プロリーグ(鳳凰戦) レポート

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第30期プロリーグ A2 第8節レポート

2013/11/27
執筆:望月 雅継


プロ連盟では、この第8節からA1、A2リーグの対局の模様が、
日本プロ連盟チャンネル』において完全生放送されることになった。

タイトル戦の決勝はおろかリーグ戦の模様まで生配信されることになったことに、私は心から感動を覚えている。
私がプロ入りしたころには到底考えられない大進歩であり、ファンの皆さんとプロとの距離がより一層近づいたことで、私達麻雀プロの一挙手一投足にこれまで以上に責任が生じていることを痛切に感じている。

プロ連盟の選手一人一人が、生きるも死ぬも自分次第であることを十分に自覚し、更には個々の選手それぞれがプロ連盟の看板を背負って対局に臨むべきだと、私自身そう感じながらほぼ全ての対局に目を通した。

選手としてではなく、あくまで一ファンの1人として目にしたリーグ戦の放送は、今まで見た麻雀の映像と一線を画した内容に、自分の立場をまるで忘れ、興奮し画面にくぎ付けになってしまう。先日王位戦で同卓したアマチュアの選手にも、

「本当にAリーグの対局って面白いですよね~!あれで月額525円は安すぎですよ!」

とお声掛けを頂いて、私個人としても本当に嬉しい気持ちとなった。

がしかし…肝心の自分の麻雀がとても見せられる内容でなかったのは本当に恥ずかしく思っている。
リーグ戦に参加して十数年、今までのリーグ戦での対局の中でも、最低の内容と最低の結果が初めてのリーグ戦配信だったことに、反省しても、し尽せないくらいだ。

決定戦進出が極めて厳しくなったとか、後ろを見れば降級の可能性があるとか、そういった事は全くの二の次で、対局者全員で対局を創り上げなければいけないものを、1人のプレイでぶち壊しにしてしまったのではないかと痛切に反省している。とはいっても、失ったものは大きいが、いくら考えた所でその麻雀も結果も戻ってこないのは事実。今まで以上に真摯に麻雀と向き合って、新たに精進を重ねて行く他あるまい。

前書きが長くなってしまったが、何故自分の不甲斐ない麻雀を引き合いに出したかというと、私と同じ想いを感じながら対局に臨んでいたと思われる選手の事に触れたかったからだ。

それは、別日対局での金子であり、今節の山田である。
2人の好調時の戦いを知っているだけに、2人が苦しんでいる様子を画面越しに見ていると、今節においての自分の姿とどうしても重ねて見てしまうのだ。

例えば山田の4回戦、この日ここまでマイナスを60P程重ねてしまっていただけに、手牌にブレーキが全くかからず、更には手牌進行をもマイナスに作用してしまう。
昇級を競う白鳥に痛恨の3連続放銃は、自分自身の姿にダブるように見えた。
山田の渾身のチンイツの仕掛けも、

一索一索四索四索四索五索六索七索八索九索  ポン二索二索二索  ドラ一筒

手変わりを待たずに勝負を仕掛けた白鳥のこのリーチに、

三万四万五万三索三索六索七索八索三筒四筒五筒八筒八筒  ロン三索

三索が止まるはずもなく放銃に。
仕掛けても、手を組んでも、一度出来てしまった流れを引き戻す事は容易ではない。
対局している山田自身の心中を察しても、普段の実力を発揮できないもどかしさが画面越しに伝わってくるようだった。

こういった戦いを目にすることは本当に辛く悲しい。
しかし、勝負の世界で生きていくためには、決して避けては通れない道であることも事実。
勝者がいれば敗者が必ずいるのが世の常。昇級者が出れば降級者が出るのもリーグ戦。
今後放送を続けていく以上、素晴らしい戦いの脇で残酷なドラマを目にすることとなるが、そういった現実に目を背けずにリーグ戦を観戦してもらいたい。

途中休場の選手が2名出た為、今期の降級枠は2人に減ったが、ポイント的にも正直2人が残留を果たすのは極めて厳しいと言わざるを得ない。それでも、それぞれの存在価値を見出す為にも、最終節には2人のベストパフォーマンスを視聴者のファンの皆様に伝えてほしいと思っている。

 

さて、上位争いに注目を絞ってお伝えすると、まずは3位・四柳と4位・石渡の対決。同卓者は刀川と金子。
この卓では、奇跡の残留を目論む金子の驚異的な粘りによって苦しめられたのは四柳。
常に後手後手を強いられ、終始受けっぱなしの展開に。

そんな中、ライバル石渡は、親番での効率的な加点で金子の攻撃を最小限に食い止め、3回戦までに1、2、1着と30P程ポイントを上積みし、四柳との差を一気に50P以上突き離す。

しかし、石渡は4回戦に痛恨のラス。
上位卓には踏みとどまったものの、昇級争いは最終節に持ち越しとなった。

四柳も最終4回戦にようやく片目が開いた格好。被害を最小限に食い止めたのはさすがだが、上位卓から漏れてしまっただけに、最終節は先に結果を残しての結果待ちとなってしまった。

続いて行われたのは2位・白鳥と5位・前田の争い。同卓者は黒沢と山田。
この日の主役は前田。
前田のスタイルのわりに、この日の前田は、手数は意外と少ないものの、効率的なアガリと展開も向き、トップ3回、2着1回のオールプラスで一気に白鳥を交わし2位まで浮上したのだ。

特に2回戦東場での連荘は圧巻。
白鳥と山田が親の前田にぶつけるも、しっかりと受け切った後に本手を炸裂させる。

東4局2本場、山田の先制リーチを受けるも次巡追いつきそのまま追いかけると、

四万五万七万七万一索一索一索一筒二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ三万  ドラ七万

続く東4局3本場、またもや山田のリーチを受けるが、

二万二万三万三万三索四索四索六索八索八索東東中  ドラ二万

七対子ドラ2の1シャンテンから、難解ながらもこれをメンツ手移行。
1シャンテンを維持しながらテンパイを果たし、最終形は、

二万二万二万三万四万四索五索六索八索八索東東東  ツモ五万  ドラ二万

この6,000は6,300オールで他家を置き去りに。このアガリがこの日の勝利の決め手となったのだ。
対する白鳥も、苦しいながらもポイントをまとめ、最終節に可能性を残す位置に留まった。
直接対決の最終節だけに、この位置なら逆転も十分。この日の苦しさを最終節にぶつけてくるはずだ。

そして最後は勝又。
中位に位置する佐々木、山井に、降級争いに組み込まれたくないはずの仁平と滝沢が相手。

この日の勝又もそれほど無理しない卓回しで安定感抜群。
連続プラスはストップしたものの、2位以下とのポイント差を考えれば昇級は確定したと言ってもいいだろう。

大きく沈むと降級の危険性もあった滝沢と仁平だが、共に初戦(滝沢は2回戦が初戦で仁平が2回戦抜け番)をトップで終え、上手くポイントをまとめた結果に。

2人は最終節下位卓に組み込まれるものの、12位・金子との差は100P以上あるだけに危機を脱した感がある。
それでも直接対決を残している以上、何が起こるかわからないのが麻雀の難しさ。逆に僅かながらに可能性を残す金子は、ターゲットを決めるか、自身の加点を最優先するか、戦い方が難しいが最後まで諦めずに戦ってほしいものだ。

昇級争いに目を向けると、勝又の連続プラスは7節でストップしたとはいえ、勝又の昇級は揺るぎないだろう。
そうなると残りの昇級枠はたった1つ。

数字的には5位の四柳まで可能性は残すが、最終節は上位対戦となるだけに四柳の昇級はかなり厳しそうだ。
ポイントとしては、2位の前田まで57P差。少なくとも70P以上のプラスを叩かないことには、上位陣にプレッシャーを掛けることは難しいのではないか。

今節2位に浮上した前田には勢いを感じる。
手牌もそうだが、今節は非常に展開も向いた。今期は劣勢に立たされても踏みとどまる我慢強さが随所に感じられ、それが今節の爆発につながったとみている。首位の勝又が無理をしない戦い方を選べば、一気に突き抜ける可能性もあろう。

一歩後退した3位、白鳥の今期の良さはそのメリハリ。
前述した牌姿のように、勝負所とみれば一気に攻め抜く瞬発力を持ち合わせながら、局面をしっかりと見極め、場に即さない牌は下ろさない守備力も光る。
前田との差は僅か12P。最終戦まで縺れる展開になれば勝機は十分にある。

今期の白鳥の戦い方と極めて似た戦い方でここまで戦ってきた4位・石渡の武器はその安定感。
今期は勝又の出来が良すぎただけに目立たないが、マイナスを極力抑えここまで着実にポイントを積み重ねてきた。
白鳥と異なる部分は序盤の構え方。ギリギリまで踏み込んでから局面に合わせていくだけに、勝又と白鳥との同卓は意外と相性がいい可能性も。早い段階で並ぶことが出来れば、後は経験の差で捌き切ることも十分に可能だろう。

最終節まで縺れた昇級争いは、どうやら最終戦まで誰が昇級するかわからない戦いになるだろう。
同卓の3人での争いになるか、それとも前週に行なわれる対局で四柳が一気に差し切るか、最後まで目の離せない戦いが続くはずだ。

私達麻雀プロが全てを懸けて戦うその姿を、視聴者の皆様もしっかりと目に焼き付けて頂きたいと思っている。