プロリーグ(鳳凰戦) レポート

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第31期A1リーグ第7節レポート 望月 雅継

2014/11/03
執筆:望月 雅継


対局1週間前、私は病院のベッドの上にいた。
急な入院だったため、対局自体に間に合うかどうかさえも不安な状態だったが、それでも何とか無事に退院し、対局に向かう事が出来たのだった。

入院、そして手術を終え退院するまで、ベッドの上でいろいろな事を考えた。
そのほとんどが麻雀プロとしての生き方、在り方についての内容だったような気がする。
そして家族への感謝の気持ち。

ここまで麻雀プロになってから十数年、我儘に我儘を重ね、好き勝手に生きてきた。
綺麗事を並べ、周りに迷惑をたくさん掛けながら、それでも何とかここまで歩んできたものだなと。

自分の歩んできた道は正しかったのか?

今まで何度も自問自答してきた。それでも、答えが出なかった。
しかし今回、幸か不幸かゆっくりと自らを見つめ振り返る時間をもらえた事によって、少しずつではあるが自分の心がゆっくりと溶け出してきた感覚があった。

病院の天井を眺めながら、麻雀牌をこれだけ長い間触らなかったことはあったのだろうかと思い出してみる。そうだ、自動車事故をもらい、入院した時以来だから…10年くらい前なのかな?
それから10年間、全く休まないで突っ走ってきたなぁ。

なんて事を考えながらも、退院する頃には自分の心の中ではある1つの思いが固まりつつあった。

麻雀プロになって良かった。
A1リーグの末席に居させてもらっているおかげで、自分自身を大好きな麻雀で表現出来る事が出来る。
当たり前のようだが、これは簡単な事ではない。辛くても苦しくても、投げ出すことなく麻雀と向き合ってきた事。やっとの思いでしがみついて、何とか今でもA1リーグで戦う事が出来ている事。
先輩方の尽力のおかげで、業界も連盟もものすごい勢いで発展してきている事。

全てが噛み合って、今私は、映像媒体で麻雀を打つことが出来ているのだ。
自らを表現する舞台で戦う事が出来ているのだ。
そんな当たり前の事に、やっと気が付くことが出来た。

それらは、多くの方々の支えがあり、家族の後押しがあって活動できているのであって、自らの意思や能力だけで麻雀プロを続けられているのではないのだと。

そう思うと同時に、映像を作ってくれている裏方のスタッフの顔も脳裏に浮かびあがってきた。
みんなが一生懸命作ってくれている舞台に立たせてもらっていること。
これは当たり前のように見えて当たり前の事ではない。
何か1つのピースが欠けても、番組は成り立たないのだから。
だからこそ、今回の対局に向かう前に思った一番大切な事。

「対局に穴を開けなくて良かった。放送に穴を開けなくて良かった。」

対局会場の椅子に腰掛けた時、初めて感じた安堵感。
戦う者のメンタリティーとして決して正しいとは思わないが、今回だけはそう思った事を許してもらいたい。

とはいえ、肝心の内容はサッパリだったこともまた事実。
体調不良のまま勝たせてくれる相手でもなければ、麻雀だってそんなに甘い競技ではない。
一旦卓についてしまえば、何も言い訳できないのが麻雀プロ。
そういった意味で、今回の結果は真っ直ぐに受け止めなければならない。

戦うといえば聞こえはいいが、見る人が見れば無謀な攻め。
見ている方に自分の意思を伝えたいと思う気持ちと、結果を残さなければならないという焦り。

顕著だったのは3回戦。
南3局2本場、苦しいながらもトップ目に立った私の牌姿は、

二索三索四索五索五索五索六索八索九索八筒発発発  ドラ四索

この形から、伊藤プロが切った3枚目の一索をチーテン。
同巡、猿川プロが切った七索を見ての仕掛けだったのだが…

この仕掛けで、前田プロに、四万五索と喰い流し、

四万四万五万五万六万六万四索六索四筒五筒六筒南南  ツモ五索  ドラ四索

4枚目の五索を引かれ親カブリ。
続くオーラス、今度はメンゼンで、

五万六万七万七万七筒八筒白白発発発中中  ツモ六筒  打七万  リーチ

この手をリーチ。
当然抑えられた上に、ラス目の猿川プロに追いかけられ、7,700放銃。

どちらも常識的ではない。
南3局は、3枚目とはいえ、あの形から鳴いていいのは七索だけなのは誰が見てもわかる。
それでも、ようやく手にした勝負手をより確実にしたいからとのテンパイへの欲。
周りに気配を感じていたからこその焦り。その動きが最悪の結果を招く。

次局はさすがにやりすぎ。
ヤミテンに構えればすんなり出る可能性のあった白を、リーチしたことにより抑えられたことも最悪だが、そのうえ放銃に終わってトップ目からラスに転落するなんて目も当てられない。

リーチするくらいならテンパイ取らずの大三元だってあるのだし、何がしたいのか、どんなスタイルなのかも見ている人には全く伝わらない。勝ちたいのか、魅せたいのか、望月は何を考えているのか視聴者の皆さんには全くわからなかったであろう。

私がどんな麻雀プロで在りたいのか、この対局からは全く伝える事が出来なかったし、表現することも出来なかったことはしっかりと反省しなければならない。もちろん結果についても同様だ。

それでも無事に対局を終え、正直かなりホッとした。
このような気持ちは、麻雀プロになって初めての感覚かもしれない。

結果にも内容にも不満は多く残ったし、降級ポジションに落ちてしまった自分が、正しい麻雀を打っているはずがない。

それでも、今節を終えて新たな自分を発見できたことは、これからの私にとって大きな財産になるに違いない。残留を果たしても、降級してしまったとしても、これからの私がやるべきことは変わらないのだから。

そう思えた事。
これはきっと大きな成長なんだろう。

厳しい出来事を乗り越えて、この先にきっと素敵な未来が待っているはず。
残り3節、麻雀プロでいられることに喜びを感じ、周りの人達への感謝の気持ちを忘れずに、純粋に真摯に麻雀と向き合っていきたいと思っている。