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グランプリ 決勝観戦記

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第7期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 初日 藤崎 智

2017/03/30
執筆:藤崎 智


今期最後の公式戦は佐々木寿人のG1タイトル初優勝で幕を閉じた。
40歳の佐々木が一番年上という、これからのプロ連盟を背負うであろう若手4名での決勝戦であった。若手といっても4人共実績は十分でこのグランプリMAXのタイトルを獲る獲らないで今後活躍の舞台が増えるといった選手達では決してないのだが、世代の近い4人という事で「目の前の勝負」に勝ちたいというおもいが見ている私にも伝わってくる熱い闘いであった。4人中3人が団体対抗戦でプロ連盟を優勝に導いてくれたポイントゲッター達ということで、その時図々しくもキャプテンを務めていた藤崎が頑張って伝えていきたいと思います。

 

1回戦起家から
 
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28期。わずか4年で来期のB2リーグ昇級を決め、グランプリも2年連続での決勝進出である。昨年度の十段戦での逆転の国士無双が記憶に新しい。
 
 
南家
 
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22期。そうそうたる実績ではあるが意外にもG1タイトルは初決勝。来期A2リーグ返り咲きを果たした人気ナンバーワンの男子プロ。団体対抗戦の開幕戦での地和はチームを勢い付ける値千金のアガリであり、その後も寿人らしくポイントを伸ばしたチームの中心選手であった。
 
 
西家
 
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22期。来期A1リーグの昇級を決め今回のメンバー唯一のA1リーガーであり、団体対抗戦ではチームトップのポイントを叩き出した選手である。しかしG1タイトルの決勝は数年前の王位戦以来2度目でありご覧の通り今回のメンバーで唯一獲得タイトルはない。「現A1リーガー」という肩書きは「現タイトルホルダー」という肩書きと同等の価値があると私個人は思っている。獲得タイトルはたとえ過去のものであっても色あせることはないが、A1リーガーに関しては「現」に価値があるものだと思っている。内川にとっては来期のA1リーグ初参戦の前に自信をつける意味でも是非欲しいタイトルである。そしてもう1つ、このグランプリMAXで初タイトルを獲得した選手が過去に2人いる。勝又と前田。そう、前鳳凰位とその前の鳳凰位である。そういった意味でも今回の決勝戦を一番勝ちたいと思っているのは内川だと思っている。
 
 
北家
 
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23期。現マスターズチャンプでG1二冠を狙う最年少Aリーガー。団体対抗戦ではあまり調子のあがらない中、きっちりプラスポイントキープしたチームのムードメーカー。
 
 
 
東1局(柴田300、佐々木300、内川300、白鳥300、)

 

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西家内川の配牌で第一ツモが白。今期A2リーグの立会人や解説で内川の麻雀はかなり観てきたのだが、リーグ戦では白をツモ切りしていたように思う。しかし内川の第一打は東。開始数秒での出来事だったが内川の今決勝にかける意気込みを感じた気がした。

 

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東2局2本場(佐々木348、内川290、白鳥272、柴田290)

 

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北家柴田の1巡目の手牌でドラが九筒。柴田の選択はドラ切りのダブリー。柴田という選手は門前重視で打点とスピードのバランスと、リーチとヤミテンの選択が的確な打ち手である。普段であればいったんヤミテンに構えてマンズの手替わりを待ちそうであるが、この時は少し手が震えていた。本人も言っていたのだが、この時は緊張があったようだ。ならば早く緊張をといて勝負に集中出来るようにリーチといっておいた方がいいという判断もあったらしい。デビュー依頼3年間無心で駆け抜けて素晴らしい実績を残してきた。今回世代の近い者通しの闘いで格上のAリーガー3人相手に自身の力を証明したいということだろう。今回は無欲ではなく力で獲りに来たといった感じに思えた。

 

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1回戦、東4局で親の白鳥が2フーロでマンズのチンイツのテンパイ。そこに中五万のシャンポンのツモり三暗刻のリーチにいった佐々木が勝負して2,000・4,000をツモりトップ。引き負けた白鳥が3着。アガリのない内川がラスとなった。

1回戦成績
佐々木+27.6P 柴田+7.5P 白鳥▲13.6P 内川▲21.5P

 

 

2回戦

東1局(柴田300、白鳥300、佐々木300、内川300)
親の柴田が白鳥から12,000、テンパイ連チャン、佐々木から3,900と三本場まで積み上げる。3局共に柴田らしい素晴らしい手順だったのだが、特に2局目のテンパイ連チャンが見事だった。下家の白鳥から4巡目の早い仕掛けを受けながら丁寧に三色ドラ1のテンパイを入れた。丁寧に仕上げた分時間が掛かったのでヤミテンが普通と思われたのだが、これをリーチといって白鳥のアガリを阻止しての連チャンに成功した。実はテンパイした時点で柴田の待ちは純カラであった。言うまでもないとは思うが私が打っていればこの親権キープはなかったし最初の12,000も2,900だったように思う。

この後の3本場で内川にようやく初アガリの3,900がくるのだが、とにかく内川の調子が良くない。牌のきかたがあまりにも悪く、捨て牌を全部合わせればアガリはあるのだが、普通に打てばほぼアガれない。そんな局ばかりであった。

南3局(佐々木280、内川242、柴田442、白鳥236)

 

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3巡目の内川の手牌。これも難しいし、いやらしい。三索切りの人が多そうだが内川の選択はドラの白。結果これが大正解で次巡二筒ツモ。前巡白を切った以上二筒引きや七索引きを考えて三索切りで一旦五筒タンキに受けることになる。これをあっさりツモって1,600・3,200。もしここで三索切りとしていればドラタンキの七対子となっておりアガれていたかどうか微妙である。

南4局1本場(内川306、柴田425、白鳥220、佐々木248)

九種九牌で流局での1本場

 

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柴田から今決勝2度目となるダブリーを受けての親番の内川の2巡目。北が安全牌なのでとりあえず北切りとしそうだが、内川は打七筒で真っ直ぐを選択。最終的に北三索のシャンポン待ちの追いかけリーチで柴田から9,600をアガる。実は柴田の入り目がラス牌のペン七筒でやはり勝負というものは紙一重である。

ここから4本場まで内川が連荘するのだが、5,200をアガれば浮くという条件で佐々木は、ドラの二万と1枚切れの二索の役無しシャンポンをリーチにいかず、という新たな一面も見せてくれた。

2回戦成績
内川+24.0P 柴田+5.4P 佐々木▲9.7P 白鳥▲19.7P

2回戦まで
佐々木+17.9P 柴田+12.9P 内川+2.5P 白鳥▲33.3P

 

 

3回戦

南1局2本場(白鳥350、佐々木211、柴田320、内川319)

東1局ではタンピン三色イーペーコーの1シャンテンを柴田の先制リーチを受けて即撤退。南1局1本場では1巡ヤミテンに構えて次巡ツモ切りで先制リーチなど、あの「攻めダルマ」と呼ばれた寿人さんですか?免許証拝見させて下さい。と本人確認したくなるような今日の佐々木がここでもらしくない攻めをみせる。

 

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5巡目。鳴いているのはダブ南。佐々木なら間違いなく六万切りと思っていたのだが、佐々木の選択は打二筒。終盤に3,900のアガリとなるのだがホンイツならもっと早くツモアガっていた。結果的にこの局だけは失敗だったがこの一連の「寿人らしくない」は実は進化した「ニュー寿人」だったようだ。それはこの先わかることになる。

 

100

 

この半荘はここまで苦しんでいた白鳥が南1局1本場の3,900オールの後、持ち前のちっちゃい、いや失礼、機敏で緻密な「白鳥ワールド」で1人浮きのトップを勝ち取った。「白鳥ワールド」に関しては後半戦で全開となるので前半戦ではあまり触れないが、年々精度が上がってきているように思える。

 

100

 

3回戦成績
白鳥+19.5P 柴田▲2.5P 内川▲5.2P 佐々木▲11.8P

3回戦まで
柴田+10.4P 佐々木+6.1P 内川▲2.7P 白鳥▲13.8P

 

 

4回戦

この4回戦は佐々木が2,000・4,000と4,000オールをアガリ1人浮きのトップをものにするのだが、すごいのは白鳥。東場では不運としかいいようのない8,000を内川に放銃するなど厳しい展開だったが、捌きとテンパイ料だけで小さい3着に抑える。

4回戦成績
佐々木+31.6P 内川▲4.3P 白鳥▲8.0P 柴田▲21.8P

4回戦まで
佐々木+37.7P 内川▲7.0P 柴田▲8.9P 白鳥▲21.8P

初日を終えて佐々木が頭一つ抜けている。とにかく放銃が少ない。放銃は少ないのだがアガリを逃すシーンが全くない。らしくはないように私の目には映るのだが、そんな戦術でも勝つ自信ありということなのだろう。
2番手に着ける内川は1回戦目アガリなしから2回戦目にはリーグ戦ではあまり見せないバランスを度外視した強引な麻雀で立て直してきた。この位置で初日をまとめたことに内川の強さと今決勝への意気込みをみた。
3番手の柴田は配牌だけならこの日断トツのナンバーワンである。しかしメンゼン型の柴田にとって配牌である程度かたちが決まっていれば、あとはツモ山との勝負となってしまうのはしょうがないだろう。ツモが思ったように伸びず、局の終盤受けにまわされる事が多かった。しかし1人ノートップでこのスコアなら十分2日目勝負となる。さすがに2日間ノートップでは優勝出来ないので早目の初トップがほしいところ。
そして初日最下位の白鳥。実は白鳥、1回戦から4回戦まで南入した時点で全て1万点代のラス目だった。そして全て南場で盛り返してのこの成績である。「白鳥ワールド」は逃げてこその戦術である。そう考えれば初日の内容は上出来と言っても過言ではない気がする。