十段戦 レポート

第37期十段戦ベスト16C卓レポート

【十段戦ベスト16C卓通過は柴田・内川!】

10月30日(金)に行われた第37期十段戦ベスト16C卓は、ここまで勝ち上がった柴田吉和(五段)、西川淳(六段)、吉田幸雄(八段)に昨年ファイナリストの内川幸太郎(六段)を加えた4名で争われ、結果としては安定感抜群の進行を見せた柴田・内川の勝ち上がりとなった。その戦いの中で見どころとなった場面をいくつか紹介したい。

 

 

解説の櫻井秀樹は開始前にコメントを求められると、前週役満が出たことを踏まえ「今日も役満が出そう。みんなよくアガっているイメージ」と回答。するとなんと開始10分ほど、柴田が暗刻の牌を切れば七対子のテンパイというところでまさかのテンパイ取らず!するすると3つの暗刻を完成させると、ツモり四暗刻のリーチ!同じくテンパイを入れていた吉田から、この日の好調を予感させる8,000のアガリとなった。

 

 

この半荘幸先よくトップを手にした柴田は、続く2戦目もオーラスに役牌のドラを暗刻にしたアガリで連勝。前半ながら余裕の通過を予想させるプレーを見せた。逆に厳しいのは、先ほどの8,000を放銃に回った吉田。なかなか存在感を発揮することができず失点が続き、2戦目が終わった時点で2位まで70Pを超えるビハインド。内川と西川でもう1つの椅子を争う展開となった。

直接勝負の分かれ目となったのは3回戦オーラス。

 

 

西川にとってはライバルの内川を浮かせたくない(=30,000点を超えさせたくない)、できれば逆転したい場面。内川は終盤にドラの発を切っており、テンパイ濃厚。難解なパズルを乗り越えテンパイした西川は、直撃かツモで逆転のカン七万リーチも有力な場面だ。しかし西川は、

①自身の待ちが弱いこと
②吉田のアガリをアシストできれば、内川を沈みのまま終わらせられること…などを加味したのかヤミテン。

結果としては柴田以外の3人テンパイで流局となり、西川は痛恨の1人沈みとなった。
この局はどう足掻いても1人沈みのルートしか無かったかもしれないが、西川の引き出しの多さを感じさせた。

ここからは吉田が意地の2連勝で最終的には3人競りの状況となるが、内川の慎重な選択と柴田の軽快なかわしが光り、見事通過となった。

 

 

次回D卓は11月5日(木)。対局者は沢崎誠、西島一彦、前原雄大、仁平宣明。15時からの生放送を是非ご視聴ください。

文中敬称略
文:浜野太陽