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中級/第112回:中級講座『気配』 紺野 真太郎

中級講座:紺野真太郎
「気配」
現在、多くの公式戦、タイトル戦が日本プロ麻雀連盟チャンネルなどで放送、配信されています。
そこには実況、解説が付き、各自がその対局の魅力を伝えています。そんな中でよく使われる言葉があります。
それは「気配」という言葉です。今回はこの「気配」というものを取り上げてみたいと思います。
実況「おっと、○○プロ、この1シャンテンをいかないのか」
解説「気配が出ているのかもしれませんね」
実際の使われ方としてはこんな感じでしょうか。この場合の「気配」という言葉の前には「テンパイ」という言葉が入ります。○○プロは相手がテンパイしたと感じたので、自分の手牌は1シャンテンだったがオリた(回った)ということです。
また、こんな場面でも「気配」は使われます。
実況「○○プロ、ここは押していった」
解説「相手がまだという気配を感じたのでしょう」
この「気配」は最初の「テンパイ気配」とは反対の「ノーテン気配」です。このノーテンという言葉には、相手がオリた、回ったというようなニュアンスも含みます。
この「テンパイ気配」も「ノーテン気配」も見落としてしまうと、放銃やアガリ逃しといったマイナス要因を増やす原因となります。
しかし、この「気配」というものは「気配」という言葉通り、目に見えるものではありません。目に見えないものを「見落とす」というのも変な話かもしれませんが、相手の捨て牌や動作、間といった目に見える情報から感じとるものなので、やはり「見落とす」ということでしょう。
また、「気配」は相手の動向から感じ取り活かすものなので、逆を考えると、自分の「気配」は相手には感じ取られない(悟られない)方がよいということになります。ただ、これは「気配」を感じ取ることと、感じ取られないようにすることはコインの表と裏のようなものなので、切り離して考えない方が良いでしょう。これはテンパイ気配とノーテン気配の関係性にも同じことが言えます。
「気配」の重要度は局が進むにつれて増していきます。前回の言葉を使って表せば、序盤<中盤≦終盤みたいな感じでしょうか。 序盤で感じ取るべき「気配」は相手の手役の方向性、アガリまでのスピード感でしょうか。 手役の方向性としては普通の手(タンヤオ、ピンフ、ファン牌等)高そうな手(ドラが固まってる)チャンタ系、ホンイツ系くらいに分けて考えます。 捨て牌の順番の特徴としましては 普通の手 ①孤立の幺九牌 ②オタ風 ③孤立の中張牌 ④ファン牌(①と②、③と④は反対の場合もあり) 高い手 ①オタ風 ②孤立の幺九牌 ③ファン牌 ④孤立の中張牌 チャンタ系 ①孤立の中張牌(4~6の数牌)②不必要な牌(ランダムになりやすい) ホンイツ系 ①不必要な色A ②不必要な色B ③2枚切れの字牌 こんな感じの捨て牌になりがちです。しかし、相手によっては意図的に手順を変えてきたり、もとより常識的にはならないよう打ってくるタイプもいますので、鵜呑みには出来ません。 また、3巡目くらいまでの早い巡目に違和感がある牌が捨ててある場合、布石の可能性もあるので注意が必要です。 例としましては 例1  九索 上向き北三筒 上向き九筒 上向き白
例2 
一万 上向き七索 上向き南中六筒 上向き (例1、2共、全て手出し)
例1の三筒、例2の七索が注目すべき牌ですが、それより後から出てきた牌が手牌構成上必要なだけかもしれませんが、以降の「気配」は要注意です。
中盤で感じ取るべき気配は相手のアガリまでの距離です。「テンパイ」なのか「1シャンテン」なのか、それとも手間取っているのかなどです。序盤の捨て牌から感じた手役の方向性から進んだ牌が出てくるかで判断します。また自分のアガリまでの距離が何番手なのかを把握することも大事です。
普通の手や高い手ならダブ東やドラ、手役構成上必要であったであろう中張牌。チャンタ系なら手役構成上必要であったろう幺九牌、字牌(七索九索九索からの九索のような手出し牌)ホンイツ系なら手役構成上必要であったろうその染め手の色の牌などです。
反対にそういう牌が見られず、自分の方がアガリに近い(1番手もしくは2番手)と感じれば先手を取りにいけます。ただ、たった1牌でアガリまでの距離を追いつかれたり、抜かれたりもしますので、先手を取れていると感じても油断せず「気配」や番手は常に意識して探っておく必要があります。
終盤に入った時に自分がリーチを打っていればもうやることはありません。運を天に任せるのみです。でも実際にはどうしても相手の動向「気配」は目に入ってくるものですが・・
問題はリーチをかけてない場合です。その場合はそれこそ1牌の見落としもすることなく、慎重に進めていく必要があります。
終盤で感じ取るべき「気配」は誰がアガリに来ているのかを把握することも重要ですが、アガリに来ていないと思われる相手が本当にアガリに来ていないのかを見極めるのも同じくらい重要です。
終盤はアガリに来ている者は率先して場に対して強い牌を切ってきます。リーチ者を思い浮かべてください。当たり前のことですが、自分のアガリ牌以外なんでも捨ててきます。それに近い強い捨て牌になります。(あくまで近いですが・・)
それ以外の者は捨て牌が強い者に対して必然的に弱くなります。弱くなるというのは、現物などの放銃しない牌を基本的に切ることになるということです。
ただ、一見して弱い牌でも実はそんなに弱くない牌の場合もあります。そういう牌を見落とすと痛い目に遭うことがあります。さて、その実はそんなに弱くない牌とはどんな牌でしょうか。
・スジ牌 ・ノーチャンス牌 ・数巡を残しての完全安全牌
などです。普通、オリると決めた以上は放銃したくはありません。そのはずなのに、安全そうという理由だけで切るでしょうか。多くの現物牌が存在する終盤です。もちろん安全牌に窮しての打牌ということもありえますが、そう勝手に思い込み、相手が巻き返して入れた「テンパイ気配」を見落とし放銃なんてことはないようにしたいものです。
反対に
・全くの無スジ ・生牌や1枚切れのファン牌
などは切った方から見れば、案外安全が保障された牌なのかもしれません。もちろん、ノーマークにはせず、次に出てくる牌を見る必要がありますが・・
その局が終わるまで気を抜かず「気配」を探り続けることが大事だと思います。
さて、今回はここまでといたします。次回は「表と裏」について書いてみようかと思っています。
それではまた。