戦術の系譜

戦術の系譜31 前原 雄大

~負けを心に刻む~

麻雀が強くなる為には様々な方法が存在している。
とある敬愛する人が言っていた。

「とにかく、3年間毎日休まず仕事をやり続けなさい」
「それで仕事が上手く行くようになるのですか?」
「それは才能というものもあるのだから、一言では上手く行く、とは言えない。ただ、続けられた者は仮にその仕事が上手く行かずとも、別の仕事に就いた時何らかのカタチで上手く行く」

__なるほどと思えた。

麻雀に置き換え考えてみた。
麻雀はまだまだ未成熟な世界だから、殊更特別な才能など必要だと私は思っていない。
かく言う私も3年間休まず麻雀を打ったことはない。おそらく、1年間休まず打った事もない様に思える。

そんな私でもその人の言葉にはなるほどと頷ける。
私が色濃く麻雀を打っていたのは20代半ばから後半にかけてである。
日本プロ麻雀連盟の道場が市ヶ谷にあり、その傍に先輩の営む麻雀店があり、そこに通っていた。

麻雀に常勝はない。そんな事は解っていたが、酷い内容の負け方をして、自分が許せず、敗因を考えながら20数キロ、歩いて帰途に着いた事もあった。
勝った時の記憶はあまり無い。人にもよるのだろうが、負け、敗因を曖昧では無く記憶に留める事は、その人の成長に繋がる事に間違いない様に思える。

 

~決めごとを作らない~

例えば海であれ、空であれ、様々な表情を持っている。
穏やかな時もあれば荒れ狂う時期の海もある。
突然表情が変わる時もある。

麻雀も同じで、ダメな時はダメなもので大自然と似ており、どうしようもない時もある。
それ故に、あまりいい加減な決め事は作らない方が良いと考える。
それでも、先日行われた最強戦は少しだけ決め事を作った。

それは、余程の高得点でない限り、仕掛けないという事である。
私の場合仕掛けるという事はオリないと言う事であり、長期戦でもどうかと考えるが、短期戦では敗因になっても勝因にはならないからである。

予選トーナメントでは東3局3本場5巡目テンパイ。

二万四万六万六万六万四索四索八索八索八索六筒七筒八筒  ドラ四索

ここからの10巡目

四万五万六万六万六万四索四索八索八索八索六筒七筒八筒  ツモ三万

東3局ながらこのアガリが大きく残り、あとは自然に身を任せば良いだけの状態となった。
誰が打っても結果は同じだったように思える。

問題は予選決勝戦、今度は1位以外意味が無い。

問題その1
東2局2巡目

二万二万三万三万四万四万四万六索三筒三筒七筒発発  ツモ五索  ドラ四索

私は手拍子で打七筒としたが、打った瞬間過ちとは言わないまでも違和感を覚えた。
発を仕掛けない前提であれば、やはりここは打四万だろう。腰の重い打ち手であれば打発もあるだろう。

 

100

 

仮に打四万なり、打発なりしておけば、

二万二万三万三万四万四万五索六索七索三筒三筒七筒八筒

この牌姿になり、沢崎誠さんから九筒を捉えていた可能性が高い。しかも裏ドラは二万である。
断定はできないが、起家スタートを考えればリーチである。幾ら先行しても結局は点数を合わされてしまうのだから。

問題その2
南2局2本場

 

100

 

結果は最上と出たが、私は5巡目ツモ一筒で僅かだが時間を使っている。

三万三万四索五索六索六索二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒  ツモ一筒  ドラ六筒

欲しいのは満貫以上なのだから、ここで仮にリーチを打って五筒が出たらどうするのか!
ここはノータイムで一筒のツモ切りである。
自分の事だから記しやすい。やはり、プロとしては問題である。

南3局ドラ八索

 

100

 

100

 

今局はおそらく誰が打っても同じだろう。違うとすればテンパイトラズか。いずれにしても、どうやってもアガっているのである。
結果はともかく、戦術としてはメンゼン主義を選択し、実践できたように思う。
ただ、最強戦に関しては階段を一つ登ったに過ぎない。

多いと思うか少ないと思うかはその人次第であるが、以前にも記したように週に5日程麻雀を打っている。
勝って喜ぶ事は昔から無いが、負けて自分に嫌気がさす事に少しは慣れたが反省の繰り返しである。

麻雀が強くなる方法は幾らでもある。
一番手っ取り早いのはとにかく、量を熟し適格な反省をするのが良い。
量は裏切らないし、量はやがて質を超える。考えなくとも身体が、指が麻雀を打ってくれる。
プレッシャーのかかる真剣味を帯びた麻雀を熟して行けば強くならないはずも無い。

殊に若い人は体力もあり、感性も研ぎ澄まされている。
その時期に打った麻雀の量は齢を重ねるごとに年輪のように太く実るものである。

転ぶ事を恐れてはいけない。転んだ数だけ転び方を覚えケガをしなくなるものである。
そして、それがやがて貴方の麻雀のフォームを作ってくれるものだから。

全4回に渡り、読んでくださった方々には御礼申し上げます。
生きている限り、全ての対局にこの身を捧げる所存であります。