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第5回麻雀プロアマオープン競技会 ベスト16~決勝戦レポート 新谷 翔平

前回の立岩知朗さん、松本裕也のなんとも珍しい同点優勝からはや半年。
日々、巣鴨道場でプロアマオープン競技会に参加している方々の中でも、成績優秀者が夏目坂スタジオに集合する。
トーナメントシステムは、一発、裏ドラありのWRCルール、半荘1回勝負で準決勝までは上位2名勝ち上がり。
暖冬を象徴するかのように夏目坂スタジオも熱気で溢れていた。
プロ5名アマ11名。どのような戦いが繰り広げられるのか。

ベスト16
A卓
松本裕也、立岩知朗さん、加藤はるみさん、山田樹さん

東2局に立岩さんがツモタンヤオピンフドラ3の3,000・6,000のツモアガリで大幅リードを得るも、その後、松本に8,000の放銃となってしまう。
更には、ラス目の加藤さんがタンヤオドラ4をトップ目だった山田さんから討ち取り大接戦。
オーラス、山田さんは安全圏に行っており、加藤さんと立岩さんの一騎打ちになったが、制したのは加藤さんとなった。

勝ち上がり 加藤はるみさん、山田樹さん

 

B卓
伊藤優孝、ケンタさん、水野裕来さん、藤次祐紀さん

開局早々、親のケンタさんがリーチ!しかし伊藤も負けじと追いかけリーチをし、リーチピンフイーペーコーを一発でケンタさんから討ち取る。そして捲った裏ドラが2枚乗り、いきなり12,000のリード&ビハインド。
南3局、何度もテンパイしてはアガれずの繰り返しだった藤次さんが、7巡目にドラ3のリーチをする。そしてやっと実った値千金の8,000をアガリ、2着となる。

勝ち上がり 伊藤優孝、藤次祐紀さん

 

C卓
ダンプ大橋、杉山俊彦、丹野賢一さん、松村祐輔さん

会場内一番最初のアガリは、杉山の元気のいい300・500から始まったが、続く東2局に第3期の優勝者、丹野さんが8,000を杉山からアガる。
そこからは杉山が少しずつ回復するも大きな動きはなく、南3局にダンプがリーチ七対子をアガリ、裏を乗せる!
この2つのアガリが勝ち上がりの決め手となった。

勝ち上がり ダンプ大橋、丹野賢一さん

 

D卓
森下剛任、厚地さん、阿部信一さん、市川幹人さん

この卓はいきなり嵐が吹き荒れる。東1局に厚地さんが、リーチツモ三暗刻ドラ6裏2という三倍満スタート。いきなり枠は1つ確定か。
残りの1席を3名で争うが南3局まで均衡が続く。その南3局2本場まで粘った、親の市川さんにドラ2のリーチが入った!勝負所とふんだ森下が前に出るが、7,700の放銃となってしまい勝負あり。

勝ち上がり 厚地さん、市川幹人さん

 

ベスト16では、なんといきなり前回ダブル優勝者の松本裕也、立岩知朗さんが会場を後にすることとなった。
ベスト16は同時進行のため、A卓のみ配信だったので会場内で観戦させてもらっていたが、準決勝からは両方の卓が配信となるため、ここからは配信画面で観戦させてもらうことにしよう。

 

 

準決勝A卓
市川幹人さん、藤次祐紀さん、山田樹さん、ダンプ大橋

東1局、市川さんが七対子ドラドラをツモる。ベスト16の均衡を打ち破った勢いをそのままに、1回戦勝負2人勝ち上がりではの大きなリードを得る。
東3局、親の山田さんがドラ九筒で、ペン七筒待ちのリーチドラ1で先制リーチ。下家のダンプが、宣言牌を四筒五筒六筒でチー、更には一筒をポンし攻め返す。

五筒六筒八筒九筒九筒西西 ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き ドラ九筒

13巡目に上記の形に五筒をツモリ、一旦迂回の選択で西を切る。が、直後のツモが西。押していれば四筒七筒待ちでテンパイしていた。
こうなると七筒をツモってしまうのも必然か。アガリ逃した格好となってしまい、山田さんとダンプの2人テンパイで流局。
開けられた山田さんの手を見てダンプはどう思っただろうか。

しかし東4局1本場、親のダンプにドラ2のいい配牌が入る。山田さんに先制リーチは取られてしまうも、ダンプも追いつきリーチ。残り2枚づつの捲り合いとなったが、ダンプが山田さんから捉え7,700のアガリとなり、市川さんとダンプの2人が4万点を超える。
山田も負けてられない。南1局、八万を暗カン、続くリンシャン牌で東も暗カン!そして起死回生となるか!リーチに踏み切る!

五索五索五索四筒五筒発発 暗カン牌の背東東牌の背 暗カン牌の背八万 上向き八万 上向き牌の背 ドラ五筒八索二筒

三暗刻確定だ。三槓子になりうる、さらなるカンの材料の五索もまだ山にある。
ほどなくして藤次さんもリーチ。手牌だけでドラが5枚ある、ドラとドラのシャンポン待ちだ。

三万四万五万二索三索四索八索八索一筒二筒三筒五筒五筒

が、開かれたのは山田さんの手牌だ。
三槓子こそならなかったが、ツモって裏ドラを1枚乗せてリーチツモ三暗刻ドラ2の3,000・6,000!!
これで山田さんも2着まで2,600点差になり、勝負の行方はわからなくなる。市川さん、ダンプはもうすぐそこだ。
しかし藤次さんも負けてられない。南2局はまずは1,500をアガると、つないだ1本場でリーチピンフドラ2の高めイーペーコーで攻めるが、これはアガれずに流局してしまう。

2本場になり、残り時間も迫る中、市川さんがリーチツモ純チャンイーペーコーの3,000・6,000。会心の一撃だ。
市川さんが1人抜け出し勝ち上がり当確ランプがつき、山田さん30,000、ダンプ33,600の2人の勝負になるか。
親がなくなってしまった藤次は厳しくなってしまい、時間切れの最終局はダンプが2着のまま、流局となった。

決勝進出 市川幹人さん、ダンプ大橋

 

 

準決勝B卓
伊藤優孝、厚地さん、加藤はるみさん、丹野賢一さん

東1局1本場、伊藤は三色が見える好配牌から、最終形はリーチタンヤオになってしまったが、ツモアガったのち捲った裏ドラは2枚!!4,000オールツモ。
さらに親番で加点し、東1局が終わったときにはすでに50,800になり、まず伊藤が抜け出す。

東3局、丹野さんが役牌を仕掛けてソーズのホンイツに向かっているところ、厚地さんがこっそり七対子ドラ待ちをテンパイ。
ドラは三筒で、丹野さんのホンイツにはいらないので掴んでしまうと御用となってしまうなぁ、なんて思っているそばからすぐに掴んでしまい、厚地さんの6,400のアガリとなる。
ソーズのホンイツの丹野さんがいるので、このヤミテンは好判断だろう。逆に丹野さんには痛い放銃になってしまった。

放銃してしまった丹野さん、東4局の親番で頑張りたいが、伊藤が役牌をポンしてすぐテンパイ。しかし厚地さんもテンパイしており、4巡目に厚地さんのアガリとなる。丹野さんは親番を全然させてもらえない。
南1局、追いかけたい加藤さんがリーチして攻める。加藤さん12,100、ターゲットの厚地さんは37,200。残り時間も少ないので、残りの局は全部アガリたいくらいだ。
しかし、親の伊藤が中ホンイツトイトイをテンパイしており、加藤さんが掴んでしまう。伊藤の持ち点は63,800となり勝ち上がり濃厚だ。対して加藤さんは箱下になってしまった。

南2局、35,700持ちの厚地さんを追いかける20,400丹野さんがリーチ、そして二筒を暗カン!ドラのない丹野さんにとっては、ドラを増やせるこの暗カンは渡りに船だ。

六万七万八万四索五索六索六筒六筒東東 暗カン牌の背二筒 上向き二筒 上向き牌の背 ドラ二索九筒

カンドラこそならなかったが、これをツモってしまえば裏がなくても次局満貫条件までに迫ることができるが…
実は伊藤も役牌を仕掛けていてドラを3枚隠し持って、数巡後テンパイ。これに丹野さんが捕まってしまい、勝勢、敗勢は決まってしまった。

決勝進出 伊藤優孝、厚地さん

 

 

決勝戦
起家から、市川幹人さん、伊藤優孝、厚地さん、ダンプ大橋

東1局は伊藤が積極的に東中を仕掛け、マンズのホンイツの1シャンテン。その仕掛けに対してテンパイを入れたダンプが五万、さらには二万と切って強く押し返す。
5枚切れの六索九索待ちのピンフドラ1だが伊藤が掴んでしまう。

東2局、厚地さんが仕掛けを入れてのタンヤオドラ1の500・1,000のツモアガリで静かな立ち上がりとなる。
続く東3局、配牌がよいのは親の厚地さんと西家の市川さん。しかし中々全員テンパイしない中、テンパイ一番乗りは伊藤。

三万四万五万三索五索八索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒 ドラ九万

一手替わりでタンヤオ三色のヤミテンをいれる。
ダンプもツモがよく、三索六索九索のサンメンチャンでリーチ。三索六索ならタンヤオだ。高めをツモって裏が1つでものれば大きなリードとなる。
対する伊藤は現物待ちということもあって押していく。が、サンメンチャンの強さで流石にダンプのツモアガリ。
結果は安めツモかつ裏もなしの500・1,000のアガリとなる。

東4局、相変わらず伊藤は配牌が悪い。準決勝までのエンジンはどこに行ったのか。
厚地さんが先制リーチをかけ、さっくりとリーチツモドラ1の1,000・2,000をツモアガる。

市川さん:28,000
伊藤:25,500
厚地さん:35,000
ダンプ:31,500

これで南入することとなった。厚地さんが少しリード、伊藤が少しビハインドではあるが、誰が優勝するのかまだまだまったくわからない。

南1局、親の市川さんがまずピンフをテンパイする。ドラ切りでテンパイのため、ポンされたらヤミテンやオリも選択肢に入れてだろうか。
するとその間に厚地さんがテンパイ、そしてリーチ。市川さんも負けじと追っかけリーチをするが、市川さんは一度もツモらせてもらうことなく、厚地さんの一発ツモ!!!リーチ一発ツモピンフの1,300・2,600で厚地さんは4万点を超えてきた。

南2局は追いかける2番手のダンプが、ドラ2確定の七対子を北単騎でリーチ。まだ親があるとはいえ勝負どころだ。
しかし追いかける市川さんも黙っていられない。カン二万待ちでリーチドラ1で追いかけ、ダンプから2,600をアガる。

南3局は、厚地さんが2番手に約15,000リードをつけている状態。やはり黙っていないのは市川さん。いや、ヤミテンという意味ではダマっているのだが、発暗刻、ドラがトイツでカン四万待ちでテンパイした。さらなるリードを広げたい厚地さんがテンパイしていたが、ラス牌の四万を厚地さんからロンアガリ!!!オーラスの点棒状況は以下の通りとなる。

市川さん:34,400
伊藤:24,200
厚地さん:34,800
ダンプ:26,600

2人はもう全くのアガリ勝負だ。ダンプは4,000オールをアガれば次局ノーテンと言える。伊藤は現状は跳満必要だが、リーチ棒さえ出ればたちまち満貫ツモでよくなる。
5巡目、厚地さんがすぐ1シャンテンとなる。しかしやっぱり黙っていないのは市川さん。白がトイツで親のダンプが絞っていたのだが打ち出されることとなり、ポンして1シャンテン。
8巡目に厚地さんがテンパイ一番乗り。タンヤオのカン六索待ちだ。しかし、山に2枚いるはずの六索は中々顔を見せず、14巡目に市川さんもテンパイをいれる。三万六万待ちだ。
その1巡後に決着を迎えることとなった。

開かれたのは市川さんの手牌。アガった後は1つ大きく深呼吸し、やりきったという素晴らしい表情を見せてくれた。
また、何度も劣勢の状況から粘る素晴らしい闘牌を見せてもらうことができた。

第6期プロアマオープン競技会の予選はもう始まっています。夏目坂スタジオまでの道は厳しいかもしれませんが、スタジオでこのような熱い戦いをしたい!と思われた方、ぜひぜひ巣鴨の道場で参加をお待ちしております。

優勝 市川幹人さん
2位 厚地さん
3位 ダンプ大橋
4位 伊藤優孝

 

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