戦術の系譜

戦術の系譜33 森下 剛任

前回は序盤・中盤ほどリスクと引き換えにアガリ率をあげて、他者より早くアガることが防御に繋がるという戦術でした。

今回の戦術は、残り【スジの本数と残り巡目】についてです。

麻雀における「スジ」には、
1―4、2-5、3-6、4-7、5-8、6-9の6本のスジがあります。

マンズ、ピンズ、ソウズの3種類があるので、3種類×6本の合計18本のスジが存在します。

私の通り名は『東海1の押し麻雀』で、もちろん長所ではあるがまったく守備を考えていないわけではありません。
自分の打点や他者の打点、テンパイ・ノーテンなどを元に押し引きを考えます。

相手からの先制リーチや仕掛けに対して、

①自分のアガリを優先して真っ直ぐ押し返すのか
②迂回してテンパイが取れるように粘るのか
③他家に放銃しないように完全撤退するのか

といった押し引きの判断材料の1つに、残りスジの本数と1局が終了するまでの残り巡目を常に気を付けています。

例で言えば、ダブルリーチや3巡目以内の早いリーチを受けた際に、自分の手牌が以下のような手牌だったとしましょう。

三万五万七万四索五索七索八索三筒四筒四筒五筒六筒七筒  ツモ五索  ドラ七索

他家からリーチを受けた時に、安全牌はメンツに組み込まれている五筒の1枚しかなく、1巡の安全はかえたとしても次巡に手が詰まりそうであったり、この手牌は大物手に仕上がる可能性が見込めるので、「①自分のアガリを優先して真っ直ぐに押し返す」を選択します。

早い巡目のリーチは、必ずしも高打点であったり、良形のテンパイであるとは限りません。
手痛い放銃になってしまうケースもありますが、しっかりと自分のアガリを目指し、放銃する事は仕方の無い事として割り切ってしまいます。

次に、ある程度の巡目が進んでからの他家からリーチや仕掛けがあった際についてです。
残り巡目が5巡、残りスジの本数が5本であった場合に押し返すか否かは、現在の自分の持ち点状況、着順やトータルポイント等も加味した上で押し引きを判断します。
では、残り巡目が2巡、残りスジの本数が3本であった場合はどうでしょうか。
オリてしまうとほぼ負けが確定してしまう親番であれば押し返さざるを得えませんが、そうでない場合は、私は残りの無スジの牌は押し返さない事が多いです。

ただ親の仕掛けが1,500点確定の場合に、自分がドラ3などの大物手の時は残り1スジでも切る場合があります。
これは相手が良形ではない時の見返りが大きいためです。もちろん打牌する時は覚悟して打ちましょう。

私の基準としては自分の手牌がある程度の中打点で、アガれそうな場合は残り5スジぐらいまでは勝負します。
これは普段の稽古で自分なりの基準を見つける事をオススメします。

参考例として幾つか挙げましたが、「残り巡目が○巡、残りスジの本数が●本であった場合」と様々なケースで、押し返すのか押し返さないのかの押し引き判断を自分にあった麻雀観と照らし合わせながら、見つけて頂けたら攻めの幅も広がると思います。

注意点としては、スジが当てはまるのは「相手の待ちがリャンメン待ち以上」の時になりますので、相手の捨て牌が不規則であったり、七対子やチャンタなど、何かしらの手役を狙っていそうな場合には、むしろスジ牌が危険な事も多いので気を付けましょう。

「今まで残りスジの本数を数えた事が無かった」という方は、是非ともこの思考を取り入れた上で麻雀の稽古をして頂きたいと思います。
始めのうちは、残りスジの本数のカウントに手間取る事もありますが、慣れてくれば自然と残りスジの本数を考えながら麻雀を打てるようになります。

残りスジを意識する事で、おぼろげながらでも相手がどのような牌を欲しそうかを考える事に繋がり、相手の手牌構成も想定する事が出来てきます。

【意識の無意識化】ができれば、その思考はあなたの“技”となるでしょう!

次回の戦術は「親と子の戦い方の違い」についてお話しします。

お楽しみに!