プロリーグ(鳳凰戦) レポート

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第29期プロリーグ A1 第9節レポート

2012/12/06
執筆:藤原 隆弘


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A1リーグレポート:藤原隆弘

師走に入ったばかりの12月1日、プロリーグ第9節が開催された。
A1リーグも、今節と来節を残すのみ、いよいよ大詰めに近づいてきたが、
今節は、決定戦最後の椅子に手をかけた前原と、それを追う柴田を中心に観ることにした。

柴田の相手は、開幕からコツコツとプラスを積み重ね、
今節沈まなければ决勝進出がほぼ決まる、前鳳凰位の瀬戸熊。
そして、前節貯金を一気に吐き出してしまったが、もう一度巻き返しを目論むベテラン伊藤。
A1残留へ、少しずつマイナスを減らし続けている遅まきながら調子が上向いてきた右田の3人。

別卓の前原を抜くために、少しでも多くのポイントを上乗せしたい柴田にとって容易い相手ではないが、
3年ぶり3度目の决定戦進出のために、
この日に合わせて仕上げてきた柴田も最高のモチベーションで臨んだはずだ。
しかし、このモチベーションの高さが入れ込み過ぎとなったようで、最悪の决果となる。

初戦は、最終戦の降級直接対戦に備えて、少しでもマイナスを減らしておきたい右田が、
好調のまま1人浮きのトップ目で回る。
南2局に、持点20,000点ほどのラス目・瀬戸熊が10巡目に親リーチ。

六万七万八万五索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ九筒

2巡前から、手出しで二索三索と両面ターツを嫌ってのリーチなので、手役がありそうで怖いが、
南家の柴田は、宣言牌の三索をポン。タンヤオのみで四筒を勝負し、親満に飛び込んで大きなラスとなる。

2回戦目は、伊藤がプラス50越えの特大トップを取るのだが、勢いをつけさせたのは柴田。
東2局の伊藤の親で、3巡目に白をポンしてノミ手の2シャンテン。
伊藤のリーチを呼び込んだ6巡目、柴田は四筒七筒を浮かせた1シャンテンで、
伊藤のリーチは、

二万三万四万五万六万七万二索三索四索五筒六筒西西  ドラ西

こうで、どちらにくっついてもアウトだが、即三筒引きでテンパイし七筒を止められなかった。
ポイントを稼がなければの気持ちが強すぎてカカリ過ぎたのか、
攻守のバランスを欠いた無謀な突っ込みに映ったのは私だけではなかろう。
この2発の放銃で、今期の柴田のプロリーグは終了。最終節は事実上、消化ゲームとなってしまった。

2回戦は、瀬戸熊が珍しくハコラスで終わり、3回戦目も伊藤が連勝で瀬戸熊がラス目だった。
このままの調子なら、伊藤が瀬戸熊に追いつく可能性も見えていたのだが、
南場の親で、瀬戸熊が大勝負手を放つ。

二万三万一索二索三索一筒二筒三筒七筒七筒九筒南南  ドラ九筒

八筒が入ればヤミテンでした」と言う瀬戸熊に入ったのは七筒で即リーチ。

一万は場に2枚切れだったが、瀬戸熊のツモッたのはド安目の四万
伊藤もテンパイで押していたのだが、瀬戸熊は平然と四万をツモ切り、見事に一万を引き当て3.900オール。
強い、凄い、(俺なら怖いから四万でアガっちゃうもん)この一発で流れを立て直し、
ポイントをほぼキープ、决定戦を確実に手元に引き寄せた。

伊藤にしてみれば、瀬戸熊の後ろ髪をもう少しで掴みかけていたのに、
また大きく引き離された感じでガックリか?最終節はやや遠いが前原を追うことになった。
この卓の勝ち頭は右田で、僅かな差ではあるが、ついに降級ポジションを抜け出した。

さて前原はどうだったか?
数日前から風邪をこじらせたようで、かなり体調が悪そうだったのだが、やはり野人前原は逞しい。
立ち上がりから2連勝を決め、今日はマイナスしないムードとなり一安心か。
普段なら、ここから倍は稼ぎに行くところだが、後半は沢崎に持って行かれた。
それでも最低限のポイントは上乗せし、最終戦をかなりのアドバンテージで迎えることに成功した。

狙われる立場に変わりはないが、かなり優位な闘い方ができる差であろう。
前原の勝因の1つは、初戦の東2局の満貫だった。
この満貫の浮きを、そのまんま守ってトップをとったのだが、4巡目にこんな仕掛けから入った。

南家・前原 
一万一万四万四万六万七万六索八筒南南北白白  ドラ六索

4巡目に1枚目の一万からポンしてドラの六索切り。
確かに満貫の材料は足りているが、南白が絞られての仕掛け倒れが嫌だと言うか、
そうした失敗のほうが多いと思う。

ただ、リーグ戦も大詰で、それぞれのポイントやテーマが背景にあり、
降級争いで尻に火が着いているダンプと近藤が同卓なのも計算しての動きだったかもしれない。
藤崎と瀬戸熊が同卓なら何も鳴かせて貰えないだろう。
いや、そうやって絞らせて手を曲げさせるのも、イニシアチブを取って押さえ込むのも、
前原の思惑の中に組み込まれているのかもしれない。
あらゆるパターンで臨機応変に対応できるからこそ、長年に渡り数多くの勝利を収めてきたのだろう。
(ちょっと褒めすぎか?笑)

話を戻そう、この仕掛けにダンプが掛かった。
北家のダンプはこの手牌、

三万七万八万八万二索四索六索六索七索二筒四筒四筒東  ドラ六索
ここからドラの六索を無理ポン。
すると、前原に南白が暗刻になり、あっと言う間にテンパイ。
終盤、ようやく1シャンテンに漕ぎ着けたダンプが前原に放銃した。
前節、早々と降級ポジションを抜け出したダンプだが、
こんな我を忘れたような麻雀を打っているようではまだまだ危ないぞ。

もう1つの卓では、藤崎はやはり沈まず决定戦争いは、ほぼ上位3人で確定の感じ。
あまりドキドキハラハラするポイント差ではないので、最終節の上位争いには妙味がないが、
変わりに超面白くなったのが降級争いだ。

最終節組み合わせ
A卓 藤崎 智 vs 前原 雄大 vs 朝武 雅晴 vs 柴田 弘幸
B卓 瀬戸熊 直樹 vs 伊藤 優孝 vs 沢崎 誠 vs 近藤 久春
C卓 ダンプ大橋 vs 右田 勇一郎 vs 望月 雅継 vs 石渡 正志

最終節は、下位4名が直接対戦と規定されている。
前回のレポートで私の激が効いたのか、石渡が開き直ったような麻雀で今節A1の勝頭。
同卓の望月を引きずり下ろして、降級争いは極めて熾烈な史上希に観る大混戦となった。

常識的には、下位卓4人の内の負けた2人が降級となるのだが、
もし、この卓で1人だけが大負けの展開になったとしたら、上位の卓で打つ近藤がマイナスを増やせば、
3人に抜かれることになってしまうから、近藤は少しも安心できないのだ。

毎年A1最終節の最下位卓は、最後の半荘まで悲愴な闘いが続く。
私も2回経験したが、勝って現状維持、負けたら鳳凰位が遠のく。
この不毛な闘いの、何とも言えぬプレッシャーは、観ているものには解らないだろう。
それでも誰か2人が落ちる、果たして今期は誰が?

その答えは・・・来年1月12日だ~