戦術の系譜

戦術の系譜27 三浦 智博

「連盟公式ルールが難しくて打ち方が分かりません」

以前ある後輩プロに聞かれた質問です。
そのプロは、一番よく打つМリーグルールに近いルールでは好成績を残せているけど、連盟公式ルールでは成績を残せずリーグ戦を降級してしまって悩んでいるとのことでした。

実はこの手の質問はプロ、アマの方問わずたまに受けるのですが僕はこう答えるようにしています。

「連盟公式ルールが一番シンプルです」

僕自身公式ルールについてはまだまだ研究、改良の余地があると考えていますが、これだけは間違いないと思っています。

この「シンプル」というのは「簡単」という意味ではなく、麻雀に対してシンプルに考えるのが強いという意味です。
例えば「速さと打点のバランスのとれた手組や鳴き」だったり「手牌の価値を理解した正確な押し引き」などの基本的な能力が成績に直結しやすいです。

当然Мリーグルールでも大事なことなのですが、前回までの話にあったように大きな順位点や一発赤があることにより選択が複雑になります。

さて今回のテーマなのですが上記と一緒によく聞かれる質問で「序盤の打点を見た手組」について書いてみようと思います。

連盟公式ルール 西家1巡目

 

100

 

四索中が浮いていてドラが中なので、四索を切るのが無難に見えます。しかしこの手は手なりで進めてもドラが重ならないかぎりリーチのみ、しかも愚形残りになりそうです。

ということで、三色やタンヤオの種である四索は残したいところです。当然ドラの中も残したいので他の選択を考えてみましょう。

四筒西はどうでしょうか?上手くいけば三色やタンピンで高打点になるかもしれないです。しかし、一番手っ取り早い七対子ドラドラの可能性が下がるので最善手とは言えません。

残る選択は九筒です。唯一手役に絡んでいないターツを外して、その間に何を引くかでこの手の方向性を決めるのは有力な手です。

ということで、九筒が手役を狙った連盟公式ルールならではの選択・・・なのですが、じつはМリーグルールでも九筒切りがよかったりします。
一発裏ドラがあってもリーチのみの愚形はハイリスクローリターンだからです。

ただしМリーグルールには次のようなパターンがあります。

 

100

 

先ほどの牌姿から五万赤五万に変わりました。これなら赤を使ったリーチで十分勝負手になりうるので手なりで四索を切る手も有力になります。

今回の話をまとめると、価値の低い手の時に手役を見た選択はどちらのルールも同じなのですが、赤や一発裏ドラがある分、Мリーグルールは手なり進行が有利になることがある、ということです。

3回にわたって「連盟公式ルールとМリーグルールの違い」をテーマにこの戦術の系譜を書かせていただきましたが、今回の記事が最終回となります。
僕自身まだまだ勉強中ですので、皆さんにとって価値のある内容になったかは分かりませんが、この記事を読んだことで少しでも連盟公式ルールや、Мリーグルールが前より面白いと思っていただけたら幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!さようなら!