プロリーグ(鳳凰戦) レポート

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第30期プロリーグ A2 第6節レポート

2013/09/12
執筆:望月 雅継


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突然の話ではあるが、プロ連盟では10月のリーグ戦からA1、A2リーグ共に、ニコニコ生放送での配信が決定した。(A2リーグは一部の対戦)

※現在のところ配信は予定となっております。
決定後、詳しくは日本プロ麻雀連盟ホームページで発表いたします。

予てからリーグ戦の最高峰であるAリーグの対局を放送するような時代が来ることを熱望していた私にとっても、プロの公式戦を中々目の当たりにすることが出来なかった麻雀ファンにとっても、この試みは画期的であり且つ非常に有意義なモノになることは間違いない。

モンドから始まった麻雀番組も、ついにリーグ戦の模様を全国の皆様へ生放送でお伝えできるようになったかと思うと、プレーヤーの1人としては非常に身の引き締まる想いでいっぱいである。

これもひとえに、先人たちがここまで麻雀界を絶えることなく引っ張ってきてくださったことと、諸先輩方の尽力のおかげだという事に、感謝しても、し尽せないくらいだ。このような時代に一プレーヤーとして対局出来ることに、私は多くの幸せを感じ、そしてまたこの流れを継続させていく事が出来る様に、更なる精進を重ねて行く事が必要だという事を痛感している。

時代が映像媒体へと移り変わることに対して多くの期待感があることは間違いない。
そういった現実に対し、去りゆく文化があることもまた、事実なのである。
それは、観戦記やレポートといった活字媒体。
このA2リーグレポートも同様である。

これからの時代は、画面を飾るプレーヤーを成長させていくのは視聴者の皆様の声である。
誤魔化しのきかないプレーや、リアルな視聴者の皆様の反応に、番組も、選手も、そして業界も成長させられるのである。

しかし、活字媒体で選手を光らせるのは、選手のパフォーマンスを生かす書き手の個性と能力。
上げるも下げるもその書き手の意思1つだった。
事実私も、選手の良い所を光らせたく、多くの凡プレーには目を瞑ってきたこともままある。

ペンの力は偉大である。持ち上げることも、貶めることも、自由自在。
それは、このレポートを楽しみに読んでくださっているファンの皆様に、Aリーグの対局の素晴らしさを伝える一心だったことをここに詫びたい。

プロ連盟を愛するが故に、選手を輝かせたいが故に、麻雀の面白さ、素晴らしさを伝えたいが故に、若干の脚色が入っていた部分もあるだろう。

しかし…

これからは誤魔化しが全く効かない。
選手の能力と個性、そして想いをどのようにして伝えるかは選手個人の力量にかかっているし、解説が入っていたとしても、それを判断するのは最終的には視聴者の皆様なのだ。

良い部分を光り輝かせ、負の部分をオブラートで包みこむ。
そのような文法を使ってきたことに私は強く反省している。しかしこれからは各選手のレベルが白日の下に晒されることになるのだ。そうなれば、現在私が感じている真実をここに記す必要性があるだろう。

A1リーグで戦っている私が感じている事。それは、A2リーグのレベルの格差。
上位で昇級を競い合い、A1で戦うことに夢焦がれている者。また、この世界で生き抜くことを心に決め、人生を掛けてこの世界で勝負しようと考えている者。そういった想いの下戦っている選手たちと、一般の選手達とはいろいろな意味で大きな違いがあることは事実である。

それらは今後、映像を目にした視聴者の皆様の方が強く感じることなのかもしれない。
普段からプロ意識を持って映像媒体で活躍している選手と、今後初めて映像に映る選手とは、いろいろな意味で大きな差があることだろう。

最初は罵倒されることもあるかもしれない。
選手間で大きな格差を感じるかもしれない。

しかしこれを機に、多くの選手たちの意識が変わってくれることを願いたいのだ。
プロであるということの自覚と責任を。
自分の打牌の裏側に、多くのファンの声援があるという事を意識してほしいのだ。

そういった経験を経て各自がさらにレベルアップすることが、この世界が支持される絶対条件になり得るのだから。

映像を見て、さらにAリーグを夢見る選手が増えることは間違いない。
多くの麻雀ファンの中から、麻雀プロを志す者も今以上に多くなるはずだ。
そういった『目』に育てられることを選手は意識して、これからのリーグ戦を戦っていってもらいたいと願っている。

話は大きく逸れてしまったが、今節注目したのは首位の勝又の卓。
共に昇級を争い上位につける前田と白鳥、さらには元A1の右田と、今期苦しむ滝沢が相手だ。
この卓では、各自の個性が十二分に発揮された内容となった。

まずは東1局、右田と滝沢の個性がぶつかる。
親・右田の配牌。

四万四筒七筒八筒九筒二索二索五索六索六索八索八索発発  ドラ七万

この配牌から何と右田は打四筒!そして次巡ツモ西で打五索
右田曰く「緑一色を見据えて」とのこと。この牌姿、どこからでも仕掛けていくということだ。

これを映像で見た視聴者にはどう伝わるだろうか?
良し悪しは別として、この強烈な個性と右田の想いが、画面越しに伝えることができるだろうか?

これに対し、滝沢は正確な手順で応戦する。

視聴者が見ても惚れ惚れするような手牌進行で歩を進めると、ロスなく7巡目にリーチ。
六筒を暗カン後、最速手順で満貫をツモ。

五万六万七万七万八万七筒八筒九筒北北  暗カン牌の背六筒六筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ七万

誰が見ても納得する華麗なアガリを見せた滝沢と、自らの想いを打牌に乗せた右田のフォームはまるで対照的だ。どちらを支持するかは見る人それぞれだろう。そういったぶつかりあいを見ることが出来るのがAリーグの魅力だろうし、これから視聴者の皆様に注目してほしい部分でもある。

続いては首位を走る勝又の思考と対応に触れよう。
東2局、親・勝又の6巡目、

五筒六筒七筒七筒三索三索四索六索六索八索八索九索九索  ツモ四筒  ドラ六筒

この七対子1シャンテンにツモ四筒で、2シャンテン戻しの打九索。タンヤオに柔軟に移行出来るのも首位に立つ余裕なのか。さらにツモ四筒九索、ツモ三筒四索としたあと、滝沢の切った三索をポン。手を決めてしまう七対子より、柔軟な形を求めた勝又。この局をテンパイと連荘を果たすと、続く1本場はしっかりとヤミテン。

四万五万六万六万七万八万四筒五筒六筒六索七索八索八索  ロン五索 ドラ八索

僅か5巡での11,600。首位を走る勝又にとっては十分なリードとなった。
この手に飛び込んでしまったのは滝沢。滝沢の手もテンパイで、

四万五万六万七万三筒四筒五筒三索三索五索七索八索九索  ツモ四万  打五索  ドラ八索

手順が正確な故の放銃。致し方ないと言えばそれまでだが、これが今期好調の勝又と不振に喘ぐ滝沢との勢いの差か。滝沢の手順は全く問題がないのだが、少しでも手順を外せば逆に放銃を免れたというのは皮肉としか言いようがない。こういった細かい部分を今後目の当たりに出来ることも映像の魅力の1つだが、結果だけ追ってしまうと滝沢の魅力に気が付く事無く過ぎ去ってしまう可能性も否定できない一瞬だった。

勢いに乗る勝又は続く東2局2本場は5巡目にリーチ。

三万四万五万七万八万四筒四筒四筒六索七索八索九索九索  リーチ  ドラ西

先程のヤミテンがあるだけに、3者共踏み込めず流局。
こういった押し引きの強弱も勝又の強みなのだろう。

勝又の戦いはこの日も終始安定。
仕掛けとリーチ、ヤミテンのバランスが抜群で、相手の攻勢にも余裕を持って対応している所が印象的だった。
例えば2回戦南3局親番で、

二万二万一索一索五索六索六索七索七索七索八索八索九索  ドラ東

この1シャンテンから四索をチーすると、次巡ツモ五索ですぐに清一色のテンパイ。
七索をツモ切ると白鳥から六索が出て12,000。

また続く3回戦では東1局6巡目に、

九万九万三索四索五索七索七索七索東東東発発  ドラ一万

すぐにでもホンイツに移行しそうなこの手を即リーチ。
一発でドラ表示牌の九万を引きアガリ2,000・4,000。
さらには東4局、

七万八万九万四索四索四索五索六索七索八索九索二筒三筒  ドラ四索

ドラが暗刻のこの手はスッとヤミに構え、すんなりと2,000・4,000を引きアガる強さ。
今節もポイントを77Pも積み上げ、1人独走の+226.7Pと悲願のA1昇級に一歩前進した。

勝又と同卓の前田と白鳥は終始我慢の展開。2人ともポイントを減らしたものの、何とか昇級前線に踏みとどまった感があるだけに、次節以降の戦いに注目したいところだ。

2位・石渡と、5位・四柳の卓では、佐々木が初戦から大爆発!東2局の親番で7本場まで積み上げ、一気に七万点越え。このトップで昇級争いに絡んだかに見えたが2回戦以降失速。しかし5回戦オーラスに、

一索一索九索九索発発発  ポン東東東  ポン北北北  ロン九索

この24,000で何とか持ちこたえた格好になったが、本人としてはまだまだ納得のいかないところだろう。

もう1つの卓では非常に面白い局面があったのでここに紹介したい。
1回戦オーラス、5万点を超えるトップ目の山田が2フーロでテンパイ。

五万六万八万八万五索六索七索  チー五万四万六万  ポン白白白  ドラ五筒

この仕掛けに対し山井がリーチ。

九万九万五筒六筒七筒八筒九筒一索一索二索二索三索三索  リーチ  ドラ五筒

このリーチを受け、山田が掴んだのは山井の当たり牌四筒。この四筒を山田は冷静に抑え打五万と放銃を回避。
すると、ここに北家・仁平は打二筒と勝負を挑む。
この二筒を親の黒沢がチーすると、仁平は意を決してツモ切りリーチを敢行。

終局するかと思われたが、ホウテイ牌は山井の下へ。
山井が六筒をツモ切るとこれが仁平に捕まる。

二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒七筒北北北  リーチ  ロン六筒

この12,000で仁平は浮きに回り、山井の1人沈みに。
この放銃が引き金となったか、山井はこの日大きくポイントを減らすこととなり、昇級争いから一歩後退する結果となってしまった。

対局後山井は、「局面を長引かせるリーチは、アガリ逃しと同じ」と、このリーチを打ったことを深く反省していた。しかし映像での対局を得意とする山井だけに、ここからの巻き返しも十分に考えられるのではないか。

この日の結果で勝又が1人大きく抜け出し、縦長の展開となってしまった。
しかし、残り一枠の昇級争いと、降級争いはさらに混戦模様に拍車がかかった格好となっている。

こうなると残り3節、対戦時間と環境が変わる中での戦いだという事が大きく結果に左右するのではないかと推測する。初めて映像に映る選手の戦い方に注目して、来節以降はニコ生での観戦を楽しみたいと個人的には考えている。
※現在のところ配信は予定となっております。

Aリーグの生放送が始まることで、選手の意識レベルも、視聴者や解説者のレベルも飛躍的に向上することが予想される。そうなった時には、実力の無いものが自然淘汰されることになることもまた事実だ。

本物だけが生き残り、力の無いものが去る。
プロ連盟にとっても、選手たちにとっても生き残りをかけた戦いが始まる今、各自がどのようなことが問われているかを考えることから、これからの第一歩が始まることだろう。

来月から生放送が始まるが、選手たちの戦いは既に始まっている。
それは、選手間の争いではなく、自分自身の意識レベルの向上と、多くのファンに対しての勝負だということを選手自身は忘れてはならないはずだ。

これからの生き残りをかけた争いにぜひ注目してほしい。
きっと視聴者の皆様の心に訴えかけることの出来る戦いが繰り広げられるはずであるから。