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第146回:中級講座『態勢論』 浦田 豊人

2019/03/13
執筆:浦田 豊人


連盟公式ルールに的を絞った中級講座の連載も、今回で最終回となりました。

第1回目
「トップ狙うべからず。」
第2回目
「役無しリーチかけるべからず。」
第3回目
「二鳴きするべからず。」
第4回目
「2フーロに放銃するべからず。」
第5回目
「心構え」
第6回
「昇級狙うべからず。」
第7回
「公式ルール的押し引きあれこれ」

最終回のテーマは「態勢論」。

麻雀には「態勢」というものが存在する。態勢はその日ごとにプレーヤーそれぞれに違いがあり、それは対戦中にも刻一刻と変化していく。
態勢が良ければ良いほどアガリ回数も多く打点も高くなり、逆に態勢が悪ければアガれなくなってしまう。
なので、同じ手牌でもその時の態勢によって打ち方を変えていかねばならず、良ければ維持出来るように、悪ければ良くなるように工夫していかなければならない。
態勢こそが勝利と密接に関係しているものなのである…。

「何言ってるか分からないんですけど…?」という声が聞こえてきそうです。いかにも昭和の人が語りそうな理論で、巷でもよく麻雀に「流れ」はある?ない?で論議されているかと思います。
そんなオカルト的な話なので、講座にはとても不向きかもしれませんが、私の麻雀における色々な判断は、この「態勢」なくしては語れないのです。
なので最後に思い切って書かせて頂きました。
しばしお付き合い下さい~。

●態勢論「段階を見分ける」

態勢には段階があります。
詳しくは二十段階くらいに分けたいのですが、あまりにもマニアック過ぎるので、今回は五段階に分けたいと思います。

【 態勢⑤:絶好調 】
【 態勢④:好調 】
【 態勢③:普通 】
【 態勢②:不調 】
【 態勢①:絶不調 】

それでは今、自分がどの態勢かを判断する目安は何でしょう?
態勢ごとにその例と打ち方をあげてみたいと思います。

【態勢⑤:絶好調】

◯配牌が毎回良い。
→配牌で2メンツ完成している。
→配牌でドラが2枚あり、かつ役牌などの役が見えている。
◯ツモが良い。
→リャンメンより先にカンチャンやペンチャンが入る。
◯自然とホンイツになっていく。
◯危険牌が全然アタらない。
◯どっちに受けても結局アガれる。
◯誰かがリーチをかけた瞬間、手変わり待ちの仮テンをひょっこりツモってしまう。
◯フリテンでもツモってしまう。
◯リンシャンカイホウでアガッてしまう。
◯親の連荘が止まらない。
◯他者の鳴きで有効牌を引き、自分の鳴きで他者の有効牌を喰い流す。

こんな感じでしょうか?
こうなればもう無敵状態ですね。態勢としては最終的にはここを目指す事になります。
この態勢⑤で大切なテーマは
「いかに相手に対応しないか。」
「いかに最高形の手作りをするか。」
に尽きます。
麻雀は対応の競技と言われますが、この態勢になればもう自分のことだけを考えて打ち進めればよくなります。
逆に変に上手く対応すると、そこから態勢が下降していってしまいます。
手役もワガママに最高形だけを目指します。鳴きが入っての最高形以外は一切鳴かず、メンゼンで推し進めます。

例えば下記の手。
3回戦 東1局 南家 6巡目

二万二万六万七万八万三索四索六索七索八索四筒六筒八筒  ツモ三筒  ドラ二索

場に七筒が2枚切れていたので、三色を諦めて六筒八筒を落としていく…?
これが態勢④までなら当然かと思います。
しかし、もしこの人が1・2回戦絶好調の連続トップを取った態勢⑤の人だとしたらどうでしょう?
そう、四筒から切っていかなければなりません。途中五筒をツモって来ても気にする必要はありません。
大丈夫です。2枚切れだろうが3枚切れだろうが、必ず七筒はあなたの元にやって来ます。
そう打たなければ態勢⑤は維持出来ないものなのです。

【態勢④:好調】

◯リーチ合戦で比較的勝てる。
◯振り込んでも安目の方で済んだ。
◯放銃してもまた取り戻せる。
◯切ろうとしていたアタリ牌が先に切られて助かった。
◯ヤミテンにしていたため危険牌を止めれた。
◯アガるよりテンパイ料の方が大きい。
◯役牌が重なってから場に切られて、鳴けた。
◯オーラスで1,000点でも振り込めば沈むところ、他者同士の放銃で助かる。

などなど、自分の中で「ラッキー」を感じられる時が、好調の「態勢④」と言えましょう。
この態勢④で一番大切な事は
「下を見ずに上だけを見て打つ。」こと。
態勢④は態勢⑤の無敵モードへの道に繋がっているので、そこへ向かって突き進まなければなりません。
オリは禁止です
自然に最高形を目指す手作りする。
多少無理目でも目指しましょう。基本的には面前、そしてリーチを打つべし、です。
ここで態勢⑤に駆け上がれるか、態勢③に戻されるかが、この日の勝ち負けに直結してきます。

【態勢③:普通】

◯勝負手もアガれるが、次の大きな手は続けてアガれない。
◯アガった後からもじわじわと点棒が削られる。
◯ドラが無い手はスンナリとアガれる。
◯先制リーチが入っても受け駒が2枚以上ある。
◯自分以外のラス目候補が、東場時点で明確になっている。
◯2着と3着の繰り返し。

この態勢③はところどころでアガリを取れるため、器用に打ち回せる人は、トップを無理に目指さず2着に甘んじてしまう傾向が見受けられます。
そうすると次回半荘以降じり貧状態やお地蔵様状態に陥り、本日②③③④でトータルマイナスで終了してしまう日になります。
この態勢③ではパンチを一発喰らっても怯まずに、態勢④を目指して勝負を挑み続ける「強い気持ち」が必須となります。

【態勢②:不調】

◯東場南場とも親で1回も連荘出来ない。
◯手がぶつかり合う局が多く、オリる事も出来なくなり、結果仕方のないような放銃をしてしまう。
◯同テンを引き負ける。もしくは頭ハネされる。
◯シュンツ手を進めているのにトイツが増えて来て、七対子との両天秤で悩んでしまう。
◯高目と安目のある手では、安目の方でのアガリとなる。
◯捨て牌から自分の待ちが浮き彫りになってくる。
◯終盤に生牌のドラなど、超危険牌を掴まされる。
◯待ち牌は王牌に眠っている。

実はこの態勢②が麻雀を打つにおいて、一番骨が折れる大変な位置になります。
攻め過ぎても駄目だし、受け過ぎても駄目。
当然ながら相手に先制される態勢なのですが、そこで簡単にオリては益々ペースを持っていかれてしまう。
なので危険牌の濃淡を判別して、歯を食いしばって勝負をしていかねばならず、しかし危険度の高い牌までは行かずにしっかりと止めて受けに回り、行き過ぎてもいけない。
本手は入りにくく、必然的に「交わし手」の番が回ってくる役目となる。
まさに最も神経を使う位置となります。
しかしながら、ここでしっかりと正解に押し引きを進める事により、地力で本物の態勢を掴み取る事が出来れば、その日の勝利の可能性も十分に出て来ます。

【態勢①:絶不調】

◯配牌から狙う手役がイメージ出来ないほど悪い。
◯ツモが噛み合わず、捨て牌一段目が終わっても未だ1メンツも出来ない。
◯切った牌をまた直ぐに持って来る。
◯自然とフリテンになっている。
◯親番の時に限って跳満をよくツモられる。
◯自分の必然の鳴きをして、相手がアガる。
◯ワンチャンスに吸い込まれるように振り込む。
◯リーチの後スジを追って振り込む。
◯地獄待ちに振り込む。

もうこうなってしまったらどうにもなりません。唯一出来る事といえば、「少しでも小さなラス、少しでも小さなマイナスで終える。」でしょうか?
ラス確定のアガリもやむを得ません。欲張って小さなアガリ拒否をするような手組をすれば、更なる悲劇が待ち受ける事でしょう。
どうしてここまで堕ちてしまったのだろうか?とにかく早く帰って猛反省です。

●態勢論的「押し引き判断」

これまでの中級講座でも連盟公式ルール的押し引きの話を中心にして来ましたが、今回は態勢論的押し引きもお話させて頂きたいと思います。

東1局、南家から下記の捨て牌でリーチがかかりました。

北九索 上向き西八索 上向き三万 上向き一万 上向き
九筒 上向き六索 上向き四筒 左向き

その時の私の手

三万四万五万六万七万六索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ六筒  ドラ一索

【態勢⑤の判断】

上記にも述べましたが、態勢⑤の時のテーマは「いかに対応しないか。」という事。
なので、リーチはかかってないものとし、六筒をノータイムでツモ切ります。ドラもツモ切ります。
大丈夫です。態勢⑤ならばアタりません。
ここでとりあえず通っている六索切りとかも駄目です。
二筒六索引きのテンパイ逃しをすれば、あなたの態勢は下降の一途を辿り始めてしまいます。
そしてテンパイしたら当然の追いかけリーチを打ちましょう。
マンズを引いてソウズの現物待ちになったからといってヤミテンになんかしたら、これまた一気に態勢は逃げて行き、また一から出直しとなってしまいます。
「態勢⑤は真っ直ぐに、とにかくリーチをかけるべし。」です。

【態勢④の判断】

ここでも押しですが、とりあえず丁寧に六索からいきましょう。
そしてテンパイしたら、ここでも追いかけリーチをして、態勢⑤になる事を目指していきます。
もしアガれなくて
「ヤミテンだったら脇からアガれたのに…。」
なんて言葉に耳を貸してはいけません。
上を目指すのみ、です。

【態勢③の判断】

ここでも勝負なのですが、態勢④⑤の時よりも慎重になる必要があります。
六索から切り、すぐにテンパイしたら、マンズ三メンチャン待ちなら勿論リーチですが、もしソウズ現物待ちの場合はどちらが良いかは非常に難しい判断となります。
周りをよく見て、その場その場で答えを変えていく読みが必要です。
そしてすぐにテンパイしない場合。
先ず六索を切ってから、1枚くらいは無スジを勝負する。問題は次の危険牌を持って来た時。
これを勝負するという事は、テンパイした時に切るであろう六筒と合わせてリーチ後に「3枚の無スジ」を切る、という事になります。
前回の講座でも述べましたが、
「3枚目の無スジはやめのサイン」
であり、こうなれば一旦我慢の受けに回りたいと思います。

【態勢②の判断】

上記でも述べましたが、一番難しいのがこの態勢②の時の対応。
行き過ぎでも受け過ぎてもいけない。
先ず六索切りは同じです。
交わしも考えなければならないので、二万五万八万五索八索は鳴く構えです。
その時に大事なのは「勝負する六筒」が通るかどうかの考察。
捨て牌からいってストレートなので、ソバテンも十分に考えられ、そうすれば宣言牌の四筒三筒四筒四筒四筒四筒五筒からの切りの可能性もあり、勝負する六筒はアタリになるかもしれない。
しかし、何処かで切り開いていかないと、態勢②は抜け出せない。
ここでもし三筒四筒四筒からと読んだのなら、思い切って勝負します。
そして一番肝心な事は、もし六筒が通って次に二筒五筒を引いた時…。
先程ソバテンと読んで四筒三筒四筒四筒から切ったと読んだのであれば、ここでスッと受けに回らなければなりません。勢い余ってツモ切りしてしまうのは本末転倒というものです。
そう読んだのならば、潔く受けましょう。

【態勢①の判断】

ここでは1枚でも勝負してはいけません。
たった1枚勝負してもアタリになる可能性は高いと思います。
大人しく六索を続けて打ちましょう。
もしかしたら、まさかのワンチャンス四索七索待ちだったりして、誰かが振り込んでくれるかもしれません。逆に自分からは絶対に七索を切ってはいけません。
リーチ後に五筒なんかが通っても、安易にアタマの二筒に手をかけたりしないようにしましょう。
とにかく態勢①の時は「通りやすい牌がアタリになる。」、そんな罠がいっぱいなのです。
そもそもですが、リーチがかかる前に「12枚麻雀」を実行し、安全牌を事前に確保しておきましょう。

●態勢論的「鳴き判断」

続きまして、鳴き判断についても例をあげて、態勢論的判断でお話をさせて頂きます。

東1局・南家

四万六万三索四索四索五索六索四筒五筒六筒八筒八筒西  ドラ五筒

【態勢⑤の判断】

もう説明も要らないかもしれませんが、そうです!態勢⑤の時は仕掛けは入れません。
例え3枚目の五万が上家から切られても、涼しい顔でツモ山に手を伸ばして下さい。
態勢⑤が間違いないならば、必ず4枚目の五万はあなたのツモにいます!
そして3枚切れのカン五万待ちになっても、図太くリーチと行きましょう。

【態勢④の判断】

基本的には鳴きを入れませんが、3枚目の五万なら流石に仕掛けます。
二索五索も6枚目あたりならしぶしぶ仕掛けましょう。

【態勢③の判断】

場況次第で「鳴き優先」で行くケースが出て来ます。
誰かが早そう、または大物手の気配が漂った時なんかは五万はサッと仕掛けて局を流す選択肢も有りかと思います。

【態勢②の判断】

五万は喜んで鳴きます。
態勢③以上ならばテンパイしてから五万が間に合うのですが、テンパイする前にこの五万が出るというところが、やはり「まだ本調子でない」事を物語っております。
せっかくの高打点のチャンスですが、まずは態勢固めの方が先であります。
二索五索は鳴きません。待ちがカン五万では交わし手とは言えませんので、逆にカウンターをもらった時に困ってしまいます。

【態勢①の判断】

ハイ、こちらももうお分かりかと思いますが、態勢①の場合は仕掛けは入れません。
もし入れると「誰かのリーチ」そして「誰かのアガリ」を誘発してしまいます。
ここでは4枚目の五万でも仕掛けは入れず、例えメンゼンでテンパイしても、誰かのヤミテンに刺さらないように、いつでも受けれるように細心のアンテナを張り巡らせていましょう。

もう1つ例題をあげます。
東1局・東家

三万四万九万九万四索五索六索七筒八筒東東中中  ドラ五索

【態勢⑤の判断】

先ず1枚目の東は仕掛けません。
その間に中が出ても仕掛けません。
更に2枚目の中が出ても仕掛けません。
2枚目の東が出た時のみ、しぶしぶ仕掛けます。
この手は態勢⑤ならば「リーチ・ツモ・ダブ東中ドラ1」の6,000オールを先ずは目指すべきです。
次に4,000オール、最悪の最悪でも5,800にはします。
なので「中・ドラ1」の2,900のアガリだけは、ならないように打ち進めます。
もし間違って2,900でアガってしまうと、その時から態勢④に格下げとなってしまうのです。
態勢⑤の時は例えアガれなくても、とにかく高打点だけを目指しましょう。

【態勢④の判断】

態勢⑤の時ほど極端ではありませんが、仕掛ける順番は同じにします。
そしてやっぱり出来る限り2,900だけにはならないように仕掛けていきます。

【態勢③の判断】

1枚目の中だけスルーしてみます。
2枚目の中は鳴きます。
ダブ東なら1枚目から鳴きます。
この配牌ならば連荘だけは果たさなければなりません。

【態勢②の判断】

1枚目の中から鳴きます。
ダブ東も喜んで1枚目から鳴きますが、態勢②ならば中より先にダブ東が出る事はないでしょう。
中東も出ずに中盤以降になった場合は、リャンメンから仕掛けて「後付け(バック)」に走る、最低限連荘必須の選択肢も出てきます。
ただ、その鳴きでリーチがかかった場合は要注意です。
その時はおとなしく受けも考えましょう。

【態勢①の判断】

ここまで態勢論理的にお付き合いしてくれた皆様にはもうお分かりですね?
そうです、「一切鳴かない」です。
とりあえず仕掛けは諦めて、まさかの七対子でも狙って、来るべきリーチに備えて受け駒をいっぱい増やしておきましょう。

以上、態勢論の話でしたが、如何でしたでしょうか?
興味を持たれた方は騙されたと思って、1回態勢を考えながら打ってみて下さい。
もしかしたら、あなたの中で何かが変わるかもしれません。

半年間に渡って、独特で拙い講座に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
連載中、色々な方々に暖かいお声をかけて頂きました。
あるAリーガーに昇級された方より
「この中級講座を読んでAリーグに昇級しました!」
なんてリップサービスとはいえ、非常に嬉しいお言葉を頂きました。
また、ある大先輩の方々からも
「浦田君、あの中級講座なんどけど…。」
ヤバい!叱られる!?
「俺と考え方が似ている。共感するね~。」
ありがとうございます。ホッとしました。

私自身、これからももっともっと精進して、魅力あふれる麻雀を打てるように頑張って行きたいと思います。
長期間拝読頂き、本当にありがとうございました。

ー 完 ー