プロリーグ(鳳凰戦) レポート

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第31期A1リーグ第1節 B卓レポート

2014/04/30
執筆:望月 雅継


今期から全卓全ての対局を生配信するA1リーグ。
選手の意気込みも例年と比べ、若干の違いがあるような気がしている。
今回のレポートは自戦記ということで、主に私自身が戦いながら考えていたこと、感じていたことを中心にお伝えしていこうと思う。

今回私が戦ったのはB卓。
最強位の沢崎、グランプリMAX覇者で今期A1リーグに昇級した前田。
そして柴田の3名との対戦となった。

結果は柴田の完勝。
私はというと、2着、3着、3着、2着で▲20P。苦しいスタートとなってしまった。

着はまとめたものの、実はオールマイナス。
画面上からは、苦しい場面ばかりが伝わってきたように映ったかも知れないが、当の本人は久しぶりにA1リーグで戦えた喜びと、数字以上に充実した内容に、無事にスタート出来た事の充足感も併せ、納得した気持ちでキーを叩いている。

とにかく場が(局面状況と相手の手牌進行が)良く見えた1日だった。

開局、1,500点をアガって連荘に成功した東1局1本場、結果は沢崎への7,700放銃となってしまったのだが…
沢崎のファーストテンパイ形がこちら。

一索三索四筒四筒四筒五筒六筒  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き  ポン東東東  ドラ四筒

私の手はというと、ここまでの手組みが悪く、三色も取りこぼした上にソウズの一索二索のターツを切り遅れた格好になっている状況。ただしかし、沢崎の牌姿に関しては、ピンズ部分がわからなかったが、カン二索のテンパイ形が十分に予想出来ていた。そこに沢崎がツモX。少考後、打三索

そして柴田のリーチを受け、私は柴田の現物である打一索と沢崎に7,700放銃。

結果だけ言えば最悪の結果に映る。
ソウズを早く捌ければ問題ない局面だし、わざわざ一索タンキのテンパイがついてからの放銃だけに、解説の鳳凰位藤崎も「これはひどい…」と呟いていたくらいだ。

しかし、当の本人の感触は全く違っていた。
ここに至るまでのフォームとして、柴田のリーチ前にカン二索での放銃がつかなかった事、打点はわからなかったが沢崎の最終形が想定出来ていたことに十分に好感触を得ていたのだ。2,000や3,900の放銃でなかったことは大誤算であるが。

3回戦の沢崎のカン二筒もズバリ。

四万五万六万八万八万五索六索七索七索八索九索一筒三筒  ドラ三筒

前田の5巡目リーチを受け、打五筒でのテンパイ後に1巡おいてのツモ切りリーチ。
自分の手には、前巡処理できるはずの二筒がポツリ。だが、この二筒だけは死んでも切らぬと五筒を抜き打つ。

結果は沢崎のツモアガリで決着。
どちらのアガリも沢崎にしか打てないだろう素晴らしい手筋だ。その沢崎に対し、何とか喰らいついていけると感じた放銃とツモアガリ。ここ最近、沢崎とはたくさん対戦する機会があっただけに、対沢崎に対しての研究の成果が上がっているなと実感した1日であった。

もちろん放銃が是というわけではない。
だが、相手のテンパイ気配を感じ、それに呼応するように牌をぶつけることは、麻雀というゲームの性質上避けては通れない道であると考えているからだ。

1回戦東3局、前田に放銃した2,000。

五万五万七万八万九万二索三索  ポン東東東  ポン発発発  ドラ九筒

私の牌姿は、

一万一万三万四万九万九万九万一索二索三索二筒三筒四筒  ツモ四索  打一索  ドラ九筒

8割以上当たると思って切った一索-四索
しかし、開幕戦の1回戦であるという事も踏まえ、この牌姿まで成長した事を受け、戦う姿勢を他家に見せることが必要だと考えてのアクションであった。

私の勝手な持論だが、仕掛けやリーチに放銃することに対してはさほど悪いことだとは考えていない。
相手のテンパイや、相手の牌姿が見えている所に対して、放銃するリスクを理解した上で勝負しているわけだから、その打牌には打ち手の覚悟が詰まっていると思うからだ。(もちろん、見え見えのテンパイやありえない牌姿からの放銃は論外だが。)

しかし、相手のテンパイ気配に気が付かず、ヤミテンに放銃するのは如何なものかと考える。
ヤミテンに気が付かないのは打ち手の能力であると考えるからなのだ。

ヤミテンを感じ、その相手に向かって勝負を挑み、そして結果放銃する。
リーチに仕掛けに向かって戦い、そして放銃する。
ヤミテンに気が付かず、自分の都合だけで切った牌で放銃する。

全ては同じ放銃であるし、見ている視聴者の方々には違いが伝わりにくいことであるが、放銃の質としては雲泥の差だと私は考えているのだ。

そういった意味では非常に良い感触を持ちながら戦っていたのだが、自分の状態が並以下だという認識は常に持ち合わせていた。

特に柴田に対しては、1回戦南1局

望月牌姿

一万二万三万五万五万六万六万七万八万九万九万中中  ツモ中  打八万  ドラ五筒

柴田牌姿

二万三万四万七万八万二索三索四索七索七索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ九万  ドラ五筒

私はマンズのメンホン。
いつ、どのタイミングでも放銃の可能性のあった六万-九万を?い潜り、必死にテンパイを果たすも、結果は柴田のツモアガリ。

そして2回戦、東1局1本場、先制リーチを打った私。

望月牌姿

二万三万四万六万七万八万三索四索二筒三筒四筒九筒九筒  リーチ  ドラ四索

私が切ったドラの四索を沢崎がチーし、倍満テンパイ。

一索二索四索五索六索七索七索七索八索九索  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  ドラ四索

すると柴田が12巡目に追いかける。そして沢崎のアガリ牌三索をツモ。

四万四万四万五万六万七万四索五索二筒三筒四筒六筒六筒  リーチ  ツモ三索  ドラ四索

この2つのアガリ形を見て、この日1日は柴田がエラーしない限り、柴田に立ち向かう事を諦めた。
メンホン一通のテンパイになった3回戦東1局も、直前に柴田にアガリ牌の七索を処理されたことを理由にヤミテンを選択するなど、押し引きの基準のベースを柴田の動向を中心に判断していたことは間違いない。

今回の柴田の内容と結果にはただただ素直に頭を下げたいと思っている。
しかし、1年間という長いリーグ戦であるという事、この先まだ再戦のチャンスがあるという事をプラスに捉え、最終節を終えた段階で挑戦権を勝ち取るポジションにいるんだという想いは更に高まったことは紛れもない事実だ。

麻雀プロは結果が全て。
特にA1リーグでは意地とプライドがぶつかり合うステージだけに、見ている視聴者の皆さんも兎角数字や結果だけに捉われがちになってしまうことだろう。

しかし、映像時代に突入した今日、A1リーグで戦っていることをお伝えできる機会を頂いたということは、結果以外のいろいろな部分も画面上には伝わっているということなのだと思っている。

しかし、画面上だけでは伝わりにくい事も多いのもまた事実だ。

打牌の裏側の思考や、選手個人の思想、それぞれの人間関係、麻雀に対する想いなど、画面だけでは伝わらない部分をこの自戦記で少しでも皆様にお伝えできればと考えている。

私の一打は、目先のアガリを取るための一打ではない。
あくまで、『鳳凰位奪還』を見据えた一打なのだ。

その為に、私の進もうとしている道は決して平坦な道ではなく、棘の道を選んでしまったのかもしれない。
しかしそれでも、自分の信じる道をただひたすら突き進むだけなのだ。

 
そういった意味でも、今期の開幕戦となった今回、ご覧になって下さった方々と実際に戦った私とでは、対局に対する感じ方が全く違ったモノになっていたのだろうと思う。戦っている私としては、大振りしているつもりもなければ、無理やり手役を追っていたわけでもない。私にとっては、状態が苦しい中、良く耐えた1日だったのだし、私のスタイルの中では極めてディフェンシブに戦った結果、あのマイナスで終わることが出来たと感じているのだから。

しかし…一度だけ仕掛けてしまった事はちょっと残念だなって。
もちろん必然の仕掛けでしたけどね。

A1 A2 B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3


第30期鳳凰位
藤崎 智
出身地(秋田)

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 対局消化数 合計
1 近藤 久春(秋田) 55.3

4/40

55.3
2 柴田 弘幸(神奈川) 53.1

4/40

53.1
3 瀬戸熊 直樹(東京) 50.5

4/40

50.5
4 伊藤 優孝(秋田) 24.3

4/40

24.3
5 古川 孝次(愛知) 13.2

4/40

13.2
6 沢崎 誠(群馬) ▲9.3

4/40

▲9.3
7 勝又 健志(東京) ▲ 10.9

4/40

▲ 10.9
8 荒 正義(北海道) ▲ 13.2

4/40

▲ 13.2
9 望月 雅継(静岡) ▲ 20.4

4/40

▲ 20.4
10 前田 直哉(静岡) ▲ 23.4

4/40

▲ 23.4
11 朝武 雅晴(千葉) ▲ 24.3

4/40

▲ 24.3
12 猿川 真寿(静岡) ▲ 94.9

4/40

▲ 94.9

鳳凰位決定戦進出者 3名   降級者 2名
決定戦進出&降級ライン:順位枠内に表示

※同点の場合は期首順位が上の者を上位とする。