戦術の系譜

戦術の系譜34 森下 剛任

今回の戦術の系譜は親番での構え方(戦い方)をテーマにしました。

なぜこのテーマにしたかというと、私は親番と子の戦い方には人によってかなり個性が出ると思っているからです。
ざっくりわけると親番と子をあまり区別なく戦うスタイルと、親番と子の戦い方を変えるスタイルでしょうか。
私自身は親と子の戦い方を変えるスタイルです。

子での構え方としては、基本的に南家は親落としをメインに考え西家は自由。北家は親のツモ回数を極力増やさないように“ポン”は控えめにしています。子の場合は3人で親を落としに行くイメージです。

これらはあくまでベースで、手牌や捨て牌によっては戦い方が少し変化していくので、日々の稽古で自分なりのバランスを見つけましょう。

次に親番での構え方です。大きく意識している事は2つ。

1つ目は【リーチの使い方】です。

当然の事ですが親はアガリ点数が1.5倍なため、子は放銃したくない気持ちが強くなってしまいます。
そこを狙います!

 

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現在の私の手牌は1シャンテン。ただ親番で七対子の一本化はあまりしません。テンパイできずに親落ちが最悪なパターンです。なのでここでは打北としました。

荒プロは序盤の切り出しからしても早そうな手牌。

 

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終盤にホンイツをテンパイ。ヤミテンにする人も多そうだが私はリーチを選択。理由としては荒プロにテンパイが入ってそうで降ろしたい。
二筒五筒待ちがヤミテンでも出アガリ期待がそこまで変わらない。もちろんアガリたいが流局良しと考えたリーチでした。

 

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結果は初牌の発でオリに回り、自分が望む結果となりました。

親のリーチは魔法の言葉と言われるように、相手に与えるプレッシャーは相当なものです。時には愚形のリーチのみですら全員を抑え込む力があるのです。

良い事ばかり並べましたが、リーチは諸刃の剣。逆にしっかり押し返され放銃になってしまう事も多々ありますが、戦況を見極め「今相手がどうされたら苦しいのか」という事を考えています。
麻雀は自分の事だけではなく、相手の心情を考えながら打つものです。

2つ目は【アクションの起こし方】
皆さんも経験があると思いますが、落としたくない親番。配牌が悪く絶望的な状況…。こんな時、皆さんはどうしますか?

・ツモに賭ける
・ほぼ諦める
・鳴きを入れて足掻く

様々な思考の方がいると思います。

 

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王位戦の決勝戦。
現状の点数はトップ目ですが、この親番で優勝を決めようと思っていました。
そしてこの配牌。役牌こそトイツなものの、残った形は良くなくドラも無し。正直テンパイするかも微妙なところ。セオリー通りなら役牌をポンして、真っ直ぐ進めるのが普通ではないでしょうか。

しかし私は1巡目に小笠原プロから切られた九索をポン。これにはもちろん意志が存在します。
老頭牌のポンは相手側のケアする牌が手牌進行に不要な事が多く、役牌やトイトイ、チャンタ等の役のケアをしないといけません。
そうすることで巡目が深くなりがちで、テンパイ連荘する可能性が上がり親被りするリスクが減ります。

局途中の受け入れは最小限に抑え、字牌を打たずに場を重くします。相手からすると非常にやりにくく、堪ったものではないでしょう。
上手くいけば他家の手を完全に潰す事ができます。これが最大の狙いです!

逆に危険牌を打ち出してくる人がいる場合は、本手の可能性が高いので見落とさないように気を付けましょう。

 

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この局はツモが噛み合いアガリに結び付きましたが、半分はテンパイ止まりになると思われます。
ブラフ込みの鳴きは、手出しする牌によって本物か偽物か判別されてしまうので熟練が必要です。

2つ目のアクションの起こし方は、頭ではわかっていても、いきなり実践でできるものではないと思います。
使いすぎると効力は落ちます、普段の稽古で練習して、効果がある戦況を見極め、試合で自信をもって実践できるようになれば、それがあなた自身の技になるのではないでしょうか。

3回にわたり、私の戦術の系譜を読んでいただきありがとうございます。
これからの麻雀に少しでも参考にしていただけたら幸いです。

拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。