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十段戦 レポート

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第31期十段戦 八九・九段戦Sレポート

2014/07/17
執筆:紺野真太郎


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「八九段戦」

十段戦もここまでくると、シード選手もいわゆるボスキャラばかり。
初段や二段の低段位戦から勝ち上がった者からすれば、挨拶するにも勇気がいることであろう。
そんな初段戦から、唯一人勝ち上がっているのが阿部謙一。
阿部はプロテスト合格までに、何度も挑戦し合格を勝ち取った根性の男。
初段勢最後の砦として、どこまで根性を見せつけることが出来るであろうか。

 

1卓
木村東平 山田浩之 三田不二夫 客野直

昨年、決勝手前のベスト8戦で涙を飲んだ山田。
今年こそはの思いはあるであろうが、中々調子が上がってこない。
3回戦終了時にはマイナスが60ポイントを超え、勝ち上がりには苦しい展開となってしまう。

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木村東平
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山田浩之

反対に好調だったのが、木村、三田のベテラン勢。
両者30ポイントほどのプラスを持ち最終戦を迎える。
客野は木村、三田どちらかを沈め、トップか大きい2着が条件。

最終戦、客野は木村を沈め、トップを取るという条件を見事にクリアする。
木村、山田がここで敗退となった。

勝ち上がり 三田不二夫 客野直

 

 

2卓
藤原隆弘 佐々木寿人 櫻井秀樹 藤島健二郎

八九段戦屈指の好カードとなった2卓。
すでにネタと化しているが、8年間でたった1回の勝ち上がりしかない佐々木が、今年は四段戦S、五段戦、六七段戦と既に3回の勝ち上がり。

このまま決勝まで勝ち上がってしまうのではないかと思わせるのも、この男の魅力であり強さであろう。
しかし、そんな佐々木の前に藤原が立ちはだかる。

「カン」「ロン」

なんのことだろうと思われるであろうが、カンの発声は佐々木で、ロンの発声は藤原。
場に放たれた牌に、同時に声がかかったのではない。藤原の手は・・

一万九万一索九索一筒九筒東南南西北白中

佐々木の手には発が4枚握られていた。
日本プロ麻雀連盟Aルールでは、国士無双の暗カンに対するチャンカンが認められている。
ちなみに、藤原の第一打は唯一トイツであった白であったこともここに記しておく。

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藤原隆弘
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佐々木寿人

では、藤原の楽勝であったのかといえば、そうではない。
櫻井、藤島の両名が、展開上は常にリードを保っていた。
最終戦の南場の藤原の親も、櫻井が押し切り流すことに成功。
勝ち上がりを決めた。

勝ち上がり 櫻井秀樹 藤島健二郎

 

 

3卓
吉田幸雄 柴田弘幸 一井慎也 太田優介

現在A1リーグに5名を送り込んでいる17期生。
正に花の17期生と呼ぶにふさわしい程の活躍ぶりだが、一井もそんな17期生の一人。
リーグ戦では遅れをとるものの、ここでは存在感を見せつけたいところであろう。

また「怖い顔の実況のお兄さん」として顔と名が出てくることが多くなってきた太田も、プレーヤーとしての一面を見せつけたいところ。

そんな2人の気迫が格上の吉田、柴田を追い込んでいった。
3回戦終了時に、一井、太田は吉田、柴田に対し約100ポイントの大量リードを取り、勝負を決めてしまった。

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吉田幸雄
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太田優介

 

勝ち上がり 一井慎也 太田優介

 

 

4卓
ともたけ雅晴 老月貴紀 二階堂亜樹 阿部謙一

初段戦から快進撃を続けてきた阿部だが、さすがにここまで来ると相手のレベルが違うのか、まともに戦わせてはもらえない。ともたけこそ不調で勝負にならないが、老月、二階堂の安定感の前に手も足も出ない。

最終戦を迎える前にほぼ勝負を決められ、そのまま決着。
7回の勝ち上がりを見せた阿部の十段戦はここで幕を閉じた。

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二階堂亜樹
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阿部謙一

 

勝ち上がり 老月貴紀 二階堂亜樹

 

 

5卓
森下剛任 滝沢和典 関島義基 福山満幸

ここの注目は勿論滝沢だが、1回戦ラススタートと苦戦模様。
対照的に、関島が好調で3回戦終了時には、ほぼ通過を決めてしまう。
滝沢も悪いながらも粘り、3人の2着争いとなる。

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滝沢和典
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森下剛任

最終戦を迎え、森下▲9.5P福山▲9.6P滝沢▲18.4Pの各者ポイント。
そして南3局時には、南家・森下32,800西家・滝沢30,400北家・福山32,800という持ち点の大混戦。
ここで福山が3フーロと仕掛けると、森下はリーチに打って出る。
滝沢は、タンピン形の1シャンテンであったが、どちらかにアガられてしまうと、オーラスを残しているとはいえ、条件が一層厳しく成る為、無スジを押す。
3人による叩き合いだったが、制したのは森下。福山からの南を捕まえ

四万五万六万二索二索四索四索四索南南西西西  リーチ  ロン南  ドラ四索

この跳満を決め勝ち上がりを決めた。

勝ち上がり 関島義基 森下剛任

 

 

6卓
西島一彦 ダンプ大橋 森脇翼 安村浩司

ここは、前A1のダンプがその体型通りの横綱相撲。
最終戦を待たずに当確ランプが点灯。

最終戦は、現マスターズチャンプの西島と森脇との2位争いとなったが、森脇が競り勝ち九段戦Sへの勝ち上がりを決めた。

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ダンプ大橋
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西島一彦

 

勝ち上がり ダンプ大橋 森脇翼

 

 

7卓
望月雅継 伊藤大輔 杉浦勘介 吉田直

この八九段戦のシード選手は6名なので、この7卓と8卓にはシード選手が入らない。
三段戦から勝ち上がってきた伊藤にとっては、その辺りはプラスに働きそうだ。
そのせいなのかはわからないが、3回戦を終えた時点で、吉田+8.4P望月+5.8P杉浦▲5.2P伊藤▲9.0Pと伊藤も4位とはいえ十分チャンスのあるポイント差で戦っていた。

だが、伊藤の健闘もここまで。
最終戦は吉田が抜け出し、試合巧者杉浦が望月を交わし2位を確保し終了。
阿部に続いて、低段位戦からの勝ち上がり者がまた1名去ることとなった。

勝ち上がり 吉田直 杉浦勘介

 

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吉田直
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杉浦勘介

 

 

8卓
平田孝章 仁平宣明 中尾多門 東谷達矢

近年のタイトル戦で、毎回のように活躍者を送り込んでいる九州勢。
今回の十段戦でも、中尾、東谷の2名が勝ち残っている。その2人がここで同卓。
東北本部長、平田とA2仁平というベテランを相手にどう戦うかが注目されたが、終わってみれば東谷の圧勝、中尾が2位競り勝ちと九州勢のワンツーフィニッシュとなった。
ここから先どこまでいけるのか注目である。

勝ち上がり 東谷達矢 中尾多門

 

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東谷達矢
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中尾多門

 

八九段戦が終了し、ワイルドカード抽選が行われた。
抽選をクリアしたのは、柴田弘幸と藤原隆弘、九段戦Sへの繰り上がりとなった。

ワイルドカード 柴田弘幸 藤原隆弘

 

 

「九段戦S」

ベスト16トーナメントへの最後の関門、九段戦S。
ここからのシード選手は、連盟を代表するレジェンド達。
若手選手にとっては、対局すること自体が経験になる。

さて、何名がレジェンドを打ち破り、トーナメントチケットを手に入れることが出来るのだろうか。

 

1卓
森山茂和 ダンプ大橋 吉田直 藤原隆弘

ワイルドカードで勝ち上がりを決めた藤原。
抽選の前には、神社に行きお参りをしてきたとのこと。
牌を引いての抽選だが、当りが光って見えたという。
面前重視派が揃い、重い展開が予想されるが、3回戦、藤原はこんな手を決める。

一索二索四索五索六索六索七索七索八索八索九索中中  リーチ  ツモ三索  ドラ三索

繰り上がりの勢いか、これが決め手で藤原トップ。トータル2位に浮上。
ダンプ、藤原勝ち上がり体勢となる。
しかし、これが4回戦終了時には、1位/吉田、2位/森山と一変する。(九段戦Sより5回戦制)

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森山茂和
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吉田直

最終戦トータル4位の大橋が反撃開始。
南1局

一索二索二索三索三索五索六索七索七索八索九索東東  リーチ  ツモ四索

この3,000・6,000。続く親番で12,000と、またもやトータル順位が一変。
終始安定した戦いぶりであった吉田が1位。ダンプが2位通過を決めた。

勝ち上がり 吉田直 ダンプ大橋

 

 

2卓
伊藤優孝 関島義基 東谷達矢 柴田弘幸

1卓の藤原同様、ワイルドカードで復活した柴田。
八九段戦ははっきりと不調であったが、この九段戦Sはリミッターが外れたかのような大爆発。
4回戦終了時には、90ポイント弱を叩き出し当確。

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柴田弘幸
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関島義基

反対に、二段戦から7回勝ち上がってきた東谷は、ほぼ圏外となってしまった。
伊藤と関島の2位争いは展開の利もあり関島が競り勝った。
関島はC3リーグ所属だが、個人的にはもっと活躍しても不思議ではないと思っている。
トーナメントでも台風の目になってもらいたいと思う。

勝ち上がり 柴田弘幸 関島義基

 

 

3卓
前原雄大 老月貴紀 中尾多門 客野直

3回戦終了時、前原が20ポイント程の差でトータルトップ。
しかし、4回戦に老月がメンタンピンツモ三色の3,000・6,000を決め抜け出す。
前原は痛恨のラスで逆転を許す。

最終戦は、前原、中尾の競りで、中尾は前原を沈めて自分が浮けばほぼ条件クリアとなる。

最終戦東4局、前原は親でメンタンピンのリーチ。
対する中尾は、発を加カンしペン七万1,300のテンパイ。

この状況で中尾は押し切り、前原から七万を打ち取りトータルで逆転。
これで決まった訳ではないが、このプレイは中尾の胆力を褒めるべきであろう。

南3局、中尾の親、ここで老月が中尾のドラ暗刻に捕まってしまい、トータル4位に落ちてしまう。
オーラスは,跳満条件に詰めていた客野が、ホンイツ小三元をテンパイさせるもアガれず流局。
中尾、前原の勝ち上がりとなった。

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前原雄大
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老月貴紀

 

勝ち上がり 中尾多門 前原雄大

 

 

4卓
古川孝次 一井慎也 杉浦勘介 藤島健二郎

4回戦、時間打ち切りとなり、東3局で終了。
それ自体は、よくとは言わないがたまにはある事だが、この4回戦珍しかったのは、なんと18本場まで積み上げられた事だ。
一井の親から始まり、古川、杉浦と続き18本場でタイムアップ。
ということはこの回、子方のアガリが発生しなかった訳で、親番が回ってこなかった藤島が圏外になってしまったのもある意味当然といえる。

最終戦は、古川、杉浦の2位争い。
藤島の意地で、両者とも原点を割る展開となったが、最後は古川が競り勝ちトーナメント進出を決めた。

勝ち上がり 一井慎也 古川孝次

 

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古川孝次
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藤島健二郎

 

 

5卓
荒正義 櫻井秀樹 森脇翼 太田優介

1回戦から、森脇、櫻井がリードする展開で、太田は気合がうまく噛み合っていない印象。
森脇が他者を引き離す中、荒は櫻井との差を最大50ポイント程はなれたところから徐々に詰め、4回戦終了時には25ポイント差程まで詰めてきていた。

最終戦オーラスで、荒は櫻井と満貫ツモ、直撃条件で条件を満たす手をテンパイしていたが、終わらせにきている森脇からは出るもののアガれない。一方、櫻井も細心の注意を払い山越しされないようガードを固めていた。結果は流局。荒を抑え、櫻井が逃げ切った。

勝ち上がり 森脇翼 櫻井秀樹

 

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荒正義
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森脇翼

 

 

6卓
灘麻太郎 三田不二夫 森下剛任 二階堂亜樹

結婚、出産後の復帰から麻雀の質が変わった(変えたというほうが正しいか)二階堂。
私が記憶している中では、これまでにない女流選手のベスト16トーナメント進出に王手をかけた。
4回戦終了時には、森下に続きトータル2位につけていたが、最終戦に落とし穴が待っていた。
灘の親リーチに対し押した1牌が捕まってしまい5,800。
多分、前の二階堂なら打たなかったであろう。しかし、それを打ってきたからこそ、ここまで勝ち進んできたとも思う。近い将来、本戦トーナメントに立つ姿を見せてくれることであろう。

勝ち上がり 三田不二夫 森下剛任

 

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灘麻太郎
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二階堂亜樹

 

 

この全6卓の勝ち上がり12名に、昨年の決勝進出者、沢崎誠、中村毅、小島武夫、現鳳凰位藤崎智を加えた16名4卓で本戦トーナメントが行われる。

その模様は、日本プロ麻雀連盟チャンネルにて完全生放送される。
選手達の熱い戦いを是非ご観戦ください。

十段戦ベスト16放送はこちら!