戦術の系譜

戦術の系譜35 勝又 健志

今月より「戦術の系譜」を担当させて頂くことになりました勝又健志です。
自分の戦術が正しいと断言できるほどの実績はありませんが、少しでも読んでくださった方のお役に立てればと思い精一杯書かせていただきます。よろしくお願いいたします!

今月のテーマは「構想力」
麻雀は配牌を取った後に、ツモと鳴き(ポンやチーやカン)で4メンツ1雀頭を完成させることを目指し、それができあがると難易度に応じて点数をもらうことができます。
難しい役を狙って高打点のアガリを目指すのか、安くてもアガリやすい手牌でコツコツ加点していくのか。
打ち手によってその作戦はわかれるところです。

打ち手によってわかれるとは言いましたが、はたしてどちらが得なのでしょうか?
それは高打点とか安くてもという部分が何点なのかによりますよね。

では、子の点数について考えていきたいと思います
30符の場合は
1翻 2翻 3翻 4翻  5翻
1,000 2,000 3,900 7,700 8,000

となります。
1翻から2翻に増える1ハンは1,000点しか増えませんが、3翻から4翻に増える1ハンは3,800点も点数が増えます。
でも4翻から5翻に増える1ハンは300点しか増えません。
この同じ1ハンなのに増える点数が違う部分に戦術を考える余地があると僕は思います。
打点上昇が少ないのに難しい手役を狙ったり、後少し手役を狙えば大きく打点アップするのに「もったいない」これを無くしていくことが大切なことなのです。

具体例として

二万三万四万九万九万四索五索六索七筒八筒北白白

この手牌はどう頑張っても打点お得ゾーンの手牌には届きません。
なので無理してメンゼンで進めても打点的メリットがかなり少ないため、早いアガリに期待して白をポンするべきです。

一方

三万四万五万六万六万三索三索四索五索六索五筒六筒北

このような手牌では、五万四索引きでタンヤオ、ピンフ、イーペーコー、その他にも三色等も狙えるため、かなり打点お得ゾーンになる可能性が高いと考えられます。
この場合は六万三索をポンしてテンパイに取るのは「もったいない」と言えるでしょう。

難易度ともらえる点数を比べた時に「もったいなくない」効率的な打点は何点なのでしょうか。
以下は僕が考える打点お得ゾーンです。

ヤミテンで2,000〜2,600の手牌をリーチして
リーチロン 3,900〜5,200
リーチツモ 5,200〜8,000

このゾーンこそが、アガリ率を大きく損なうことなく効率的に加点していける点数なのです。
ただ、たまたまこのゾーンの打点の手牌を待っているだけでは戦術になりません。如何にこのゾーンの打点を作っていくかが大切です。
そこで今回のテーマである「構想力」が大切になってくるのです。

【構想力】
上の打点お得ゾーンを見た時に共通点があることにお気付きでしょうか?
このゾーンはヤミの時に2翻必要なのです。つまり僕の思う構想力を言い換えると2翻分の手役の構想なのです。(もちろん本来は守備の構想であったり、展開の構想も必要なものではありますが)

具体的な考え方
配牌でドラが2枚以上ある時
→これは既にゾーン内の手牌なので牌効率で進めていく(途中で好形変化を狙う方が良い時もある)

配牌でドラが1枚の時
→どんな1翻分の役をつけることができるか考える
・タンヤオ
・役牌
・イーペーコー
・ドラの重なり(これは1回のツモでクリアできるので重要)

配牌でドラが0枚の時
→どんな2翻分の役をつけることができるか考える
・三色
・一通
・チャンタ
・ホンイツ
・純チャン
複合2翻でもオッケーです
・タンヤオ、ピンフ
・タンヤオ、イーペーコー
・ピンフ、イーペーコー
・役牌、イーペーコー

ドラが自分の配牌から見て使いやすい時は、ドラ+1翻でもオッケーです。

先日勉強会でこんな配牌がありました。

一万一万三万四万五万六万一索二索二索五索六索六索二筒発  ドラ発

さて、みなさんならどんな構想が思い浮かぶか考えてみてください。
先ほどの具体的な考え方から構想を練ると、配牌でドラが1枚なので、ドラの重なりは必ず考えます。
次に注目するべきはドラが発ということです。字牌のドラは重なってくれて2枚で使えれば良いのですが、そうでない時は河に切り出して手牌で2翻分の手役を作らなければなりません。

ではこの配牌から発を切り出す想定でどんな2翻分の手役が狙えるでしょうか?
・三色→123or456の三色が9枚中5枚
・一通→マンズが9枚中5枚
・チャンタ→四万五万六万のメンツがあり全く無理
・ホンイツ→マンズソウズ6枚ずつで厳しい
・純チャン→チャンタと同じ理由で全く無理
複合2翻でもオッケーです
・タンヤオ、ピンフ→四索七索あたりをツモれれば現実的
・タンヤオ、イーペーコー→五索七索あたりをツモれれば現実的
・ピンフ、イーペーコー→五索七索あたりをツモれれば現実的
・役牌、イーペーコー→発が重なった時は既にドラ2枚なので役を作る必要がない

つまり現実的な打点お得ゾーンの構想としては
①ドラの重なり
②タンヤオ、イーペーコー、ピンフの中から2つ以上
③三色or一通
という優先順位になります。

これらを総合して何を切るべきか?
打牌候補は
一万.一索.六索.二筒あたりです。

一万切り
①のドラの重なり時に少しの損
②の手役③の手役には損無し

一索切り
①のドラの重なり時に少しの損
②の手役に損無し
③の123の三色の可能性がなくなる

六索切り
①のドラの重なり時に損無し
②の手役に大きく損
③の123の三色で少し損

二筒切り
①のドラの重なり時に損無し
②の手役にほんの少しの損
③の123の三色の可能性がなくなる

このように考えると
一万切りは一索切りの上位互換、二筒切りは六索切りの上位互換で、一万or二筒から選択するのがベストと思われます。

優先順位①を重視なら二筒切りですし、ほんの少しの損ならば②③で損の無い分バランスが取れると思えば一万切りとなります。
ちなみに僕は優先順位の①を重視して二筒を切ります。

一万切りと二筒切り
どちらが優るかと言われると僅かに二筒切りが優る気がするというところで、僕には難しい微差の領域、後は皆さんの個性であったり得意なバランスの取り方で変わってくるのかなと思います。

ただ、一索切り六索切りはかなり差があって損ということがわかります。
この構想力を磨いていくことで皆さんの「もったいない」が少しずつ減っていくと僕は確信します。
強くなることが楽しいという麻雀ファンの皆さんの参考になれば嬉しく思います。