プロリーグ(鳳凰戦) レポート

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第29期プロリーグ A2 第8節レポート

2012/11/16
執筆:前原 雄大


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残り3節となり、いよいよ大詰めを迎えたA2リーグである。

前節まで、古川孝次、猿川真寿、黒沢咲の三つ巴の様相を呈していたが、
そこに、第2グループに位置する、勝又健志、板川和俊がどこまで攻め込めるかが見所だった。

私が選んだ採譜卓は、起家より、古川孝次、遠藤啓太、板川和俊、白鳥翔。
古川、板川は、今節プラスにポイントを纏め上げることができれば、昇級も見えてくるだろうし、
遠藤、白鳥は、ここでマイナスするようであれば、一気に降級グループに飲み込まれてしまう。

負けて良い戦いなぞ存在しないが、どうしても勝たねばならない戦いは存在する。
観戦する側としては興味の尽きない卓に思えてしかたなかった。

東1局は、板川から白鳥への放銃から始まる。
興味深かったのが5巡目の白鳥。

一万二万三万二索七索九索一筒三筒五筒七筒北中中  ツモ八索  ドラ四筒

皆さんだったら何を切っただろうか?
白鳥は、ここでドラの引き込みを拒否する打五筒と構える。
次巡、ツモ八筒そしてツモ二筒でリーチを打つ。

一万二万三万七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒中中 リーチ

場には九筒が2枚飛んでいたが、板川より高目の九筒で出アガる。
こういう日は負けないものである。

続く東2局、
 
四万五万六万七万八万七索八索九索一筒二筒三筒五筒五筒 ドラ九万

古川が9巡目にテンパイするも堅くヤミテンに構える。
リーチを打って高目の九万をツモったならば・・・などということは、全く古川の頭の中にはないのだろう。
負けないことの積み重ねが勝ちに通ずる__そういう考えが、古川の麻雀の骨格を成していることは間違いないだろう。
それと、現時点でのトータルポイントが打たせたヤミテンだろう。
ここに三で放銃したのも板川である。

そして迎えた板川の親番。10巡目にリーチを打つ。

二万四万六万六万七万七万八万八万五索六索七索八筒八筒 リーチ  ドラ二索

そして3巡後、事も無げにあっさり三万を引きアガる。
続く1本場も板川の10巡目リーチ。

捨牌 
西五筒 下向き三索 上向き七索 上向き四索 上向き七索 上向き二万 上向き三索 上向き七万 上向き九万 左向き リーチ ドラ三万

いかにも変則的な気配を漂わせるリーチである。
ちなみに、七索は両方とも手出し牌であるから、七対子の可能性はほぼ無いと言っていいだろう。
ただ言えることは、こういう時の板川のリーチは間違いなく高いということである。
他3者もそのことは充分解っているだけに、1牌たりとも現物牌以外は打ち出さない。
古川にとっては負けられない今節だし、白鳥、遠藤にとっては負けてはいけない今節であるからだ。

七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒七筒九筒

板川の開けられた手牌である。
観戦する側だから言えることかも知れないが、結果からみれば勿体無かったように思える。
古川、白鳥のどちらかの放銃で収束していたようである。
板川の立場から考えれば、前局のツモ三が打たせたリーチであり、上位とのトータルポイントの差が打たせたリーチなのだろう。
是非は問えない。

遠藤 啓太
「今節の目標として、是が非でもプラスポイントで終わらせる事を考え打ちました。
1回戦、板川さんの早いリーチに、ついていける配牌を貰っていたのに、真っ直ぐ前に出て勝負する事をためらい、
あっさり連荘をされてしまった事は反省しております。格の違いを痛感した対局でした。
トータルはプラスポイントで終わることが出来ましたが、運に頼った点が多く内容は酷いものと自負しております。
後2節、今の自分に出来る事を出し切り、良い結果が出る事を思い努力します。
          
遠藤が記す通り、板川のリーチは対局者に相当のプレッシャーをかけたことは間違いない事実であるのだから。

板川 和俊
「今節は、首位の古川さんとの差を、50ポイント以上縮めることをテーマに対局に挑みましたが、はじめてのボロ敗けでした。
1回戦、勝負手が入り続けますが、アガリに結び付かずオーラスあがり浮きの2着。
2回戦はトップとし、早くも50ポイント以上差を縮めましたが、だけどなにかしっくりこない。不安は的中しました。
以降ラス、ラスと続き、貯金をすべて吐き出す大敗。自分の不甲斐なさが情けない。また一から出直します。自分に『活』だ!

確かに本人が記す通り、好調の板川が大崩れするのは本当に珍しいことである。
もし板川に敗因があるとしたら、古川との点差を意識しすぎてしまったことかもしれない。
逆に言えば、古川の精神力の強さを私は評価したい。

1回戦の古川のアガリは、ピンフの1,000点だけで当然のごとくラスを受け止めた。
仕掛けの多さもアグレッシブだが、危なげな牌はキチンと止めてテンパイを崩し、放銃が一度もなかった。
そして、トータルポイントをプラスで纏め上げたのは流石というべきだろう。
残念ながら古川のコメントはもらえなかった。

白鳥 翔
「ここ数ヶ月、麻雀の内容について麻雀プロとはどうあるべきか、そればかり考えて過ごしていました。
雀力の低さ故か、いわゆる『綺麗に』打とうと思えば勝ちきれず、がむしゃらに打てば内容に満足できない。
そうして今期ここまで調子を崩し、降級もあり得る位置まで来てしまい、今節を迎えました。
『余計なことは考えずに自分らしく打とう』 そう決めて対局に望み、1回戦目はトップ、今節は+30弱という結果に終わりました。
3回戦目、長い対局で集中力が切れてしまい、それがなければもっと得点を上積みできたと思います。
日々思うのは、僕達若い世代がもっと強くならなければ、ということです。
先輩方より努力しないで、追い付き追い越せる筈がない。精進あるのみです。」

勝ち頭の白鳥のコメントである。
若者らしい将来を見据えた好感の持てる文である。

板川、勝又が沈んでしまった今節、残り2節ということを考えれば、猿川、古川、黒沢の3者の争いと見るのが妥当なところだろう。
最後にトータルトップに立った、猿川の言葉で締めくくりたいと思う。

猿川真寿
「今回の勝因は、開始前に荒さんにかけられた一言のおかげだと思っている。
自分は組み合わせを見てからずっと、昇級争いをしている勝又との戦い方ばかりを考えていた。
荒さんは「2人で勝ち上がる気で打てばいいんだよ」と、自分が何かを尋ねたわけではないのに声をかけてくれた。
傍目から見ても、かかっているように見えていたという事だろう。そのおかげで冷静に打てたのが勝因だと思っている。
今節の内容の出来に関しては、うまく打てたと思えたのは2回戦ぐらいで正直あとはあまり覚えていない。
ただ近年、稀に見るぐらい手が入っていたので苦労したという印象があまりなく余計そう思う。
これでとりあえず、首位に返り咲くことができたが、黒沢、古川さんとも50P差ぐらいで、まだ全然安心はできない状況である。
自分の考えでは、勝負事は「無欲」の方が強いと思っているが、これほど勝ちたいと思ったことはないぐらい「勝ちたい」と思っている。
残り2節、平常心を保って戦いに挑める努力に徹しようと思っている。」