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第145回:中級講座『公式ルール的押し引きあれこれ』 浦田 豊人

2019/02/06
執筆:浦田 豊人


連盟公式ルールに的を絞った中級講座の連載も、今回で7回目となりました。

麻雀において勝敗を決するポイントは何かと問われれば、答えは「押し引き」だといっても過言ではないかと思います。
上級者ほど押し引きに秀でており、そのまま勝率に直結しているものだと感じます。
公式ルールでも同じ事が言え、いやむしろ公式ルールだからこそ、この押し引きがより勝敗を決する事になるでしょう。

麻雀は毎回毎回色んな場面に遭遇します。
何処で押して、何処で引くかは本当に難しいものですが、ただ一番大切な事は常に同じように打つ「一貫性」であります。
同じ局面なのに、その時によって押したり引いたりするのが一番悪いことであります。
そんなフラフラした押し引きならば、何も考えずに打った方がまだましです。
そのためにも、先ずは自分のフォームをしっかりと固め、それを貫く必要があります。

これまでの中級講座でもこの押し引きについて、トップ判断、リーチ判断、鳴き判断、昇級的判断などの様々な観点からお話をさせて頂きましたが、今回はそれ以外の幾つかの点において、話をしたいと思います。

題して
「公式ルール的押し引きあれこれ」です。

●ハイリスクは何点以上か?

押し引きを考える上で、先ず公式ルールにおいて
「相手の手の高打点と言えば、何点以上のことを言うのか?」
という事を考えてみたいと思います。
何故ならば、押し引きの選択時にハイリスクハイリターンで比較しますが、何点からがハイリスクだと見立てる事が出来なければ、その判断がつきにくいからです。
ちなみに一発裏ドラがあるWRCルールでしたら、やはり満貫あたりでしょうか?

公式ルールでは高打点の分岐点は何点でしょうか?
私が思うに、「3,900点より上、5,200点あたり」が高打点と位置付けします。
理由としましては、自分が「1局で返す」事が出来うる点数が3,900点あたりまでだからと考えるからです。

裏ドラカンドラがない公式ルールでは、表ドラ4枚のみが唯一のドラであり、そうすると自分に来る確率は自ずと毎局平均して約1枚になります。
仮にドラが1枚あり、リーチをかけてツモれば「1,000・2,000」であり、これなら他に手役がない時でも1局でギリギリ返せる点数といえるのではないでしょうか?
また一番作りやすいタンヤオを活用し、タンヤオツモドラ1やリーチツモタンヤオでもOKです。
よくオーラスなどの最終局の時点で「1,300・2,600条件」の時に、
「1,000・2,000ならまだ良いのになぁ~。」
と思い、簡単なようで意外と5,200点がキツく感じた経験はないでしょうか?
(5,200点だと主にピンフ条件になるため)
また、アガれずとも流局で1人テンパイの時なら3,000点入りますので、ほぼほぼ3,900点に近い収入となります。

なので、相手の手が3,900点までならば基本的にはギリギリローリスクで「押し」になり、5,200点以上ならばハイリスクで「引き」の領域になる、と私は判断します。

●役牌とドラの放し時は?

自分に不要な役牌やドラは、何処で放せば良いのでしょうか?

公式ルールにおいては役牌のポンはそのまま即1ハンがつきますので、鳴いた側にとってみれば非常に嬉しい、アガリに一歩近づく状況になります。
逆に鳴かれた側は、そこから更に鳴かれないように、もしくはもうテンパイしていて放銃しないように、警戒を強めなくてはならないので厄介です。

公式ルールにおいては特に攻守ともどもキーポイントとなる役牌。
「相手に重ならないうちに、自分に不要ならいち早く切ってしまおう。」
これが現代流ではないでしょうか?
確かに正論とも言えます。
しかし私の考えは先ず「絞り」です。

麻雀の勝つコツは究極としては、
「アガれると判断したら、とことん攻める。」
「自分にアガリが厳しいと判断したら、相手にアガらせないように全力を尽くす。」
という事ではないでしょうか?
だとすれば、自分にアガリがあるかどうかがまだ分からない序盤では、まだ役牌は切るわけにはいかず、その後アガれると判断すれば切るし、もしアガれないと判断すれば握り潰すべきでしょう。

例えば東3局、序盤3巡目の南家の私の手牌。

二万二万四万七万二索八索九索四筒四筒六筒六筒八筒南  ツモ中  ドラ七万

ツモって来た中をあっさりツモ切ると、下家の西家が「ポン!」。
西家の手はこのとき

四万六万八万一索三索五索六索九索九索南南中中

この中ポンで西家はホンイツに方針を決定する事が出来、その後に出る南二索九索も安心して鳴けるカタチとなった。
これがもし南家が南二索から切っていたら、西家は仕掛ける事が出来ただろうか?
勿論仕掛ける人もいるかもしれませんが、そうすると益々ホンイツを警戒され、テンパイさえ危うい事になるかもしれません。

上記の例は極端な例かもしれませんが、切る順番1つでガラッと展開が変わる、
そういう意味からもやはり役牌の切る順番には、公式ルールでは特に神経を使わなければなりません。

不要なドラはどうしましょう?
やはりこれも不要とはいえ、相手にポンされればたちまち満貫以上確定となり、手が高くなりにくい公式ルールでは、ハイリスクの緊急警報が鳴ってしまいます。
基本的にはドラを切らない手組にする、もしくはテンパイまで絞り、テンパイした時に勝負が理想的であると考えます。

しかしながら、1シャンテン時に切った方が良いときもあります。
それは「親番」のとき。

ここまで沈んでいて連荘必須のとき、

二万三万四索四索五索五索六索二筒二筒六筒六筒七筒白  ツモ四万  ドラ白

こんな1シャンテンではドラ白をここでリリースするべきです。
格好つけて六筒とか打ってはいけません。もし切らずに、誰かが仕掛けたり、先にリーチをかけられると、気持ち的にもう切りたくなくなってしまいます。
いつの間にか連荘必須の目標を忘れてしまっております。
勿論そのまま「ロン!満貫!」と言われるかもしれませんし、そうでなくても鳴かれる可能性も多分にありますが、絶対連荘がテーマであるなら、ここで切るべきです。
そしてもし鳴かれたら、メンゼンにこだわらず三索六索二筒五筒六筒八筒全ての牌を仕掛け返して、全面戦争を挑まなければなりません。
こうなれば死ぬ気でダイブしなければなりません。

●アガリ逃しの後にアタリ牌が来る「システム」

まだプロになる前の三十年程昔の話、その頃よく一緒に麻雀をしていた友人O君と、いつも「システム」の話をしていた。
それは、「自分がアガリ逃しをした後に持って来る危険牌はアタリ牌になる。」
という経験則。
私達はそれを「システム」と呼んで、本気で信じていました。

例えば自分が下記の手をポンしたとする。

二万三万四万五万六万七索八索七筒八筒北北  ポン発発発  ドラ五万

ドラ含みの3メンチャンのマンズは当然切らないとして、残りの両面は甲乙つけがたく悩むが、ピンズの七筒八筒を落としていく。
すぐに一万を引いて六索九索待ちのテンパイになったところへ、リーチがかかる。

西一筒 上向き九索 上向き白二索 上向き五筒 上向き
西八万 上向き六万 左向き

こちらにオリる意志もなく、危険牌を勝負していく。
するとリーチ者が選択次第で自分のアタリ牌になり得た六筒をツモ切り、そして直後私のツモがまた危険牌の三筒
こんな三筒はアタリ牌になりますよ、それが麻雀のメカニズム、つまり「システム」なのですよ、という話です。

そんなオカルトな!?と言われる方も多いかと思います。無論何の根拠もデータもありません。
「アガリ逃しした後にアタリ牌を持って来る。」というシチュエーションがあまりにもインパクトが強過ぎて、データも何も無い昭和の人達の脳裏に刻まれてしまったからかもしれません。

しかしながら、麻雀はレベルが上がれば上がるほど紙一重の勝負となり、お互いのアガリ牌もわずか一牌の後先となるケースが多いのです。
そんなギリギリの闘いだからこそ、アガリを逃して次に来るのもまた自分のアガリ牌と思うのは虫のいい話であり、次に来るのは相手のアタリ牌だと思うことの方が、私は自然に感じます。

なので私はプロになってからも、鳳凰戦でこのシステムを大いに活用し、アガリ逃しがあるまではこれでもかと勝負していても、アガリ逃しの後に危険牌を持って来た時は、唐突に受けに回るようにしておりました。

●ヤミテン押しにこそ「システム」あり。

上記のシステムはメンゼンでヤミテンになった時にこそ発動します。

例えば下記の手でテンパイしたとします。

南1局・西家(21,000点・3着目)

一万三万三索四索五索一筒二筒三筒八筒八筒八筒白白  ドラ二筒

二万は場況的にみてそんなに悪くもなく、そのままリーチの選択もあり得たが、沈んでいて得点が欲しい事もあり、ここは白とシャンポン待ちにしてからリーチをかけたいと一旦ヤミテンにする。
するとリーチがかかり、こちらも突っ張っていたところに、相手が数巡後二万をツモ切る。
(勿論役無しなのでアタれません。)
そして直後持って来た危険牌…。

そう!これが「システム」です!
その危険牌はアタリ牌です!ここからは受けましょう!
これも上記のシステムと同じ現象であります。あなたもこんな経験をされた事はありませんでしょうか?騙されたと思って、この「システム」を活用してみて下さい。

●1シャンテン時の押し引きは?

公式ルールにおいて、相手のテンパイに対して自分が1シャンテンの押し引きは、基本的に「引き」であります。
公式ルールはヤミテンでも受けに回る選択肢もあり、それが1シャンテンであればなおのこととなります。

例外としては、
①自分が親のとき
②南場のラス目のとき
③勢いがあって大きなトップ目のとき

これらの時に、場合によっては押すこともあるかもしれません。
例えば下記のリーチがかかったとします。

南2局南家9巡目

九万 上向き西二索 上向き中七索 上向き一筒 上向き
六万 上向き四万 上向き七筒 左向き

対して私の手(北家・20,000点・ラス目)

四万五万六万三索四索五索六索三筒四筒四筒五筒六筒八筒  ツモ南  ドラ五筒

もう親もないラス目でもあり、なんとかアガリたかったため、目一杯に手を広げていたところへのリーチ。
南は生牌で、リーチ者にとってダブ南でもあり、超危険牌の1つ。
ここではとりあえず南を押して粘る。果たして次のツモがこれまた危険牌の二万

四万五万六万三索四索五索六索三筒四筒四筒五筒六筒八筒  ツモ二万  ドラ五筒

三索から切るか?それとも二万から行くか?私の選択は、ここで「引き」となります。

この手はリーチがかかった時点から結局アガリまでには南(は通ったが)、三索二万と最低3枚は通さないとアガれないカタチであります。
3枚とも通る可能性はあるが、いかにも感触が悪い。
「危険牌3枚は『やめのサイン』」
と私は決めております。
ちなみに、上記の手で中筋といって四筒を切る方がいらっしゃいますが、それはやり過ぎです。残った手牌のカタチが悪い事もさながら、ドラが五筒でもあり、カン四筒は十分に考えられます。

●形式テンパイの押し引きは?

役がなくともカタチさえテンパイしていれば、テンパイ料が貰えるルール、それが形式テンパイですが、公式ルールにおいてもこの形式テンパイルールはあります。
形式テンパイでも役満のテンパイでも、テンパイ料は同じであり、1人テンパイだと3,000点の収入になり、これは「子の40符2ハン→2,600点」よりも大きな収入となります。
なので終盤アガれなさそうと判断した場合は、形式テンパイもある意味馬鹿に出来ません。

しかしながらそれは一打一打にしのぎを削る、本来の勝負事からは違うものであると私は位置付けます。
なので、
「形式テンパイでは危険牌を勝負してはいけない。」
のであります。
勝負は本来の闘いの時だからこそ勝負するものであり、形式テンパイの時には、その勝負の場面なんかではないのです。
勝負しなくても取れる時だけするように心がけて下さい。
もし形式テンパイで打ち込めば、
「勝負処でない場面で勝負してしまったのだから、結果負ける。」
という図式が出来上がり、そのままその日1日の致命傷になるかもしれません。

●供託がたくさんある時の押し引きは?

供託もアガリも同じ得点である事に違いはありません。
例えばリーチ棒3本と3本場が供託であれば、それだけで3,900点となり、「子の30符3ハン」の得点と同じ場所あり、自分のアガリ点を加えれば、冒頭のハイリターン「3,900点より上、5,200点くらい」に匹敵します。その際には冒頭に「押し有利」と述べました。
しかしながら私の考えは形式テンパイの時と同様で、
「供託のためには勝負しない。」
であります。

確かに同じ得点には変わりありませんが、本来の土俵上で闘う中での勝負、そのための押し引きとは別物であると考え、私は供託が多いから勝負するのでなく、供託に関係なく、勝負する場面では勝負し、勝負しない場面では無理しない、それが自分のフォームを保つ「一貫性」だと思います。
私にとって供託は相撲でいう「懸賞」みたいな感覚であります。

●オリていたのにテンパイしてしまった場合は?

こんなケース、よくあると思います。
例えば下記の親リーチがかかったとする。

北白一筒 上向き四万 上向き二万 上向き一索 左向き

対する南家の私の手。

二万二万七万九万三索四索五索八筒九筒九筒九筒東中  ツモ四索  ドラ三索

2シャンテンで、他のカタチもあまり良いとは言えずも、ちょっとストレートに勝負しにくい。
なので二万のトイツ落としで回る。
通りそうな牌を優先して打ち回していき、流局狙いになってきたところで、14巡目に下記の手になる。

三索三索四索四索五索五索七索三筒七筒八筒九筒九筒九筒  ツモ六筒  ドラ三索

後半必要牌が押し寄せて来て、七索三筒を切れば、イーペーコードラ2の5,200点のテンパイ。

親リーチの捨て牌
北白一筒 上向き四万 上向き二万 上向き一索 左向き
六万 上向き白四筒 上向き西四筒 上向き五索 上向き
北九筒 上向き

5,200点はハイリターンに位置付けされるので、出来れば勝負したい。
七索三筒のどちらかを切るか?それとも?

私の選択はテンパイ取らずで、今通った九筒を切ります。
こういう「オリていたけどテンパイしてしまったテンパイは罠」と思うようにしています。
二万のトイツ落としをして、結果タンキ待ちになるというのもいかにも嫌です。
「ネガティブ=罠」の思考かもしれませんが、私の公式ルール経験則上では、ここは「引き」となります。

以上、「公式ルール的押し引きあれこれ」でした。
賛否両論あるかもしれませんが、ご参考にして頂ければ幸いです。

さて邪道戦法もいよいよ次回最終回となります。
タイトル予告は邪道戦法の極み中の極み、「態勢論」です。
お楽しみに~。