麻雀マスターズ レポート

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第26期マスターズ 決勝観戦記 小車 祥

2017/05/19
執筆:小車 祥


2017年4月30日
第26期麻雀マスターズもついに決勝。
2000人以上が参加し、この舞台を目指した。
この日夏目坂スタジオにいる撮影スタッフ、実況解説、立会人、観戦記者、採譜スタッフなどなど。
その全てがこの舞台を目指し戦い、敗れた。
今期決勝に残った4名に、簡単に意気込みを聞いてみた。

 

100

四柳弘樹(連盟)第22期麻雀マスターズ準優勝
「4年前、めっちゃ悔しかったんですよ。今回こそはと思ってます。優勝だけ目指して頑張ります」

 

100

佐月麻理子(日本プロ麻雀協会)第14期女流雀王
「ベスト56トーナメントで最終局に苦しい配牌からピンフのみのアガリで勝ち上がったんですよ。あのアガリが一番嬉しかったアガリなんですけど、今日もあの時のイメージで戦いたいと思います」

 

100

松崎良文(連盟)第26期チャンピオンズリーグ優勝
「第26期チャンピオンズリーグ優勝に第26期十段戦決勝進出。26期に縁があるんですよね。これ勝ったら子供に二六(じろう)って名付けようかな」

 

100

武藤武(連盟)日本プロ麻雀連盟東北本部長
「いい麻雀を打てるように頑張ります。東北の皆の期待を背負ってという部分もありますが、自分らしく麻雀を打ちたいです」

 

対局前の選手の雰囲気はピリピリしているというよりは、かなり落ち着いていて、話しかけた私に(観戦記者のみインタビューが許されている)冗談なんかを言えるほどだった。
各選手、対局前にできる準備は全てできていて、後は牌を交えるだけだという印象を覚えた。

日本プロ麻雀連盟WRCルール(一発・裏ドラありの世界選手権ルール)での対局。
決勝は半荘5回戦を行い優勝者を決める。

 

 

100

 

1回戦(起家から、四柳・佐月・松崎・武藤)

東1局 親 四柳
決勝のファーストテンパイは佐月。6巡目にノータイムでリーチを打つ。

四万四万五万六万七万一索一索二索三索四索七索八索九索  リーチ  ドラ四万

手牌変化も見込めるテンパイだったがリーチを打ったことには1つの意志を感じた。
おそらくリーチに対して対局者がどう出るか見たかった等ではない。先手、打点十分、役なし、だからリーチ。そういうことに思えた。
それを見ていた私は思った。佐月は手強いと。佐月はブレない。折れない。

そしてリーチを受けた武藤の手牌が以下。

四万五万六万七万四索六索八索九索九索九索四筒五筒六筒  ツモ三万

まだ河の情報も少ない巡目で開局ということを考えると、まずはまっすぐぶつけていく四索切りや三色を残す八索切りを選択するかと思ったが、武藤は手の中唯一の現物である七万を切る。
開始前にいい麻雀が打ちたいと言っていた武藤、ここは冷静で慎重な入り方を選んだ。
すぐに八万を引いていてテンパイこそ遅れてしまったが、武藤は数巡後に五索をツモって以下のリーチを打つ。

四万五万六万四索五索六索八索九索九索九索四筒五筒六筒  リーチ

佐月の河に七索が切られていて、ヤミテンの選択もあった武藤だが、ここはリーチ。
バランスの取り方が独特だと思った。後手を踏んだ1シャンテンからのリスクは取らない。しかし価値あるテンパイになれば最高打点で仕上げる。
いきなりそれぞれの意志がぶつかる局となったが、アガリを獲得したのは武藤。
数巡後に八索をツモって裏ドラが五万。3,000・6,000のアガリ。

東2局 親 佐月
実は東1局に佐月はアガれる手順があった。ヤミテンに構えて変化を見ていれば三索二索とツモって3,000・6,000のアガリになっていた。
しかし佐月はなんとも思っていない。リーチなものはリーチなのだと。そう言わんばかりに、またノータイムのリーチ。

一万二万三万六索七索七索八索九索七筒八筒九筒南南  リーチ  ツモ八索  ドラ六万  裏二万

今度は気持ちよく一発ツモを決め、裏ドラも乗せた。
4,000オールのアガリ。

東3局1本場 親 松崎
武藤が仕掛けを入れしっかりとアガリきる。

五万五万九万九万九万五索六索四筒五筒六筒  ポン白白白  ツモ四索  ドラ五万

1,300・2,600は1,400・2,700のアガリで再度トップ目に。

南1局4本場 親 四柳
四柳もこの親番でアガリを決める。

四万五万六万三索三索四索四索五索東東  ポン中中中  ロン二索  ドラ三索

テンパイした松崎から5,800は7,000のアガリ。

南1局6本場
四柳が12巡目にリーチを打つ。

一万二万三万三万四万五万二索三索四索二筒四筒六筒六筒  リーチ  ドラ二索

しかし四柳の待ちはもう山には残っていなかった。
そこへ置いていかれるわけにはいかない松崎もリーチ。

五万六万二索二索七索八索九索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ

松崎の待ちは山に3枚。結果は四柳からのロンアガリ。
8,000は9,800と供託のリーチ棒が4本とかなりの収入となった。

南2局2本場 親 佐月
5万点オーバーのトップ目に立つ武藤、12巡目にテンパイしヤミテンに構える。

四万五万六万四索五索六筒七筒八筒白白発発発  ドラ白

同巡、四柳もテンパイしてリーチを打つ。

七万七万三索四索五索六索六索六索七筒八筒九筒白白  リーチ

白は武藤と持ち合っていて高目はなかったが、七万をツモった四柳。
2,000・4,000は2,200・4,200。

南3局 親 松崎
佐月が先制リーチ。

一万二万三万七万八万九万六索八索三筒四筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ九万

松崎も追いついてリーチ。

七万八万九万二索三索四索四索五索八索八索二筒三筒四筒  リーチ

実は七索は山に3枚、三索は山に2枚、六索は山には0枚だった。
ツモアガったのは松崎。裏ドラは六万で2,600オール。
南場に入って前半劣勢だった2名が追い上げてくる。

南3局1本場
仕掛けを入れ、自力でテンパイを入れた四柳。

一万一万四万四万四万五万五万九筒九筒九筒  ポン白白白  ドラ四筒

佐月のリーチ宣言牌である一万を捕らえ5,200は5,500のアガリ。

南4局 親 武藤
武藤以外の3名が2万点台で、3名の2着争いになりそうなオーラス。
こういう局面は勝負手が入れば武藤にとってもチャンスとなりやすい。
僅か5巡目、その武藤がリーチ。

四万四万四万五万六万四索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ六万

親以外の3名の誰も戦える手牌にはならないまま、武藤があっさり六筒をツモ。
大きくリードを広げる6,000オール。

なんと1回戦は2時間を超えるロングゲームとなった。
一度はトップ目に立っていた佐月が気づけばラス。
武藤は最高の形で1回戦を終えた。

1回戦成績
武藤+47.2P 松崎▲2.8P 四柳▲16.9P 佐月▲27.5P

 

2回戦(起家から、佐月・四柳・武藤・松崎)

東1局 親 佐月
松崎が先制リーチ。

七万八万九万七索八索九索一筒三筒七筒七筒中中中  リーチ  ドラ九万

佐月はリーチを受けながらうまく立ち回り、深い巡目に追いついてリーチを打つ。

三万四万五万六万七万八万二索二索二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ

しかし追いつくのが遅すぎた。佐月の待ちはかなり少なくなっていた。
松崎が二筒をツモ。2,000・4,000のアガリ。

東3局 親 武藤
佐月は早い巡目から軽快に役牌の西から仕掛けていく。
佐月には仕掛けが多めの選手という印象はあるが、この局面はトータルトップ目の武藤の親ということもあったかもしれない。
もちろんリードしている方がいいに決まっているのだが、逃げる形になった選手にはその者にしかわからないプレッシャーや状況判断の難しさが生じる。
軽めの仕掛けから思い通り手牌が伸び、最終的に以下のテンパイになる。

九万九万四筒四筒四筒六筒六筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン西西西  ドラ七筒

松崎はピンフドラ1の1シャンテンで以下の形。

四万五万六万九万一索二索三索八索八索二筒三筒七筒八筒  ツモ九筒

佐月の仕掛けはマンズのホンイツにも見え、佐月から最後に切られたマンズが4枚目の八万
この九万はかなり危険な牌とわかっている松崎、覚悟を決めた表情で九万を横向きに置く。
佐月、松崎から5,200のアガリ。

東4局 親 松崎
14巡目、佐月がリーチ。

二万三万四万二索二索二索四索五索六索八索八索二筒三筒  リーチ  ドラ八索

15巡目、四柳もリーチ。

二万三万四万五万六万三索四索四索四索五索二筒三筒四筒  リーチ

軍配は佐月に上がる。一筒をツモって裏ドラは七筒
2,000・4,000のアガリでトップ目に躍り出る。

南1局 親 佐月
以下、武藤の配牌と最初のツモ。

三万二索三索四索八索八索五筒七筒東東北中中  ツモ東  ドラ八索

ドラドラあるのでホンイツは見ずに北から切る。
3巡目に六筒を引き入れ、八索中のシャンポン待ちでリーチを打つ。
こうなると第一打の北が活きる。ついホンイツを見て三万あたりから切りたくなってしまう手牌だが、自分のトータルポイントなどを考えると自然なアガリが大事だという認識だろう。
情報が少ない早い巡目の内にポロリと中が出る可能性は十分になった。
10巡目、四柳が以下のテンパイ。

六万六万三索四索八索一筒二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ツモ六筒

一気通貫が確定したこの手では、ドラの八索を勝負してリーチといくのが自然。
四柳は手痛い8,000の放銃となってしまう。

南4局 親 松崎
40,000点持ちトップ目の佐月が7巡目にテンパイ。

六万六万六万二索三索四索五索五索二筒二筒二筒五筒六筒  ドラ四万

武藤を追う立場ということでリーチもあるかもしれないが、確実にトップを取っておくことに重きを置いてヤミテンに構える佐月。
すぐに四筒をツモってきっちり500・1,000をアガる。

佐月がトップを取り武藤を追う。
しかし武藤もしっかり2着につけており、隙のない戦いを見せる。

2回戦成績
佐月+27.0P 武藤+7.1P 松崎▲5.3P 四柳▲28.8P

2回戦終了時
武藤+54.3P 佐月▲0.5P 松崎▲8.1P 四柳▲45.7P

 

3回戦(起家から、松崎・佐月・武藤・四柳)

東1局1本場 親 松崎
四柳が以下のリーチ。

七万八万九万四索五索六索九索九索七筒八筒九筒白白  リーチ  ドラ西

九索は2枚切れていたが、大きなビハインドを背負っている四柳はそれでもリーチ。
松崎が直後にテンパイ。

二万二万三万三万四索四索五索六索六索四筒四筒六筒六筒

ヤミテンに構えていたが、白をツモったタイミングで白をツモ切りリーチ。
しかしリーチは通らず四柳への放銃。裏ドラは六索で5,200は5,500。

東2局 親 佐月
四柳、ヤミテンからイメージ通りの手変わりをしてリーチを打つ。

三万三万六万七万八万四索四索五索六索七索六筒七筒八筒  ツモ六索  打四索 左向き  ドラ二万

そして最高の八索ツモ。裏ドラは八万で3,000・6,000。

東3局 親 武藤
3回戦に四柳が抜け出すことは、武藤にとって悪くない展開だった。
武藤と四柳のトータルポイントの差はちょうど100P。
四柳が走って佐月と松崎にトップを取らせないでくれるのは武藤にとって悪くない。
その武藤が7巡目に先制リーチを打つ。

六万七万八万六索七索二筒三筒四筒南南  暗カン牌の背北北牌の背  リーチ  ドラ二万三筒

2巡後、あっさり八索をツモ。裏ドラが二筒九万。4,000オールのアガリ。武藤が強い。

東4局2本場 親 四柳
12巡目、チャンス手をもらっていた四柳がようやくテンパイに辿り着く。

六万七万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒東東  リーチ  ドラ東

次に佐月が以下の手牌。

二万二万二万二万四万五万二索三索四索六索七索四筒五筒  ツモ八索

ここから二万を暗カンする。テンパイすればぶつけていくぞという意志表明にも見えた。
しかしリンシャン牌はあろうことかドラの東。この牌を切らずに自分のアガリを見るとなるとかなり厳しい状況となる。佐月は現物の八索を切ってリャンシャンテンに戻すしかなくなってしまった。
暗カンで一発は消えたが四柳がすぐにツモ。

六万七万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒東東  リーチ  ツモ八万  ドラ東三筒  裏二筒三筒

6,000は6,200オールの大きなアガリ。

東4局3本場
武藤、8巡目にチーしてテンパイを入れる。

二万二万二万五万六万七万四索五索三筒三筒  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ六筒

局を進めることの価値が高い武藤、自然な仕掛けに見える。
この仕掛けで佐月がテンパイを入れる。

三万五万六万二索三索三索四索四索五索三筒五筒七筒七筒  ツモ四筒

三色には受けず、打三万でタンピンにしてリーチを打つ佐月。
一発で四万を掴んだ武藤、佐月に対して手の内全て無スジではテンパイを維持せざるを得ない。
七万と入れ替えて佐月に放銃。8,000は8,900。
武藤は2着安泰のような持ち点だっただけに、佐月だけでなく四柳と松崎にとっても嬉しい結果となった。

南1局 親 松崎
佐月が5巡目にテンパイ。

一万二万三万三万五万六万七万八万二索三索四索一筒一筒  ドラ一筒

一気通貫やピンフやイーペーコやドラ引きなどを見てヤミテンに構える。
7巡目、二万をツモってピンフ高目イーペーコに変化。
一万が2枚切れということもあってか、佐月はなおもヤミテン続行。
元々仕掛けを入れていた武藤がここに2フーロ目を入れる。

一索二索三索四索五索五索七索  ポン東東東  ポン白白白

この動きを見て佐月、持ってきた五索二索を入れ替えてリーチを打つ。
武藤、この二索をチーするとペン三索待ちのテンパイが取れたがここはスルー。
自力でテンパイを入れる。

一索一索三索四索五索五索七索  ポン東東東  ポン白白白

数巡後、武藤が四万を掴んでツモ切り。2局続けて佐月への満貫放銃となる。

一万二万二万三万三万五万六万七万三索四索五索一筒一筒  ロン四万

8,000。この放銃で武藤はラスに転落してしまった。

南4局 親 四柳
8巡目、佐月がテンパイ。

八万八万二索三索一筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ一索  ドラ五筒

仕掛けを入れている武藤がたった今二筒を切ったところ。マンズのホンイツにも見える。
佐月はドラの五筒を切ってのリーチを選択。武藤からの直撃も狙えると見たか。
この五筒を武藤が仕掛け、武藤もテンパイ。

六万六万七万七万八万北北  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ポン白白白

深い巡目、佐月が二筒をツモ。裏ドラは六筒で3,000・6,000は3,100・6,100。

先にリードを持って逃げる立場だった武藤。
道中の仕掛けや押し引きに大きな欠点があったとは思えないが、観戦している私から見てもその判断の難しさを思い知らされた半荘となった。
武藤のワンサイドゲームになる可能性もあった決勝も、誰が優勝してもおかしくないトータルポイントになった。

3回戦成績
四柳+42.5P 佐月+14.0P 松崎▲19.8P 武藤▲36.7P

3回戦終了時
武藤+17.6P 佐月+13.5P 四柳▲3.2P 松崎▲27.9P

 

4回戦(起家から、武藤・松崎・佐月・四柳)

東1局 親 武藤
佐月が先制リーチを打つ。

二万三万四万六索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ七索

松崎も勝負手テンパイ。リーチをかけてぶつけにいく。

四万五万六万七万八万九万七索七索六筒七筒東東東  リーチ

松崎のリーチ一発目のツモが東でこれを暗カン。
リンシャン牌は佐月への放銃となる五索だった。

二万三万四万六索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒八筒八筒  リーチ  ロン五索  ドラ七索七筒  裏九索東

12,000。

東3局 親 佐月
今度は松崎がリーチ。

二万三万二索二索三索四索五索七筒八筒九筒発発発  リーチ  ツモ一万  ドラ五索  裏七筒

2,000・4,000をアガリ、食らいついていく。

南1局1本場 親 武藤
佐月が仕掛けを入れ、15巡目に自力テンパイ。

一索二索二索二索三索四索四索四索六索七索  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ六筒

四柳がリーチを打つ。

八万八万二索三索七索八索九索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ

勝ったのは佐月。四柳が八索を掴んで放銃。8,000は8,300。

南2局 親 松崎
四柳にチャンス手が入る。以下、6巡目の四柳の手牌。

一万一万一万四索四索二筒二筒四筒六筒六筒  暗カン牌の背九索 上向き九索 上向き牌の背  ドラ一万六万

8巡目、武藤がリーチ。

二万四万六万七万八万一索二索三索四索五索六索一筒一筒  リーチ

9巡目、松崎が追いかける。

三万四万五万五索六索七索六筒七筒七筒八筒八筒東東  リーチ

四柳は松崎のリーチ宣言牌の二筒をポンすればテンパイだが、2件リーチを受けてもなおスルー。自力で二筒をツモり、ツモれば四暗刻のテンパイ。リーチを打つ。

一万一万一万四索四索二筒二筒二筒六筒六筒  暗カン牌の背九索 上向き九索 上向き牌の背  リーチ

しかしこの時点で四索六筒も山には残っていなかった。二筒をポンしていれば武藤が四索を掴んでいた。
あくまで四暗刻に拘った四柳、僅かにその思いは届かない。
四柳、さらに一万を暗カン。新ドラは五筒
武藤が九筒を掴み、松崎のアガリとなった。

三万四万五万五索六索七索六筒七筒七筒八筒八筒東東  リーチ  ロン九筒  ドラ一万六万五筒  裏二索二索四万

3,900。

南2局2本場
松崎が仕掛けて以下のテンパイ。

一索二索三索五索七索西西西中中  チー三索 左向き一索 上向き二索 上向き  ドラ中

更に八索をツモって六索九索待ちに変化。
武藤がメンゼンテンパイし、リーチを打つ。

五万五万五万五索六索七索五筒六筒七筒南南中中  リーチ

しかし武藤の待ちは山には1枚も残っていなかった。六索を掴み松崎に放銃。12,000は12,600。

南2局3本場
四柳が9巡目にテンパイ。

二索三索四索四索五索六索七索八索七筒七筒九筒南南  ツモ七筒  ドラ二筒

リーチを打つかとも思ったが、ヤミテンにして打点を追う。
次に佐月がテンパイ。

一索二索三索五索六索七索八索九索一筒二筒三筒西西

佐月はここでヤミテンを選択。
四柳がイメージ通り一索をツモって四索と入れ替えリーチ。
そう、この四索は佐月への高目での放銃となってしまう牌。
8,000は8,900。
四柳は四暗刻の局に続き、打点を追ったことが結果的にまたもや裏目に出てしまう。

南4局1本場 親 四柳
松崎が10巡目テンパイ。

三万四万五万二索三索四索六索六索三筒四筒四筒五筒六筒七筒  ドラ九索

松崎はここから四筒を切ってリーチ。八筒がフリテンになっていたので七筒切りリーチもあったが、あえて三面張にしてツモアガリに賭けた。
3,900出アガリだと直撃でない場合、佐月を捲らない。しかしツモアガリなら無条件で佐月を捲ってトップ。こういう点数状況も影響している。
佐月も14巡目にテンパイ。ヤミテンに構えた。

二万三万四万八万八万四索五索五索六索六索四筒五筒六筒

流局が近づいてきた16巡目、四柳もリーチをかける。

五万六万七万五索七索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ

四柳のリーチに対して一発目、佐月の手牌が以下の通り。

二万三万四万八万八万四索五索五索六索六索四筒五筒六筒  ツモ八万

オリるなら四柳のリーチ宣言牌である三万を切ることもできるが、テンパイ維持をするなら四柳と松崎に対してスジになっている六索を切るという選択もある。
佐月が選んだのは後者。四柳がリーチをした段階で山には残っていなかった六索を、佐月から打ち取ることに成功。
四柳、12,000は12,300のアガリ。

南4局2本場
武藤が5巡目にリーチ。ツモアガリとなって4回戦終了。

二万三万四万九万九万九万六索七索八索五筒六筒東東  リーチ  ツモ四筒  ドラ九索  裏五筒

1,000・2,000は1,200・2,200。

4回戦成績
松崎+25.8P 佐月+11.2P 武藤▲7.8P 四柳▲29.2P

4回戦終了時
佐月+24.7P 武藤+9.8P 松崎▲2.1P 四柳▲32.4P

 

最終戦(起家から、武藤・松崎・四柳・佐月)

100

1回戦は4着でのスタートとなった佐月がトータルトップ目で最終戦を迎えることになるとは、あまり想像がつかなかった展開である。
そして展開を言うならば、武藤と佐月がゲームの中心にいるところを、四柳と松崎が安定感のある内容で劣勢ながらも粘っているという印象だ。
特に決勝5回戦という短期決戦では、自分の立ち位置によってやるべきことがコロコロ変わるという難しさがある。
高いステージでの戦いに慣れている四柳と松崎が、その経験の差で最後まで自分のチャンスを残していた。

東1局 親 武藤
佐月がまずは軽いアガリで局を進める。
武藤の親ということでその価値は高い。

二万二万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  ロン八筒  ドラ八索

武藤からのロンアガリ。2,000。

東2局 親 松崎
10巡目、松崎がリーチを打つ。

四万五万六万三索四索五索七索七索四筒五筒六筒八筒八筒  リーチ  ドラ五万

同巡、武藤も追っかけリーチ。

五万五万五索六索七索七索八索九索一筒三筒四筒六筒八筒  ツモ五筒  打一筒 左向き

七索八筒は山に残っておらず、七筒は山に3枚。武藤、七筒をツモアガリ。
2,000・4,000。

東4局 親 佐月
佐月が3巡目から積極的に仕掛けていく。

二万三万六万七索七索七索八索九索四筒五筒  ポン発発発  ドラ五筒

この仕掛けから以下の手牌まで変化。

二万三万六索七索七索八索八索九索五筒五筒  ポン発発発

ここからさらにドラの五筒を暗刻にして打二万一索をツモって一索単騎に受け変える。
場にはソウズがかなり切れていて、一索は誰も使えなかった。
誰が持ってきてもツモ切る一索を四柳が掴む。

一索六索七索七索八索八索九索五筒五筒五筒  ポン発発発  ロン一索

佐月、積極的な仕掛けから大きな大きな12,000へと繋げていく。

南1局3本場 親 武藤
武藤は落とせない親番。12巡目にテンパイ。ヤミテン。

一万二万三万五万六万二索三索四索三筒四筒五筒七筒八筒九筒  打五万  ドラ北

直後、佐月がリーチ。

七万七万七万七万八万三索三索四索五索六索五筒六筒七筒  リーチ

武藤の仮テンの六万が捕まってしまっている。武藤は三筒をツモって打六万
どうせ仮テンなら佐月の現物である五万単騎にする選択もあっただけに、少し悔やまれる結果となってしまった。

南2局 親 松崎
四柳がリーチを打つ。

四索四索五索五索六索四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ南

松崎も追いついて以下の手牌。

七万七万八万八万三索五索五索七索八索四筒四筒発発  ツモ七索

八索はリーチの現物だったが、八索にアガリがあると見たか。三索を切ってリーチ宣言。四柳への8,000放銃となる。
この親落ちで松崎の条件はかなり苦しいものとなった。

南3局 親 四柳
四柳もこの親でかなり連荘しなければならない点数状況。
15巡目、武藤がリーチをする。

一万二万三万五万六万七万四索四索三筒三筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ六万

1,000・2,000ツモならオーラス跳満ツモ条件が残る武藤。
リーチ後に八筒をツモって暗カンをする。新ドラは八索で乗らず。
ここで松崎から武藤のアガリ牌である三筒が切られる。
武藤は松崎から3,200をアガっても跳満ツモ条件まで届かない。しかし裏ドラを2枚見ることができるのでアガるかと思ったが、ここはスルーを選択。
1人テンパイで流局となれば跳満ツモ条件が残る。なるほど確かにその方がいいかもしれない。
最後のツモで四柳が執念でテンパイを入れる。
これが一番武藤にとってもありがたかった。

南3局1本場
武藤、9巡目の手牌。

四万五万七万七万七万七索八索九索二筒三筒六筒六筒北  ツモ七筒  ドラ三筒

失うものはなく、追うしかない武藤はここは七筒を抱えて目一杯に構えるべきだ。
しかし武藤は七筒をツモ切りとする。次巡八筒をツモ。これは痛いと言わざるを得ない。
それでも武藤が13巡目にテンパイしてリーチ。

四万五万七万七万七万七索八索九索一筒二筒三筒六筒六筒  リーチ

四柳も15巡目にリーチを打つ。

四万五万六万六万五索六索三筒四筒五筒七筒八筒九筒西西  打六万

この六万を武藤はまたもやスルーする。
アガって裏1でも乗らなくてもオーラスは跳満ツモ条件。しかし武藤が七筒を残しているとピンフドラ1のリーチになっていて、裏が1枚乗ればオーラス満貫ツモ条件にすることができた。それならば「ロン」と声が出ていたのではないだろうか。
ここで見逃して1,000・2,000をツモると、リーチ棒が出たことによって武藤はオーラス満貫ツモ条件になるという要素もあった。
見逃しの是非はわからないが、この見逃しで武藤に待っていたのは最悪の結果。
七索を一発で掴み、四柳へ12,000は12,300の放銃となってしまう。

南3局2本場
それでも武藤がここで大物手をテンパイする。

三索三索六索六索七索七索八索八索西西北北白  リーチ  ドラ白

タンヤオ仕掛けをしていた四柳に白が浮いていた。四柳から出た白を今度こそロン。
16,000は16,600をアガって、武藤はオーラス跳満ツモ条件を残す。

南4局 親 佐月
泣いても笑っても最終局。
佐月はノーテンと伏せるだけ。
比較的、現実的な逆転優勝条件は武藤の跳満ツモ。
その武藤は5巡目に以下の手牌。

七万八万九万一索三索七索八索九索二筒三筒八筒東東  ドラ一筒

二索をツモってリーチして一筒をツモれば逆転優勝というところまできていた。
しかしここから欲しい牌を持ってくることはなく、4枚目の二索を佐月がツモった時点で佐月の優勝が確定。
流局して全員が手牌を伏せた。

佐月はただ一点を見つめていた。
対局開始から終了後まで、選手としての冷静な立ち振る舞いを一貫していたのが印象的だった。

最終戦成績
佐月+33.5P 武藤+12.3P 四柳▲16.3P 松崎▲29.5P

最終結果
佐月+58.2P 武藤+22.1P 松崎▲31.6P 四柳▲48.7P

決勝の戦いを振り返ると、佐月は常にブレない芯の強さを持っていたように思う。
仕掛ける、リーチを打つ、攻める、オリる。
その一つ一つの選択に強い意志があり、その意志が勝利へと佐月自身を導いたのだ。

対局後、本人に少し話を聞くと、対局中に見せていた真剣なまなざしと打って変わって柔らかな笑顔を見せた。
しきりに「嬉しいです」と話す様子に、肩の荷が下りたのだなと感じる。

第9期以来の女流プロの戴冠となった今期の麻雀マスターズ。
麻雀マスターズの歴史に佐月麻理子という名を刻み幕を閉じた。
これからも続いていく勝者と敗者の戦いに胸を熱くし、次の戦いに備えるのは皆同じだろう。

ただ一言、この4名に私はどうしても伝えておきたいことがある。
その言葉でこの観戦記を締めよう。

「熱い対局をありがとうございました」
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