戦術の系譜

戦術の系譜10 猿川 真寿

今回からこちらのコラムを担当させていただくことになりました。
基本、書き手の自由ということで、何を書こうかなと数日悩んでいました。
滝沢氏が書いた、読みの基本みたいなものは読み手の為にはかなり需要があるし、求められている物なのかなと思いましたが、この先の書き手がまた書くだろうということで、私は麻雀に対してのメンタルや考え方などを書かせていただこうかと思います。

あくまで、私の主観ですので雀力向上というよりは読み物として見てもらいたいです。
面白い思考だなと思われたら幸いです。

麻雀に一番大事なものは、「メンタル管理」だと思っています。
当然、技術的な部分は勝敗において大きなウエイトを占めますが、雀力が同じぐらいのもの同士の戦いは、メンタルが強い人のほうが、強者になりやすい。
もっと言うと、メンタルをぶれにくくするために、技術向上をすると言っても過言ではないと思っています。

初心者の方は、正解が分かりにくく、合っているかなという気持ちで麻雀をしている人も少なくないと思います。
不安があれば当然メンタルもぶれて、普段切れる牌が切れなくなったり、リーチをかけれなくなったりする。
それが、負けに繋がります。

ではどうすればメンタルが強くなるのか?ということですが、先ほども書いた技術向上ということになるでしょう。

このテンパイ形ならリーチする。余剰牌が3~7ならペンチャンを落とす。など、ある程度有効だと思われる決め事を作ることも大事なことです。そうすることによって、結果が裏目だったときもミスではない。と思えるようになるからです。

技術面は、他の人のコラムや戦術本で勉強していただければと思います。
前置きが長くなりましたが、麻雀についての考え方について、書いていきたいと思います。
考え方1つでメンタルも強くなっていきます。

 

1. 己を知る

このコラムを読んでいる人は、大体初級者から中級者ぐらいの人が多いのではないかと思います。
それなりに、場数を踏んでいるかと思われます。トップをとったり、ラスを引いたりと何回も繰り返しているかと。

まず、どんな展開のときにトップをとったか、できる限り思い出してほしい。
東1局に8,000オールをアガってそのまま逃げ切った、オーラス5本場まで積んで捲ったなど色々あります。
また、逃げ切りトップが多いとか、追いかけるほうが得意、小場、荒場のほうが好きなど人それぞれだと思います。

まずは、自分の勝ちパターンを知ることが大切だと思っています。
麻雀は、道中でいくら点棒がなくなろうが、南4局が終わった時点で、一番点数を持っていた人が勝ちとなる競技です。
誰でも、理想は加点しても失点はしたくないと思うでしょう。でも、そんなに上手くいくことが毎回ある筈もありません。
人には理系、文系タイプや性格の違いなどあり、麻雀の打ち方、勝ち方も十人十色だと思っています。
自分は、どういう展開(パターン)のときトップになっているか、打ちやすいか(気持ちよく打てているか)。ということを意識してみてはいかがでしょうか?
そうすることによって、その局ごとの目的がはっきりしてきて、メンタルがぶれにくくなっていきます。

 

2.要否

皆さんは、参考にしている打ち手はいるでしょうか? または、アドバイスを受けている人などがいるでしょうか?その人はどんな雀士ですか?
なぜ、こんな質問をしたかというと、その人がどんなに強くても、自分にとっては必要のない情報(戦術)になることもあるからです。

理想としては、打ち筋や好みが似ているタイプの人を参考にしたほうがいいと思います。
真逆なタイプは、自分の欠陥の部分を持っていますが、一朝一夕で真似できるものではありません。
例えその1局が同じ思考だったとしても、全体的なバランスとしてはうまくいかないケースが多いからです。

少し前によく言われた、一貫性とは相異なので勘違いしないでもらいたいです。
よく言われる引き出し(技術)は、多ければいいというわけではないと思います。
理想はすごく沢山あってバランスが取れればいいですが、矛盾する技術もあるので、相当困難だと思われます。
それよりも、自分の武器を磨くことが成績アップの秘訣になります。

上記に必要のない情報(技術)とありますが、必要なくてもそういう考え方があるのだと記憶しておくことは大切です。
対戦相手の思考を探ることは非常に大事なことです。ということで、効率のいい引き出しを探してみてください。

 

3.一路邁進

例えば、こんな牌姿で

一万二万三万六万七万八万一索二索三索二筒三筒九筒九筒白  ドラ八万

親が4巡目でリーチをしていて、一筒四筒が河にある。同巡テンパイで白は現物。さてどうするのが正解でしょうか?
正解はありません。でも不正解はあります。
白を切らないことです。

私は性格上リーチといきますが、ヤミテンも有力だと思います。アガリ率が圧倒的に違いますので。
もし、四筒だけが現物だった場合はどうでしょうか?
また、現物待ちではなかったとしたら、ヤミテンはおかしいでしょうか?
他にも、親のリーチが入っていなかったとしたら?

私の答えはどちらも(リーチもヤミテンも)有力。
確かに、メンタル的にはこういうときはこうすると決めておいたほうが、失敗したときに、しょうがないと思えるので痛みは少ないかも知れません。
しかし、決め事を増やすと成長の妨げになることも多々あります。

対戦相手の雀力もまちまちで、先ほど書いた状況もキー牌だけで、4者の河についても同じ状況はないからです。
ではどうすればいいのか?

とにかく、自分の打牌を正解だと思い込んでください。一種のマインドコントロールです。
結果は水もので、リーチしたなら、しなかった時にどうなったかは分かりません。
ヤミテンにして高めをツモッたとしても、リーチしていたら鳴きが入ったかも知れませんし、牌譜があればあとからは分かりますが、対局中は分からないし、知る必要もありません。

あくまで、結果に対してポジティブな思考を持つことが大事です。
反省は対局後にするもので、後悔はしないように心掛けてください。

 

4.勝つことより負けないこと

麻雀において勝つ(トップをとる)ことは、非常に大事で、麻雀の醍醐味の1つだと思います。
でも、同じぐらい大事なことがあります。負けないことです。

麻雀は、4人のうち1人しか勝てないゲームです。4分の3は敗者ということになりそうです。
決勝においては確かにそうですが、最強戦のような1半荘勝負でなければ、敗者は何人でしょうか?私の考え方では4着の1人で、2、3着は引き分け(痛み分け)です。

トーナメント方式と言われる2位まで勝ち上がりのシステムや、決勝といった勝者が明確なもの以外に対しては、1位を目指すより負けないこと(2着、3着)でもよし、ぐらいの気持ちが大事で、道中トップと何点差になったとか気にしてても、麻雀は与えられた配牌とツモで戦うゲームなので、無理に点差を詰めようとしたりするゲームではありません。無理をすれば、それだけ負ける可能性が増えます。

では具体的にどうやって打てばいいのか?ということになりますが、その日調子の悪そうな人に厳しく打つになります。
オカルト的な話に聞こえるかも知れませんが、4着目をできる限りアガらせないと言えば分かりやすいでしょうか。
当然、高打点をアガられて復活されることも多々ありますが、厳しく打っていればアガられてなかった場面なのに、打たなかったせいでアガられてしまうのはよくありません。
それによって、自身のアガリを逃してしまうこともあるかも知れません。

でも、よく考えてください。常に4分の1しかアガれないゲームです。残りの4分の3をアガられても致し方ないのです。
風牌を切るときの順番も私はこの思考で選んでいます。自分が1着目の時以外は、4着目の風牌は最後まで絞ります。
1着目のときは、4番手があがってきて3者が混戦になるほうがトップで終わる確率があがるので、2着目の風牌が最後になることが多いです。
他の戦術は次回書きます。

 

5.好きこそ物の上手なれ

ここまで読んでいかがでしょうか?
メンタル強化=ポジティブシンキング。
難しく考えないほうがいいです。麻雀という不確定要素が多いものを、完璧に打とうという発想が自らを苦しめているのです。
もっとシンプルに、アガれそうだから押す。持ち点は減ってから考える。これぐらいの気楽さで、打つほうが麻雀の楽しさに触れられると思います。

楽しいから、また麻雀をやりたくなる。もっと楽しみたいから、強くなる。
数学ではないので、答えは1つではありません。間違えてもいいんです。
と今回はここまでにします。

次回は、麻雀に王道があるのかどうか私には分かりませんが、どちらかと言えば真逆にある邪道の戦術について書きたいと思っています。