戦術の系譜

戦術の系譜37 菊田 政俊

今月から『戦術の系譜』を担当させていただきます。菊田政俊です。
初めて物書きに挑戦します。お目通しいただければ幸いです。

「!?」
「えっ!?自分が?」
これが依頼を受けたときの私の反応。
ご存知ない方がほとんどだと思いますので、まずは自己紹介を。
・東北本部所属・32期生(7年目)
・41歳
・射手座
・血液型不明
・生まれも育ちも宮城県
・仙台市在住
・麻雀店勤務20余年
仙台市を中心に、私設リーグやイベント運営等をおこない、競技麻雀の普及活動をしています。

こちらを書くにあたり、皆さんにお伝えできる戦術は?と、考えましたが、あいにく私は特別な技術を持ち合わせておりません。やってきた事といえば、ほぼ毎日牌に触れ、多い時期は年間5000半荘ほどリアル麻雀を打ってきました。打数によって得られた経験を、こちらでお話しできればと思います。

まず麻雀が上手く(強く)なるには何が必要でしょうか。
たくさん麻雀を打てば必ず上手くなるわけではありません。しかじ打数は正義゙これも一つの正解だと私は思います。

【打数は正義】
私が麻雀店に勤め始めた20歳の頃。たまに勝てば楽しくてもっと打ちたい、負けたら悔しくてさらに打ちたいと、たくさん麻雀を打ってきました。
実践を重ねる事によって技術はもちろんですが、なによりも精神力が鍛えられたと思います。
好調な時と不調な時は、同じ相手と同じゲームをしているとはとても思えないほど、自身の感じ方が違ったりします。同じ配牌でも精神状態によってまったく違って見える事もあります。これを知っているだけでも、気持ちによる打牌のブレが減ります。また寝不足などにより体力が落ちている時は、精神的ダメージも負いやすく、万全ではない状態で麻雀を打つ経験を積んでおくことで、いざという時に対応できるように備えておけます。
自身の心を知ることはもちろん、相手の反応を知ることで得られる情報は、計り知れない価値を秘めています。置かれている状況、その人間(ひと)の背景、間の取り方など、様々なクセが色となり、いろんな事を教えてくれます。河を見るよりも人を観察(みた)ほうが勝ちに近づける!なんてことも。

情報を与えてるのは自分も同じ、相手になるべく読まれない為には、揺れない心と、表に出さない精神力が必須。
その為にはたくさん打つべし!打数は正義!

【自分ルール】
たくさん打つうえで、必ずしていただきたいのが、成績の管理です。
己を知る為に非常に重要です。平均着順やスコアはもちろん、判断が難しかった手牌や局面、対戦相手や、ルール別に記録したりと、細かいほど価値があります。
この記録をもとに、打ち方の研究や調整をしていきます。
まずは雀風のベースとなる、自分ルールを決めます。
例えば、
面前テンパイは全てリーチ。
後手を踏んだらオリ。
満貫以上はゼンツ。など。
このルールで500回(私の場合月に200~300回)程度打ち、成績と体感から微調整。
良形テンパイはリーチ。
後手でも赤アリはシャンテン押し。
自身トップ目以外は満貫以上ゼンツ。など。
また500回程度打ち、、、改善点をみつけては微調整、、、、
これを繰り返すことにより、徐々に成績が上向いていきました。

自分ルールと並行して基礎雀力を向上させる
単純に手牌を前に進める効率的な打牌や、打点効率の良い打牌など、セオリー、基礎となる技術については、統計を元に書かれたモノなどの、数字から正しい知識を取得し、考えなくても答えを指が選択できるようになるまでカラダに染み込ませる。
その為にもたくさん打つべし!
ただし、これは基礎で麻雀における筋トレ、体力作りの部分。これが出来るのは当たり前で、この鍛えたカラダをどう動かすのかが大事。それが自分ルール。

【いろいろな声に耳を傾ける】
「早いリーチはイースーソー」
「南カンにアガリ目無し」
などなどなどなど、卓の中では根拠のない麻雀談話が飛び交っていますが、たま〜に核心を突くような言葉に出会うこともあります。

常連のお客様で、剣道の有段者のおじいさん。
その方と同卓時に言われた
「ヤミテンしてたでしょ?呼吸で読めちゃうよ」
これにはドキッとしました。それまで考えた事もなかった。
人と人との勝負、みんないろんな武器を持って戦っていると再認識させられました。麻雀以外のことからも、得られるものはいっぱいあるんですよね。

ちょっと前に話題となった『STOP!教え魔』
私が麻雀店デビューした頃、麻雀打ちの方にもいっぱいいました。
でも意外と本当の知識を教えてもらっていたなーと。
南4局 赤アリ東南
東 34,100
南 10,600
私 32,800
北 22,500
南家のリーチを受け、2,000点で必死に無筋を切り飛ばし、結果跳満放銃。4着終了…ちゃんちゃん。
それを横目で見ながら東家が「自分がアガるだけがトップの取り方じゃないよ」と。ラス目のリーチは高打点の可能性が高い、ツモアガリなら親被りで逆転終了の未来もあった。ニヤニヤしながら言われて、若い時分はカッとなったりしたものですが、後から冷静に考えてみると納得のいくものでした。

麻雀は人生の縮図と言われる事もあります。人間と人間の勝負、思いがけないところに価値あるヒントが転がっているかもしれません。いろいろな声に耳を傾けてみてください。

楽しい事ばかりではないかもしれませんが、牌にふれている時間は、麻雀打ちにとってプラスとなる事だらけなのは間違いないです。
どんなルールでも、どんな相手でもかまいません。まずはたくさん麻雀を打ってください。必ずそれが自分の力になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。