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第100回『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』 櫻井 秀樹

2015/04/14
執筆:櫻井 秀樹


みなさんはじめまして。
現十段位の櫻井です。
うう、ええ響きや・・・
タイトルホルダーとして威張れるのも、いろんなプロの方から挨拶して頂けるのもあと半年・・・おそらくこの中級講座も半年ほど担当させていただく事になります。
人様に何かを教えたり、伝えたりする事はあまり得意ではないのですが、どうぞお付き合いくださいませ。

さて、みなさんは麻雀というゲームの大きな特徴というと何を思い浮かべるでしょうか?
・確率や効率などにそって進める数学的なゲーム
・勢いや流れなど、科学では証明できない事が法則的に起こる不思議なゲーム
・無限の牌の組み合わせが織りなすファンタジー
・まるで人生の縮図のような・・・

まあ、人それぞれ麻雀の捉え方、楽しみ方があってよいと思いますが、私は
「もっとも面白い対人ゲーム」
として麻雀を説明する事があります。

なんせ、感情を持つ人間4人それぞれが自分の勝利に向けて思考を繰り返し、それが1局、1打毎に変化していくのです。
しかも使用する麻雀牌は、全く同じ局面に出食わす事が無い程無数の組み合わせがあるというのですから、これほど面白いゲームは無いと思います。

私の回では、対人戦略における考え方を自分の経験や、考え方に基づいて話したいと思います。
皆さんの麻雀の楽しみ方の幅が増え、1つでも役に立てる戦略が見つかれば幸いです。

【敵を知り己を知れば百戦危うからず】

言わずと知れた孫子の兵法書の有名な格言であり、戦の鉄則。
麻雀においても重要なファクターだと私は考えています。

自己分析はもちろんの事、戦う相手の情報はあって困る事はありません。
例えばいつも同じメンバーで打つセット、フリーの常連同士、プロで言えば同リーグや同世代の対局メンバー。
この人がどういう麻雀をするのか(好むのか)、攻撃型か守備型か、デジタル思考かアナログ思考か、などなど。

私は競馬などはやらないのですが、対局相手の情報を分析し、近い感覚でゲーム展開をイメージします。
そして相手の情報に加え、現在の点数状況や心理状況で自分に有利なるような選択をします。

対面のAさんからリーチが入っています。

①相手の雀風から手牌を読む
もちろん第一は捨て牌からAさんの手牌を想像します。加えてAさんがどういう麻雀を好む人かによって勝負できる牌、もしくは危険な牌の候補を増やします。
Aさんが手役を好み、出上がり等も重視する打ち手であれば、序盤に切った牌のマタギやスジ牌が危ないな・・・
とか、Aさんが効率的な打ち方を好み、リーチに比重を置いている打ち手ならば、単純に宣言牌や直近に打っている牌の関連牌だったりが危険牌候補だと推測したり・・・

など、あくまで参考程度ですが案外これが精度アップにつながります。

②相手の対応で展開を推測
また、相手の情報を知る事でうっかりの失点も防げる事が多いのです。
Aさんのリーチに対して、Bさん(メンゼン)が無スジを切ってきました。
Bさんが攻撃型なら、おそらくBさんが追いつくとリーチにくるだろうから、先にAさんだけの安全牌を切っておいて、Bさんがリーチにきた時に共通の安全牌を残しておこう・・・
Bさんが守備型なら、もしかしたらもうテンパイしているかも、とBさんの捨て牌を確認し、Aさんの現物やAさんに通りそうな牌でもうっかり切らないよう注意をします。

これは当たり前と言えば当たり前ですが、雀風を知ればさらに警戒度に緩急が付けられます。

③相手に気分良く打たせない
Aさんが勢いや状態を強く意識する打ち手ならば、前局までの出来事も視野に入れ、ぶつけるのか、捌くのかを判断する事があります。
勝負にいって打ち勝つよりも、他家に打ち込みになっても流す方が心理的に効果的な場合もありますね。
そういう事を考えない打ち手ならば、あえて反セオリー的な押し引きをしたりして揺さぶるのも面白いかもしれません。

④相手の心理、狙いを読む
相手の情報収集とは異なりますが、現在の相手の置かれている状況からも読みを入れます。
点数が欲しいのか、局を流したいのか、どうしてもオヤ番を維持したいのか、等ですね。

上記はざっくりとした考えで、あくまで一例です。
相手の情報というのはもっと細かく、もっと複数のタイプ分けがあります。

今回は前置きという事で、あえて牌姿や場況をのぜず、言葉だけで説明してみました。
次回からは具体的な例をあげて、①~④を詳しく掘り下げていく予定です。
できれば実践譜なども探してこれればと思います。

私はかなりの麻雀を見て、多くのトッププロの分析をしています。
半ば趣味ですが、彼らの打牌の理由や心理状況もなんとなく説明できます。
取り上げてほしい局や、題材などありましたら是非是非よろしくお願いします!!