戦術の系譜

戦術の系譜17 内川 幸太郎

皆さんこんにちは。
第2回目となる今回は前回最後のこの文
「戦術の多くは攻撃面と守備面に分かれますが、1局だけをみたものと1半荘、またはその日1日をみたものもあります」
こちらを深く掘り下げて戦術というものの意味を考えていきたいと思います。

そもそも戦術の定義とは?
何か目的を達するために戦略という外枠を立て、それらを実行するに作戦を練り、その作戦を実行するための技術が戦術となると僕は認識しています。

僕が今出ているプロの試合にもさまざまなものがありまして、年間48半荘ほどを打ち競い合う鳳凰位戦(A2リーグ戦)。
1日4.5半荘のトーナメントを繰り返し勝ち上がっていく十段位戦やグランプリMAX。
12半荘前後で行われるタイトル戦決勝戦。

全て勝ち上がり条件が違い、その試行回数も違います。
リーグ戦は上位1~2割の昇級または決定戦進出が決まり、下位も同等ほどの比率で降級になります。
トーナメントはその日の上位2名になるのが命題でポイントの多寡は問いません。
決勝戦は、優勝しか価値はありません、1位になれば良いです。

勝ち上がり条件がそれぞれで違うので、目的を達成するための戦略が違ってくるのは当たり前で、それに従い戦術も当然変わってきます。

昇級降級のあるリーグ戦は、その道中のポイント状況に見合った選択をする事が多くなるでしょう。
昇級争いはリスクが少なく、降級争いはリスクとの闘いです。
僕の戦い方としてはリーグ戦序盤こそ大きく腕を振ってリードを取りに行きます。
仮にイニシアチブが取れなくてもやり直しがきくからです。
以前Bリーグにいた時はこの真逆で、まず残留ありきでツキが向いた時にいつか昇級できるだろうという戦い方をしていました。
その結果、7年半もB1、2リーグに居ました(落ちはしませんでしたが)
目標は鳳凰位ではなかったの?と自分に問いただしてから勝負にいけるようになりましたね。

トーナメントはその日で生き死に賭けますから、リスク回避が肝になる場面とリスクをいくらでも負える場面がはっきりしやすいです。
僕はトーナメントが大好きです。
心理状況が打牌に顕著に現れ、そこを読むのを得意としているので勝率も非常に高いです。
コツは通過ラインを常に意識する事と、自力だけでなく他力も時に利用することが良いと思っています。

タイトル戦決勝戦などの短期決戦の1位縛りに関してはあまり誇れる戦術は持ち合わせていません。
まだまだ僕自身が勉強している最中です。
過去大きいタイトル戦の決勝は、7回ほど経験していますが取れたのは一度きり。
次に決勝に乗った時に取ってようやく確率内と要勉強ですね。
現状自分なりにわかっている事は、最後まで自力で戦い抜かなきゃ優勝は無い、展開での優勝は無いという事だけです。

いまざっと書いたところが戦略の部分です。
決してプロ向けに書いたわけではなく、皆さんでも使える場面があると思います。
昨今は一般の方でも出られる大会が増え、ワンデーの大会を始め有志によるリーグ戦も多々見受けられます。
ワンデーの大会で優勝を目指すなら、普段よりも前のめりに攻撃的にならざるを得ません。
アグレッシブな戦術を選ぶと良いでしょう。
リーグ戦で安定成績を残したいのであれば、リスクを抑えた選択の戦術を選ぶと良いでしょう。

この戦術の系譜というタイトルのコラムをいまいちど戦術というものの意味をしっかりと捉え、ご自身の麻雀力向上のため、再度第1回から書かれている戦術はどの場面で使えるのか?どの戦略を立てた時に一番マッチする戦術なのかを考えながら読み返して欲しいなと思った次第です。

戦術だけを理解しても、前提となる戦略にそぐわなければ正しい価値を導き出せません。

繰り返しになりますが、参加する大会のレギュレーションを見極め、それに対して戦略を立て実行する戦術を選ぶ。
このことを意識して麻雀を打つとご自身の麻雀に深みが増し、新たな麻雀感も養われ更に楽しくなること間違いありません。

麻雀は打つだけでも楽しいものですが、勝ち方を覚え上達を感じると更に楽しくなります。
ぜひ勝ちにもこだわり思考を巡らせる事を楽しんでください。

今回は戦術の意味をいまいちど考えてもらう文にしました。
是非この戦術の系譜コラムをご自身の麻雀に活かせていただけたら幸いです。