王位戦 レポート

第45期王位戦準決勝レポート 

2019年11月23日(土)、76人で争われたA級決勝から15人が勝ち上がり、前年度王位の魚谷侑未を加えた16人で第45期王位戦準決勝が行われた。

準決勝に進出した選手は以下の通り。

魚谷 侑未(第44期王位・日本プロ麻雀連盟)
石井 一馬(最高位戦日本プロ麻雀協会)
松本 吉弘(日本プロ麻雀協会)
林 ひろたか(日本プロ麻雀協会)
二見 大輔(日本プロ麻雀協会)
柴田 秀昭(一般)
髙橋 信夫(以下日本プロ麻雀連盟)
山田 浩之
森下 剛任
石橋 和也
小林 正和
滝沢 和典
吾妻 さおり
小笠原 奈央
西島 一彦
菊田 政俊

 

100

 

午後0時から総当たりで5回戦を戦い、下位8名が敗退。上位8名でポイントを持ち越し1回戦。トータルポイント上位4名が決勝進出となる。

 

 

★1回戦

1卓 魚谷、吾妻、石橋、山田

高打点のテンパイをよそに、山田、石橋がピンフのアガリで軽快に局を回す展開。大きなアガリが発生したのは東4局。タンヤオピンフドラドラの1シャンテンとなった吾妻を、魚谷がペン三筒のジュンチャンで捉え5,200のアガリ。魚谷が浮きに回り、吾妻は手痛い1人沈み。2回戦から大きな得点が必要となった。

石橋 +13.0P 山田+6.8P 魚谷+1.9P 吾妻▲21.7P

2卓 小笠原、二見、柴田、森下

起家の小笠原がタンヤオドラ1のカンチャンを慎重にヤミテンに構えてのアガリ。鍔迫り合いの展開かと思われたが、森下のリーチツモハイテイドラ1、柴田の役牌ドラ3など派手な展開が続く。二見も積極的にリーチで対抗するがアガリに結びつかず、4着のスタートとなった。

柴田 +23.2P 森下+14.5P 小笠原▲15.5P 二見▲22.2P

3卓 髙橋、林、小林、西島

ダブ東を含む西島のホンイツ仕掛けに髙橋が役牌をかぶせ、ツモアガリで開かれたのは役なしのカンチャン。熱くもじっとりとした展開。得点としては小林がじわじわとリードする展開で1人浮きのまま南場を迎えるも、打開したのは林。メンタンピンドラ1をハイテイでツモアガリ、トップをものにした。

林 +20.0P 小林 +6.0P 髙橋 ▲10.5P 西島 ▲15.5P

4卓 菊田、石井、松本、滝沢

実績の非常に多い選手に今年勢いのある菊田という見応え抜群のメンツ。東場では石井が仕掛けで場をリードし連荘。3本場では打点と良形変化を見て役なしのテンパイを外していく。松本からリーチが入ると石井も待望のドラを引き入れてリーチと出るが、宣言牌で7,700の放銃に。菊田も仕掛けてのトイトイ三暗刻・手替りの多い手の即リーチなど、ビッグネームの3人を相手に巧みな駆け引きを見せ、終わってみれば1人浮きに。

菊田+28.5P 滝沢▲1.3P 松本▲6.0P 石井▲21.2P

 

 

★2回戦

1卓 魚谷、小林、菊田、森下

一発・裏のない放送対局としては異例の25分という速さで半荘が終了。
全員が30,000点付近を往復する中、菊田が仕掛けての小三元を魚谷からアガリ、大きなトップ目に。2連勝で決勝進出に向けて弾みをつけた。

菊田 +20.3P 森下 +5.2P 魚谷 ▲10.5P 小林 ▲15.0P

2卓 滝沢、柴田、西島、山田

連盟チャンネル常連の3人に一般からの参加の柴田が挑戦という格好。小さい点数のやりとりが続く中、西島が必ずと言っていいほど参加。子でのピンフのみリーチなど、果敢に攻め続けて1回戦のマイナスを取り戻す。

西島 +21.7P 柴田 +9.9P 山田 ▲5.0P 滝沢 ▲26.6P

3卓 髙橋、小笠原、石井、石橋

石橋が仕掛けやヤミテンを織り交ぜた軽快なアガリで1人浮きに。1回戦のマイナスを挽回したい石井は親の高橋とのリーチ対決を制し、待望の5,200をアガるも、その後は展開に恵まれず小笠原とともに負債を重ねる形に。

石橋 +24.8P 髙橋 ▲2.2P 小笠原 ▲9.2P 石井▲14.4P

4卓 松本、林、二見、吾妻

林が普段順位点が大きい一発裏ドラありのルールを打っているとは思えないほど、一発裏ドラ無しのルールに適応した安定の内容で2連勝を果たす。ピンフドラドラをリーチしてツモったかと思えば、ドラドラの2人が攻めている中、場に安い色のイッツーをヤミテンでツモるなど柔軟な判断を見せる。

林 +21.9P 吾妻 +6.5P 松本 ▲7.2P 二見 ▲21.2P

 

 

★3回戦

1卓 小笠原、魚谷、林、滝沢

開局から魚谷が親でリーチを放つも、ドラをポンした滝沢の追撃に遭い7,700の放銃。16分という放送対局としては驚きの速さで滝沢1人浮きのまま南入。このまま決勝進出へ弾みをつけたいところだったが、南2に好調の林がタンヤオドラ3をテンパイすると、同じくテンパイの滝沢が当たり牌を掴み、今度は林が1人浮きに。林の3連勝かと思われたが、オーラスに小笠原が満貫のツモで僥倖のトップ浮上。1、2回戦とマイナスしていた小笠原であったが、決勝進出の可能性を繋いだ。

小笠原 +15.8P 林 +9.1P 魚谷 ▲5.8P 滝沢 ▲19.1P

2卓 柴田、石井、吾妻、小林

リードしている柴田がここでも攻め続け、主導権を握る。何としてもプラスに持っていきたい石井は細かいアガリで東場を終えてトップ目に立っていたが、低打点の放銃や1人ノーテンで原点を割ってしまった。小林は2回戦が4着ということもあり、なんとか得点を伸ばしたかったが、オーラスの親がノーテンで終了となった。

柴田 +19.0P 小林 +4.7P 石井▲5.7P 吾妻 ▲18.0P

3卓 菊田、山田、髙橋、二見

完全なる髙橋の半荘。メンゼンのホンイツ ダブ南 チャンタのテンパイに飛び込んだ二見は3回連続の4着となり、かなり厳しい位置に。他にも満貫のアガリがあった他、オーラスでは仕掛けの入った状況でドラの発を切り飛ばし高目三色のリーチ。安めのツモアガリではあったが、終始卓を支配。山田・菊田は仕掛けを多用し原点近くをキープするも浮きに回ることはできなかった。

髙橋 +39.2P 山田 ▲5.1P 菊田 ▲8.1P 二見 ▲26.0P

4卓 松本 、森下、石橋、西島

東1局、松本の先制リーチに真っ向勝負を挑んだ西島。チンイツドラ1のテンパイからさらにドラを引き込みシャンポン待ちに。するとすぐに松本がドラを掴み…流れるような倍満が炸裂。取り返したい松本は南場の親で3本場まで連荘するも、大きいアガリに結びつかない。一方1、2回戦共にプラスした森下は、「ここで通過を決める」とばかりに親でカンチャン・ドラ表示牌待ちの三色をリーチ。1人旅に持ち込みツモアガる狙いだったが、ドラを2枚持っていた石橋は真っ直ぐに手を育て、満貫のツモアガリ。そして勢いそのままに西島を逆転しトップへ。

石橋 +29.4P 西島 +20.6P 森下 ▲18.5P 松本 ▲31.5P

 

 

★4回戦

1卓 魚谷、二見、石井、西島

魚谷・石井が要所要所でアガリを拾い、決勝進出へ可能性を繋げる。これまで+26.8ポイントとリードしていた西島はリスクを負うに値する手を作りきれず、勝負所を次戦へ持ち越す形となった。

石井 +21.2P 魚谷 +9.4P 二見 ▲7.6P 西島 ▲23.0P

2卓 林、菊田、石橋、柴田

暫定1・2・3・4位の戦いとなった2卓。菊田・林が東場で得たリードを活かし、危なげなく局を消化していく。一方柴田はここまでとは打って変わってリードを守る選択が多いように見えた。

菊田 +21.0P 林 +4.9P 柴田 ▲10.7P 石橋 ▲15.2P

3卓 滝沢、森下、吾妻、髙橋

森下が開局2巡目にリーチの声。間も無くツモの発生とともに開かれたのはタンヤオでドラ待ちのカンチャン。他3者も中打点の攻防を見せるが、南場に再び森下が3巡目にリーチ、程なくしてイーペーコードラ1のカンチャン待ちをツモ。いとも簡単に見える2回の2,000・3,900で、ぐうの音も出ない1人浮きのトップに。

森下 +37.6P 吾妻 ▲3.9P 滝沢 ▲11.9P 髙橋 ▲21.8P

4卓 小笠原、山田、小林、松本

起家の小笠原が丁寧にアガリを積み重ね、4本場で5万点を超える。その後は全体的に大物手がテンパイ止まりとなり、暫定順位や供託を奪いにいく展開に。小笠原にとっては危なげのないトップとなり、マイナスを重ねた2戦目からはうって変わって通過が現実的に。

小笠原 +30.0P 松本 ▲5.8P 小林 ▲8.4P 山田 ▲15.8P

 

 

★5回戦

1卓 魚谷、松本、柴田、髙橋

6回戦進出に少なくとも7万点のトップが必要な松本が東場・南場の親で共に連荘。ダブ東暗刻の両面リーチなど勝負手テンパイを入れるも、得点を伸ばしきれなかった。6回戦進出のために浮きが必須な髙橋は、オーラスの親にドラをポンしての三色をツモアガリ興奮の面持ち。魚谷はこのアガリでトータルがマイナスとなり、惜しくも敗退となった。+40以上ある得点を守りたい柴田は中々参加することができず、4着。6回戦で加点が必要な状況となった。

髙橋 +15.8P 魚谷 +4.2P 松本 ▲4.4P 柴田 ▲15.6P

2卓 林、山田、石井、森下
4回戦までの勢いそのままに、林だけがアガり続ける。リスクを負うわけでもなく「かわし手」が実る展開で3者が等しく点を奪われる。南場で林の親リーチに立ち向かい、1,300・2,600をアガリきった森下は浮きに回る。
大トップが必要であった山田・石井は後半役満クラスが必要な状況となるも、成就できず。

林 +24.3P 森下 +12.9P 山田 ▲14.9P 石井 ▲22.3P

3卓 二見、石橋、小林、滝沢
大きくマイナスをしてしまっている滝沢・小林・二見と暫定3位の石橋という構図。小林が2度の満貫で開始早々5万点オーバーに。滝沢も負けじとジュンチャン・メンタンピンリャンペーコードラドラと華々しい手をアガリトップまで迫るが、辛くも小林が逃げ切りトータルプラスで結果を待つ。

小林 +23.9P 滝沢 +11.4P 二見 ▲14.7P 石橋 ▲20.6P

4卓 小笠原、西島、吾妻、菊田
吾妻・西島・小笠原の間で点が行き交い、リードしていてリスクを負いづらい菊田がなかなか参加できない。1人沈みで迎えたオーラス、条件が厳しく国士無双を狙う上家からタンヤオ牌を鳴いて連荘を狙うも、西島がのびのびとアガリきり痛恨の4着となってしまう。

西島 +18.0P 小笠原 +5.9P 吾妻 ▲5.9P 菊田 ▲18.0P

5回戦が終了し、9位以下の8名がここで敗退。

 

100

 

 

 

★6回戦

1卓 森下、菊田、西島、柴田
多少の沈みでも通過濃厚の菊田に、東1局からドラ暗刻の配牌が入る。アガれば通過濃厚となるが、柴田とぶつかり合い3,200の放銃。その後ドラのペン七索リーチ、親のピンフリーチなど連続で攻撃するも一向に実らない。溜まった供託は柴田が仕掛けを入れて軽々と回収し、そのままトップ目に。オーラスは森下が難なくピンフをアガリきり、通過を決めた。これで森下・柴田は通過がほぼ確定。痛恨の4着となった菊田の通過には、別卓の林が1人浮きに近い状態になることが条件に。

柴田 +13.6P 森下 +5.7P 西島 ▲4.3P 菊田 ▲15.0P

2卓 小笠原、髙橋、林、石橋

よほど大きな4着でない限り通過確定の林と、1〜2つの椅子を争う3人という構図。小笠原がリャンペーコー変化のあるタンヤオイーペーコーのテンパイをそのままツモり、2,000オール。続く東2局ではドラドラでリーチした髙橋に、同じくドラドラの石橋が飛び込み5,200の放銃。流局が少なく順位が変わり続ける。林は全くリスクを冒さず、戦いを見守る格好。オーラスはなんと別卓の菊田を含めた4人で最後の椅子を争う形となったが、、アガったのは小笠原。ダブ南ドラ1の3,900は4,200で浮きにまわり、決勝進出を決めた。

林 +13.2P 小笠原 +4.2P 髙橋▲4.1P 石橋 ▲13.3P

この結果をもって、決勝に進出した選手は以下の通り。

林 ひろたかプロ(日本プロ麻雀協会)
森下 剛任プロ(日本プロ麻雀連盟)
柴田 秀昭さん(一般)
小笠原 奈央プロ(日本プロ麻雀連盟)

第45期王位は翌日5半荘の対局によって決まる。優勝候補筆頭が次々と敗れる中勝ち上がってきた猛者たちの戦いは必見だ!