女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記

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第12期女流桜花決定戦 初日観戦記 吾妻 さおり

2018/01/05
執筆:吾妻 さおり


女流桜花
日本プロ麻雀連盟女流リーグ戦。一発・裏ドラなしの公式ルールで6節24回戦を行い、Aリーグ上位8名がプレーオフ進出。プレーオフ4回戦終了時上位3名と現女流桜花で12回戦。優勝者は第12期女流桜花の称号を得る。

 

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挑戦者が出揃ってから決勝開始までの間は、優勝者予想で麻雀界が盛り上がる。麻雀は精神状態によって同じ選手でも振り幅の大きい競技だ。決定戦という特別な舞台。一打一打は生中継で配信される。緊張しても無理はない。しかも数え切れないほど切られる中のたった1牌で展開は全く変わってしまう。優勝者を断言するのは難しいが、どんな展開になるかを想像してあれこれシミュレートするのはとても楽しい。この場を借りて、選手紹介を兼ねて私なりの展開予想を記したいと思う。

 

 

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石田 亜沙己(いしだ あさみ)29期生 二段
Twitterで「吾妻プロは誰が勝つと思いますか?」と訊ねられた瞬間の第一感は石田亜沙己だった。
理由の1つはプレーオフB卓の戦い。すでにA卓1位で対局を終えた内田。B卓内で2人に逆転され、かつ内田を下回った時のみ敗退の魚谷。この2席はほぼ確定。残る1席を石田、斉藤、蒼井、A卓2位の松岡で争うという、シビアな戦いだ。石田は暫定3位スタートだったが、斉藤の内容が抜群に良く最終戦には▲11.9Pのビハインドを背負っていた。手が入らず勝負すら出来ないまま局が消化され、どんなに苦しかったかは容易に想像出来る。それでも一切無茶はしなかった。勝負局を迎える前に自滅してはならない。ものすごい胆力だった。

 

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プレーオフA卓終了時
 

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プレーオフ最終戦南3局
 

この戦いを観て、石田はこれよりもっと長い間、じっと機会を待った経験があるのだと思った。そこにはもう1つの理由、母になった力を感じた。昨年度プレーオフ進出を決めながら、出産を控えているため出場を辞退した。悔しい想いはあったはずだが、自らの最も大切な戦いと引き換えに新しい命を迎えた。プレーオフB卓の逆転劇には2期に渡る石田の想いが集約されていた。

「もともとは攻撃主体の麻雀でしたが、このところ守備に重きを置いて打っています。母になった頃から守備が自分のものとしてしっくり来るようなりました。」

今決定戦最終日はお子さんの1歳の誕生日。最後の最後にアガリ競争になったら、神様は石田に微笑む気がしてならない。

 

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対局を観ていると、とにかく振らない麻雀を打つ。研究熱心で映像対局を良く観ているようで、他家の気配には女流1と言えるほど敏感に反応出来る。最小限のマイナスに抑えて勝負手で差し切るのが持ち味。切り遅れを感じた牌はまず打たないので、決勝の舞台で正しい手組をし、危険牌を先に処理出来るかが大きなポイントだ。石田の優勝ラインは3つ巴な最終戦の40付近と予想する。

 

 

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魚谷 侑未 (うおたに ゆうみ) 25期 五段
第6期・7期女流桜花 第10期・12期女流モンド杯優勝 第9期・11期・12期モンド王座 天空麻雀12
では予想は石田が優勝で決まりかというと、そう言い切れない面がある。石田は自ら局面を切り拓く打ち手ではないため、そもそも最後の最後がアガリ競争にならない可能性がある。
大量リードの展開を作る可能性を秘めているのは魚谷侑未。常日頃から麻雀界を賑わす、最速マーメイドが6度目の桜花決定戦に名乗りをあげた。牌理、経験値、場況判断、打点とスピードの兼ね合い、オリる引き際など、どれをとってもトップレベルの打ち手である。どの対局でも高いアベレージを保ち、極限状態でも打牌を間違えない。勝負をするために生まれて来たかのような、一流のスター性がある。スピードと爆発力を併せ持つ魚谷が早々にリードしたら、そのままぶっちぎってしまう可能性が高い。しかもリードすれば局消化も上手い。典型的な守備型の内田と石田は、かなり読みを入れて打牌選択する魚谷にとって信頼出来る=仕掛けや打点が読みやすい相手になり、2人にとっては局を軽く回されると厳しい戦いになってしまうだろう。また誰かが先行してもポジション取りが上手く脱落しない粘り強さもある。多彩な戦いが出来るのも長所だ。唯一の懸念材料は、今期の戦いを観戦した時に感じた不調さである。

「プロクイーン、最強戦。全ての戦いが私の糧になってくれていると信じています。今回の桜花、絶対勝ちたいと思います。」

存分に力を発揮した魚谷麻雀を是非観たいと思う。

 

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かなり攻撃寄りの打ち手だが守備力も高い。リーチするなら待ちは多く、鳴いても全て行くわけではない。局面はリードするけど闇雲に振らない器用さがある。魚谷の優勝ラインは初日でリードした場合は80以上と予想する。他家は3人とも先行リードが活きるタイプに見受けられるが、魚谷だけは初日マイナスでも勝ちパターンが残ると分析する。第6期女流桜花のような差し切る展開なら40付近かもしれない。

 

 

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現女流桜花 仲田 加南 (なかた かな) 21期 五段
第4期・11期女流桜花 第21期新人王 第5期プロクイーン 5位 第7期プロクイーン 2位 第35期王位戦 3位
誰かが先行した時に局面を変える力が最もあるのは、現女流桜花の仲田加南だと思う。
仲田は場況に非常に敏感な打ち手だ。1人が走ろうとしたら、極端に辛く打つし、強引な鳴きで場況を変えたりする。不利な局面を長引かせる事を好まず、短いスパンで平たくしようとする能力に長けているし、そのセンスが秀逸だと思う。
そして走ったのが自身ならその勢いを落とさず持続させる打ち方を徹底する。麻雀ラリアットと言われる所以は好調時の加速した状態にある。特に点棒を集めた後のメンホンが凄い。上家からキー牌が出ても鳴こうともせず、まるで自分のツモの方がいいに決まっているとばかりに山に手を伸ばす。そして面前で仕上げてリーチまで打ってアガリ切る。このパターンが炸裂したら、そのままあっさり連覇を決めてしまうのではないか。
いずれにしても今回の決定戦は、局面の変化のきっかけを自ら作り出す仲田がキーパーソンになると思う。
仲田も魚谷同様にかなり攻撃寄りの守備型。読みを絞って、ある程度の牌は切っていくが、本命牌は出て行かないように回り込む。ここ数年、以前よりオリる回数が少ないように見受けられるのは、読みの精度を高めようとする努力の証だろう。
今回の決定戦は仲田・魚谷の手数が多く、内田・石田は本手が出来た時に押し返す構図になるのはまず間違いない。
桜花を獲ると1年間女流リーグがない事について、

「本来はリーグ戦も打っていたい性格なのですが、今期は夏に体調を崩してしまったので、タイミングは良かったかも。今はしっかり回復したので心配ありません。」との事。
完全復活の麻雀ラリアットはどこで炸裂するのか!?

 

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ポイントを叩く力はあるが、毎局手牌のベスト手組をする魚谷とは局の進め方が大きく異なる。捨て局など織り交ぜる仲田の優勝ラインは魚谷より低めの60前後。リードが活きる打ち手なので、初日に大きくマイナスするとポイントを平たく出来ても、恩恵が他家に行ってしまう危険がある。

 

 

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内田 美乃里 (うちだ みのり)第5期プロクイーン 3位 第8期プロクイーン 5位 第7期女流桜花 4位
仲田とは全く対極の打ち手が内田美乃里だ。
守備に重きを置いた丁寧な麻雀。無防備になるので仕掛けは極端に少なく、面前で高打点の手作りをし、納得行く手に仕上がれば勝負。先手を取られたり、アガリが無さそうだと感じれば撤退。トリッキーな戦術や無謀な勝負、暴牌打ちを好まない。お手本のような美しい麻雀である。
プロリーグやトーナメントなど、大きなマイナスをせずきちんとまとめるのが上手で、常に好成績を残しているので連盟員の評価がものすごく高い。内田と同卓した者達が肌身で感じた強さの証である。
今期は第5節に放銃0回4連勝というパーフェクトゲームを成し遂げ、その日のプラスだけで決定戦進出を決めた。内田の真骨頂と言える内容の対局なので、今からでも是非ご覧いただきたい。
過去にプロクイーン2回、女流桜花1回決定戦の舞台にあがっているが、いずれも優勝争いに絡めなかった。

「過去の決勝は全て悔しい結果に終わってしまい、長い時間がかかりましたが、今は敗因をはっきり理解したと思っています。今回は最後まで優勝が狙える位置にいる事が目標です。」

優勝だけに価値がある決定戦という舞台のために、日頃の打ち方と違った面も観せますと明言。どんなバランスの麻雀を観せてくれるか楽しみだ。

 

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内田の強さは30,000点付近をキープする丁寧さにある。手数は少ないので、アガリ番の打点が鍵になってくる。ビハインドを抱えて毎局行くしかない展開は向かないので、先行出来なかった場合でも最終戦20ポイントで交わせる範囲に居たい。初日50以上浮ければ内田の本来の麻雀でそのまま守り切れるだろう。内田の優勝ラインも40前後と予想する。
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1回戦(起家から、石田・仲田・魚谷・内田)

「内田の先制」
東1局 親 石田 ドラ三筒
魚谷が早々にドラの三筒を重ねてタンヤオ系の手牌。
しかし後1メンツをどこに求めるか決まらないまま、無駄ヅモが続いてしまう。
巡目が深くなり、二索を手に残しての四筒切りは前巡一筒を通している事と、これ以上ドラそばを持つのは危ないという判断だ。しかし、ドラ固定を決め三筒三筒四筒から切った四筒が内田のピンフイーペーコードラドラに間に合ってしまった。

 

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・自分がドラドラなのに相手もドラドラでヤミテン
・安めの一筒は間に合い、高めの四筒が捕まる
・リーチされれば打たないであろう牌
不調時を象徴するような放銃だった。

「内田の踏み込み」
東2局1本場 親 仲田 ドラ二筒
今度は魚谷がリーチに踏み切る。リーチドラの三万六万だ。
これを受けた内田、役なしテンパイからとはいえ、三万をツモ切り2,600(+300)を放銃。

 

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内田は「あのくらいの牌は普段も勝負する」と言った。
しかし日頃から観戦している私から見たら、役なし、ドラそば愚形で1枚切れの待ちで、裏スジをノータイムで切る内田は見た事がない。切るにしても少しは考えるはずで、少なくともマンズではオリないと決めていたのだと思う。
この2局を見て、内田は非常に良いコンディションで卓についているなと感じた。
親の仲田の仕掛けもあり東も外しづらい、完全安牌もないならまっすぐがベストに思える。これが決勝用の内田の戦い方だ。

「石田の手組」
東4局1本場 親 内田ドラ八筒
ドラが1枚でタンヤオ系の石田が四筒を暗カンし、テンパイ。

 

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八万切りのヤミテンを選択。この時点でシャンポンリーチをする方もいると思うし、リャンメン変化を見るにもシャンポンにしてソウズの変化を見る手もあるが、判断がとても早かった。七万が場況的によく見えたのと二万ツモで3メンチャン変化があるからか。これを正解し四万七万に変化させてからリーチ。2,100・4,100のツモアガリ。

三万四万五万五万六万四索四索六筒七筒八筒  暗カン牌の背四筒 上向き四筒 上向き牌の背  ツモ四万  ドラ八筒

「魚谷の苦戦」
南4局 親 内田ドラ五筒
3者が要所でアガリ、オーラス21,200持ちの1人沈みで迎えた魚谷にドラドラのチャンス手が入る。

二万三万四万六万六万七万八万八万七索八索九索五筒五筒  ドラ五筒

入り目がタンヤオもピンフも消える九索なのが本意ではないが、ツモれば2,000・3,900、どこからでも5,200をアガれば1人沈み回避の役ありテンパイ。順位点を加味すると打点以上の価値がある。
しかし、八万ツモで役なしの五万八万五筒に受け変えてリーチに踏み切った。

二万三万四万六万七万八万八万八万七索八索九索五筒五筒  リーチ

リーチしてドラの五筒をツモっても浮きにはならないし、変則3メンチャンとは言え、自身で5枚使いの待ち。何よりヤミテン5,200の可能性を摘むのが痛い。アガリ牌3枚のイーペーコーより7枚の受け入れ枚数を選んだのは実に魚谷らしいが、危険なリーチだと思った。
同局、親の内田は30,600点持ち。
ラス目の魚谷からのリーチは安くないはず。ツモられば100%自身も沈むし、魚谷に直撃されたらラスまである状況でタンピンドラをテンパイ。

二万三万四万五万六万六万五索六索七索四筒五筒六筒六筒七筒

魚谷の河に八筒がある。現物待ちで5,800を拾って連荘がセオリーだが、テンパイ打牌の二万が強すぎて脇からこぼれる期待は薄くなる。
内田は意を決して沈みになるリーチ棒を出して一対一の勝負に持ち込んだ!
これは凄い。もし魚谷が2,000・3,900をツモれば内田の1人沈みになる、重いリーチ棒だ。
結果は魚谷が八筒を掴んで11,600放銃。
カン七万のヤミテンのままでも八筒は止めないだろうが、内田のリーチを誘発して5,800を11,600にしてしまい、大きな大きな1人沈みになってしまった。

 

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2回戦 (起家から、魚谷・石田・仲田・内田)

「最速マーメイドらしいバランス」
東1局 親 魚谷 ドラ四万
開局に魚谷と石田の手がぶつかった。
まずは魚谷が七対子1シャンテンから中ポン。

一万一万六万七万五索五索四筒四筒  ポン東東東  ポン中中中

ダブ東が先にポン出来てターツ選択。3ハン役が確定したのでトイトイを捨て打五索とアガリ易さを優先。
石田もタンヤオドラドラ以上、ツモれば三暗刻で高め跳満まである勝負手で全部行く気だったのだろう。安牌の西を温存して東を先切りした。親に鳴かれたら自分のツモ番は増えるので攻めのセオリーではあるのだが、結果的に魚谷を最速の手順を導いてしまい、スピードを合わせるために五索をチー。五万を嫌そうにツモ切ると魚谷の7,700に捕まった。

 

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「仲田現女流桜花 遠い仕掛けの布石」
南1局 4本場 供託リーチ棒が4本。
仲田の配牌はバラバラだった

一万三万七万九万一索三索八索一筒八筒東白発発  ドラ三索

発トイツ、ドラは1枚。ほのかにチャンタが見える程度だが、九万一万一索三索と重ねて、一万ポンから発進する。これまでの局でも仲田は結構遠い仕掛けを入れていて、仕掛け倒れの局も多かった。今局は見事にはまりあっという間に3フーロさせてもらい、高め跳満のトイトイテンパイ。
1シャンテンで親の魚谷は親番維持と供託を考慮し、全部行く気構えだったのだろう。仲田のアタリ牌の九万を打ち抜いた。

 

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「魚谷の底力」
南2局 親 石田ドラ一万
南場の親も落ち、リードが溶けて持ち点24,000。なんとしても浮きに回りたい魚谷の配牌。

八万二索四索六索一筒二筒五筒五筒六筒七筒九筒東発

タンヤオも視野に入れ東発と字牌から切って行くが、二筒ツモの所でピンズのホンイツも残す八万切り。
ピンズに決めた途端にツモが伸びてメンホン七対子に仕上がり、3,000・6,000。

一筒一筒二筒二筒五筒五筒六筒六筒七筒九筒九筒北北  ツモ七筒

「石田に降りかかる決勝の試練」
魚谷のメンホン七対子で一番ダメージを受けたのが、親被りの石田。
持ち点は17,100点で残り2局。3着までも12,200点差とかなり遠いが、とにかくアガってせめて1人沈みは回避したい。

南3局 親 仲田 ドラ二万
親仲田の配牌。

三万五索五索一筒二筒三筒六筒南南西西白中

上家の石田の心理も考慮してなのか、オタ風の西から仕掛けて強引なホンイツで主導権を取りに行く。
重ねた白は魚谷と持ち持ち。しかし仲田の仕掛けは遠い事も多く、速度が非常に読みにくい。手出しを見る限り魚谷はまだ間に合うと踏んだのだろう。タンヤオに移行する白トイツ落としに出る。
白をポン出来た仲田はカン七筒テンパイ。石田からすぐ出て電光石火の7,700をモノにする。

 

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放銃した石田は役ありテンパイ、魚谷は白を切ればタンピン系の手広い牌姿。各自の判断を見るとこれは仕方のない結果にも見える。
だが、良く見てほしい

1、親仲田がオタ風からポンでピンズ気配
2、魚谷が白持ち持ちからトイツ落とし、仲田が白ポン
3、石田が1,300テンパイから七筒切りで放銃

改めて時系列を追えば、早い巡目とはいえテンパイも十分ありえるとは思わないか?他の者が同じ仕掛けをして、絞られもせずこんなに簡単に7,700をアガれるだろうか?
「他の3者と違い、仲田の仕掛けはブラフもある」
これこそが仲田が撒いてきた布石である。南1局に続く2回目の仕掛けも実らせた。
連荘は出来ずその後はあっさり終わった2回戦だが、仲田にとっては上出来のトップ。一方、放銃しないのが持ち味の石田にとっては痛過ぎる大きなラスとなった。

 

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3回戦 (起家から、石田・魚谷・仲田・内田)

「嵐の前の静けさ」
内田が仕掛けた1,000をアガってからヤミテンと鳴きの小場になったが、南1局に嵐が来た。
「魚谷、ノミ手を勝負手に」

南2局 親 魚谷 ドラ 中
魚谷の最初のテンパイはドラ切りのノミ手。

三万三万三万六万六万三索三索七索八索九索六筒七筒八筒中

ドラ切りリーチは見合わないとの判断でここは六万切りのテンパイ外し。五万が目に見えて枯れていて六万も1枚切れ。リャンメン変化を見るなら三索切りだが、暗刻狙いなら三索の方が1枚多い。あくまでドラを打たない構え。
だが、ここで事件が発生。仲田が魚谷の六万にチーをかける。

二万二万四万五万一筒二筒三筒四筒五筒六筒  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き

こまめに仕掛けを入れていた仲田だが、さすがにこれは驚いた。リャンメンリャンメンのピンフ1シャンテン。まだ10巡目で形テンは早すぎる。四筒七筒ツモかチーでタンヤオに振り替わるから、九万は鳴かないが六万なら鳴くということか。それともドラの中の所在を確認するためか、リャンメンチーを見せて自分を本手に見せたいのか。
魚谷再びテンパイ。仲田の仕掛けを読んだかはわからない。むしろ中暗刻に見えてもおかしくない。だが、はなからこの手はドラの中単騎を最終形に見据えていたのでリーチを敢行。魚谷は勝負に出た。ツモれたらラッキー、流局でも親連荘でよし。
連盟公式ルールは一発・裏ドラがなく、表ドラの比重が非常に高いため、ドラ単騎リーチは頻繁に見かける。ノミ手でも打点的に魅力な勝負手に出来るからだ。
一方、他家から安易に打ち出される牌でなく、ドラを固めた者の反撃にも遭いやすいので決して乱用してはならないが、今回は魚谷の強い意志に牌が応えた。山に居た中を引き当て3,900オール!

 

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「内田 vs 仲田 リーチ合戦」
南4局 親 内田 ドラ八万
オーラスは仲田がツモり三暗刻でリーチ。ツモか石田から出れば1人沈み回避、ツモれば満貫、一万をカンしてリンシャンで白ツモならトップ。与えられた手材料で最大の打点にはなった。
内田も追いついてテンパイ、もちろんリーチ。
内田の一万四万も3枚、仲田の白六筒もシャンポンながら3枚で互角。
仲田はさらに一万はカン材で使い切れたが、四万を掴んで放銃。

 

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素点回復に失敗し、続く1本場は石田にもテンパイされ1人沈みのラスを引かされた。
内田は早くも今決勝2回目のトップをもぎ取った。

 

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4回戦 (起家から、石田・仲田・内田・魚谷)

「2回目のドラ単騎リーチ」
東1局 親 石田 ドラ中
北家魚谷が本日2回目のドラ中単騎リーチ。まるで3回戦の3,900オールの再現だが、さっきとは違う所もあった。1つは魚谷が親ではない事。もう1つはドラがリーチ宣言時点で純カラだった事である。
ドラトイツの内田は三万六万で追っかけリーチ。三万を捕まえて5,200の先制に成功する。

 

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「内田の勢いを止めた仲田」
内田と仲田。対照的な麻雀を打つ2人の戦い方が凝縮された1局。

東2局 1本場 親 仲田 ドラ九筒

四万七万七万八万一索八索九索一筒五筒九筒南西発

内田の配牌。
トイツ1組でこれといった手役も望めない、ドラも孤立で浮いている。
4回戦も幸先の良いスタートを切ったので、後は丁寧にまとめたい。

一万三万四万八万二索二索五索九索九索九筒白白発中

親の仲田の配牌。
白はトイツだが、こちらも内田と大差ない。ドラや発中を早めに重ねれば少し魅力的になるか。

まず中を重ねた仲田が二索ポンから発進してドラを叩き切る。トイトイもソウズのホンイツも見ない直線的な手組で連荘狙い。一応テンパイ前に発を重ねれば小三元の親満も見えるが、ダブルバックのノミ手も辞さない構えだ。
一方の内田には、仲田の二索ポン前から丁寧に字牌を絞っていた。二索ポンにより本来仲田がトイツにするはずのドラ九筒をトイツに出来た。
魚谷にはタンヤオイーペーコーのカン五筒、石田にも役なしだが六索九索テンパイが入っていた。
仲田の白ポンによって発を重ね内田は七対子ドラドラの九万単騎テンパイ。ここまでは完璧だったが、内田はリーチで決めに行ってしまった。

 

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これを受けた魚谷は九万を掴んでオリた。八万は2巡目に仲田が、6巡目に内田が切っていて、石田がリーチにオリて抜き打ってワンチャンス。しかし肝心の九万が生牌。仲田の仕掛けはトイトイが否定出来ず、リーチの内田は中張牌の切りがバラバラで変則手っぽい。
しかし、内田がヤミテンにしていれば魚谷が九万をツモ切る可能性はあったと思う。内田のテンパイ打牌が今ポンされた白でヤミなら目立たない事。仲田が九万を持っているならトイツ(シャンポン待ちの片方)もあるが、暗刻の可能性をより強く考える。仲田にまで点棒を持たれると厳しいので、仲田との1対1ならギリギリの読みを入れての勝負が50%、白トイトイの7,700以上を考えてオリが50%といったところだ。内田はリーチにより魚谷の九万切りを0%にしてしまい、50%の6,400をアガリ逃した事になる。
結果、仲田がラス牌の中をツモり1,400オール、内田の勢いを止めた。この局は今決定戦の大きな分岐に感じた。

「麻雀ラリアット」
東2局 2本場 ドラ七筒
親の仲田5巡目。

二万五万二索四索四索五索六索三筒三筒三筒六筒七筒七筒八筒

ドラドラの良い手。自然に二万切り。
そして魚谷の5巡目の手牌。

一万一万一万一万三万四万四万七万七万八万八万九万九万

なんとメンチンイーペーコーテンパイ!ヤミで跳満、ツモれば倍満ある。
入り目が4枚目の一万二万待ち(テンパイ時点で純カラ)なのが悲しいが、あまりに早いし、出アガリも期待出来る、手変わりもある勝負手だ。
たった今仲田が二万切り。間に合われたのが悔しい。
一方、6巡目内田の手牌。

二万三万四万五万七万三索五索四筒五筒六筒七筒八筒北北

ツモ五万でこの形。打牌候補は多くの受け入れに対応しタンヤオを目指す北、345の三色目を残す二万七万などか。
しかし、内田は三索を切った。1シャンテンキープでマンズは上下にリャンメン変化があり、かつ六索ツモならターツ振り替えが出来るからか。
普段の内田なら七万北を打ちそうに思ったのでちょっと意外だったが、これでしばらく二万は出ないだろう。
こうなると、二万を間に合わせた仲田が有利だ。一手変わり四暗刻だが打点十分。六筒九筒のまま即リーチ。

四索四索六索六索六索三筒三筒三筒六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン六筒

魚谷がすぐ六筒を掴んで12,000。親リーチ、ドラ表示牌、自分はドラを全く持っていない。ちょっとしたテンパイなら止まる牌かもしれないが、ツモ倍テンパイを壊さなくてはいけないのか。あまりに非情な牌の巡り合わせだった。

 

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「魚谷の一気通貫」
東4局 2本場 親 魚谷ドラ 発
123三色とピンズの一気通貫の両天秤の1シャンテンが長かった親の魚谷。11巡目にやっとテンパイしてリーチ。

八万八万一索二索三索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ四筒

4,000オールで21,100まで回復。ここで勢いに乗ってもうひとアガリ欲しい。

「石田の白メンホンチャンタ」
東4局3本場 親 魚谷 ドラ 五万
9巡目からヤミテンのメンホンテンパイを入れていた石田。
一万をツモって長考する。

一万一万二万二万三万三万四万七万八万南南白白白

下家の仲田は東を加カンしている。リーチこそ来ていないが、全員強く攻めているように見える。ドラが五万なので振り替わりも効き、四万七万には当たらない一万か、強気にイーペーコー高めチャンタなら出ても跳満の四万か。
石田の答えは四万。仲田がチーして、内田のツモ山にいた九万が魚谷に流れる結果になり跳満放銃。

 

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「仲田の3フーロ」
南4局 2本場 親 魚谷 ドラ 東
1人沈みでオーラスの親を迎え、なんとしても連荘したい魚谷。
仲田は47,300のトップ目。魚谷の猛連荘で点棒を削られるのは避けたいので、点棒がある内に1回くらいは勝負してもいいのは間違いない。ただ、その気迫は凄まじいものがあった。

二万四万五万一索三索五索一筒四筒七筒九筒北中中

この牌姿で1枚目の中から動いた。親が100%攻め返してくるこの局、最後まで押し切るにはあまりに不安定で、なかなか出来ない鳴きだ。
案の定、親リーチが飛んで来るのだがさほど危険牌を引かないまま仲田がアガリ切った。

四万五万九筒九筒  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ポン中中中  ツモ六万

 

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4回戦を終え、+31.8Pで首位に立ったのは内田。全体を通して非常にバランスがとれており、感触はかなり良かっただろう。1回戦オーラスの攻めのリーチは最高の結果をもたらしたし、大きく沈む半荘もなかった。普段なら打たない序盤のドラ切りなど、いつもより戦う姿勢も見せてくれた。勝負所になれば、ドラを切らなければならない場面もあるだろう。その際に思い切り良く行けたら初戴冠が現実になると思う。
内田の3勝目を阻止し、+30.1 Pとほぼ並びの位置につけた現状2位の仲田。仕掛け多めの魚谷よりさらにガンガン鳴いていく作戦は、守備型の2人に対して功を奏したように思う。比較的平たいポイント状況の2日目にどのような戦いを見せてくれるのか、楽しみである。
▲6.3 Pの3位につけた石田。2回戦の大きなラスはかなり辛かったと思うが、踏みとどまって残り2戦を乗り切り最小限のマイナスに抑えられたのは大きい。どこかで必ず手が入ると思うので、その時に差し切れるポイントに居られるよう、戦い続ける姿勢を見たい。
▲55.6 Pと大きく出遅れてしまった魚谷。2回戦、3回戦とプラスで突き放されずに粘っていたが、4回戦の展開は本当に苦しかったと思う。まだ優勝ラインが30程度に抑えられているので、魚谷の実力なら捲る可能性も大いにある。この後の爆発に期待したい。