戦術の系譜

戦術の系譜25 三浦 智博

みなさんこんにちは。
この度「戦術の系譜」を担当させて頂くことになりました三浦智博です。
プロとして未熟なところもありますが、少しの間お付き合いいただけるとうれしいです。

今回書かせていただく内容なんですが、日本プロ麻雀連盟のリーグ戦で採用されている「連盟公式ルール」と、おそらく皆さんが一番使われているルールに近い「Ⅿリーグルール」この2つのルールによる選択をテーマに書いていきたいと思います。

まず単純にルールの違いを考えてみましょう。
・一発裏ドラカンドラ
・赤牌
・順位点
大きな違いはこの3つでしょうか。ではこの中で一番影響が大きいものはなんでしょう?
私の答えは「順位点」です。実際に見てみましょう

 

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連盟公式ルールは浮き沈みにもよりますが、一番多い2人浮きの場合、2着からトップになると4,000点得するのに対して、Ⅿリーグルールはなんと10倍の40,000点も得します。
もはや別のゲームにしか思えませんね。この差は半荘が終盤に近いほど影響が大きくなります。

例えば連盟公式ルールで

 

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六万を押して放銃した場合、3人浮きの3着落ちで15ポイント(素点の8,000点+順位点の7,000点)失うことになりますが、5,200点までならトップのままで、さらに自分はドラドラを使った12,000点テンパイです。これはかなり押し有利になると思いますので六万を勝負したいところです。

では同じ状況でМリーグルールはどうでしょう

 

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スタートの持ち点が違うので全員5,000点減らしてありますが点差は一緒です。

当然、連盟公式ルールと同じで満貫放銃すると3着に落ちるわけですが、失うポイントが全然違います。
順位点が大きいのでなんと68ポイント(素点の8,000点+順位点の60,000点)も失うことになります。
さらに赤が3枚入っているためリーチの平均打点も高くなるので、ここは一旦現物の七万を切って次の無筋でオリるのが無難です。

このように、連盟公式ルールはある程度自分の手牌で押し引きを決められるのに対して、Ⅿリーグルールは持ち点によって打牌が左右されます。

もう1つ例題を出します、今度はⅯリーグルールから

 

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親リーチの宣言牌八筒を南家がチーして四筒を切ったところです。
さて自分はアガれそうに無いですが、幸いにも安全牌は十分あるので当然ベタオリ、、、というのは順位点の大事さを理解していません。
理想は南家のアガリですが、親に4,000オール以上をつもられるとトップを捲られてしまいます。ここで大事なのは自分がトップで終わるための条件確認です。
南家か西家になら12,000点放銃してもトップのままだということ、これは大事な情報なので配牌を見る前に確認しておきましょう!

ということで、ここでは東家と南家の両者に安全な牌よりも、南家のアガリで半荘を終わらせることができるよう、あえて危険な二筒三筒などを切って行くことをおすすめします。
※半荘をトップで終わらせるため、放銃を狙う優位性はアガリやめの有無にも左右されます、有りの場合はかなり有利になります。

同じ状況で連盟公式ルールはどうでしょう

 

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今回もトップを守るために二筒三筒を切るのがいいのでしょうか?簡単に計算してみましょう。
南家に振り込んだ場合、おそらくダブ南ホンイツの7,700点で素点が約8ポイント順位点は変わりません、
ベタオリして親が4,000オールをつもった場合、素点が4ポイント順位点で4ポイント合わせて8ポイント、親が連荘なので再逆転の可能性があります。
2つのパターンにはあまり差がないので、ここは振り込みに行かずとも南家がアガることを祈ってベタオリするのが正解です。

どうでしょう、ほとんど同じ状況だったにも関わらず、2つのルールでこれだけ選択に違いが出ます。
簡単にまとめると、Ⅿリーグルールでは相手との点差を常に意識することが、そして連盟公式ルールでは点差に惑わされず、正確に押し引きできることが上達に繋がります!

次回は2つのルールの仕掛けについて書いていこうと思います。
それではさようなら!