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第128回『技術』 沢崎 誠

2018/01/30
執筆:沢崎 誠


先日、観戦したお気に入りの1局です。

南2局 親番 38,400

配牌 二万三万三万赤五万六万七万七万七万八万九索四筒七筒南発
ツモ       ツモ切り八万ツモ切り二索ツモ切り三万南
捨て 九索東七筒北発西二索???

8巡目にこの手牌になりました。

二万三万三万三万赤五万六万七万七万七万八万八万四筒南南

対戦者の持ち点と捨牌は以下の通りです。
(30,000点持ち、順位点 +15P +5P ▲5P ▲15P)赤は各5に1牌。 

東家 38,400
九索 上向き東七筒 上向き北発西
二索 上向き?
南家 4,700 
九万 上向き一万 上向き東六索 上向き二万 上向き八索 上向き
五万 上向き
西家 44,000 
一万 上向き九索 上向き東発九万 上向き発
九万 上向き
北家 32,900 
九万 上向き一索 上向き西九索 上向き八索 上向き東
一筒 上向き

あなたの打牌選択は何でしょうか?
A 二万
B 四筒
C 南
D その他

プロ連盟の配信対局は4月に5年目を迎えます。
トップリーグのA1の配信は、個性ある打ち手が様々な思考を駆使しての対局を繰り広げ、毎週本当にワクワクする面白い対局が観戦出来ます。

何故ワクワクするのか?と言えば・・アタリ牌を止めるのは当然くらいとして、仕掛けられる牌も止められる事も多いですね。
無謀とも思える打牌もあり、攻防のバランスの良さがA1の特徴といえます。

一度見た視聴者はその麻雀内容に引き込まれていくのでしょう。
観戦で勉強してレベルアップを計り・・強くなりたい!上手くなりたいと思う人は多いと考えます。

競技麻雀を楽しんでいる人、麻雀に携わる人であれば更に技術の向上を目指して、その技術の吸収が必要と考えます。ではどのようにして技術を吸収するのでしょうか?
プロ連盟の3期生として入った頃は、決勝戦があれば何でもリアル観戦に行きました。誰が何をアガるのか?誰が勝つのか?最初の頃はそのようだったと思います。いま考えれば相当未熟でありました。

ある大きな大会予選に身近な先輩が参加するとの事で、応援もかねて観戦に行きました。
会場観戦ですから先輩と下家の2人の手牌が見えます。
下家からリーチが入ります!トイトイ三暗刻のリーチです。一発で出アガリ牌が出ましたが・・微動だしません!(何この人?跳満見逃し?)

数巡後8,000・16,000の声です。全身が震えました。

この選手は作家の伊集院静さんでした。世の中にはプロでなくても凄い打ち手がいるのを認識させられました。
後に一度か二度、対局をさせて頂く機会がありましたが・・鳴きは殆ど使わず、面前で手作りする重厚な打ち手です!鳴くまではこちらも鳴けないくらいの気持ちで打ちますから・・汗が出ます!

この頃から麻雀の勉強を始めたように思います。僕にとって麻雀の勉強とは何か?その答えは1つしか有りません。
それは技術の習得です。いまでも色々な技術が欲しいですね。

以前はリアル観戦で人の技術を盗む事でした。他の方法はその技術ある人から直接話を聞いて、見方・考え方を得るしか有りません。
現在では配信対局となり、解説者もいて観戦しただけで自分も出来るような感覚を持つ人が大勢いるように思います。
ただ単に誰が何をアガったか?誰がトップを取ったか?誰が沈んだか?ここに目を向けている人は勝ち負けが分かるのでしょうが、麻雀の技術を見つけ、理解し自分のものにするのは難しいと考えます。
過去4年間の配信を見て勉強しています!という人達はたくさんいると思いますが、ただ対局を観戦して楽しんでいるのかもしれませんよ。

お気に入りの1局、これは第2回マスターズリーグ5回戦の勝又健志プロの手筋です。

画像1
 
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ここでの打牌選択は次の画像に見えますが・・二万です。
場に一万が2牌切れの二万が1牌切れ。四筒切りからその先にチンイツも見える手牌ですが、危険度が高そうに見える四筒を残して二万切りとしました。
ここで考えるのは瞬間的ですが、南が重なったこの手牌の運気とマンズの下部の形、

二万三万三万三万・・

この形の現状での受けの半分は四万に有ります。この四万引きは二万が無くとも、

三万三万三万四万赤五万六万七万七万七万八万八万南南

この形でテンパイが取れ、二万切りはマンズのホンイツの匂いを消す迷彩と言えます。
手牌は3巡目の八万引きから真っ直ぐアガリに向けて手を進めています。7巡目にドラそばの二索切りで手の内に四筒を残していますね。
リーチを掛けられても真っ直ぐ行きそうです。二索の放銃はドラ絡みで高くなりそうです。四筒の危険度は高くなりますが、トップを競っている上家が7巡目に一筒の捨牌が有りますから一応筋でもあります。

画像2・3
 
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100
 
 

南2局 ドラ三索 親番 38,400

配牌 二万三万三万赤五万六万七万七万七万八万九索四筒七筒南発
ツモ       ツモ切り八万ツモ切り二索ツモ切り三万南ツモ切り六索ツモ切り ポン七万 ロン八万
捨て 九索東七筒北発西二索二万七筒四筒一筒       六索
最終形 三万三万三万赤五万六万七万八万八万南南  ポン七万 上向き七万 上向き七万 左向き  ロン八万

 

画像4
 
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9巡目、手牌に四筒が有りますが、危険度が低そうに見える七筒をツモ切りです。10巡目、六索ツモでようやく四筒切り!
六索は下家の現物で、他家は九索切りがあり三索六索待ちが残ります。
次の11巡目は六索を残して一筒のツモ切り!一筒は上家五筒切りの裏筋です危険度を見たかも知れませんね。
画像3で七万七万七万のなかから、右側と真ん中の七万で晒して、左側の七万八万八万七万という形で残しています。

左側
八万八万      七万六万赤五万南南      三万三万三万

左側に2牌残してこの形になったら、取り敢えず八万は出そうに有りません。
六索の出る位置も凄く良いです。対戦者から読みを入れれば、あの手出し六索付近に六索の関連牌があるように見えます。10巡目の四筒も同様に考えます。
一見は迷彩に見えますが・・二万 上向き七筒 上向き四筒 上向き一筒 上向き六索 上向きの捨牌は他家の進行具合の読み!アガリに結びつけようとする攻撃手順・手牌位置・打牌のテンポといい迷彩というよりも、相手にこう読ませるという強い意識が伝わります。
様々な高度技術を身に付けていると言えます。

若手プロ達が多くの技術を身に付ければ連盟の将来も安心できるのですが・・。

この対局後「凄く良かった!」と話しました。
本人は「2着でしたよ??」と不思議そうな返事です。
着順よりもその内容が素晴らしい事が大切と思います。

技術はたくさん身に付けるべし!!