戦術の系譜

戦術の系譜32 森下 剛任

今回戦術の系譜コーナーを担当する森下剛任です。

内容は自身がこれまで培ってきた戦術とのことなので、テーマはアガリに向かう姿勢にしたいと思います。

麻雀は見えない情報が多いゲームです。見えるのは、自分の手牌と鳴いたフーロ、捨て牌、対局者の顔や間ぐらいしかありません。情報が少ない中、対局者の手牌を予測しないといけないのでそう考えると大変難しいゲームですよね!

そんな中、アガらなければ基本的には点棒は増えません。ということは、自身がアガるということがいかに大事なゲームかがわかります。

自分が満貫、跳満、倍満と高い手をアガれたならいうことはありません。しかし、自分がどんなに安い手でアガったとしても、場合によっては他者の高いアガリを阻止していることもあります。よって、放銃するリスクを抱えながらも、アガリに向かう姿勢というのはすごく大事なことだと私は思っています。

東1局 北家 ドラ二筒 6巡目南家から 

東白九索 上向き一万 上向き九万 上向き七索 左向き

このような捨て牌でリーチが入りました。

私の手牌7巡目 

一万二万三万四万一筒二筒二筒二筒七筒八筒  ポン中中中  ツモ九筒

場には一万が1枚切れ、ドラ表示牌に一筒が見えている状況です。

何を切りますか?

ドラ3の勝負手です。私の選択は一筒切りです。ワンチャンスとはいえ、なぜ安全牌の一万切りではなく一筒切りを選択するのか?それは、自身の手がドラ3でアガリにまっすぐ向かう価値のある手だからです。放銃するリスクよりアガリのメリットを優先します。

なぜ一万四万待ちを選択するかというと、一万四万待ちは5枚一筒三筒待ちは6枚で枚数は不利ですが、リーチ者とのめくり合いプラス、リーチ者の現物ということで他者からのロンアガリも期待できるからです。

その後危険牌を引いたりしても、やはり勝負して続行します。リーチが親のリーチでも一発でもそうです。

では、ドラなしの場合どうしますか?ドラもなく安手なので安全に一万を切りたくなります。でもそれで本当にいいのでしょうか?

まずこの手牌、安全牌が一万しかありません。まだ7巡目で終局までは遠く、オリたとしてもオリ切れそうにありません。一刻も早くアガることこそ最大の防御と考えます。

序盤から中盤にかけては情報が少なく相手の待ち候補が絞り切れません。それは自身だけではなく、リーチをしていない他者も同様です。情報が少ないということは、少なからずリーチ者の現物が切られやすくなります。だからこそテンパイをいかしアガリをとりにいきます。

よって私の選択は一筒切りになります。

じゃあドラ3の勝負手もドラなしの手も変わらなく、終盤まで攻めるかというとそうではありません。中盤から終盤になるにつれて、自身が通した牌やリーチ者のリーチ後の捨て牌によって、他者の安全牌の確保がしやすくなります。いくらリーチの現物になっていたとしても、自身が勝負しているため共通安牌があればリーチ者の現物は出てきにくい牌になっていきます。

安手の場合は他者の様子を見つつ、終局までオリ切れるかどうかで判断します。どんな状況も決してリーチ者と自分だけの戦いではなく、麻雀は4人いることを忘れてはいけません。

安全に、安全に勝とうとする方が多いように感じます。安全な選択をして勝てるに越したことはないのですが、まったく勝負しないで勝てることは滅多にないと思います。しっかり勝負所は勝負して、活路を見出す事が大事だと私は思います。

すべて現物待ちにすることが正しいわけではありませんが、押し麻雀の戦術の1つだと私は思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。少しでも今後の戦術に加えて頂ければ、幸いです。

次回もお楽しみに!