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十段戦 レポート

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第36期十段戦 九段戦Sレポート

2019/07/09
執筆:福光 聖雄


100

 

1卓 ともたけ雅晴・前田直哉・魚谷侑未・土井悟

現王位魚谷。今年は普段より上(八段戦)のシードだから決勝を目指したいとは本人の弁。
そんな気持ちとはうらはらに前半はアガリに結びつかず、1回戦2回戦と連続でラスをひいてしまう。

2回戦終了時
ともたけ+21.P5、前田+14.6P、土井+6.6P、魚谷▲42.7P

上位3人の争いかと迎えた3回戦東1局。
前田がこのツモアガリ。

一万九万一索九索一筒九筒九筒南西北白発中  ツモ東

一席は確定。

親かぶりをしたともたけ、土井との2着争いには勝負の半荘と見たか。
このあと積極的にいくも、逆に失点を増やすという悪循環となってしまった。

3回戦終了時
前田+66.4P、土井+7.6P、魚谷▲30.7P、ともたけ▲43.3P

4回戦は魚谷がしぶとく親で連荘。
わずかに土井を交わし2番手に。

4回戦終了時
前田+59.4P、魚谷+7.2P、土井▲3.2P、ともたけ▲63.4P

最終戦、東2局に魚谷が12,000をアガるも、同1本場は土井が1,300、2,600で追いすがる。
そして東4局、親土井の6巡目

四万五万六万七万四索五索六索五筒五筒六筒六筒七筒八筒

と大チャンス。

しかし、前田が七対子で捌き、成就せず。

このまま前田、魚谷が逃げ切り勝ち上がりとなった。
土井は四段Sからの勝ち上がりだったが、ここで涙を飲んだ。

1卓勝ち上がり 前田直哉・魚谷侑未

 

 

 
100

 

2卓 前原雄大・吉田幸雄・犬見武史・山田学武

三段からと四段から勝ち上がってきた山田、犬見が門番前原に挑む構図。

山田「福光さん、観戦記者ですか?」
福光「そうだよ。山田の打牌は見ないけど頑張れ(笑)」
山田「え~。そんなこと言わずにちゃんと見てくださいよー。」

これは対局前の会話。全然臆することなく頼もしい。
見てと言うだけあって、自信がありそう。
逆に犬見は表情が堅かったように思える。

4回戦終了時
山田学+84.6P、吉田幸▲8.7P、前原▲35.1P、犬見▲41.8P

山田、1着1着2着1着と余裕の通過ポジション。
前原、犬見は山田が走ってくれた分、吉田との差を逆転圏内でキープできたように思える。

最終戦、親番のキープ力を活かした前原がリードし、オーラスを迎えて次の点数状況。
親犬見、35,200、山田17,600、吉田24,200、前原43,000
ラス前に満貫をアガった犬見は前原まであと少し。吉田も2,600直撃か1,000、2,000ツモ条件。

まずは犬見が前原から2,900点をアガる。
親犬見、38,100、山田17,600、吉田24,200、前原40,100
これで吉田は前原と1500点差。

同1本場
吉田2フーロ!

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  ポン発発発  チー三索 左向き一索 上向き二索 上向き

前原3フーロ!

二索四索四筒五筒  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き

そこに犬見からリーチ!

四万五万六万二索二索三索四索五索五筒六筒八筒八筒八筒

前原は七筒を掴んでまわる。
吉田も危険なところを掴んだか、安牌の切り出し。
犬見ツモれるか?前原、手牌4センチ(4枚)からオリきれるか?

なんと前原、再度七筒を引いてテンパイ復活。
そして、約束されたかのように最後のツモを引き寄せた。

四筒五筒七筒七筒  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ハイテイツモ六筒

2卓勝ち上がり 山田学武・前原雄大

 

 

 
100

 

3卓 荒正義・仁平宣明・櫻井秀樹・杉浦勘介

レジェンド荒と中堅3人の戦い。
仁平、櫻井、杉浦もトーナメントの戦いには長けていて、シードの荒は厳しい卓に入ったなぁと思ったかもしれない。

31期以来の復位を目指す櫻井、1回戦でオーラスに浮きに回ると3、4回戦で連勝。安全圏で最終戦を迎える。

4回戦終了時
櫻井+45.0P、杉浦+8.5P、仁平▲12.5P、荒▲41.0P

最終戦、荒が追い上げを見せ、南2局42,000点持ち3本場

六万七万一索二索三索五索五索七筒七筒七筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ五索

七筒をカンして嶺上牌は五索
シャンポン待ちならまさかの倍満のツモアガリだったが、流石にそうは受けられない。
アガれないどころか今日の展開の悪さを象徴するかの如く、杉浦のアタリ牌であった。

三万四万五万六万六万六万三索四索五索六索七索四筒四筒  ロン五索

3卓勝ち上がり 櫻井秀樹・杉浦勘介

 

 

 
100

 

4卓 伊藤優孝・中村毅・井出康平・小松武蔵

最近の小松は絶好調。
昨年後期のC1リーグでは、最終節で首位を明け渡したが余裕の2位で昇級。
今期もB2リーグで3節終了時に首位。
この十段戦も四段Sから勝ち上がってきている。
道中、決勝男のHIRO柴田に競り勝ちとは本物だ。

井出は四段から。この男も勢いに乗ると手がつけられない。
中村もどちらかといえば同じタイプだろう。

対するシード選手は伊藤。手の内がわかる相手の方が得意らしいが・・・

1回戦は中村が好調。
東4局の親番で2,000オール、7,700と決めてトップ
逆に井出は、7,700放銃の次局は伊藤に6,400と誰が掴んでも放銃だっただけに不遇の展開。
それでも井出は逆境に強いタイプ。

八筒ポン、西ポンと積極的に仕掛け、
三筒四筒五筒五筒九筒九筒九筒  ポン西西西  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ツモ五筒  ドラ九筒

の3,000、6,000で盛り返す。

1回戦終了時
中村毅+23.3P、伊藤+7.5P、小松▲12.0P、井出▲18.8P

2回戦からは小松のアガリがいいタイミングで決まる。
小さいながらもトップを取ると、3回戦、4回戦と3連勝。
リードを持って最終戦へ。

4回戦終了時
小松+38.3P、中村毅▲5.0P、井出▲14.1P、伊藤▲20.2P

5回戦は、連盟チャンネルでは有名な伊藤の5回戦(違う)。
エンジン全開の伊藤の親番を、中村、井出は止めることができなかった。

オーラス
井出28,800、小松12,700、中村26,900、伊藤51,600

なんと伊藤は小松をも交わしてしまい、十分なリードがあった小松が焦る局面に。
最後は小松が自分でアガリきって決着させたが、思わぬ展開に終局後は安堵の表情であった。

4卓勝ち上がり 小松武蔵・伊藤優孝

 

 

 
100

 

5卓 吉田直・近藤久春・石渡正志・猿川真寿

シードは現鳳凰位吉田。
ここまで来るとどの卓も厳しいのだが、特に5卓は高段位かつリーグも上位の選手が揃ったまさに死の卓であろう。

1回戦、3,900オールを連発した猿川がトップ。2着は吉田。

2回戦終了時
猿川+43.8P、吉田直+20.1P、近藤▲24.6P、石渡▲39.3P

3回戦終了時
猿川+27.7P、吉田直+11.3P、近藤▲10.0P、石渡▲29.0P

4回戦オーラス、近藤27,600、吉田28,700。
吉田は自身が浮かなくても、このまま終わらせれば優位に進められると6巡目にこのチーテン

吉田
四万五万六万二索三索四索六索七索四筒四筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き

しかし今度は近藤の競り勝ち。

近藤
一万二万三万二筒三筒南南白白白  ポン発発発  ツモ一筒  ドラ西

全員に通過、敗退のある条件で最終戦を迎える。
4回戦終了時
猿川+15.8P 吉田直+4.7P 近藤▲3.2P 石渡▲17.3P

最終戦
東3局、猿川親リーチ。誰も向かえず最終ツモで2,600オール(メンピンツモドラ)
これで猿川はホッと一息。

東4局は近藤のスーパープレイ。
石渡のピンズのホンイツに対して、最終手番で六筒東の選択。見事六筒を選び2人テンパイに。

南1局、親吉田

五万五万五万六索七索八索五筒五筒東東  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  ドラ東

ドラ東の後づけで出アガリは期待できないが、3者の捨牌からは山に残ってそうなテンパイ(読み通り2枚山)

対するは、この親を落としたい近藤

一万二万三万七万九万七索八索九索一筒一筒  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き

勝負所の引きあいは1勝1敗だが、今回の軍配はどちらに?

近藤が東を引いて迂回(打一筒)。
アガリには結びつかなくても、相手が掴んでくれて連荘できることも含んだ吉田の仕掛け。
吉田の雀風上、タンヤオのみの1,500の仕掛けとは考えづらく、これは止める一手。

しかし、山に2枚残りが災いするのは想定外。
なんと近藤が再度東を引き、打点も上昇させた上でのツモアガリとなった。

一万二万三万七万九万七索八索九索東東  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き  ツモ八万

5卓勝ち上がり 猿川真寿・近藤久春

 

 

 
100

 

6卓、灘麻太郎・瀬戸熊直樹・滝沢和典・藤井すみれ

福光「観戦記者だけど、すみれは見ずにたっきー見てるから思い切りやってきな!」
藤井「嬉しい( ;∀;)頑張るね」

この九段戦Sに残っている女流プロは1卓の魚谷とこの卓の藤井。(黒沢がベスト16シード)
同期なので贔屓目で書くと、藤井は勉強熱心で知識も豊富。
持ち前の人の良さから慕う人も多く、強い練習相手に恵まれているし、稽古量も多い。
唯一の弱点と言えば、これも有名な話ではあるが、放送対局や大舞台に弱く普段の判断ができないところだ。
この卓のシードは灘と瀬戸熊。勝ち上がってきた滝沢も含め、紹介は不要であろう。

1回戦、好スタートは瀬戸熊。
南2局の親番

二万二万三万四万五万五索六索四筒五筒六筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ドラ一筒

3枚目とはいえ、四万にチーテンをかける瀬戸熊なんか見たくなか・・・
ではなく、スキがない、この連荘を続け1回戦から勝負を決める気だ、という感想。
最終的に6本場まで連荘し、7万点オーバーの大リード。

1回戦終了時
瀬戸熊+49.1P、藤井▲9.7P、滝沢▲12.6P、灘▲26.8P

2回戦、瀬戸熊がトップ目でのオーラス
南家の灘が5巡でこの仕掛け。

牌の背牌の背牌の背牌の背  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ドラ五筒

親で上家の滝沢の手牌に制限をかけ、また30,300点持ちの藤井もオロして原点を割らせようという作戦。
しかし、ここはリスクも追わないが、形も崩さないでテンパイに向かった藤井の手組がよかった。ソーズは切り出さず、終盤に価値あるテンパイ。33,300点の2着をキープ。

2回戦終了時
瀬戸熊+69.2P、藤井▲2.4P、滝沢▲29.7P、灘▲37.1P

3回戦は灘の時間。5万点オーバーでオーラスを迎える。
2万点持ちでもう後がない滝沢。

三万三万四万四万七万七万八万八万九万九万南南西  リーチ  ロン西

灘の1人浮きを阻止、自身も浮きに回る大きなアガリ。

3回戦終了時
瀬戸熊+56.1P、灘▲7.3P、滝沢▲19.4P、藤井▲29.4P

4回戦終了時
瀬戸熊+44.2P、灘▲12.4P、滝沢▲15.1P、藤井▲16.7P

4回戦は藤井がトップを取り、3者並びで最終戦へ。
満貫をツモった滝沢が一歩リードで迎えた南3局、灘の親番。


二万二万四索四索五索五索五索北北北  ポン白白白  ドラ二万

アガれば決まり手だったが、王牌に阻まれ流局。

オーラス、灘、藤井ともに満貫条件であったが、


一索二索四索五索六索八索九索九索二筒三筒四筒中中  ドラ七索

藤井
二万二万三万五万六万七万東東西西西中中

この1シャンテン止まりだった。

6卓勝ち上がり、瀬戸熊直樹・滝沢和典

 

ベスト16組み合わせ

A卓(6/28) 佐々木亮 vs 小松武蔵 vs 猿川真寿 vs 魚谷侑未

B卓(7/5) 黒沢咲 vs 櫻井秀樹 vs 瀬戸熊直樹 vs 前原雄大

C卓(7/12) 沢崎誠 vs 山田学 vs 滝沢和典 vs 杉浦勘介

D卓(7/19) 藤崎智 vs 前田直哉 vs 近藤久春 vs 伊藤優孝