)」

ヒサト「嬉しいは嬉しいんだけど、ほっとした方が大きかったよ」

岡田 「終局した後のあの表情を見て、改めて本当に苦しい戦いだったんだなって思った。純粋に凄いなって感動したよ。ところで表彰式のインタビューの家族の話をしてる時、ちょっとウルウルきてたでしょ?」

ヒサト「きてねーよ!」

 

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【本人はウルウルきていないと照れていますが、ここから普段はあまり話さない、家族の話も聞いてみようと思います】

岡田 「子供達もだいぶ大きくなったんじゃない?」

ヒサト「下が3つで上が小5。最近上の子と桃鉄やってるよ(笑)」

皆様ご存知かと思いますが、ヒサト氏は大の桃鉄好き。20年近くソロプレイを貫いてきました。

岡田 「おー!桃鉄仲間出来て良かったじゃん!仲良しだねー。小5だとパパ嫌がったりとかありそうだけど?」

ヒサト「思春期だから難しいところもあるけど仲良いよ」

岡田 「子供はやっぱりかわいい?」

ヒサト「そりゃかわいいよ」

岡田 「そうだよね!で、嫁さんは?」

ヒサト「嫁?嫁が何?」

岡田 「嫁さんかわいい?」

ヒサト「嫁はそりゃー ごにょごにょ(急にうつむいて照れるヒサト氏)でも、ほんと頑張ってくれてる。ありがてーよ」

岡田 「(笑) 家族が支えになってる?」

ヒサト「そうね。凄くありがたいと思う。麻雀にも影響あるしね」

岡田 「公式ルールの打ち方が変わったのも家族の影響があるの?」

ヒサト「そうね。おっさんから見て何が大きく変わったかね?」

岡田 「言い方難しいけど、ヒサちゃん結構攻めじゃない?今までは普通の人が行かないような微妙な局でも必ず攻めてたじゃない?それが今はほとんどオリになるよね。だけど、ピントがすごく合ってて、アガリ逃がしがほとんどなくて当たり牌掴んでる局がほとんどだよね。前は、放銃してもアガリ返す麻雀、だったと思うし。今はとにかく攻めない局が増えたイメージ」

ヒサト「そうね。昔はとにかく”アガリ逃がしが罪だ”って意識が強すぎて攻めていたんだけど、最近は放銃のリスクを負いたくない気持ちが大きくなってきたんだよね。だから極端に放銃率は減ったと思うよ。まあ、我慢出来るようになったんだよね。だいぶ(笑)」

岡田 「それは何で?」

ヒサト「子供産まれたのがおっきいんじゃない?子育て大変だから我慢覚えたよ。あとはA2時代に昇級逃した経験とかが大きいかもね。ひどい負け方だったしね」

岡田 「でも、ヒサトファンはいきっぷりの良い麻雀観たいんじゃない?」

ヒサト「そうねー。勝てない戦術にはこだわりたくないんだよね。でもやっぱり応援してくれる人、観てくれている人にはスカッとしてもらいたい。攻める時はバッチリ攻めるんで、そこを観て欲しいね」

岡田 「最後に今後のこととかは?」

ヒサト「やっぱりね、今のベテランの人達は凄く強いけど、このままじゃダメだなって思うよね。もっと若手が頑張って活躍して、色々な人達に麻雀を見てもらいたい。それは先輩方が今まで自分達にそうしてくれたから思う訳で、凄くありがたい事だよね。だからそれを引き継いでいかなくてはと思うよ」

【ヒサト氏には内緒で奥様の手塚さんからも一言頂きました】

手塚 「娘が産まれた時は、毎日のように喧嘩して、離婚しようかと思うくらいでした(笑)何度も何度も口酸っぱく言い続けた結果、下の子の時にはあまり喧嘩もなく、何かと気遣ってくれるようになりました。なので、あまりストレスになるようなこともなく、麻雀の結果も出てきて、ついには鳳凰位になれたんじゃないかと思っています。麻雀の事だけではなく、日々の暮らしを大切にしてきた結果だと思うので、これからも家族との時間も大切に丁寧に生きてもらいたいです。私もなるべくストレスを与えないように気持ちよく対局に臨めるようにサポート出来たらと思います。これからも、頑張ってね」

こんな素敵な奥様がいらっしゃったらそりゃあ鳳凰位も取れますよね。

 

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一見とっつきにくくてドライに見えるが、実は仲間思いであり、麻雀ファンにも愛され、周囲のプロにも慕われている、真面目で、麻雀一筋の ”昭和な男 佐々木寿人”
そんな男がついに鳳凰位を獲得して心底嬉しく思った。仲間達が喜んでいるのを見てそれも正直に嬉しかった。それをヒサトに伝えると「そんな気持ちあるからおっさんはあがってこれないんじゃねーか!」とありがたいお叱りを頂戴した。たしかに仲間とはいえ、皆ライバル。悔しい気持ちが無いことは良くないとは思うけれども、それは次回から思う様にするよ。
ヒサちゃん鳳凰位おめでとう!家族仲良く、これからも頑張って下さい!

以上で第37期鳳凰位 佐々木寿人のインタビューを終わります。
私の筆力不足で拙い文章となり、佐々木寿人の魅力を上手く伝えられていないと思います。そこは本当に申し訳なく思います。
皆様これからも佐々木寿人の活躍をご期待頂ければ幸いです。

 

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