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十段戦 レポート

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第32期十段戦 八九段・九段戦Sレポート 福光 聖雄

2015/06/17
執筆:福光 聖雄


今日は八九段戦と九段戦S。ここを勝ち上がると連盟スタジオでのニコ生放送となり、低段位から勝ち上がってきた者は「あと2つ」という思いは強いだろう。
初段から勝ち上がりの土屋幸弘、高谷圭一。そしてシードの現王位清原継光、現マスターズ白鳥翔に注目が集まる。

 

【八・九段戦】

1卓:ともたけ雅晴、山田浩之、ダンプ大橋、高谷圭一

初段からの勝ち上がりの高谷、夏目坂(連盟スタジオ)に向けてあと2つ。
立ち上がりに失点が続き、一時15,000点まで落ち込むも、役役ホンイツをともたけから出アガリ、ドラ八万単騎の七対子をリーチでツモるなど、終わってみればこの半荘はトップ。
今日の1半荘目をトップで終えられたのは、気分的にも大きかったのは想像に難くない。

100

3半荘が終わり、
高谷+29.4P 山田+18.9P ダンプ+15.4P ともたけ▲63.7P

と3分の2の争い。
序盤に細かいアガリで浮きを保った高谷と、

三万四万五万七万八万九万三索四索五索三筒四筒東東  リーチ  ツモ五筒

南2局に、これを高めでツモったダンプの勝ち上がり。

100

 

勝ち上がり 高谷圭一 ダンプ大橋

 

2卓:藤原隆弘、野方祐介、太田昌樹、小車祥

野方+42.7P 藤原+3.4P 小車▲5.3P 太田昌▲40.8P

これで迎えた最終戦。藤原、小車の2着争い。

南3局、小車

三万三万五万六万七万中中  ポン北北北  ポン発発発  ツモ三万  ドラ八万

藤原がドラ八万の暗カンだったが、一番の勝負処を制し、価値ある1,300・2,600。
3,700点リードしてオーラスを迎える。

最終戦オーラス、小車自身が親のため、藤原が1人テンパイの場合はノーテンにできない。

100

西家・藤原
三万三万三万五万一索二索三索三筒四筒五筒  ポン西西西  ドラ五万

道中は、

三万三万三万二索二索三索三索四筒四筒五筒  ポン西西西

トイトイ狙いであったが、小車にノーテン宣言させないためにテンパイ取りからの変化。

東家・小車
七索七索二筒二筒三筒四筒五筒  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き

残り2巡のところにドラ五万をつかんでしまい、ゲームセット。
野方からテンパイ気配が出ており、切らない選択もあったかもしれないが、藤原の緻密な打ち回しを褒めるべきであろう。

100

 

勝ち上がり 野方祐介 藤原隆弘

 

3卓:吉田幸雄、望月雅継、二階堂亜樹、魚谷侑未

開始早々、魚谷の3,000・6,000が会場内に響き渡ったが、以降は望月のアガリに3者がしのげるか、という戦いになった。

100

3回戦終了時
望月+94.9P 魚谷▲0.8P 吉田幸▲45.4P 二階堂亜▲48.7P

魚谷がリードして迎えた最終戦。
東場の吉田、二階堂の親、南場の吉田の親を流し、最後の関門、二階堂の親。

南3局

南家・魚谷
二万二万三万四万五万三索四索五索一筒二筒三筒七筒九筒  ダブルリーチ  ドラ四万

9割方魚谷の勝ちだろう。本人はアガリきるまで勝ちとは思っていないだろうが。
しかし、諦めず丁寧に歩を進めた二階堂、12巡目にテンパイが入る。

東家・二階堂
六万七万八万四索五索六索七索八索四筒四筒六筒七筒八筒  フリテンリーチ  ツモ六索

オーラスの魚谷の親も二階堂が自らアガリ勝ちあがりを決めた。

100
100

 

勝ち上がり 望月雅継 二階堂亜樹

 

4卓:木村東平、浜上文吾、中村毅、柴田吉和

3回戦終了時
浜上+28.3P 木村+25.4P 柴田吉▲5.4P 中村毅▲48.3P

四段Sシードの新人王柴田、厳しい状況であったが、東場の親でこの嬉しい4,000オール。

100

三万四万五万二索三索四索七索八索四筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六索  ドラ八索

最終戦オーラス、ドラは白

木村+18.8P 柴田吉+11.0P 浜上+10.5P 中村毅▲40.3P

東家・柴田
六索七索七筒七筒白白白発発発  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き

南家・浜上
一万一万七万八万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

西家・木村
二万三万八索八索  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン中中中

アガったら勝ち、放銃者は敗退のめくりあい。

木村 ツモ四万

100

勝ち上がり 木村東平 柴田吉和

 

5卓:清原継光、奈良圭純、近藤久春、土屋幸弘

リーチ、ツモ、一通、ドラ1
ピンフ、ツモ、チンイツ
リーチ、役牌、ドラ1
ツモ、ホンイツ
全て1回戦南1局の土屋。1つの親番で勝ち上がりを決めてしまった。

100

A1リーガー近藤、現王位清原、マスターズを獲ったことのある奈良の3者で1席を争うことになるとは、予想外だっただろう。
2番手争いは清原から役牌、トイトイ、三暗刻、ドラ3の16,000をアガった奈良に。

最終戦南3局

近藤
二索二索三索三索三索六索六索七索八索九索中中中  リーチ
清原
二万三万四万七万七万三索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

南4局

清原
一万九万一索九索一筒九筒九筒東南西北白中

と最後まで奈良を追い詰めるも流局。

100

 

勝ち上がり 土屋幸弘 奈良圭純

 

6卓:白鳥翔、斎藤桂史、勝又健志、滝沢和典

現マスターズの白鳥は、シードでここからの登場。
自身の持つ段位より数段上からの出場で、決勝とは言わないまでもベスト16には、と思っていたことだろう。
しかし、勝又、斎藤が的確にアガリを決め大苦戦。

3回戦オーラスのこのリーチも勝又に捌かれてしまった。

100

白鳥
一万一万三万七万七万九万九万東東南南西西  リーチ

3回戦終了時
勝又+48.4P 滝沢+0.5P 斎藤桂▲1.7P 白鳥▲47.2P

100

滝沢、斎藤の着順勝負はオーラスまでもつれ、滝沢37,900、斎藤37,000とアガリ勝負に。
親の白鳥はオリずに攻めるため、押し引きが難しい局面であったが、滝沢がアガリ勝ち上がりを決めた。

100

 

勝ち上がり 勝又健志 滝沢和典

 

7卓:須浦正裕、仁平宜明、浦田豊人、斉藤等

2回戦にトップを取った須浦が抜け出す展開。

2回戦終了時
須浦+29.0P 仁平▲3.9P 浦田▲11.3P 斉藤等▲13.8P

100

須浦がアガれるのとは対象に、2番手を争う3者はなかなか決め手が出ない。
ベテランの浦田、斉藤が決め手を出させないよう局面をコントロールしているとも言える。
その中でも絶妙の押し引きを見せた仁平が、大きなアガリはないものの、小さなアガリとテンパイ料でリードを築いた打ち回しは見事であった。

100

 

勝ち上がり 須浦正裕、仁平宜明

ワイルドカードにより、浜上文吾、斎藤桂史が繰り上がりとなった。

 

【九段戦S】

ここからの登場は、灘麻太郎、森山茂和、伊藤優孝、荒正義、古川孝次、沢崎誠と鳳凰位・前田直哉、世界チャンピオン山井弘の8人。

1卓:灘麻太郎、木村東平、土屋幸弘、斎藤桂史

2回戦終了時
木村+31.2P 斎藤桂+6.9P 灘▲13.6P 土屋▲24.5P

初段から勝ち上がりの土屋は3着、4着と今度は苦しい展開。
しかし3回戦にトップを取ると、4回戦は2番手の斎藤を沈めての2着とリードで最終戦を迎える。

4回戦終了時
木村+40.9P 土屋+7.9P 斎藤桂▲23.1P 灘▲25.7P

微差のリードで迎えた最終戦。念願の夏目坂まであと少し。
土屋はどういう心境であっただろうか。
追いかける立場はアガリに向かえばよいのでわかりやすいが、リードを守る側は選択肢がある分難しい。

最終戦南3局


三万三万三万八索八索一筒一筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン白白白  ツモ八索

この1,300・2,600のアガリで灘と土屋の差は700点!
オーラスはアガリ勝負なのだが、頭が真っ白になっていてもおかしくない。

そしてオーラス


二索四索五索六索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ツモ二索

4巡目にチー、7巡目にツモと土屋は為す術なく、灘らしいアガリで勝ち上がりを決めた。

100

 

勝ち上がり 木村東平 灘麻太郎

 

2卓:伊藤優孝、望月雅継、勝又健志、浜上文吾

1回戦、2回戦と勝又が連勝。

2回戦終了時
勝又+43.9P 望月▲2.8P 伊藤優▲11.9P 浜上▲29.2P

全5回戦にもかかわらず、1枠は勝又で決まってしまった空気が流れる。
有利であることには変わらないが、昨今の成績や安定感が相手にそう思わせてしまうのだろう。

3回戦終了時
勝又+77.1P 望月+12.7P 浜上▲42.6P 伊藤優▲47.2P

4回戦終了時
勝又+68.6P 望月▲1.0P 伊藤優▲30.5P 浜上▲37.1P

一旦望月がリードを広げるが、伊藤、浜上が粘って最終戦に望みをつなぐ。

100
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最終戦、東2局

東家・浜上
一筒二筒三筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒中中  ロン五筒

望月の五筒を捉えると、東3局は伊藤、望月の2件リーチに果敢に勝負しこのアガリ。

浜上
四筒五筒五筒五筒九筒九筒九筒発発発  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ロン三筒  ドラ四筒

浜上が大逆転で勝ち上がりを決めた。

 

勝ち上がり 勝又健志 浜上文吾

 

3卓:荒正義、野方祐介、須浦正裕、ダンプ大橋

1回戦、須浦のメンチンに荒が飛び込むという波乱の幕開け。

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1回戦終了時
野方+21.9P 須浦+15.7P ダンプ大橋+6.5P 荒▲44.1P

対照的に四段戦から勝ち上がりの野方は、ここまでの勢いがあるのか絶好調。
3連勝を飾り、早々と安全圏にいってしまった。

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3回戦終了時
野方+63.0P ダンプ大橋+10.3P 須浦▲9.7P 荒▲64.6P

須浦も最善を尽くすのだが、今日のダンプは押し引きが的確だった。

ダンプ
二万三万四万七万九万二索三索四索二筒二筒二筒三筒四筒  ロン八万  ドラ九万

ダンプ
一万二万三万一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒八筒白白  ツモ白  ドラ三万

どちらもきっちりヤミテンでアガリを取ると、チャンス手はまっすぐに仕掛け、

南家・ダソプ
三索三索九索九索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ポン南南南  ロン三索

攻めるしかない荒から12,000のアガリであった。

 

勝ち上がり 野方祐介 ダンプ大橋

 

4卓:古川孝次、藤原隆弘、仁平宜明、高谷圭一

Aリーガー3人に、初段から勝ちあがりの高谷が挑む組み合わせ。
古川、藤原、仁平は何度も対戦経験があり、相手の雀風がわかるので、お互いに牽制しあうことになったのだろうか。
他の卓を見ている間に、予想もしない展開に。

3回戦終了時
高谷+92.8P 藤原▲30.1P 仁平▲30.9P 古川▲31.8P

残りの1枠の争いは劇的な幕切れ。

5回戦オーラス

100

古川
四万五万六万二索三索四索五索五索五索七索八索三筒三筒  チャンカン ロン九索  ドラ四万

仁平と古川の差が2,600点で(仁平が上)テンパイノーテンで変わってしまうため、そして親番の藤原がノーテンであることを読み切った上での加カンであった。(仁平の最終手番)

 

勝ち上がり 高谷圭一 古川孝次

 

5卓:沢崎誠、前田直哉、滝沢和典、二階堂亜樹

100

ギャラリーが多かった好カード。
連盟チャンネルのためにも(?)、二階堂には期待がかかる。

3回戦終了時
前田+44.4P 滝沢+12.4P 沢崎▲0.5P 二階堂亜▲56.3P

4回戦終了時
前田+50.4P 滝沢+6.5P 沢崎▲28.2P 二階堂亜▲28.7P

5回戦東場終了時(トータル)
前田+25.8P 滝沢+2.0P 二階堂亜▲7.1P 沢崎▲20.7P

二階堂は一時は絶望的と思われた点差だったが、滝沢にかなり肉薄する。

そして南2局。
親沢崎が滝沢から3,900+600をアガリ、誰が勝つのか本当にわからなくなった。

100

しかし、滝沢に慌てる様子はない。迎えた南2局3本場。

滝沢
四万五万六万東東南南発発発  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き  ロン南  ドラ発

このアガリで逃げ切り、ベスト16の切符を手に入れた。

 

勝ち上がり 前田直哉 滝沢和典

 

6卓:森山茂和、山井弘、奈良圭純、柴田吉和

全5回戦、局数にすると50局前後だろうが、ある1局で勝負が決まるのだから麻雀はわからない。

2回戦終了時
柴田吉+35.7P 奈良+12.2P 森山▲22.7P 山井▲25.2P

この3回戦も奈良が2万点台から2,000・3,900をツモり、持ち直したかと思っていた。

南2局、東家・山井

100

二万三万四万二索二索三索四索五索二筒三筒四筒六筒八筒  リーチ  ドラ二万

北家・森山

100

九索九索九索五筒五筒七筒七筒八筒八筒八筒  ポン発発発

山井が最終手番で七筒を引き上がると、同1本場は2番手の奈良から、ホンイツ、七対子、ドラ2の18,000を出アガリ逆転。
次の半荘も奈良は箱ラスとなり、4回戦で大差となってしまった。
奈良にとっては、「この局以降は、局面も心境もあまり記憶に残っていない」ほどの痛い放銃であった。

森山も随所に手筋を魅せるのだが、相手のアガリ牌が先にいる不運。
4回戦で2者との差がついてしまい、不完全燃焼であった。

勝ち上がり 山井弘 柴田吉和

最後にベスト16の組み合わせと展望を。(瀬戸熊、藤崎、柴田弘、前原はシード)
A卓(6/26) 瀬戸熊直樹、前田直哉、柴田吉和、高谷圭一
B卓(7/10) 藤崎智、山井弘、滝沢和典、野方祐介
C卓(7/17) 柴田弘幸、灘麻太郎、古川孝次、勝又建志
D卓(7/24) 前原雄大、木村東平、浜上文吾、ダンプ大橋

A卓
「実力・実績の瀬戸熊、前田で堅い」と思うようでは連盟通とは言えない。
実は瀬戸熊は初顔合わせに・・・だったりする。(想像にお任せします)
そして柴田、高谷にとって、一番間があかないA卓に入ったのは幸運で、良いイメージを維持したまま対局に臨めるんじゃないかなと。
「波乱必至」

B卓
バランス型が揃った印象。最終戦まで競っている展開が予想できない。
ある局に分岐点があって、そこを制した者の一方的なアガリになると予想する。
つまり「オープニングから連盟チャンネルで」だ。

C卓
安定の勝又。だが、灘、古川と仕掛けの多いこの組み合わせは苦手とみる。
柴田は相手の手牌読みに長けている打ち手。あまり仕掛けに対しての対応は苦としないだろう。
「誰がこの対戦を解説できるのか?」が実は一番の見所(違)。

D卓
前原が先手を取ることが予想されるが、3者がどう対応するかがポイント。
2人勝ち上がりなので、自分が攻め返して傷を負うのはなぁ・・・という心理が働く。
「攻め返したら○○だった」本物?ガラクタ?どっちだ?

※ 全て私の勝手な予想です。事実に基づかない情報も多々あるので笑ってお赦しください。

全対局、日本プロ麻雀連盟チャンネルで完全生中継。
熱戦、お見逃しなく!